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長崎市人権教育・啓発に関する基本計画

長崎市人権教育及び啓発推進本部


はじめに

 20世紀に人類は、二度の世界大戦を経験し、平和と人権がいかにかけがえのないものであるかを学びました。しかし、現実には世界各地で、テロや地域紛争、飢餓や貧困などにより多くの尊い命が失われています。
 また、我が国社会においては、同和問題をはじめとする様々な人権問題に加え、インターネットによる悪質な人権侵害、幼児虐待や家庭内暴力など、新たな人権に関する課題も生じています。
 本市は、市制施行百周年に当たる平成元年(1989年)、長崎市民平和憲章を定め、お互いの人権を尊重し、差別のない思いやりにあふれた明るい社会づくりに努めるとともに、世界平和実現のために努力することを誓いました。
 また、平成6年(1994年)の国連総会で平成7年(1995年)から10年間を「人権教育のための国連10年」とすることが決議されたことから、平成13年(2001年)に「人権教育のための国連10年」長崎行動計画を定め、本市の人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進に努めてきました。
 さらに、「人権教育及び啓発の推進に関する法律」に基づき、今後も引き続き人権教育・啓発に取り組むため、「人権教育のための国連10年」長崎行動計画を見直し、このたび、「長崎市人権教育・啓発に関する基本計画」を策定しました。
 被爆都市に住む私たち市民は、21世紀が「人権の世紀」と呼ばれるにふさわしい社会になるよう、平和の尊さを世界に訴えるとともに、すべての人々が人権問題を正しく理解し、私たちの身近なところから、人権を尊重する態度を身につける努力をしていかなければなりません。
 長崎市では、人権教育及び啓発推進本部を設置し、この基本計画に基づき、人権教育・啓発の推進を図ってまいりますので、市民一人ひとりのご理解とご協力をお願いいたします。
 この基本計画の策定に当たり、長崎市人権教育及び啓発推進懇話会の委員の皆様をはじめ、多くの方々に貴重なご意見をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。

    平成16年(2004年)3月

長崎市長 伊 藤 一 長





目次

第1章 基本的な考え方
 1 基本計画策定の背景
 (1) 国際的な動向
 (2) 国の動向
 (3) 長崎県の動向
 (4) 長崎市における取組
 2 人権教育・啓発の意義
 (1) 人権尊重の理念
 (2) 人権教育・啓発の意義
 3 基本計画の目標と基本方針
 (1) 目標
 (2) 基本方針
 4 基本計画の性格
第2章 人権問題の現状と施策の方向
 1 女性に関する問題
 2 子どもに関する問題
 3 高齢者に関する問題
 4 障害者に関する問題
 5 同和問題
 6 外国人に関する問題
 7 感染症患者等に関する問題
 8 その他の人権問題3
第3章 人権と平和
 1 人権尊重と平和
 2 被爆都市としての取組
第4章 人権教育・啓発の推進
 1 あらゆる場における人権教育・啓発
 (1) 学校等における取組
 (2) 社会教育における取組
 (3) 団体・企業等における取組
 2 特定の職業従事者に対する人権教育・啓発
 (1) 市職員
 (2) 教職員
 (3) 消防職員等
 (4) 医療関係者
 (5) 福祉保健関係者
第5章 計画の推進
 1 人権教育・啓発の効果的な推進のために
 (1) 人材の育成
 (2) 効果的な内容及び手法の検討
 (3) 国、県及び関係団体との連携
 (4) メデイアを活用した情報の提供
 (5) 相談体制の充実
 2 推進体制
 3 計画の周知
 4 計画の見直し


資料(省略)
・日本国憲法(抄)
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
長崎市民平和憲章
ながさき男女共同参画都市宣言
・長崎市人権教育及び啓発推進本部設置要綱
・長崎市人権教育及び啓発推進懇話会設置要綱
・長崎市人権教育及び啓発推進懇話会委員名簿


本文中のグラフについて
 図1〜11は、長崎県が平成13年11月に実施した「人権に関する県民意識調査」において、長崎市(回答者393名)のデータをグラフで表したものです。(省略)




第1章 基本的な考え方
1 基本計画策定の背景
(1) 国際的な動向
 人類は20世紀に二度の世界的な戦争を体験し、そこで戦争がいかに人権を侵害するものか、また、平和がいかに大切かを学び、その反省と平和を願う世界各国の取組により、昭和20年(1945年)に国際連合(国連)が結成されました。さらに昭和23年(1948年)には、人権を守っていくために、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の課題として、「世界人権宣言」を採択しました。しかしながら、世界の各地では、宗教的な対立や民族の違いなど、様々な理由で地域紛争が続いています。
 そのような中で、平成5年(1993年)にウィーンにおいて、世界人権会議が開催され、人権が国際社会の指導原理であり、様々な問題の解決には、人権意識の徹底と人権教育が不可欠であることを確認し、国連に対し人権高等弁務官の設置と、人権教育の取組を求めることが提唱されました。
 このような流れを受け、平成6年(1994年)12月の第49回国連総会において、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までの10年間を「人権教育のための国連10年」とすることが決議され、世界的に取り組まれてきました。
 国連は、「人権教育のための国連10年」の取組が中問年を迎えた平成12年(2000年)9月に、平成7年(1995年)から平成11年(1999年)までの前半5年間の国際機関や各国等での推進状況について中間評価を行いました。
 この中で、「人権教育のための国連10年」は世界各国が人権教育の推進を図るための唯一の仕組みであり、残された後半5年間に、その可能性を有効に活用し、「人権教育のための国連10年」が終了する平成16年(2004年)以降も人権教育の取組が持続可能となるよう、その基盤を固めることなどを求めています。

(2) 国の動向
 我が国の憲法は、すべての国民に、生命・自由及び幸福追求などを現在だけでなく、将来にわたって保障されるべき権利とみなし、基本的人権の尊重と擁護を図るための諸施策が、推進されてきました。
 このような中、第49回国連総会の決議を受け、政府は平成7年(1995年)12月、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年」推進本部を設置し、平成9年(1997年)7月、国内行動計画を策定・公表しました。
 この行動計画の中で、我が国は、ますます国際社会の重要な一員として、枢要な責務を負っていかなければならないこと、さらに国内的には国際化やボーダレス化(国境のない社会)が進む中で、多様性を容認していくことなど、新たな視野にたった教育・啓発が必要であるとし、学校教育、社会教育などあらゆる機会をとおして、人権教育の推進を図るとしています。
 また、特定の職業に従事する者に対する人権教育も推進するとしています。さらに、人権教育の推進に当たっては、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人など、重要課題に積極的に取り組むとしています。
 国はこの国内行動計画に掲げられた諸施策を通じて、人権教育の積極的な推進を図り、国際的視野に立って一人ひとりの人権が尊重される真に豊かで、ゆとりのある人権国家の実現を期するものとしてきました。
 また、平成9年(1997年)3月、人権尊重のための教育・啓発並びに人権侵害を受けた被害者の救済に関する施策の推進を国の責務とする「人権擁護施策推進法」を施行しました。さらに、推進本部では、平成10年(1998年)から、「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画の推進状況を作成し、各年度の府、省庁での取組や都道府県の状況などを公表しています。
 「人権擁護推進法」に基づいて設置された「人権擁護推進審議会」は、平成11年(1999年)7月に人権教育・啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について、さらに、平成13年(2001年)5月に人権救済制度の在り方に関する答申を行いました。
 これらの答申を受け、平成12年(2000年)12月には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、人権教育・啓発に関して国や地方公共団体の取組の推進が定められるとともに、同法に基づく国の「人権教育・啓発に関する基本計画」が、平成14年(2002年)3月に策定・公表されました。また、人権侵害に対する新たな救済の仕組みなどを規定する法律制定の取組も既に始まっています。

(3) 長崎県の動向
 国連行動計画や国内行動計画に示された人権教育の基本的な考え方に沿って、人権教育を「県民一人ひとりが人権に関する正しい知識を習得し、自分で考え判断し話し合って問題を解決する技術・技能を培い、これを日常の態度として身につけるための教育、また、すべての県民がその生涯にわたって参加できるよう、あらゆる場・あらゆる機会をとらえて行われるものである。」ととらえ、国際的潮流や国内行動計画の推進と協調して積極的に推進するため、「人権教育のための国連10年」長崎県推進本部を設置し、平成11年(1999年)5月長崎県行動計画を策定・公表しました。
 長崎県では、この行動計画に基づき、全庁的に取組の推進を図るとともに、平成14年(2002年)3月「人権教育のための国連10年」長崎県行動計画の推進状況(平成11年度〜平成13年度)を公表しました。
 そして、この間の取組状況、社会情勢の変化、さらには平成13年(2001年)11月に実施した「人権に関する県民意識調査」の結果などを踏まえて、行動計画の見直しを行い、平成15年(2003年)4月、「人権教育のための国連10年」長崎県行動計画を改定し、この行動計画を「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づく長崎県の「人権教育及び人権啓発に関する施策の推進指針」としています。

