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「研究所情報」第36号 2006年1月31日

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機能的な運営を図るために
本年度第二回理事会が開催される

 12月23日、銭座集会所にて第二回理事会が開催されました。NPO法人としての運営が行われて、一年が経過しましたので上半期の活動及び会計状況について、その内容を吟味するためです。事業報告では、主なものとして【調査研究部門】で第24回九州地区部落解放史研究集会の開催と〔人権部門〕で「人権に関する県民意識調査」の実施状況が報告されました。前者は、島原で開催され、役130名の参加があり、「身分と身形」というテーマに即して九州各県から報告がありました。後者は、現在、「概要版」が作成されましたが、鋭意進行中です。2月には報告書が完成の予定です。さらに、【研修・啓発部門】では、研修会への講師派遣(17回)、フィールドワーク研修(26回)など(4面参照)、他団体からの研修受け入れ状況が報告されました。また、セミナー「企業と人権」が長崎・諫早で開催され、延べ100人ほどの企業からの参加がありました。他に、「もやい」の発行、「史料解読会」の開催、HPの運営等です。
 これら多くの活動を進めるためには、機能的な運営を図ることが求められます。研究所には現在、企画運営委員会・「もやい」編集委員会という二つの委員会が設置されています。少ない人員でともすれば、一部のメンバーだけに負担が重なってしまいます。両委員会の充実が急務です。会計報告では、事業の拡大とともに増える支出について、どう対応していくのか、現在は当初予算が年々減少しています。会員の拡大、事業収入の増加等自立化を目指していく工夫が求められています。
 以上、事業報告・収支計算について議論のあと、次年度の活動計画について提案がありました。06年8月4日〜5日には、第12回全国部落史研究交流会が長崎市で開催されることになりました。九州で3度目の開催です。また、セミナー「企業と人権」の開催も予定されています。今年度以上に活動が広がることは目に見えています。上記懸案の事項を解決し、次年度に向けた体制をさらに強化していく必要があります。
 コラム
 部落史に関わる授業実践が、多く出されるようになった。県人権教育研究協議会では、2月7日諫早文化会館において、部落問題学習・人権総合学習実践交流会を行う。今年は、県内各地から十一人の先生方が実践報告をする。この交流会は学校で「部落問題学習」をいかに積み上げていくのか、さらに、時折、学校現場で起きている「賤称語発言」をどのような授業実践で克服しようとするのか、から始まっている。しかし、問題はその内実にあるようだ。人権教育に四つの側面があると云われる。「ための」「としての」「つうじての」「ついての」である。今私たちに問われているのは、このうちの「ための」である。つまり、「部落差別をなくすため」に、である。教材づくりは、ここを出発点にしていきたい。(あ)

じんけん集会について
銭座小学校 同和教育推進教員 馬場 務

 銭座小学校では,あらゆる教育活動を通して人権教育を行い,戦争や差別について深く学ぶとともに,なかまとしっかりとつながっていく子どもたちを育てていきたいと願っている。その取り組みのひとつとして,12月の人権集会がある。今年度学んだ人権学習を報告しあう場である。互いの学習をたたえあう温かい雰囲気と心からの拍手の中,6年生は,本校6カ年の人権教育の集大成として,部落差別について学んだことを中心に報告した。修学旅行に向けての部落問題学習や体験的参加型学習,修学旅行先での被差別体験聞き取り学習から学んだ多くのことを,劇「渋染一 揆」の中に注ぎ込んだ。子どもたちの心の中に芽生えた「差別は許せない」という思いは,強いメッセージとなって,人権集会の中で発信されていった。
 子どもたち一人ひとりの自信に満ちた顔。真剣なまなざし。互いの学習をたたえあう温かい言葉と心からの拍手。人権集会をふりかえってみた。
※写真4枚は省略しています。
(12月の人権週間では、県内各地の学校でさまざまな取り組みが行われています。ここでは、長崎市立銭座小学校の「人権集会」の様子を掲載させて頂きました。)

