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「研究所情報」第47号 2008年11月30日

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「もやい」57・58号を合併号に
2000年度以降の研究成果を一冊に

 機関誌「もやい」の次号・次々号を合併号として発刊する計画が、検討されている。すでに研究所では、1992年に『論集長崎の部落史』、98年に『論集長崎の部落史と部落問題』を機関誌等に掲載された論文を集約して発行しているが、以降は、経費の関係上この種の発刊を見合わせていた。しかしながら、98年以降の研究成果は、昨今の「部落史の見直し」やフィールドワーク事業の展開上、どうしても必要とされている。必要なときに、過去の雑誌をいくつか紐解くのでは間に合わない、あるいはコピーに頼るしか方法がないのである。これ一冊で、という手軽さからも発刊が望まれるのである。 しかし、機関誌の他に「論集」を出版するには、相当な経費が伴う。従って、機関誌の出版費用をこれに充てようというのである。
 2000年以降、長崎の部落史研究は、新たな段階に入っている。長崎の特質として、囁かれていた、長崎貿易と被差別民の関係や江戸時代初頭のキリスト教と被差別民等が、それまでの研究を受ける形で新たに文章化されている。しかし、分量等の関係で、いずれも他誌への掲載とされた。また、対馬の部落史や近代以降の展開についても、必ずしも県内に還元されているとは言い難い。
 これでは、埋もれたままになる可能性があり、県内の部落史研究を成果とする初期の目的を逸脱することになる。
 そこで、機関誌の合併号として、新たな「論集」を発刊することが検討されているのである。
 来年早々には結論を出すべく、準備が進められている。

 コラム
 人員削減、解雇の字が躍っている。アメリカ発とされる世界的な不況は、日本では、大手自動車会社の数万人ともいわれる人員整理から電気産業へと移り、留まることを知らない。対象は、派遣労働者のみならず、正規雇用者、果ては新卒内定者にまで広がっている。「構造改革」の名の下に高齢者や障害者の負担を拡大し、派遣労働を常態化し、ネットカフェ難民なる層まで生みだした今この時に、政治の空白が続いている。麻生内閣に支持率は、さらに下落し、年末を控え焦燥が漂うばかりである。今月20日の元厚生事務次官宅襲撃事件は、当初テロと報道されたが、驚くことに三日後犯人を名乗り自首してきた男は、30数年前ペットを殺されたことが動機だと話した。「殺す」ために今まで生きてきたと、なんとも信じがたい事件である。秋葉原事件に通じそうなこの事件は今後解明されることがあるのであろうか?(あ)

◆08年 セミナー〈企業と人権〉
◇人権啓発推進指導者養成講座が開催される
 今年のセミナー「企業と人権」は、佐世保、長崎に加えて初めて島原でも開催された。
 佐世保は9月30日(火)アルカスSASEBOで、長崎は10月1日(水)セントヒル長崎を会場に、大阪市企業人権推進協議会の小林繁氏から「企業活動の色々な場面に『人権の視点』がある」と題して、また、本研究所の石村榮一氏は「パワーハラスメントと人権」をテーマにビデオフォーラムを行った。また、長崎県人教の傳均氏には、「採用に当たって企業は?」と題して長崎県の具体例を挙げながら、就職差別撤廃の取り組みをお話しいただいた。
 11月12日(水)は、島原文化会館で近畿大学の奥田均氏に「結婚差別問題を考える」をテーマに、また、さきの石村榮一氏、傳均氏にもお話しいただいた。翌日長崎会場では、奥田均氏と馬場周一郎氏(元西日本新聞記者)に「人権は企業の窓〜私の取材体験を通して」とのテーマで講演していただいた。
 小林氏は、同和問題企業連絡会担当者として活動した経験から企業活動と人権意識の重要性を訴え、奥田氏は、1965年の同対審答申で「最後の越えがたい壁」とされた結婚差別の問題が、福岡県や鳥取県の2005年調査を元に「崩れ始めている」と指摘し「取り組めば差別は解消していく」とした。ただそれは「無傷では進んでいない」ことも明らかにし、見合い結婚から恋愛結婚へと形態が移行する中で、いままで封じ込められていた差別意識が顕在化し、「増加する通婚率」と「増加傾向にある被差別体験」との葛藤が決して矛盾するものではないとした。馬場氏は、「聞かない」否定型から「聞こう」建設型への移行を訴え、「何を聞きたいのか」を今一度問い直したいとした。また、自殺に至るふたりの会社員の経緯を紹介し、生き心地の良い社会と働き安い職場づくりを訴えた。
 石村氏のビデオフォーラムは、参加者の企業にも同じような事例があり、人ごとではなかったようで、ビデオ貸し出しの問い合わせもあった。
 このセミナーは2003年から行われており、本年で6回を数える。ますますの充実が期待される。