(4) 長崎市における取組
 本市は、平成元年(1989年)3月に「長崎市民平和憲章」を制定し、お互いの人権を尊重し、差別のない平和で安全な市民生活を守り、世界平和実現のために努力することを誓い、その実現に取り組んできました。
 また、平成11年(1999年)9月に宣言した「ながさき男女共同参画都市宣言」に基づき、性別にとらわれない男女平等社会の実現に取り組んできました。
 さらに、国、県の「人権教育のための国連10年」行動計画を受け、平成11年(1999年)12月、長崎市行動計画策定のため、市長を本部長とする「人権教育のための国連10年」長崎市推進本部を設置し、本市の人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進するため、平成13年(2001年)3月に長崎市行動計画を策定しました。
 この行動計画では、すべての人々が人権問題を正しく理解し、人権尊重の態度を習慣として身に付けて実行することを目指し、推進本部のもと、人権教育を市政のあらゆる分野で重要課題と認識し、取り組んできましたが、今日においてもなお、不当な差別、様々な人権侵害が存在します。
 また、我が国社会の国際化、情報化などの進展に伴い、人権に関する新たな課題も生じてきています。
 このような中、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、人権教育・啓発に関する施策の策定及び実施が、国・地方公共団体の責務と規定されました。
 本市としても、この法律に基づき、「人権教育のためめ国連10年」長崎市行動計画を見直し、新たに人権教育・啓発に関する基本計画を策定することにしました。

図1 「人権」についての関心度(省略)

2 人権教育・啓発の意義
(1) 人権尊重の理念
 人権とは、人間の尊厳に基づいて、すべての人が持っている固有の権利であり、社会を構成するすべての人々が個人としての生存と自由を確保し、社会において幸福な生活を営むために欠かすことのできない権利です。
 すなわち、差別やいじめ・虐待をはじめとする人権侵害は、個人の幸福を奪うだけでなく、その生存をも危うくする深刻な問題です。
 したがって、すべての人々が人権を享有し、平和で豊かな社会を実現するためには、各人の人権が共に尊重され、調和的に行使される「人権の共存」が必要です。このような認識に立ち、人権尊重の理念を、人権擁護推進審議会の答申にあるように、「自分の人権のみならず他人の人権についても正しく理解し、その権利の行使に伴う責任を自覚して、人権を相互に尊重し合う人権共存の考え方」ととらえます。

(2) 人権教育・啓発の意義
 人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を意味し、一般市民がその発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるようにすることであり、日本国憲法、教育基本法、並びに国際人権規約、児童の権利に関する条約などの精神に則り、基本的人権の尊重の精神が正しく身に付くよう、地域の実情を踏まえつつ、学校教育及び社会教育を通じて推進されるものです。
 また、人権教育によって、人々が自らの権利を行使することの意義、他者に対して公正・公平であり、その人権を尊重することの必要性、様々な課題などについて学び、人間尊重の精神を生活の中に生かしていくことが求められています。
 人権啓発とは、広く市民の間に人権尊重の理念を普及させ理解を深めることを目的に行われる研修、情報提供、広報活動などであり、市民一人ひとりが人権を尊重することの重要性を認識する契機になるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用が求められています。


3 基本計画の目標と基本方針
(1) 目標
 人権とは、誰もが生まれながらにして持っている権利で、人間が人間らしく生きていくための誰からも侵されることのない基本的権利です。
 日本国憲法は、国民の基本的権利を保障しており、第14条で「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分、または、門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。」と平等の原則をうたっています。
 また、世界人権宣言は、第2条で「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地、その他の地位」などによる差別の禁止を規定し、すべての人間の自由・平等・無差別の原則を定めています。
 人権が尊重されなければならないということは、誰も異論のないところですが、私たちの日常生活の中では、まだ十分認識され、守られているとはいえない状況にあります。
 本市は、基本構想(平成13年度〜平成22年度)の基本理念の一つとして、「平和の希求と人権の尊重」を掲げています。
 この「人権」と「平和」は、先人たちが長い歴史の中で幾多の困難を乗り越えて、私たちに手渡してくれたものです。このかけがえのない「人権」と「平和」を私たちの社会にしっかり根付かせ、後世の人たちに「人権文化」という形にして残していけるように立派に育てることが必要です。
 この「長崎市人権教育・啓発に関する基本計画」に基づく取組では、「人権教育のための国連10年」の取組に引き続き、「平和の希求と人権の尊重」を基本に、すべての人々が様々な人権問題を正しく理解し認識を深めることで、社会全体の人権意識の高揚を図り、日常生活の中で、人権尊重の態度を習憤として身に付けて、実行していける社会の実現を目指します。

(2) 基本方針
 本市の人権教育・啓発の取組は、日本国憲法の基本的人権の尊重、世界人権宣言の自由・尊厳と権利の平等及び人権教育のための国連10年における人権教育の意義や価値について、理解を深めることを基本とし、次により推進します。

@ 市民が主体的、自主的に取り組む人権教育・啓発の推進
 人権に関する情報や知識を一方的に伝えるのではなく、市民の主体性を尊重し、市民自らが人権問題を自分の問題としてとらえられるような人権教育・啓発を推進します。
A 人権文化を育てていく人権教育・啓発の推進
 あらゆる人権問題に目を向け、人権尊重の理念に基づき日常生活の中に「人権」という普遍的文化を残していけるような人権教育・啓発を推進します。
B 市民みんなで取り組む人権教育・啓発の推進
 人権教育を効果的に進めるためには、市民のあらゆる立場の人が、それぞれの役割を分担し、お互いに連携を図ることが大切です。そのために、家庭、学校、地域、職場などあらゆる場において、対象者の発達段階に応じた人権教育・啓発を推進します。
C 世界の恒久平和を実現するための人権教育・啓発の推進
 被爆都市の市民の責務として「人権の尊重こそ平和の礎」の認識に立ち、恒久平和実現のため、戦争の悲惨さと平和の大切さを語り継ぎ、世界の人々との交流・協力を推進し、豊かな国際感覚と人権意識を持った市民を育成するための人権教育・啓発を推進します。


4 基本計画の性格
(1) この基本計画は、「人権教育のための国連10年」に関する国連、国、県、本市の行動計画を踏まえ、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、今後、本市が実施すべき人権教育・啓発について、具体的施策の方向性を示すものです。

(2) この基本計画は、長崎市基本構想の基本理念の一つである「平和の希求と人権の尊重」と併せて、本市が実施する諸施策に対する人権分野の基本計画です。

(3) 今後は、この基本計画の趣旨を踏まえ、すべての部局が連携して諸施策の点検を行い、また、施策の推進に当たっては、人権の視点に十分配慮しながら取り組みます。

(4) この基本計画は、市職員や教職員などはもとより、市民一人ひとりが人権尊重の精神を培うため、団体、企業、関係機関等に対し、この基本計画の趣旨に沿った、自主的な取組ができるよう求めていきます。

図2 関心のある人権問題(省略)


