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「研究所情報」第39号 2006年10月31日

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セミナー「企業と人権」
大村/佐世保/長崎で

 今年のセミナー「企業と人権」は、大村で前・後期の二コマ、佐世保・長崎ではそれぞれ一コマの三会場で4回行われる。
 大村前期・佐世保では、すでに9月27日・28日大村市民会館とアルカス佐世保「スピカ」で行われた。講師は、昨年長崎にお招きした奥田均氏(近畿大学)と福岡で企業啓発にとりくむ原田憲正氏(株 山九)。奥田氏は、「差別の現実と市民の人権」と題して、被差別の現実に終わることなく、「加差別の現実」を直視する必要を説いた。学生へのレポートで、部落とは関わりないところで語られる差別や偏見こそが部落問題であり、それが「加差別の現実」であること。原田氏は、「企業と人権 過去〜現在〜未来」と題して、自社や自らの差別体験を語ることを通して、企業の社会的責任(CSR)の重要性と人権推進員としての立場から、「人権感覚を身につけた人材」を育てるための継続した教育の必要性を説いた。
 両会場とも20社余りの企業に参加して戴き、昨年度3月に発足した長崎県人権啓発推進企業連絡会への加入呼びかけも行われた。
 10月は、長崎会場(19日・セントヒル長崎)と大村会場後期日程(20日・市民会館)が開催される。講師は、長崎が冨岡勇二氏(東京人権啓発企業連絡会・理事長)とジャーナリスト稲積謙次郎氏(元西日本新聞常務取締役)の両氏。冨岡氏は日立製作所労政人事部に所属し、おもに東京での活動を、稲積氏は、企業のCSR(社会的責任)について、お話しされる予定である。稲積氏は近著に「ヒューマンライツは複数形−ジャーナリストの直眼斜眼」(西日本新聞社)がある。また、大村会場では研究所の石村榮一氏をコーディネーターに「企業内研修の進め方」も行われる。

 コラム
 さあ、思い切り夏が始まる!とは、前号一面の見出しである。文字通り今夏は集会開催や報告、Fw等の研修受入が連続した。また、とても暑い夏でもあった。筆者の住居はアパート最上階の五階、しかも西向きで夜も稲佐山に日が沈むまで屋内を灼熱の陽ざしが差し込んだ。以前はそうでもなかったのに、と思いつつ寄る年波か、とてもまいってしまった。ここのところ、屋内研修の比率がグッと減って、長崎の夏をご存じないのか、歩き歩きのフィールドワークへの要請が多い(この夏約400名)。案内する方も、命がけ!なら、参加者も大丈夫だろうかとつい心配になる。よほど学習に熱が入っているのか、これまでの所、熱中症になったり、具合が悪くなったとの報告はない。水分補給はほどほどに、 帽子をかぶる。無理をしない。途中で脱落してもよい。これを原則とした。それにしても、内も外も何と暑かったことか。(あ)

■ 第12回全国部落史研究交流会 ■
分科会Tー前近代史「近世被差別民と宗教」
分科会Uー近現代史「1920年代融和運動の諸相」
全体会ー江戸時代の医学と「癩」 鈴木則子(奈良女子大学)

 8月4日(金)5日(土)両日、長崎大学文教キャンパスにおいて全国部落史研究交流会が160名の参加のもと開催された。初日は、秋定嘉和交流会代表の開会挨拶の後、地元歓迎挨拶を当研究所の藤澤秀雄理事長が行い、二つの分科会に別れた。
 「前近代」分科会では「近世被差別民と宗教」をテーマに、@近世初期かわや(かわた)集団のキリスト教受容について(阿南重幸)A真宗と被差別部落ー研究史の整理(山本尚友)の報告、「近現代」は「1920年代融和運動の諸相」をテーマに、B全国融和聯盟と中央融和事業協会の再編」(本郷浩二)C「初期水平社運動からみた改善・融和運動(守安敏司)が報告を行った。@では、江戸時代の初頭キリスト教の布教が「かわた(長吏)」集団にもたらされた全国各地の事例を挙げ、(1)キリシタンと被差別民との出会い(1549-1614)、(2)キリシタン禁制直後(18-22)、(3)キリシタン禁制期の諸相(〜1687)、(4)「類族令」以降の諸相(1687以降)に時期区分し、キリシタンと被差別民の関わりについての実相を明らかにした。Aでは「研究史の整理」とされるように、戦後研究の流れを(1)初期(2)70年代中期(3)80年代(4)90年代に区分し、研究の「軸」を(1)穢多頭寺制(2)近世権力の宗教政策と穢寺制度(3)穢寺概念とその実態(4)本願寺の差別的制度と論理、とし、50程の論文が紹介された。また、西日本を中心に14府県の研究が示された。
「近現代」分科会では、Bで「融和運動の一方の中心である全国融和聯盟を軸に、当該期の部落問題をめぐる議論の内実を問い直し、従来の対立図式を再検討する」との目的で、国策実現に向けた中央融和事業協議会の再編と小括した。Cでは、「水平社創立宣言」を、部落民の団結と集団運動の提起・過去の差別実態と融和運動の総括と決別・人間礼讃を宣言と整理し、創立宣言(改善・融和運動批判)と現実運動(改善・融和運動の許容)の差異を内包した運動であったと分析された。
 二日目は、奈良女子大学の鈴木則子氏が「江戸時代の医学と『癩』」をテーマに全体講演を行った。「癩」に関する江戸時代までの中国医学・西洋医学の流れを追い、「癩」病観について@家筋説A食毒説B風土説を挙げ、近現代にまで続く「癩」に対する差別観に迫った。
 いずれも詳細は、報告集として『リベラシオン』(福岡県人権研究所)が刊行されるので参照されたい(07・3)。

