07年度総会・講演会の開催
期日:5月26日(土) 場所:長崎県人権教育啓発センター
5月26日(土)午後から人権研究所第4回の総会を開催致します。また、総会終了後には、機関誌「もやい」の巻頭提言者である上薗恒太郎先生に、提言で述べられた趣旨をもとに講演をしていただきます。
総会の対象者は正会員(現在40名程)ですが、賛助会員の皆様もオブザーバーとしてご参加いただけます。昨年は、全国部落史研究交流会等行事が立て込んでいましたが、本年は、自主的企画を中心に研究所全体で取り組んでいく体制を作っていきたいと考えています。どうぞご参加いただきますようお願い致します。
なお、総会終了後の講演会は、上薗先生に「長崎県の教育の課題は、子どもたちの自尊感情を育てることにある」という提言を、県内数千人の子どもたちを対象にしたアンケート結果をもとに、お話しいただきます。
私たちが取り組んでいる人権教育では、セルフエスティーム(自尊感情)という言葉がよく使われこれをそだてるワークショップに取り組んでいる先生方も沢山いらっしゃると思いますが、 まさしく、その中身を豊富化する絶好の機会かと思います。
ぜひご参加いただき、一緒に考えていきましょう。
講演会 テーマ:自尊感情を育成する教育を!
講 師:上薗恒太郎(長崎大学教授)
日 時:5月26日午後3時〜5時
場 所:長崎県人権教育啓発センター
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■ コラム
4月18日から二日間鹿児島の「隠れ念仏」にふれる旅にご一緒させていただいた。真宗大谷派長崎教務所の一行である。隠れ念仏とは、江戸時代薩摩藩で、キリスト教と同様一向宗(真宗)を禁じ、領内の門徒衆は密かに念仏を守ったことから、昭和30年代に名づけられた言葉である。ちなみに長崎県では五島藩も一向宗を禁じていた。筆者が関心を持ったのは、もう20年ほど前、京都におられた谷口修太郎氏が鹿児島の隠れ念仏を調査され、「萬次郎」といういわゆる近世部落の住人が「番役」という秘密組織の世話役を務め地域の人々から崇拝されていたことを明らかにされていたからだ。この日ご案内していただいた寺本是精氏は当時から深い関わりを持たれ、萬次郎顕彰碑の建立等のお話しを、また花尾や知覧の隠れ念仏洞をご案内していただいた。知覧では、大坂渡辺村から、骨粉が運ばれ、薩摩を豊かな大地にしたことも知られている。いずれご報告したい。(あ)
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◆長崎開港の歴史を海路でたどる旅
〈時津港→鷹島→横瀬浦→平戸〉
西海橋をくぐり、平戸へ 昨晩の雨がウソのように五月晴れとなった5月13日。大村湾を縦断して平戸をめぐる「長崎開港の歴史を海路でたどる―西彼横瀬浦・平戸をたずねて―」に参加した。
時津港を出航して途中、二人の宣教師らが処刑された鷹島を見る。彼らは長崎において、差別された人々への布教を行った人たちだ。大村湾の景色を楽しむこと1時間、最初の寄港先である横瀬浦へ。ここ横瀬浦は、長崎開港前の港として、焼き討ちに遭うまでの1年、港町として栄えた。長崎の名所で知られる「思案橋」「丸山」の起源がここにある。往時には、1,000戸の家が建ち並んだという。博多、豊後、山口、都、平戸から、貿易のために集住した人々だ。港の入り口の八の子島に再建された十字架が当時を偲ばせる。私たちは、この町で約一時間の散歩を楽しんだ。
港から程近い昼食場所の「船番所」は、休日の家族連れで行列が出来るほどの大賑わい。なるほど、横瀬浦の新鮮な魚と豊富な品数、しかも美味い。参加者全員が満足した顔で船に戻ってきた。
平戸にむかう途中、黒島をはじめとする様々な島を眺めることができる。なんといっても絶景だったのは、西海橋だ。渦潮を横に見ながら橋を見上げる体験は、なかなか出来るものではない。ほとんどの人がデッキにあがり、写真を撮ったり、手を振ったりと船上観光を楽しんだ。
平戸では、平戸歴史資料館、松浦資料博物館、ザビエル記念聖堂を見学。混血児が故に国外追放となったじゃがたら娘の文や、寺院と教会が同時に見える珍しい風景など、オランダ商館があった平戸ならではの歴史に触れることが出来た。出航までの時間をお土産を求めたり、足湯に浸かって疲れを癒したりと、それぞれの時間を楽しんだ。
時津出航からは、船と徒歩だけのこのツアー。車社会になれた現代人にとって、日常生活とは違う新鮮なものがあった。万歩計は13500歩を指した。
(宮崎懐良 記)
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部落解放全九州研究集会(第4分科会ー部落史研究の現状と課題)
「小中学校の社会科における部落史学習の指導案作成について」
報告者 松尾敦則(諫早市立諫早中学校)
5月8日から10日の三日間に渡って、第27回部落解放全九州研究集会が福岡市の福岡国際センターで開催された。初日全体講演は、石坂啓さんで漫画家と断った上で、天皇制や、憲法の改悪等々絶妙な切り口で会場を沸かせた。二日目は、8つの分科会に別れ、今日の部落問題をめぐる様々な議論が展開された。