第2章 人権問題の現状と施策の方向
1 女性に関する問題
(1) 現状と課題
 日本国憲法では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女が社会の対等な構成員としてあらゆる分野での活動に参画できる健全な社会の構築が必要であることから、男女共同参画社会の実現に向け、様々な取組がなされました。
 昭和50年(1975年)、国際連合が提唱した「国際婦人年」に、女性の地位向上のための行動を促す「世界行動計画」が策定され、それを受けてわが国では、昭和52年(1977年)に女性問題解決のための施策である「国内行動計画」が策定されました。昭和60年(1985年)には、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」が批准され、父母両系血統主義を取り入れた「国籍法」及び「戸籍法」の一部改正や「男女雇用機会均等法」の制定など国内法が整備されました。以降、国においては「世界女性会議」など国連を中心にした世界規模の動きと軌を一にして、女性の人権問題に関し積極的に取組を進めてきました。平成12年(2000年)12月には、人権の尊重を男女共同参画社会の根底を成す最も重要な基本的理念と位置づけ、「男女共同参画基本計画」を策定し、中央省庁改革後の新たな体制の下での施策の基本的方向性及び具体的な施策の内容が示されました。
 本市においては、昭和60年(1985年)に、女性の地位向上と福祉の増進を図るための施策について広く意見を聴取するため、「長崎市婦人問題懇話会」を設置し施策を推進してきました。そして、少子高齢化の急速な進展、国内経済活動の成熟化、社会経済情勢の急速な変化へ対応するため、家庭・職場・地域など社会のあらゆる分野に女性と男性が平等に参画し、男女がともに支えあえる社会システムの構築が求められるなか、平成6年(1994年)に「あじさい男女平等推進プラン」を策定しました。また、「男女共同参画社会基本法」の施行や国の「男女共同参画基本計画」の策定などの一連の取組をうけ、社会経済情勢の変化や地域の実情を踏まえ、男女共同参画の基本理念を生かし、平成13年(2001年)3月、新たに「長崎市男女共同参画計画」を策定し、更なる推進に向けて取り組んできました。そして、この計画は平成14年(2002年)9月、「長崎市男女共同参画推進条例」の制定により長崎市の基本的施策の方向性を示す「基本計画」と位置づけました。
 平成11年(1999年)6月に施行された「男女共同参画社会基本法」では、男女の人権が尊重され差別的取り扱いをされない男女共同参画社会の形成が緊要な課題であるとされています。しかし、まだ市民の意識や行動、社会制度・慣習のなかには、性別による差別及びそれに基づく固定的な役割分担意識が根強く残っており、女性の活動の場の選択に影響を及ぼしています。また、最近では、女性の人権を侵害するものとして、ドメスティック・バイオレンス(夫や親密な関係にあるパートナーからの暴力)やセクシュアル・ハラスメント(性的な嫌がらせ)などが、大きな社会問題となっており、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」など相次いで必要な法整備が図られたところです。これらは、孤立無援の状態で悩んでいる多くの被害者の尊厳を守り、解決策を導く一つの方策となっていますが、被害が潜在しがちで、まだ、人権の尊重の確立には大きな課題が残されています。また、社会のあらゆる場において、女性であることで差別され、人権が侵害されることのないような取組が必要です。

図3 女性の人権に関する意識(省略)

(2) 具体的施策の方向
 本市においては、人権尊重の理念を社会に深く根付かせ、市民と一体となり男女共同参画社会の形成を進めていくために、平成11年(1999年)に「ながさき男女共同参画都市宣言」を行いました。
 また、平成13年(2001年)3月に策定した「長崎市男女共同参画計画」に基づき、施策の総合的かつ計画的な推進を図っています。
 この計画では、「男女の人権の尊重と男女の共同参画に向けた意識改革」など5つの基本目標を掲げるなかで、
@ 男女共同参画社会づくりに向けた意識改革
A 男女の人権の尊重
B 男女共同参画を推進する教育・学習の充実
を主要課題として、あらゆる女性の人権が尊重され、推進・擁護される社会の形成に向けての施策に取り組んでおります。
 男女が心豊かに幸せに生きるためには、男女共同参画に関する認識を深め、社会的・文化的に形成された性差(ジェンダー)に敏感な視点を定着させ、職場・家庭・地域における様々な慣習・慣行の見直しを進めていく必要があります。また、広報・啓発活動を行っていくにあたっては、性の商品化や暴力表現が女性の人権を侵害している現状を理解し、メディアからの情報を主体的に読み解き、自己発信するための能力の向上のため、支援を行っていきます。
 一人ひとりが性別にとらわれず、自らの意思による多様な生き方を選択できる社会、男女共同参画の形成には、男女の人権の尊重が最重要課題であるところから、相談体制の充実と、人権意識の啓発を行い、「長崎市男女共同参画推進条例」に規定する基本理念の理解を進めていきます。


2 子どもに関する問題
(1) 現状と課題
 平成元年(1989年)、国連において「児童の権利に関する条約」が採択され、我が国も平成6年(1994年)に批准しました。この条約は、18歳未満のすべての児童について、その福祉に必要な保護及び養護を確保し、子どもが一人の人間としての尊厳をもって生きていくための権利を総合的に保障したものです。
 今日、私たちの社会は、家庭や社会の協力体制に起因する子育てと仕事の両立の困難さや晩婚化、結婚しても子どもを必要としない若い世代の増加など、多岐にわたる要因により少子化の進行は顕著となり、高齢化とともに大きな社会問題となっています。また、核家族化、地域の都市化が進む中で、家庭や地域社会の教育力も低下し、子どもと家庭を取り巻く環境は大きく変化しています。
 このような状況の中で、過保護、過干渉といった問題が生じる一方で保護者による育児放棄、子育て不安からくる子どもへの虐待など、過去には見られなかったような新たな問題も発生しています。
 このような状況下にあって、「児童福祉法」が50年ぶりに大幅に改正されました。改正法は平成10年(1998年)4月から施行され、平成12年(2000年)11月には、「児童虐待の防止等に関する法律」が施行されました。
 また、市内の小・中学校においてのいじめは、平成7年(1995年)をピークに減少傾向にあります。不登校は平成6年(1994年)の調査開始から、いったんは減少し、その後は増加傾向にありましたが、平成13年度からはやや減少傾向に向かっています。
 このほか、子どもにとって有害な情報がインターネットや自動販売機等で簡単に手に入る環境、買春行為や覚せい剤などの薬物の提供などの大人の行為が子どもたちの心身をむしばむといった社会現象も生じています。

図4 子どもの人権に関する意識(省略)


(2) 具体的施策の方向
 本市では、平成10年(1998年)に「長崎市子育て支援計画」を策定しましたが、児童を取りまく環境の変化を考慮し反映するため、計画の中間期における平成15年度において、その見直しを行い、行政、企業、地域社会など社会全体で総合的に子どもが、心身ともに健やかに育つ社会づくりを目指しています。その実施に当たっては、「児童の権利に関する条約」の趣旨に沿い、子どもの最善の利益を考慮し、子どもの人権に十分配慮しながら施策を推進しています。
 地域の子育ての拠点としての保育所(幼稚園)の事業拡大に努め、保育所(幼稚園)の乳幼児やその保護者のみならず、家庭で子育てをしている保護者に対しても施設開放、体験学習、子育てカウンセリング等をとおし、子どもの人権についての啓発に努めていきます。
 「保育所保育指針」の目標に掲げる「人権を大切にする心を育てる保育」をさらに推進するため、一人ひとりの子どもの特性や発達、家庭や地域の実情に応じた適切な保育を実施することにより、自主性、協調性、社会性の芽生えを培うとともに、人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心を育てる保育を実施していきます。
 また、人権を大切にする心を育てる保育を適正に行うため、あらゆる機会を通じて、保育士等の職員が人権問題について正しく理解し、認識を深めるための研修に努めるとともに、平成15年4月に相談窓口を統合し、子どもに係る施策を横断的かつ総合的に推進するため「こども課」を設置しました。当課を中心に、県の児童相談所をはじめ関係機関との連携を密にし、相談指導業務の充実を図っていきます。
 幼稚園や学校においては、すべての子どもたちが安心して登校し、教育を受ける権利が保障されるようにすることとあわせ、「明るい学校づくりを目指す交流集会」や「子ども議会の実施」などを通じて、「児童の権利に関する条約」の趣旨の啓発に努めます。
 また、幼稚園・学校教育においては、学校生活全般の中で指導・啓発を行うとともに、専門相談機能等の充実・強化を図っていくためスクールカウンセラー等の相談員を配置し、人権意識の高揚と人権教育の推進に努めていきます。
 このほか、青少年を健全な環境で育てるため、自治会・青少年育成連絡協議会等の諸団体と連携して有害自販機の撤去運動を進めます。また、子どもたちを有害情報から守るための方法をPTAの研修会において具体的に研修していくとともに、薬物乱用防止教室等を開催し薬害の恐ろしさを啓発します。


