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「研究所情報」第29号 2004年04月30日

 ここでは,「研究所情報」の一部を掲載しています。「研究所情報」の全文は、PDFファイルで提供しています。
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 長崎人権研究所(仮称)へ…6月に設立総会を開催!

 研究所の今後のあり方について、昨年度より様々に議論を重ねてきましたが、「長崎県部落史研究所」の名称を変更し、「長崎人権研究所」を設立するという結論に至りました。また、NPO(特定非営利活動法人)の認証申請を行うことも決定しました。
 6月に開催する総会おいて諮ることになりますが、会員の皆様の賛同が得られれば、当日引き続き「長崎人権研究所」の設立総会を開催させていただきます。
 新研究所は、その目的を「この研究所は、長崎県民に対して、部落問題を始め様々な人権問題の研究並びに人権啓発にかかわる事業を推進し、以て『ぬくもりと心の豊かさが実感できる社会の実現に寄与する』」とし、事業として、@部落問題を始め様々な人権問題の調査・研究を推進するために、歴史部門と人権部門の設置、A人権に係わる研修・啓発事業として、人権講座の開催、フィールドワーク研修の受入、講師派遣等の要望に応えられるための研究所講師団の設置、B図書・パンフレット等の刊行、C行政や諸団体からの委託事業の受託、D人権に係わる研究団体との連携の強化、等その骨格について現在検討しています。また、組織をこれまでと若干変更し、会員を正会員・賛助会員・賛助団体の3種とし、役員として理事・監事を置き運営に当たることになります。設立した段階で、皆様に改めてご協力並びに会員等の募集をお願いする運びとなります。
これまでも長崎県部落史研究所として、意識調査や企業人権講座の開催あるいは、フィールドワーク研修の受け入れ等幅広い展開をしてきましたが、今後は、文字通りますますこれらの分野での活動に重点が置かれるようになります。また、人権教育の分野では、長崎県人権教育研究協議会と連携した研究・調査活動がより必要となります。研究所として何が出来るのかを今後検討することが求められています。さらに2005年度からは、長崎県が「長崎県人権啓発センター(仮称)」を設立することになっており、新研究所はセンターとの連携を視野に入れた事業展開も求められることになります。そのためには、財政・人員・場所等困難な課題も多く残されていますが、今後とも皆様のこれまで以上のご支援・ご協力をお願い致します。

 コラム

 おもしろい命名をしていただいた、「長崎人権学」(4面参照)。人権と長崎学、健康づくりが一緒になって市民講座が開催される。なるほど、人権であるとか、歴史を学ぶにしても、現実に触れたり、現地を歩くことによってしか実感として掴めないものがある。しかし知識を備えることなく、ただ歩いただけでは、これまたもったいない。従ってセットである。しかも、体力づくりが加わる。今、体験云々が全盛である。「長崎いこいの里懇話会」は「自然体験など8ゾーン」とする整備基本計画案を提言、高島町は「体験学習の町」なるパンフを作製、県内の小・中学校に配布するという。地域には魅力がある。そのおもしろさが、人を引きつける。さて、長崎人権学、その結末はいかに。(ァ)

 「平和の希求と人権の尊重」 長崎市が「基本計画」を策定

 本年3月長崎市は、「長崎市人権教育・啓発に関する基本計画」を策定・公表した。「計画」は「同懇話会」の審議を経たもので、2001年長崎市が策定した「人権教育のための国連10年」長崎市行動計画を見直し、今後の人権教育・啓発の基本的な指針及び計画を明らかにしたものである。「計画」は、第1章で策定の背景・意義・方針を述べた後、第2章では、具体的な人権問題として、女性・子ども・高齢者・障害者・同和問題・外国人・感染症患者等・その他を挙げている。基本方針では、市民が「みんなで」「主体的に」「育てる」をキーワードとし、また平和を実現する人権教育・啓発の推進を謳っている。「女性」等具体的な問題については、それぞれ現状と課題が指摘され、具体的施策の方向が示されている。
 さらに第5章では、人権教育・啓発の効果的な推進のために、(1)人材の育成(2)効果的な内容及び手法の検討(3)国、県及び関係団体との連携(4)メディアを活用した情報の提供(5)相談体制の充実、を図るとされている。基本計画であるので、やや具体性に欠くが、今後(1)〜(5)を推進するためにどのような施策を行うのかが肝心である。方針の三つのキーワードを実現するためにも、そのためのプロジェクトを造ることも必要ではないだろうか。推進を見守りたい。
 なお、基本計画の全文は本研究所のホームページに掲載している。また、冊子には、2001年度に市が行った「人権に関する市民意識調査」から関係の調査結果がグラフ化され掲載されている。