○研究交流会開催のお礼○
 先に開催されました、第12回全国部落史研究交流会は、長崎大学を会場に全国から160名の参加があり、県内からも100名近い参加を頂き、報告・講演とも無事終了することができました。開催に当たり、ご後援頂いた長崎県・同教育委員会、長崎市・同教育委員会並びに長崎県人権教育研究協議会の皆様、また当日運営のためにご協力頂いた長崎市人権教育研究会、部落解放同盟長崎県連の皆様にこの紙面にてお礼申し上げます。ありがとうございました。

「近世被差別部落の経済ー皮革業を中心に」
−第25回九州地区部落解放史研究集会−

 8月19日(土)20日(日)、大分市において研究集会が開催されました。テーマは「部落の経済」、これまであまり焦点が当てられなかった分野です。きっかけは、江戸時代九州全域に及ぶ大坂渡辺村皮商人との牛皮取引の実態があったからです。今回新たに、宮崎延岡藩において、明治2年牛馬皮の取引が渡辺村商人太鼓屋との間にあったことが報告されました。佐賀からは唐津藩の皮座設置について、抜け売りを防ぐため細工用に用いる皮以外は皮座で買い入れること、大分からは豊後大野市のフィールドワークについて、熊本からは、雪駄の生産や皮革の流通をめぐって詳細な報告が行われました。福岡は、「松原皮会所文書」の分析から大坂商人との取引実態、年間牛馬数の7%を死牛馬とする見積もりなどが示され、興味深い報告でした。長崎からは基調報告のなかで、輸入皮革と「かわた」商人との関わりが示されました。以上いずれも意義深い報告で、今後に更なる研究の深化が求められます。なお、詳細は、『部落解放研究くまもと』(報告集/07年3月)を参照して下さい。

10月からの主な行事日程

10月
5日 佐賀県人権同和教育研究協議会 Fw Bコース
6日 長崎市教育委員会公民館講座 Fw Bコース
8日 九州ブロック青年団協議会 Fw Aコース
13日 大阪同和人権企業連絡会 Fw Bコース
14日 江平・坂本・銭座三校合同人権集会 Fw
20日 北九州同和人権教育研究会 Fw Bコース

11月
6日 西海北小校内研修
10日 碓井同和教育研究会 Fw Aコース
13日 佐賀市教育委員会 Fw Bコース
20日 真宗本願寺派 Fw Aコース

12月
4日 北松農業高校校内研修
8日 佐賀市社会人権・同和教育 推進協議会 Fw Aコース
10日 長崎人権フェスティバル Fw

 最近の受入図書(●は寄贈)
●『近代日本の水平運動と融和運動』(秋定嘉和,解放出版社,06.9)
○『「旅」の話』(カトリック浦上教会,05.3)
●『人権問題に関する三重県民意識調査報告書』(三重県,06.3)
●『長崎県人権教育・啓発基本計画』(長崎県)
●『長崎が出会った近代中国』(横山宏章,海鳥社,06.8)

(定期刊行物)−(一部)
●『部落解放研究』第171号〜172号(部落解放・人権研究所)
●『部落解放』第568号〜572号(解放出版社)
○『人権と部落問題』第747号〜749号(部落問題研究所)
○『解放教育』第464号〜466号(解放教育研究会)
○『ヒューマンライツ』第220〜223号(部落解放・人権研究所)
○『こぺる』NO161〜163号(こぺる刊行会)
●『部落問題研究』第176号(部落問題研究所)
●『リベラシオン』第122号(福岡県人権研究所)
●『ひょうご部落解放』第121号(ひょうご部落解放・人権研究所)
●『ウィンズ・風』第47号(福岡県人権・同和教育研究協議会)
●『明日を拓く』第65号(東日本部落解放研究所)
●『反差別人権研究みえ』第5号(反差別人権研究みえ)
●『RILIANG』第16号(反差別国際連帯解放研究所しが)
●『研究紀要』第11号(世界人権問題研究センター)
●『GLOBE』46号(世界人権問題研究センター)
●『五郎兵衛新田古文書目録』第8集(佐久市教育委員会)
●『水と村の歴史』第21号(信州農村開発史研究所)
●『人権問題研究』第6号(大阪市立大学人権問題研究センター)

ながさき人権 フェスティバルのご案内

【日 時】 12月10日(日)
【場 所】 NBCソシア(長崎市上町1-35)

【主 催】 長崎県人権啓発活動ネットワーク協議会・長崎県・長崎市・長崎地方法務局・長崎県人権擁護委員連合会・他
【後 援】 長崎新聞社・他マスコミ各社 ・長崎県社会福祉協議会・長崎県人権教育研究協議会・他 

「育てよう 一人一人の人権意識 じんけんは21世紀のキーワード」をテーマに、楽しく、わかりやすく、子どもも大人も一緒になって、「人権」について考えることを目的に。

☆プログラム
■メイン会場
13:00 オープニングセレモニー
13:30 講演会
 米倉斉加年(俳優・演出家・絵本作家)
 テーマ「生きることと人権〜私のメルヘン」
■サブ会場
標語コンクール応募作品展
パネル展
ワークショップ
ミニコンサート
キャラクターショー


問い合わせ先:長崎県県民生活部人権・同和対策課【095(826)2585】




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