3 高齢者に関する問題
(1) 現状と課題
 我が国は、世界に例を見ない速さで高齢化が進行しており、今後も出生率の低下や平均寿命の伸長によって高齢化率は更に上昇し、21世紀初頭には世界のどの国もこれまで経験したことのない、本格的な高齢社会が到来するものと予測されています。
 本市は、全国平均を上回る形で高齢化が進行しており、今後も国の高齢化率を上回る水準で推移すると予想しています。この人口の高齢化を高齢者だけの問題としてとらえるのではなく、すべての市民が高齢社会を自己の問題として理解し、認識を持つことが必要です。
 このため、これまでの保健・医療・福祉を中心とした施策から、教育・経済・雇用・住宅等を含めた幅広い視野にたった対応をしていくために、平成3年(1991年)3月、「市民一人ひとりが長寿を喜び合い、心豊かなふれあいに満たされ、いきいきとした人生を築いていくことのできる生活の場“長崎”をめざして」を目標に、総合的に各種施策を推進するための指針として「長崎市長寿社会対策指針」を策定し、推進を図ってきました。
 平成5年度(1993年度)には、平成11年度(1999年度)までを計画期間とする「長崎市老人保健福祉計画」を策定し、いつでも、どこでも、だれでも必要な保健福祉サービスを利用できるようサービスの供給体制の整備を推進してきました。
 さらに、平成12年度(2000年度)には、介護を社会全体で支えることなどを目的に、要介護者自らが保健・医療・福祉サービスを選択し、総合的に利用する制度として介護保険制度が導入されました。
 これに伴い、平成11年度(1999年度)には、介護保険対象サービスと介護保険対象外サービスの双方を含めた高齢者に対する保健福祉施策全般の方向性を定めるため、平成16年度(2003年度)までを計画期間とする「長崎市老人保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定し、平成14年度(2002年度)には、平成15年度から平成19年度を計画期間とした第2期計画を策定しました。
 現在、本市では65歳以上の高齢者のいる世帯のうち、約半数が高齢者単身世帯や高齢者夫婦のみの世帯であり、また、高齢者のうち、特に75歳以上の後期高齢者の伸びが大きくなることが予測されており、今後、寝たきりや痴呆性高齢者の増加と相まって、家族で支えきれない要介護(援護)高齢者が増加していくことが予測されております。
 高齢者ができるだけ住み慣れた地域で生きがいをもって健康に暮らしていくためには、介護サービス提供の基盤整備や利用者の希望を尊重した総合的な介護サービスを提供することにより、介護サービスを安心して受けられる仕組みを確立することはもとより、介護保険対象外サービスとして要介護状態にならないための介護予防をはじめ、在宅での生活の支援、高齢者が積極的に社会参加できる環境の整備、高齢者を地域で支える体制づくりなど、高齢者をとりまく各種施策の積極的な推進を図ります。
 また、高齢者の財産管理や遺産相続に絡むトラブルや、老人虐待などの人権侵害の問題も発生しており、高齢者の人間としての尊厳の確保、プライバシーの保護など制度上の課題も生じております。
 法務省においては、これらに対応するため、平成12年度(2000年度)に民法の改正を行い、痴呆性の高齢者等にも高齢者本人の自己決定権を尊重しつつ、保護の充実を図ることを目的として、成年後見制度を拡充しました。
 これを受けて、痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等に対して、福祉サービスの利用援助等を行う地域福祉権利擁護事業が、平成12年度(2000年度)から長崎市社会福祉協議会で実施されています。
 本市においては、平成13年度(2001年度)から、成年後見制度利用支援事業に取り組み、判断能力の不十分な痴呆性高齢者等の保護に努めています。

図5 高齢者の人権に関する意識(省略)

(2) 具体的施策の方向
 平成14年度(2002年度)に策定した第2期「長崎市老人保健福祉計画・介護保険事業計画」では、平成3年(1991年)に国連で決議された「国際高齢者年」での「すべての世代のための社会を目指して」を基本において、高齢者の「自立」「参加」「ケア」「自己実現」「尊厳」の五原則を基本理念として次の施策を推進し、「生きがいと思いやりに満ちた福祉都市長崎」を目指します。
@ 自立
 介護保険サービスやその他の保健・医療・福祉サービスの利用の促進に努め、可能な限り自宅において、自立した生活を送れるよう支援します。
A 参加
 世代を超えた交流を進め、自己の経験と知識を分かち合い、積極的に地域へ参加することについて支援します。
B ケア
 自己の意思に基づいて、介護保険制度を含む保健・医療・福祉サービスを利用できる機会を提供します。
C 自己実現
 自己の可能性を発展させ、社会の教育的・文化的・精神的資源を利用できるよう推進します。
D 尊厳
 いかなる場合も公平に扱われ尊重される社会を目指します。


4 障害者に関する問題
(1) 現状と課題
 障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)の人権について、「障害者基本法」では、「すべて障害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」とともに、「社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるもの」と規定されています。
 国においては、平成14年(2002年)12月に、平成15年度から平成24年度までの10年間を計画期問とする新たな「障害者基本計画」を策定し、旧計画における「※リハビリテーション」と「※ノーマライゼーション」の理念を継承するとともに、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し、支えあう「共生社会」の実現を目指しています。その重点施策実施5ヵ年計画として「障害者プラン」を策定し、7つの重点実施施策とその達成目標を定め、地方公共団体との緊密な連携を図りながら計画推進にあたることとしています。
 長崎県では、平成15年(2003年)6月に、平成20年度までの6ヵ年を計画期間とする「長崎県障害者基本計画 ―長崎県障害者プラン―」を策定しました。
 本市においても、こうした国、県の動きを受けて障害者施策の総合的な推進を図るため、平成15年(2003年)12月に、「長崎市障害者福祉に関する新長期行動計画」の理念を継承しながら、主要な施策についての数値目標を掲げた「長崎市障害者基本計画 ―長崎市障害者プラン―」を策定しました。
 このプランは、平成15年(2003年)から平成20年(2008年)までの6ヵ年の本市の障害者施策の基本となるもので、「共生社会」の実現、障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目標としています。
 住みよい平等な社会を実現するためには、社会を構成するすべての人々が、同等の権利をもっていることを正しく理解することが大切です。
 長崎県が平成13年度に実施した「人権に関する県民意識調査」においても、障害者の人権に関する問題として、障害者や障害そのものについての世間の人々の理解不足を指摘する意見が多いという結果が報告されています。
 本市では、障害及び障害者に対する理解と認識を深め、心のバリアを取り除くため、各種福祉行事や団体活動の支援などを通じて、啓発活動を展開しています。
 障害者福祉に対する市民の理解と協力は、さまざまな施策を講じていくうえでの社会的基盤となるものであり、障害者の問題をすべての人々の問題と考え、正しい理解に基づいた行動がとれるよう今後も心のバリアフリー化に向けた啓発活動を進めていく必要があります。

図6 障害者の人権に関する意識(省略)


(2) 具体的施策の方向
 「長崎市障害者基本計画 ―長崎市障害者プラン―」では、次のような施策の推進を図りながら、総合的な観点から障害者の人権が尊重される社会の実現に取り組んでいきます。

ア 啓発広報活動の推進
 障害者福祉に対する理解の深まりが社会的行動に結びつくよう、啓発広報活動の充実に努めます。
イ 社会参加の促進
 障害者の雇用状況の改善を図るため、民間事業者への働きかけを推進するとともに、雇用促進に向けた支援対策の充実に取り組みます。
 また、民間事業者等と一体となって物理的な障壁の除去(バリアフリー)に努めるとともに、外出やコミュニケーションがより活発に行われるよう人材の育成も含めた支援の充実に努めます。
ウ 在宅福祉の充実
 障害者が住みなれた地域社会において、自ら必要なサービスを選択し、安心して生活が送れるよう、障害の種類・程度などに応じたきめ細やかな在宅福祉施策を推進します。

※【リハビリテーション】社会復帰療法。
※【ノーマライゼーション】高齢者も若者も、障害者もそうでない者も、すべて人間として普通の生活を送るため、ともに暮らし、ともに生きぬくような社会を築いていく考え方。


5 同和問題
(1) 現状と課題
 同和問題は、我が国固有の人権問題で、憲法第11条で保障されている基本的人権が侵害され、市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題です。
 昭和40年(1965年)の同和対策審議会答申において、「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する課題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」との認識が示されました。
 この答申を受けて国は、昭和44年(1969年)から同和問題に関する特別措置法を制定し、さまざまな施策を講じてきました。その取組により生活環境の改善や公共施設の整備など物的な基盤整備が進み、実態的な差別解消については、大きな成果を挙げることができました。
 平成8年(1996年)の国の地域改善対策協議会の意見具申では、これまでの対策の意義と評価を行うとともに、今後の重点施策の方向として、差別意識の解消に向けた教育と啓発の重要性を指摘しています。
 平成14年(2002年)3月をもって、特別措置法は失効しましたが、「人権教育のための国連10年」の取組や人権擁護審議会の答申等を踏まえ、人権教育・啓発を総合的に推進するため、平成12年(2000年)に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行されました。
 この間、本市においては、昭和49年(1974年)に同和問題について連絡調整と運営を円滑に行うことを目的として、庁内に「長崎市同和問題協議会」を設置しました。また、昭和53年(1978年)に同和対策室を設置し、生活環境の整備事業等に着手するとともに同和問題講演会の開催や広報紙の同和問題特集号の発行等、市民の啓発にも取り組み、現在では物的な基盤整備は、おおむね完了しました。
 しかし、同和問題に対する市民の理解はまだ十分ではなく、平成13年(2001年)に実施された「人権に関する県民意識調査」によると、同和地区あるいは同和問題について「知っている」と回答した人は、本市で67.4%で、平成5年の調査より6.3ポイント高くなっていますが、平成15年の全国平均78.9%と比較しても低い状況にあります。

