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「研究所情報」第32号 2005年01月31日

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 研究所の事業計画・体制・機関誌を審議
  (第二回理事会報告)


04年11月13日、第二回理事会が開催され、(1)次年度以降の事業計画、(2)諸委員会の設置、(3)その他(細則について)等が審議されました。冒頭、9月4日の第一回理事会以降の経過について、佐世保・長崎両会場でのセミナー「企業と人権」の運営、大阪・福岡等からのフィールドワーク研修、部落解放学習会、史料解読会の実施状況、高校等への講師派遣実績が報告されました。
 事業計画では、〔調査研究部門〕で歴史・人権・報告会の分野、〔研修・啓発部門〕で「部落問題と人権を考える講座」・フィールドワーク研修の受け入れ・講師派遣等が審議され、〔出版物の刊行〕では機関誌・啓発図書の刊行を行うことが決定されました。
 また、諸委員会の設置については、@企画運営委員会 A講師団 B研究員 C機関誌編集委員会を置くこととし、これも了承されました。このうち、Aについては、10数名の方に研究所講師団として活動して頂くことが決定され、現在ご依頼の準備に取りかかっています。Cについては、1月17日第一回編集委員会が行われ、名前も含めた機関誌の刷新を行うこと、次号(3月末発刊)の誌面についてA4判とすること、読みやすい記事にすること、さまざまな人権問題について誌面に反映すること等が議論され、現在発刊に向けて鋭意努力中です。ご意見をいただければ幸いです。

 さて、二面に関連しますが、研究所では長崎県内にあるさまざまな史跡を人権というフィルターを通して歩く、「人権紀行」の準備を進めています。郷土にはこんな遺跡が!という情報をぜひお寄せください。

 コラム
一月二七日、新聞各紙は最高裁判決を一面で一斉に伝えた。東京都の外国籍職員の管理職登用試験拒否を巡って争われていた裁判で、最高裁が二審判決を破棄、都側に逆転勝訴の判決を下した報道である。原告のチョンさんは、「いま、世界中の人に言いたい。日本には来るな、と。外国人が働くのは税金を払うロボットになるのと同じです」と判決後の談話を述べている。一九五三年、内閣法制局は外国人の国家公務員任用に際して、「公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍が必要」とした。地方公務員にはこの規定はなく自治体にゆだねられている。五〇年前のこの見解が判決の根拠である。長崎県は、二七日、知事部局の一般事務職など一七職種に設けている国籍条項を撤廃しないことを明らかにした(新聞報道より)。

□人権に係わる歴史遺跡探訪ー(大村編)

 12月28日、長崎県人教のメンバーはOBでもあり郷土史家の今泉駿六氏のご案内で、大村市内の人権遺跡探訪を行った。訪れた遺跡は八ヶ所、江戸時代初期のキリシタン弾圧に関わる遺跡であるが、「郡崩れ」とよばれ、608名が捕縛、411名が斬罪となった事件を頂点に、当時のキリシタン迫害がいかに峻烈を極めたのかを遺跡の碑文で知ることが出来る。
北部に位置する@田下のキリシタン様式墓碑では、郡崩れ直前の承応2年(1653)に建てられた二基の平庵型キリシタン墓碑があり、発覚を逃れるために仏教の戒名が刻まれ、キリシタン様式の部分は土中に埋められたとされる。キリスト教全盛時代の天正4年(1576)に建てられたA今富のキリシタン墓碑(写真参照) は、「台付千十字架」が刻まれた墓碑であるが、後に戒名が刻まれ、仏式墓碑に改造されている。
 萱瀬ダムの近くには、B仏の谷という史跡がある。マリア像をここに密かに隠したという。
 市中原口にはC首塚跡、桜馬場にはD胴塚跡がある。郡崩れの跡、処刑場のあった放虎原で131人が処刑され、「復活」を恐れて首と胴は分けて埋められたのである。
放虎原の「斬罪所」とされる地には、E日本205福者殉教者顕彰碑が建てられている。これは1617年〜1632年までの殉教者を1867年ローマ法王ピオ9世によって、「福者」とされた人びとを顕彰するもので、100年後の1967年建立されたとされる。付近には、F妻子別れの石という史跡も残されている。
 最後に訪れた場所は、G鈴田牢跡である。日本最初のキリシタン大名となった大村純忠は、領内で布教を推し進め、長崎をイエズス会に寄進するなど数万といわれる信者を生み出した。しかし、江戸幕府が禁教政策を進める中で、領内にいた外国人宣教師や信者たちは次々にとらえられ、この鈴田牢に収容された。元和3年(1617)〜元和8年(1622)までその数は35人にのぼり、スピノラ神父ら24名は長崎の西坂で処刑され、元和の大殉教として知られている。
今泉氏には大村家の菩提寺である本経寺など、他にも案内していただく予定であったが夕刻となり、寒さ厳しく探訪を打ち切った。
 今泉先生そして、県人教のみなさんお疲れ様でした。