このうち、第4分科会では、「部落史研究の現状と課題」と題して、@近世、差別された人々の暮らしと文化ー被差別民と医学についてー(中村久子・佐賀部落解放研究所)、A豊前国田川郡における幕末明治期の被差別民の動向(白石文紀・直方養護学校教諭)、B小中学校の社会科における部落史学習の指導案作成について(松尾敦則・長崎県人教)の3本の報告があった。
中村氏は、近代医学の基礎となった江戸時代後半の「腑分け」について、被差別民の果たした役割を、多くの資料に基づいて報告した。白石氏は幕末、福岡の田川郡にある被差別部落の人口動態や田地の所有、神社への寄贈物の記録等を紹介し、それまで描いていた部落像がくつがえされたことを報告した。松尾氏は昨年一年間、長崎県人教と人権研究所による共同作業としての教材作成と教材(案)について、@小学校6年社会科学習指導案「長崎の町で差別の中たくましく生きた人々」A中学校社会科1年学習指導案「単元名 第四節行きづまる幕府政治と欧米の接近」(対馬藩の部落の成立)B中学校社会科2年指導案「単元名 明治維新と自由民権運動」「単元名
大正デモクラシー」の4つの指導案を提示し紹介した。残念ながら、議論は少なかったが、これからの部落史学習をいかに進めるのかという点で、貴重な報告であった。この授業案は、今年一年県内各地で活用されることになっている。
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◆ 短 信
▼ 本号は、予定より一ヶ月遅れの発行となった。考えてみれば、4月下旬発行では、あまり記事にする出来事がない。当たり前のことだが、まだ総会も行われていない、行事日程も定かではない、新年度であわただしい、ということで、今年度から、「研究所情報」の発行は一ヶ月遅れの5月・8月・11月・2月としたい。
▼ 「新厚い壁」製作上映運動が熊本を皮切りに始まろうとしている。上映協力券をご購入いただいた方に感謝いたします。長崎県では、9月か10月ごろからということですが、団体等で自主的に上映会をしていただく場合はこの限りではありません。県内各地でぜひ上映会を開催して下さい。なお、その節は映画センターにご相談下さい(п@095−824−2974)。
▼ 今年度の活動基軸のひとつに、県内各地での人権に係わるフィールドワークを挙げておきたい。すでに、5月中旬、船をチャーターして長崎開港の歴史をたどる旅を行った。30名の参加者を得て、初めての試みとしては成功だった。これまでは、フィールドワークの受入が主であったが、これからは積極的に招致に努めることにしたい。
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■ 最近の受入図書(●は寄贈) ○『無名の人 石井筆子』(一番ヶ瀬康子,ドメス出版,04.3)
○『大村の歴史』(大村市教育委員会,03.3)
○『隠れ念仏と隠し念仏』(五木寛之,講談社,05.10)
○『沈黙』(遠藤周作,新潮文庫,06.8)
○『女の一生 二部・サチコの場合』(遠藤周作,06.7)
●『にんげん・羽音豊』(福岡県人権研究所,07.4)
○『差別原論』(好井裕明,平凡社新書,07.4)
○『長崎街道 大村路』(長崎街道シンポジューム等実行委員会,99.3)
●『求められる人権救済法制の論点』(内田博文,解放出版社,06.12)
●『まち ひと くらし 2』(大阪府人権教育協議会,07.3)
●『大阪の子どもたち』(大阪府人権教育協議会,07.3)
●『今、何をなすべきか』(田川地区人権センター,福岡県人権研究所,07.3)
(定期刊行物)−(一部)
●『部落解放研究』第175号(社 部落解放・人権研究所)
●『ひょうご部落解放』第124号(社 ひょうご部落解放・人権研究所)
●『部落解放』第578号〜582号(解放出版社)
●『解放教育』第472号(解放教育研究会)
○『ヒューマンライツ』第227〜230号(社 部落解放・人権研究所)
○『こぺる』NO168〜169号(こぺる刊行会)
○『ウィンズ』第50号(福岡県人権・同和教育研究協議会)
●『リベラシオン』第125号(社 福岡県人権研究所)
●『部落問題研究』第178〜179号(社 部落問題研究所)
●『部落解放研究くまもと』第53号(熊本県部落解放研究会)
●『明日を拓く』第67号(東日本部落解放研究所)
●『人権問題研究所紀要』第21号(近畿大学人権問題研究所)
●『GLOBE』第49号(財 世界人権問題研究センター)
●『解放研究とっとり』第9号(鳥取県部落解放研究所)
●『滋賀の部落』402〜404号(財 滋賀県同和問題研究所)
●『信州農村開発史研究所報』第96・97号(信州農村開発史研究所)
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らい予防法廃止10周年記念・ハンセン病国賠訴訟5周年記念映画
「新 あつい壁」
若きルポライターが追った
55年前の事件
真実を曲げたのは 差別と偏見のあつい壁
あなたの心に響く 熱いメッセージ
家族を引き離したのは 誰ですか?
無実の叫びを消したのは なぜですか?
(制作・上映実行委員会チラシより)
映画が完成しました。地域で自主上映もできます。
◆お問い合わせ◆長崎県映画センター рO95(824)2974
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