図7 同和地区の認知(省略)

 このように本市での認識が低い理由としては、同和地区が少数であることや、同和教育・啓発の立ち遅れなどから、同和問題を正しく理解する機会が少なかったことなどが考えられます。
 また、同和問題への無理解につけ込み高額な書籍を売りつけたりする「えせ同和行為」やインターネットに伴う新たな差別事象が発生していることをはじめ、市民及び企業の活動は市域を超え拡大しており、さらに市民一人ひとりの人権意識高揚を図る必要があります。
 そのために、これまでの取組を踏まえ、より総合的に教育・啓発を推進していくために、「人権教育のための国連10年」長崎市行動計画を策定し、市役所の全ての部局をはじめ、外部機関や団体等に対し、趣旨の周知や研修に努めてきました。
 一方、学校や地域においては、同和教育の重要性から昭和53年(1978年)「長崎県同和対策基本方針」が策定されました。これを受けて本市教育委員会は、昭和54年(1979年)「長崎市立学校における同和教育の推進に関する基本的な考え方」をまとめ、あらゆる学校教育活動の中に、人権尊重の精神が生かされるよう各学校に示すとともに、社会教育施設においても様々な形で啓発活動の充実を図ってきました。
 特に、学校においては、毎年人権・同和教育の全体計画を作成し、年間をとおして計画的に教職員の研修や授業研究、児童・生徒への指導を行うとともに本市教育委員会においても、教職員や市民対象の研修会等を実施し、各種啓発資料及び実践指導資料を作成・配布するなどの事業を行ってきました。しかし、同和問題に関わる差別事象は依然として発生しています。
 学校における差別事象の多くは、「せん称語発言(使用)」ですが、これは、言葉が単なる歴史用語としての知識理解にとどまっているため、不用意に発言(使用)してしまっているという現状があります。
 今後も、社会科の指導法のあり方を含め、部落問題学習の進め方をさらに検討していく必要があります。

(2) 具体的施策の方向
 同和問題の解決のために、同和教育・啓発活動の果たす役割は極めて大きく、これまで様々な手法で施策の推進を図ってきました。しかしながら、依然として存在している差別意識の解消に向けた同和教育・啓発活動は、引き続き積極的に推進していかなければなりません。特に本市のように一般市民が同和問題・部落差別を身近な問題として認識しにくい状況では、同和問題を考える動機付けとなる「啓発」の役割がたいへん重要です。
 さらに今後は、これまでの同和教育や啓発活動で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育・啓発として発展的に再構築すべき時期にあると考えています。その中で、あくまで同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、市民、市民団体、企業などの自主的な取組に対し助言や支援を行い、啓発に当たっては、具体的で親しみやすい課題を取り上げるとともに、マイナスのイメージだけでなく、正しい部落の歴史認識に基づき共感を得られるような工夫をしていきます。
 また、教職員や保護者、地域住民の認識を深めていくため、法務局・人権擁護委員連合会及び本市周辺自治体で組織する長崎地域人権啓発活動ネットワーク協議会をはじめ、関係機関とも連携を強化しながら、一人ひとりが同和問題を自分の問題としてとらえていくような啓発活動を展開していく必要があります。
 その啓発活動として、
@講演会の開催
A市民、市民団体、企業などの人権・同和問題研修会の助言・支援
B人権キャンペーン、人権街頭パレードによる啓発活動
C人権啓発ビデオの放映、電光掲示板による人権メッセージの表示
D広報紙による人権・同和問題特集号の作成
E人権啓発リーフレットの作成
などの方法により、教育・啓発の充実強化に努めていきます。


6 外国人に関する問題
(1) 現状と課題
 本市では、元亀2年(1571年)のポルトガル船入港以来数十年間、ポルトガルや中国の人々との市内混住により、対等な関係でごく自然な付き合いが行われてきました。鎖国時代には、外国の文化・情報が出島を唯一の窓口としてもたらされ、我が国の近代化に大きな役割を果たしました。また、開国後も諸外国との交流が活発に行われ、友好的に共生することで異文化間の交流が深まり、独自の国際性が培われてきました。
 一方、我が国では、明治時代以降、近代化政策や度重なる戦争をとおして、アジア諸国民に対する差別や偏見が形成され、本市においても、同様な状態があったことは否めません。
 このようなことに対する歴史認識と外国人を受容してきた本市民の特性は、国際化する社会情勢の中で人権尊重を図るうえで大きな礎となっています。
 近年の国際化の進展により、わが国に在留する外国人は年々急増しており、外国人への就労差別や入居・入店拒否など人権に関する問題が発生しています。
 本市においても、中国をはじめアジア諸国と隣接した位置にあることから、今後も在住外国人をはじめ、本市への外国からの観光客も一層増加する傾向にあり、市民が外国人と接する機会も増えてきています。
 政治、経済、社会などすべての分野でボーダレス化、グローバル化(国境を越え、全世界的な考え方でとらえる)が進み、国際的な関わりが増大する中で、自治体としては、住民に密着した行政として、外国人とともに暮らす街づくりの中心的役割を担う必要があります。
 このような状況の中で、長い歴史の中で培われてきた長崎独自の国際性を継承しながら、さらに、次代にふさわしい国際感覚を身に付けた人材の育成を、市職員はもとより、市民にも広める取組が必要です。

図8 外国人の人権に関する意識(省略)

(2) 具体的施策の方向
 本市では、平成14年(2002年)3月、「長崎市国際化推進計画〜世界の長崎・地球市民〜改定版」を発行しました。その中で国際化の推進にあたり、古くから諸外国の人々と交流し共生してきた長崎の国際化の先進性を再認識し、本市に住むすべての人々にとって、また、未来の子どもたちにも誇れる「世界の長崎」づくりを推進するために、「誇れる長崎〜国際性に目覚める〜」を基本理念とし、次の3つの基本方向を定めています。
@ 世界の交流拠点・アジアヘの窓口長崎
A 平和に貢献する長崎
B 多様な文化を受入れ人々が共生する長崎
また、具体的な推進策として、
@ 国際化の推進
ア 市民意識の向上と人材育成
イ 青少年の海外派遣事業の充実
ウ 帰国子女の受入体制の充実等
エ 外国人にも住みよいまちづくり(外国語説明書の配布、外国語版市政情報の作成)
オ 地球市民ひろばの運営・支援環境の充実
カ 日本語講座の継続
A 国際化に対応した教育の推進
ア 公民館における青少年講座
イ 外国語指導助手等の活用促進
ウ 海外の学校との交流推進
等を掲げています。


7 感染症患者等に関する問題
(1) 現状と課題
 医学医療の発達により、個々の感染症に対する解明が進んだ現在でも、私たちの不正確な医学的知識や思い込みによる過度の危機意識から、感染症患者や元患者に対する偏見や差別意識が生まれ、さまざまな人権問題が生じることがあります。
 平成11年(1999年)に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」は、その前文で「わが国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群(エイズ)等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受けとめ、これを教訓として今後に生かすことが必要である」としています。また、この法律は、教育活動、広報活動を通じた感染症に関する正しい知識の普及などを図るとともに、感染症の患者等の人権の保護に配慮することなどを国及び地方公共団体の責務と位置づけ、国民自らが正しい知識を持ち、感染症患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないと定めています。
 本市においても、この法律の趣旨に沿って学校教育等において、あらゆる感染症に対する正しい知識を育て、偏見を除く教育活動を行っていますが、今後はさらに、市民への広がりを持った啓発が必要です。

図9 HIV感染者やハンセン病患者等の人権に関する意識(省略)

(2) 具体的施策の方向
 あらゆる感染症患者やその家族等に対する偏見や差別をなくしていくためには、正しい知識と理解を深めていくことが最も重要であることを踏まえて、あらゆる機会を通じて次のような普及・啓発活動を進めていきます。
@ 事業所、学校教育の場をとおして疾病に関する正しい知識の普及、感染予防の知識の普及・啓発活動に積極的に取り組みます。
A 市の広報媒体をはじめ、医療関係団体等あらゆるルートを通じて普及・啓発活動に取り組みます。
B 専門的知識に基づく医療・社会福祉、心理的支援等の相談体制の充実に努めます。
C 関係者との意見交換会などの開催等による適切な施策の検討を図ります。