お知らせ

 部落解放学習会

  日時:5月27日(木)18時30分〜
  場所:長崎県教育文化会館201号

講師:藤澤秀雄(研究所所長)
テーマ:インドの被差別カースト「ダリット」の現状

 本年度第一回の学習会を開催します。報告は、この3月インドを訪れた藤澤秀雄氏です。スライドでインドの被差別カースト「ダリット」の現状についてお話致します。

 「部落問題と人権を考える」講座・2004(予告)

【諫早会場】
 日時: 7月7日(水)14時〜
 場所: 諫早市文化会館

【長崎会場】
 日時: 7月7日(水)18時30分〜
 場所: 長崎県教育文化会館

講師:鍋島祥郎(大阪市立大学人権問題研究センター)
テーマ:「努力したってムナシイー」そんな学校にしたらイカンよ!ねっ、センセ!

 鍋島氏は、昨年12月三つの著作を同時に出版されました。いずれも、「階層」「学力」問題を論じたもので、私たちにこの問題を驚くほど具体的に問いかけていただいています。ご期待下さい。

 「長崎人権学〜部落問題とキリスト教〜」

平成16年度人権教育講座開催要項
 〜生涯学習の重点学習領域である現在的課題(人権・同和問題)・長崎学(長崎の歴史)・健康づくり(ウオーキング)を統合し、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消にむけて、市民が学習する機会とする。〜

実施日(3回シリーズ講座)30名定員
 @ 5月19日(水)13:30〜15:30
   講 師:阿南重幸(長崎県部落史研究所)
   テーマ:貿易都市長崎と部落・キリシタン

 A 5月26日(水)13:30〜15:30
   講 師:結城了悟(イエズス会司祭・26聖人記念館)
   テーマ:三つの差別の対するキリシタン教会の答

  B 6月 2日(水)13:30から16:30
   講 師:阿南重幸
   フィールドワーク

主催:長崎市教育委員会生涯学習課・中央公民館 

※一般市民・教育関係者・PTA関係者が対象です。(お申し込みは、рW25−1948まで)

 最近の受入図書(●は寄贈)

●『キリシタンと部落の幸いな出会いをみる』(日本カトリック部落問題委員会,03.3)
●『遠江の国民間陰陽師・職能者と陰陽師の世界』(日本カトリック部落問題委員会,03.3)
●『部落史は思ったよりおいしい』(イシタキ人権研究所,04.3)
●『桑山村名主市之丞の日記』(浅科村教育委員会,04.2)
○『近世九州の差別と周縁民衆』(松下志朗,海鳥社,04.4)
○『遠い雲』(松下志朗,海鳥社,04.1)
○『九州のキリシタン墓碑』(荒木英市,出島文庫,02.10)
○『高校生のこころとジェンダー』(鍋島祥郎,解放出版社,03.12)
○『見えざる階層的不平等』(鍋島祥郎,解放出版社,03.12)
○『効果のある学校』(鍋島祥郎,解放出版社,03.12)
○『学力問題へのアプローチ』(原田彰,多賀出版,03.1)

(定期刊行物)

●『東京大学史料編纂所研究紀要』第141号(04.3)
●『関西大学人権問題研究室紀要』第48号(04.1)
●『人権問題研究資料』第18号(近畿大学人権問題研究所,04.3)
●『関西学院大学人権研究』第8号(04.3)
○『解放教育』第434号〜437号((財)解放教育研究所,明治図書)
●『明日を拓く』第54号〜55号(東日本部落解放研究所)
●『部落解放』530号〜533号(解放出版社)
○『ヒューマンライツ』No.191〜193号(部落解放・人権研究所)
●『部落解放研究』第156号〜157号(部落解放・人権研究所) 
○『こぺる』No.131号〜133号(こぺる刊行会,阿吽社)
●『ひょうご部落解放』第112号(ひょうご部落解放・人権研究所)
●『研究紀要』第10号(ひょうご部落解放・人権研究所,04.3)
●『部落解放史ふくおか』第113号(福岡県人権研究所)
○『人権と部落問題』No713〜716(部落問題研究所)
○『部落問題研究』第166号〜167号(部落問題研究所,03.12)
●『部落解放研究くまもと』第476号(熊本県部落解放研究会,04.3)
○『ウインズ・風』第37号〜38号(福岡県人権・同和教育研究協議会)
○『岡山部落解放研究所紀要』第12号(岡山部落解放研究所,04.3)




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