●パワー・ハラスメントと人権
ー見直そう、職場と家庭の人間関係− 人権啓発ビデオ

企業研修や市民啓発に最適です。

「どうしてパワハラ対策を企業が とらないといけないの?」
「パワハラが起こらない職場って どんな職場?」
「家庭でもパワハラみたいなこと ない?」

 こんな疑問をビデオで考えてみませんか!

(あらすじ)
自分の態度・公道(精神的暴力)が部下や家族に与える影響について、少しずつ考えていきます。斎藤は、安西や晃子、真理とどのように向き合っていくのでしょうか?

◆vH S /カラー/43分
(字幕入り)
◆「学習の手引き」
ワークシート 付き
◆価格 35,000円
(株)解放出版社

◇映画「新・あつい壁」上映会

▼ 映画「新・あつい壁」が、中山節夫監督を迎え、諫早で上映されます。

期日:12月12日(金)@ 14:00〜  A 18:30〜
場所:諫早文化会館中ホール
料金:一般     前売1200円(当日1500円)
大学・シニア 前売1000円(当日1200円)
小:中・高   当日のみ800円

主催:映画センター全国連絡会 共催:映画「新あつい壁」上映を成功させる会
連絡先:長崎県映画センター(095−824−2974)

製作協力券で入場できます。

劇映画「新・あつい壁」は、ハンセン病患者であることを理由に法の前の平等を踏みにじられた50年以上も前の事件を通して、それを許した当時の社会の意識が今日どのように変わったのか、そして何が変わらないのかを描きました。
(監督・中山節夫)−上映チラシより−

ながさき人権フェスティバル

12月13日(土) 10:00〜16:30
入場無料
シーハットおおむら


〔講演会〕13時30分から
「いま、人権から・・・  ひとりひとりが『主役』の社会を」
  講師:落合恵子(作家 東京家政大学人間文化研究所特任教授)
(要)整理券

○ デートDV防止公開授業
  NPO法人DV防止ながさき
○ CPS実践子育て講座 
  NPO法人子どもの人権アクション長崎
○ ふれあいショップ
  街かどのふれあいバザール運営委員会
○ おおむら人権さるく
  NPO法人長崎人権研究所

主催:長崎県人権啓発活動ネットワーク協議会他
お問い合わせ先:長崎県人権・同和対策課 рO95(826)2585

 最近の受入図書(●は寄贈)
○『対論 部落問題』(組坂繁之・高山文彦,平凡社新書,08.9)
○『いじめの連鎖を断つ』(砂川真澄編,株冨山房インターナショナル,08.11)
○『長崎奉行所関係史料』(長崎歴史博物館,07.3)

(定期刊行物)−(一部)
●『部落解放研究』第183号(社 部落解放・人権研究所)
●『ひょうご部落解放』第130号(社 ひょうご部落解放・人権研究所)
●『部落解放』第604号〜606号(解放出版社)
○『ヒューマンライツ』第246号〜249号(社 部落解放・人権研究所)
○『こぺる』NO187号〜189号(こぺる刊行会)
●『リベラシオン』第131号(社 福岡県人権研究所)
●『部落問題研究』第185号〜186号(社 部落問題研究所)
●『部落解放研究くまもと』第56号(熊本県部落解放研究会)
●『GLOBE』第55号(財 世界人権問題研究センター)
●『被差別部落の大学卒業者の進路と結婚』(京都部落問題研究資料センター)
●『水と村の歴史』第23号(財 信州農村開発史研究所)
●『長崎自治権』第47号(長崎県地方自治研究センター)




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