8 その他の人権間題
(1) 現状と課題
 これまで説明してきた人権問題のほか、刑を終えて出所した人、犯罪被害者、アイヌの人々、※性的マイノリティーとされる人、ホームレスの人などに対する様々な人権問題があります。
 これらは、偏見や差別、中傷やうわさ話、歴史・民族・伝統に対する理解と認識の不足や一つの価値観で判断し、少数者や自分(たち)と違った者を、排除しようとする意識や日常生活の中で、科学的な根拠のないものを安易に受け入れる意識や態度が、様々な形で私たちの社会に存在し、差別を助長している一因と考えられます。
 また、近年の情報通信技術の進展やインターネットの普及により、世界中と瞬時に大量の情報交換が可能になるなど、私たちの生活も利便性が高くなっています。しかし、一方ではインターネットの開放性・公開制・匿名性に依拠したプライバシー侵害や誹誇中傷、著作権侵害、差別を助長する表現などの有害情報の掲載、少年被疑者の実名・顔写真の掲載など、人権に関わる新たな問題を引き起こしています。

(2) 具体的施策の方向
 これからの社会は、様々な価値観やライフスタイルを持つ人が共生できる社会でなければなりません。それは、私たち一人ひとりがお互いの個性や違いを認め、尊敬し合いながら、自らの独立性と責任に基づいて判断し、行動する社会です。
 そのためには、それぞれの歴史、伝統や文化に正しい理解と認識を持ち、お互いの生き方・考え方を柔軟に受け入れる態度を培う人権教育・啓発が、あらゆる場、あらゆる機会をとらえて行われることが必要です。
 また、インターネットの問題については、利用者やプロバイダーに対して、個人のプライバシーや名誉に関する正しい理解と情報の受発信に伴う個人の責任やモラルについての認識をもつことが必要です。
 そのためには、学校における情報教育の場や一般市民を対象としたIT講習会等の機会に、技術や使い方の指導だけでなく、利用者のモラルやエチケットの向上を図るような内容も取り入れることが大切です。

※【性的マイノリティー】同性愛、性同一性障害、先天的に身体上の性別が不明瞭であるインターセックス等。


第3章 人権と平和
1 人権尊重と平和
 戦争は、人権侵害の最たるものです。国連憲章はその前文において、20世紀中に2回にわたって言語に絶する悲しみを人類に与えた戦争の被害から、将来の世代を守ることをうたっています。また、昭和23年(1948年)に国連総会で採択された「世界人権宣言」には、世界の人々の人間としての尊厳と平等で、譲ることのできない権利を認めることが、自由・正義及び平和の基礎であると明記されています。
 長崎市は、「国際文化の向上を図り、恒久平和の理想を達成する」という、国際文化都市建設法(昭和24年(1949年)公布)の精神に基づいて、平和で明るく、住みやすい町の建設に努力してきました。そして長崎市民は、原爆被爆による苦しみと悲しみを乗り越えて、「核兵器による犠牲者は、私たちが最後であって欲しい」との願いを持って、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を国の内外に訴えています。
 しかしながら、世界には、人類を何度も絶滅させる核兵器が存在しており、21世紀を核兵器のない世紀とするためには、世界の市民、NGO(非政府組織)との連携により、核兵器廃絶の国際世論を、さらに喚起しなければなりません。
 特に、被爆体験の風化が叫ばれる中、次代を担う青少年に原爆の恐ろしさと戦争の悲惨さを伝え、平和の大切さと命の尊さを、いかに教えていくかが重要な課題となっています。
 同時に、地域紛争、飢餓、貧困、人権抑圧、環境破壊など平和を脅かす諸問題を、市民一人ひとりが自分の問題として考え、対応していくことも求められています。
 また、学校、家庭、地域社会の日常生活の中で、お互いの違いを認め合い、思いやりと助け合いの心を育てることが、平和の第一歩であります。


2 被爆都市としての取り組み
(1) 現状と課題
 昭和20年(1945年)8月9日午前11時2分、本市は広島市に続いて、原爆の被災を受けました。長崎のまちは一発の原子爆弾により一瞬にして廃墟と化し、当時の人口の3分の2にあたる15万人余りの人々が死傷しました。また、原爆でなくなった人たちの中には、中国人や朝鮮人、連合軍捕虜たちも数多く含まれていました。
 一方で、第二次世界大戦では、日本がアジア、太平洋の国々の人たちに、大きな苦痛と悲しみを与えたことを忘れてはなりません。
 そして、悲惨な体験をした日から半世紀以上が経った今もなお、毎年数多くの被爆者が原爆後障害のため亡くなったり、病気や老後の不安におびえる日々を送っています。
 被爆者は、戦後の復興期において、被爆による身体的・精神的苦痛のみならず、親族・友人を失った悲しみや心の傷を引きずりながら生きてきました。
 この間、国は昭和32年(1957年)に、「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」を、また、昭和43年(1968年)には、「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」を制定し、被爆者の健康管理、医療及び福祉の向上を図ってきました。
 さらに、平成7年(1995年)には、高齢化の進行など被爆者を取り巻く環境の変化を踏まえ、恒久の平和を祈願するとともに、被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国としての原爆死没者の尊い犠牲を銘記するため、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を施行しました。
 戦争の悲惨さと原爆の恐ろしさを体験した長崎市民は、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を訴え続けています。この訴えは、核兵器による悲劇が決して繰り返されないように、核兵器による犠牲は私たち長崎市民が最後であって欲しいという願いに基づいています。本市は昭和23年(1948年)から、毎年8月9日に原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を行い、長崎市長が市民の平和の願いを込めた平和宣言を行っています。
 平成元年(1989年)3月、市制施行100周年の年に長崎市民の平和への誓いを新たにするため「長崎市民平和憲章」を制定しました。
 この憲章は次の5項目からなっています。

1 お互いの人権を尊重し、差別のない思いやりにあふれた明るい社会づくりに努める。
1 子どもたちに戦争の恐ろしさを原爆被爆の体験とともに語り伝え、平和に関する教育の充実に努める。
1 国際文化都市として世界の人々との交流を深めながら、国連並びに世界の各都市と連帯して人類の繁栄と福祉の向上に努める。
1 非核三原則を守り、国に対してもこの原則の厳守を求め、世界の平和・軍縮の推進に努める。
1 被爆都市の使命として、核兵器の脅威を世界に伝え、世界の人々と力を合わせて核兵器の廃絶に努める。

 本市は、「長崎市民平和憲章」にうたわれている理念を達成するため各種の平和事業を実施しています。
 しかしながら、被爆後半世紀以上が経過し、戦後生まれの世代が本市人口の7割に達し、被爆者が高齢化する中で、青少年に対する戦争体験、被爆体験の継承が平和行政の重要な課題となっています。
 また、世界では民族や宗教などの対立に起因する地域紛争が後を絶たず、さらには、飢餓、貧困、難民、人権抑圧、環境破壊等の平和を阻害する諸問題が山積みしています。
 本市としては、被爆都市の使命として被爆の実相を国の内外に伝え、核兵器廃絶の世論を世界に広げるとともに、戦争や地域紛争を防止し、平和を阻害する諸問題の解決のために、なすべき市民の役割を考える国際理解教育を推進し、市民のボランティア活動を奨励することも、今後の課題です。

(2) 具体的施策の方向
 本市は、古くから外国との交流を通じて発展してきた歴史的特性と、被爆体験に基づき核兵器廃絶を訴えている平和都市としての使命を踏まえ、「長崎市民平和憲章」を基本理念として、平和事業を推進していかなければなりません。
 戦争体験、被爆体験を継承するため、被爆体験講話、原爆映画・ビデオの上映、原爆資料館の見学などを通じて戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさ、平和の大切さ、人の命の尊さについて学ぶナガサキ平和学習プログラムを積極的に推進します。
 また、沖縄県、広島市をはじめとする全国の青少年との平和交流事業や、児童・生徒向け原爆図書の発刊、平和宣言解説書の配布、平和ポスター・標語の募集及び展示、平和講座、講演会、シンポジウムの開催などにより青少年や市民の平和意識の高揚に努めます。
 被爆の実相を国内外の人々に伝え、核兵器廃絶の国際世論を喚起するために原爆展の開催、インターネットによる原爆・平和情報の発信を進めるとともに、国連をはじめとする国際機関やNGO(非政府組織)との連携を図るため、国連と軍縮シンポジウムや核兵器廃絶地球市民集会などの開催に努めます。
 さらに、世界の550都市以上が加盟している平和市長会議の活動や、長崎ヒバクシャ医療国際協力会の事業を通じて、都市が共通に抱える問題や平和を阻害する問題の解決に協力したり、核実験等の放射線被害者の支援を図ります。
 また、在外被爆者に対する支援の充実を図ります。