【秋のフィールドワークを振り返って】
 昨秋は、とみにフィールドワーク研修の依頼が多かった。10月の4回は兎も角、11月に至っては8回、実に週二回の日程である。参加人数は300人余り、県内は長崎市の公民館講座が1件のみで、他は県外からの依頼である。福岡県では、公民館講座の一環として、大阪・東京からは企業の方々の研修で、大分からは社会教育の一コマで、島根からも二グループおいでいただいた。他にも、宗教団体や授業の一環で学生の参加もあった。 こうして、広がりを持つフィールドワークだが、課題も見えている。一つは、中には、事前研修でみっちり学習を重ね参加して頂く事もあるが、多くは当日限りの研修に終わる事が多い。そうすると、私たちが伝えようとしていることが、果たして正確に伝わっているのか甚だ心許ない。従って、まずは学習を確かめる為のワークシートが必要となってくる。今ひとつは、簡単でも良いが、テキストブックが用意されるべきだろう。二つめには、案内人の不足である。昨年も「フィールドワーク指導員養成講座」を開催したが、なかなか担当する人員が見込めない。これをいかにクリアーするかである。今後関係者と相談していきたい。
 また、フィールドワークは県内各地の「じんけん歴史散歩」として、企画が組まれるようになった。今できようとしているのが、「島原半島編」と「西彼杵半島編」である。島原は多くのキリシタン史跡や「からゆきさん」にまつわる史跡がある。部落問題もミックスできる。西彼杵も、キリシタン史跡や炭鉱、崎戸の井上光晴文学室では小説「地の群れ」を通して被爆者問題や部落問題に触れることができる。これらも、次年度は当方で企画・募集できる形にしていきたい。
 さまざまな、思いはあるが、実現できるよう努力を祈念。

インフォメーション

・第9回部落問題学習・第5回人権総合学習実践交流会
 〔テーマ)「『人権の町づくり』につながる豊かな人権教育の実践を交流し合おう」
 日時:06年2月7日(火) 場所:諫早文化会館
 (共催)長崎県人権教育研究協議会・長崎県教育委員会・長崎県
・第23回長崎市人権教育研究大会
 日時:06年2月22日(水) 場所:長崎県教育文化会館
 (主催)長崎市人権教育研究会
・第7回西海市・西彼杵郡人権教育研究大会
 日時:06年2月8日(水) 場所:時津町北部コミュニティーセンター
 (主催)同大会実行委員会
・解放文化祭
 日時:06年2月18日(土) 場所:長崎県教育文化会館
 (主催)部落解放同盟長崎県連
・05年第5回部落解放学習会
 日時:06年2月9日(木) 場所:銭座第2集会所

 最近の受入図書(●は寄贈)
○『高木仙右衛門 覚書の研究』(高木慶子,中央出版社,93.12)
○『明治期長崎のキリスト教』(坂井信生,長崎新聞新書,05.12)
○『長崎游学2』(長崎文献社,05.9)
○『長崎歴史文化観光検定公式テキストブック』 ((財)ながさき地域政策研究所,長崎商工会 議所,06.1)
○『長崎大万華鏡』(長崎歴史文化博物館,05.11)
○『アビラ・ヒロン日本王国記 ルイス・フロイス日欧文化比較』(佐久間正他,岩波書店,65.9)
●『乙女峠とキリシタン』(沖本常吉,津和野町教育委員会,71.7)
○『リバティおおさか ワークシート』(大阪人権博物館,05.12)
●『人権歴史マップ 神戸編』(社 ひょうご部落解放・人権研究所,05.9)
●『部落問題に向けあった100人』(大阪人権博物館,05.12)
●『大阪の子どもたち』(大阪府人権教育研究協議会,05.11)
●『半世紀の思いを次へ』(大阪府人権教育研究協議会,04.3)

(定期刊行物)−(一部)
●『部落解放史ふくおか』第119号(福岡県人権研究所,05.9)
●『明日を拓く』第62・63号(東日本部落解放研究所,05.12)
●『部落解放研究』第167号(部落解放人権研究所,05.12)
●『部落解放』第558号〜561号(解放出版社,05.12〜06.2)
○『人権と部落問題』第739号(部落問題研究所,05.12)
○『解放教育』第457・458号(解放教育研究会,05/12.06/1)
○『ヒューマンライツ』第213・214号(部落解放人権研究所,05/12.06/1)
○『こぺる』第153〜155号(こぺる刊行会,05/12.06/2)
●『グローブ』第44号(世界人権問題研究センター,06.冬)
●『東京大学史料編纂所報』第40号(東京大学史料編纂所,05.10)
●『部落解放研究くまもと』第50号(熊本県部落解放研究会,05.10)
○『Winds』第44・45号(福岡県人権・同和教育研究協議会,05/12.06/1)




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