次回は、「西彼半島編」を紹介します。

◎ 当面の講演会・研修会のお知らせ(関係団体)◎

● 部落解放学習会<部落問題セミナー> 
   2月10日(木)18時30分〜20時30分 長崎県教育文化会館
   テーマ 「ミュージアムの展示を考える」朝治武(大阪人権博物館)

● 04年度「部落解放にとりくむ長崎宗教教団連帯会議」研修会
2月17日(木) 14時30分〜17時 カトリックセンター 
テーマ 「ハンセン病問題を考える」坂本克明(ひばりヶ丘教会牧師)

● 第14回進路・学力保障研修会
2月22日(火)13時〜16時45分 時津町北部コミュニティーセンター
講演:学校・家庭・地域の協働による教育の総合化
      「『ふたこぶラクダ』現象とはがれ落ちる学力」
講師:中野直毅(福岡県田川市立大浦小学校長)
2分科会

● 第22回長崎市人権教育研究大会 
2月23日(水)13時30分〜17時 長崎市民会館
テーマ 差別の現実に深く学び豊かな人権教育の実践を積み上げよう。
    人権教育を推進する教育集団を確立し、人権文化をつくり出そう。
5分科会(基礎講座・教育内容の創造・自主活動と仲間づくり・進路・学力保障・子育て支援と人権のまちづくり)

● 「史料解読会」のお知らせ
 2月26日(土)13時30分〜16時 銭座集会所
 テーマ  「対馬 朝鮮貿易」関係史料

部落解放学習会<部落問題セミナー>
ミュージアムの展示を考える―崎戸・「井上光晴文学室」の展示に関連して―

 展示はどうあるべきなのか。崎戸町歴史民俗資料館に、昨年10月崎戸町に縁のある作家、井上光晴文学室が開館しました。炭坑・原爆被爆者・朝鮮人・被差別部落・隠れキリシタンなど、さまざまなマイノリティー社会を「差別」をキーワードにしたたかに描くことによって表現した作品は、避けて通れない現実を私たちに訴えてきました。
 ところが、井上文学室には作品中差別的表現のある文章が無造作に一枚のパネルとして展示されていました。
 この度は、大阪人権博物館の朝治武氏をお迎えし「リバティー大阪」でのご経験をお話しいただき、この展示について考えてみたいと思います。

講師:朝治武(大阪人権博物館)
 水平社研究の第一人者で、『水平社の原像』『近代日本と水平社』(解放出版社)など、著書・論文を多数著している。

 最近の受入図書(●は寄贈)
●『十年史』(財 世界人権問題研究センター,04.12)
●『浅科村の史料 第五集 桑山村名主市之丞の日記』(浅科村教育委員会,04.12)
○『小説の書き方』(井上光晴,新潮選書,88.8)
○『狭山事件 石川一雄、四十一年目の真実』 (鎌田慧,草思社,04.6)
○『被差別部落のわが半生』(山下力,平凡社新書,04.11)
○『高札』(大阪人権博物館,98.4)
○『色に出でけり 身分と差別』(大阪人権博物館,98.10)

(定期刊行物)−(一部)
●『部落解放史ふくおか』第116号(福岡県人権研究所,04.12)
●『部落解放研究』第161号(部落解放・人権研究所,04.12)
●『明日を拓く』第57.58号(東日本部落解放研究所,04.12)
●『ひょうご部落解放』第115号(ひょうご部落解放・人権研究所,04.12)
●『部落解放』第542号〜5451号(解放出版社)
○『人権と部落問題』第724〜726号(部落問題研究所)
○『解放教育』第443〜446号(解放教育研究会)
○『ヒューマンライツ』第200〜202号(部落解放人権研究所0)
○『こぺる』第140〜143号(こぺる刊行会)
○『ウィンズ』第40.41号(福岡県人権・同和教育研究協議会,04)
●『しこく部落解放史』第6号(四国部落解放史研究協議会,04.8)
●『部落解放研究くまもと』第48号(熊本県部落解放研究会,04.10)
●『解放研究とっとり』第7号(財 鳥取県部落解放研究所,04.12)
●『大阪人権博物館紀要』第8号(大阪人権博物館,04.12)
●『GLOBE』第39,40号(財 世界人権問題研究センター)
●『KG人権ブックレット』第8号(関西学院大学人権教育研究室)
●『共生社会研究』創刊準備号(大阪市立大学,04)
●『人権ブックレット』第5号(社 和歌山人権研究所,04.11)



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