第4章 人権教育・啓発の推進
1 あらゆる場における人権教育の推進
(1) 学校等における取組
@ 現状と課題
 学校教育においては、憲法や教育基本法に示された基本的人権尊重の精神を育成することが、戦後一貫して求められてきました。
 本県では、昭和53年(1978年)に「長崎県同和対策基本方針」が策定されましたが、長崎市教育委員会は、これを受けて、昭和54年(1979年)に「長崎市立学校における同和教育の推進に関する基本的な考え方」を示しました。
 長崎市立の幼稚園や諸学校においては、これに基づいて、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消を目指す教育を推進してきました。学校(園)における同和教育が、人権を尊重する教育の中核を担ってきたと言えます。
 近年、社会の変化と人権意識の高揚を背景に、様々な人権問題が教育上の課題として取り上げられるようになってきています。

ア 全体の課題
 幼児・児童・生徒の豊かな人間性や社会性を調和的に育成することが、学校(園)における人権教育推進の目標です。
 そのためには、幼児・児童・生徒の発達段階に応じて、学校(園)の教育活動全体を通じて、公正・中立の立場から、人権尊重の意識を高める教育がなされなければなりません。
 人権問題は、国の基本計画に掲げられた重要課題だけでも多岐にわたっています。人権教育を、こうした様々な課題の単なる知識としての伝達に終わらせず、差別をなくし、人権を大切にする態度の育成にまで深めていきたいと考えます。
 また、幼児・児童・生徒の教育を受ける権利を大切にしながら教育の方法に関しても、人権が守られた状況で進められるような配慮がなされていかなければなりません。
 学校においては、人権週間を中心にして、人権集会を開催したり、人権擁護委員連合会主催の人権作文コンテストへの応募等の活動を行ったりして児童・生徒の意識の高揚に努めてきました。
 子どもたち一人ひとりに人権感覚と人権尊重の態度を養い、いじめや不登校、いわれのない差別、非行や暴力等のない、子どもたちが安心して通える、明るい学校づくりを進めることが学校における課題です。また、教職員に対しては、人権教育が特定の知識や考えを一方的に児童・生徒に押し付けていくものではなく、誰もが課題として持っており、関わっている問題だという認識を徹底していかなければなりません。

イ 女性に関する問題
 本市教育委員会は平成10年(1998年)に、「長崎市立幼稚園及び小・中学校における男女平等教育の推進について」により、基本的な考え方と推進の視点を示し、学校における男女平等教育を推進してきました。
 保健体育や技術・家庭科など、従来男女別に行われてきた授業も、現在は男女共修が原則となっており、男女が区別される場面は、健康診断等の限られたものとなってきました。
 しかし、保護者や教職員の中にも依然としてジェンダーによる男女の区別をする意識が残っており、家庭・地域・学校における男女平等教育の推進が課題となっています。

ウ 子どもに関する問題
 平成元年(1989年)国連において「児童の権利に関する条約」が採択され、平成6年(1994年)に条約の効力が生じました。この条約は、18歳未満のすべての子どもが一人の人間として尊厳をもって生きていくための権利を総合的に保障したものです。本市では、平成9年(1997年)に小・中学生向けに啓発用リーフレットを作成するなど、その趣旨の周知に努めてまいりました。
 また、いじめや不登校が全国的に深刻な問題となっていますが、本市も例外ではありません。市内の小・中学校においては、いじめは平成7年(1995年)をピークに減少傾向にありますが、不登校は平成6年(1994年)の調査開始から、いったん減少し、その後増加を続けていましたが、平成13年度からは、やや減少傾向にあります。
 すべての子どもたちが安心して登校し、教育を受ける権利が保障されるように、継続した努力が求められています。

エ 高齢者に関する問題
 市内の小・中学校では、地域の高齢者との交流活動や擬似体験によって、高齢者の立場の理解を図るなど、様々な活動が行われています。
 今後、高齢者の持つ豊かな知恵や経験を、教育活動に生かしていくことが求められています。

オ 障害者に関する問題
 本市においては、昭和36年(1961年)、長崎市立学校に初めて特殊学級が設置されて以来、特殊教育に関わる実践的研究が推進されてきました。その後、昭和54年(1979年)養護学校設置義務化、昭和56年(1981年)の国際障害者年を契機に学校教育における障害者理解の推進を図るため、積極的な交流教育の取組が始まり、従来の分離教育から統合教育への転換を図り、現在、通常学級と特殊学級の校内交流や養護学校との学校間交流も盛んに行われています。
 また、障害児の社会参加や地域の理解啓発を図るために、保護者、特殊学級、養護学校、小・中学校、高校が一堂に会した地域交流推進事業も、平成9年(1997年)から実施されています。
 加えて、各種障害者団体の協力で小・中学校において「手話教室」、「車椅子体験」、「啓発講話」なども取り入れられ、児童・生徒の福祉に対する意識も高まってきました。
 今後も、家庭・学校・各種機関・地域の連携による交流の一層の推進が求められています。

カ 同和問題
 本市教育委員会が作成する「指導計画書」(各教科・道徳・特別活動の年間をとおした学習指導のプラン)の中には、人権を尊重する人権・同和教育の推進の視点を具体的に掲げ、カリキュラム全体の中に人権・同和教育の視点を位置付けてきました。また、市立の各小・中学校においては、毎年人権・同和教育の全体計画を作成し、年間をとおして計画的に教職員の研修や授業研究、児童・生徒への指導を行うようにしています。
 さらに、本市教育委員会においては、教職員対象の研修会等を行い、啓発資料や指導資料を作成・配布するなどの事業を行ってきました。
 しかし、部落差別に関わる差別事象は依然としてなくなっておらず、さらに、努力が求められています。

キ 外国人に関する問題
 昭和63年(1988年)からは、長崎市立中学校にALT(外国語指導助手)が配置されるようになり、外国人との交流をとおして、外国の言語や文化に関する理解を深め、生徒に国際理解の精神を培ってまいりました。平成15年度(2003年度)現在、市内の中学校に12人のALTが配置され、すべての中学校を訪問しています。また、平成12年度(2000年度)から始まったハローイングリッシュ事業では、市内在住の外国人を各小学校に派遣し、交流しながら外国の言語や文化を学ぶ機会を設けています。
 児童・生徒の外国の言語や文化に対する理解を一層深め、外国人の持つ文化や多様性を受け入れ、尊重する態度を育てることが求められています。

A 具体的施策の方向
ア 発達段階に応じた人権感覚と態度の育成を図ります。
(ア)就学前の時期には、家族以外の他者との関係を広げ、自我の発達の基礎を築くための安定した教育環境づくりに努めます。また、幼児の主体的な活動としての遊びを保障し、生きる力の基礎となる人と関わる力を育てます。
(イ)小・中学校の時期には、各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間等のあらゆる教育活動をとおして、人権についての教育を推し進めるとともに、体験活動を重視し、様々な人々との交流をとおして、児童・生徒の人権感覚と態度を育みます。

イ 家庭・学校・地域及び関係団体との連携による教育・啓発を進めます。

ウ リーフレット等の啓発資料を作成し、人権教育の重要課題等の正しい理解と周知に努めます。

エ 様々な体験活動や交流活動を推進します。

オ 教職員対象の研修や学校における実践的な研究を進めます。
(ア)教職員の人権感覚と技能を磨く参加型の研究を進めます。
(イ)管理職や新任教員対象の研修を充実させます。
(ウ)学校においては、授業研究を中心とした実践的な研究を進めます。

カ すべての子どもたちが安心して登校することのできる学校づくりのために、スクールカウンセラー等の相談員を配置するとともに、各学校や長崎市教育研究所における教育相談事業を充実させます。

(2) 社会教育における取組
@ 現状と課題
 国際化、高度情報化、少子高齢化、核家族化、価値観の多様化等、近年の社会変化は、我が国の家庭や地域の在り方についても急激な変化をもたらしています。
 そこで、これらの社会変化に対応し、人々が互いに「人間の尊厳」を尊重し合えるような社会を構築するためにも、社会教育の分野において人権教育を一層推進し、家庭や地域の教育力を向上させることがますます必要になってきています。
 これまで公民館等の社会教育施設においては、人権に関する講座や研修会、映写会等を行うなど、学習機会の提供と人々の人権意識の高揚に努めてきました。
 さらに、同和問題をはじめとするあらゆる差別をなくしていくことを目指して、関係団体との協議の場として「長崎市同和教育推進協議会」を設置し、PTA連合会、青少年育成連絡協議会、人権教育研究会等と様々な事業の連絡調整を行っています。その結果、講演会、研修会等を開催する際に、連携を取り合うなど協力関係も深まり、機能的な人権・同和教育の推進が図れるようになってきています。
 また、近年、人権に対する関心が増してきたことなどにより、以前より、人権教育に関する様々な事業への参加者は増加傾向にあります。
 しかし、昨今、人権侵害に関する問題は複雑化し、少年が被害者にも加害者にもなり、その結果家庭が崩壊するなどの重大な事件も起こっています。こうした状況を考えるとき、私たちの人権感覚や意識は、主として家庭や地域における人間関係の中で培われることから、とくに家庭や地域住民が人権についての学習を進めていくことがますます重要となっています。

ア 家庭における人権教育
 子どもの成長過程において、ものの考え方や判断力をはじめとする人格の形成は、その多くが家族とのふれあいの中で行われます。したがって、家庭での毎日の生活や言動は子どもに大きな影響を与えることから、家庭は人権教育を推進する上でも重要な場となります。なかでも家庭においては大人の役割が大切であり、大人自身が生命の尊さや人権尊重を基本にした考え方や態度を持って接することがたいへん重要です。
 また、家族のきずなを深め、相手を大切にする心を培うためにも、人権問題について大人と子どもが率直に話し合うこともとても大切です。話し合うことで共通の考えを形づくり、お互いの理解を深め、親子・家族を基本として、心の通い合う豊かな人間関係を築き上げることができるのです。
 こうした意味で、幼児虐待など家庭の問題が社会問題化している今日、家庭内での養育者に対して、子どものしつけのあり方を含めて、人権教育を進めていくことが今後ますます求められます。

イ 地域における人権教育
 家庭をとりまく地域においては、そこに暮らす人々の生き方や姿勢が影響し合うだけでなく、子どもたちの人格の形成にも大きな影響を与えます。したがって、地域社会全体として人権尊重の意識を高めていくことは、日常生活における実践的な人権感覚を培うことにつながります。
 また、地域社会での人と人との交流は、互いに相手を理解し認め合う心を育み、先入観や偏見を取り除くための第一歩となります。
 このようなことから、地域住民が地域ぐるみで人権教育を推進し、具体的な生活上の問題を題材として学ぶことが、人権感覚豊かな地域づくりにとってたいへん重要です。
 人と人が互いに認め合って生きていく社会では、人として最低限のマナーやエチケットが身に付いていなければなりません。地域の共同体が崩壊しつつあることが指摘されている今日、自らの権利のみを主張するあまり、地域の一体感が希薄化している地域社会に住む人々が、お互いに尊重し合い、ともに支えあうような正しい人権感覚を身につけることもまた、今後の大きな課題となります。

A 具体的施策の方向
 様々な人権課題の解決のためには、人権問題に対する知識、技能、態度を身につけ、人権についての共通の認識を育てる必要があります。
 そのため、家庭や地域住民が身近に人権教育に参加できるよう、日常生活の中で起こる問題に気づくことから啓発を進め、対象や実態、関心に応じて、学習者が主体的に日常の行動に移すことができるような学習プログラムにより、多様な学習機会の提供に努めていきます。

ア 家庭や地域の教育力の向上に資するため、PTAをはじめとする社会教育関係団体と連携を深め、支援に努めます。
イ 青少年と高齢者等、異年齢による様々な体験活動等をとおして互いの人権問題への理解を深め、人権感覚の向上に努めます。
ウ 地域で活動する団体間・グループ間相互の連携を深め、地域ぐるみで行われる人権啓発活動の支援に努めます。
エ 公民館等の社会教育施設における講座、学級、研修会、映画会等を通じて、成人の人権感覚向上に努めます。
オ 人権ポスターや人権啓発リーフレット等により、市民が身近に感じられるような人権啓発に努めます。
カ 同和教育推進協議会を通じて、相互の協力関係を一層密にし、豊かな人権・同和教育の推進に努めます。

(3) 団体・企業等における取組
@ 現状と課題
 企業等は、経済活動等を行うことにより地域の発展に寄与するだけでなく、雇用の創出による労働者の生活基盤確保の役割でも重要なものです。
 近年、リストラや過労死など労働者の人権に関わる問題が社会問題化しており、企業そして使用者の人権意識が問われる時代になっています。
 また、すべての人が、雇用条件や雇用環境において等しい機会を与えられることは基本的、かつ、重要なことであり、企業等が性別や高齢者、障害者、同和問題等において十分な人権への配慮を行うことが必要です。
 さらに、企業等においては、セクシャル・ハラスメントや性的マイノリティーとされる人の人権問題など、新しい課題も起こっています。
 市内企業の現状は、業種等にもよりますが、性別による偏った採用や、障害者の法定雇用率を満たしていないところもまだあります。
 また、長引く景気低迷による企業のリストラ等においても、高齢者、女性、障害者がその対象となることが危倶されます。
 このような中で、本市も支援している長崎雇用対策協会においては企業や事業主に対して、毎年研修会を開催し、採用選考時の人権に係る基本的な事項について啓発に努めており、こうした研修会等を通じて、企業や事業主へ人権意識の高揚を図っていくことが重要であると考えます。
 一方、市職員の採用にあたっては、地方公務員法の趣旨に基づき、平等・公開の原則による公正な試験制度を実施しています。特に、面接試験の委員には他都市に先駆け民間人を登用しています。平成11年度からは、視覚障害者を対象に点字による受験を可能とし、平成12年度からは、障害者の雇用の拡大を図るため、別枠採用を実施しています。また、消防職員の採用に当たっては、これまでの男子限定を撤廃しました。
 今後も、学歴別採用試験のあり方などの見直しを含め、人権に配慮した公正な採用選考システムを検討する必要があります。

A 具体的施策の方向
 平成11年(1999年)4月に「男女雇用機会均等法」が改正され、また、本市では同年9月に「ながさき男女共同参画都市宣言」を行いました。これらの趣旨を生かし、男女の均等な雇用機会と待遇の確保のために、本市が率先して採用等における性別による差別がないよう配慮していくとともに、企業等に対する啓発活動にも力を注いでいきます。
 また、高齢者や障害者の雇用に対する各種助成制度が国等において実施されていることから、本市が発行する企業向け労働情報誌「労政だより」等により周知することにより、事業主の障壁を取り除いていくよう努めていきます。
 このほか、雇用に関わる様々な人権問題に対応するため、事業所内に※公正採用選考人権啓発推進員(以下「推進員」という。)が配置されています。今後もこのような事業所に対し、市が主催する人権問題講演会等への参加を呼びかけるとともに、推進員に対する研修会を支援するために、県、公共職業安定所等関係機関との連携を深めていきます。
 さらに、企業が自ら積極的に人権教育に取り組んでいくよう経済関係団体等に対し要請します。
 市職員についても募集・採用時の問題だけでなく、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止といった新しい課題についても、平成12年度にセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する要綱を制定し、その防止に努めています。

※【公正採用選考人権啓発推進員】
 常時雇用する従業員の数が50人以上の事業所等において選任し、就職の機会均等を確保するという視点に立ち、公正な採用、選考システムの確立及び企業内研修において中心的な役割を担う者である。

図10 今後の人権教育・啓発のあり方(省略)


2 特定職業従事者に対する人権教育・啓発
(1) 市職員
 市民生活に影響を持つ行政の場にある職員は、高い人権意識をもって施策の推進にあたらなければなりません。そのために、職員一人ひとりが豊かな人権感覚を持ち、職務に実践する態度を向上させるため、職場での取組をはじめ職員研修の充実に努めます。

(2) 教職員
 教職員に対しては、教職員自身の人権意識を高め、人権教育の推進を図るため、様々な研修をとおして、知識や技術の伝達及び態度の形成に努めます。

(3) 消防職員等
 消防の目的は市民の生命の安全と財産を守ることであるため、その職務は住民の生活と密着しており、住民との人権を尊重した相互の信頼関係の構築が必要です。
 このため消防職員や団員等は、住民との信頼関係を確保しながら、防火・防災活動やその啓発活動を実施できるように、研修等をとおして、人権に対する理解と認識向上を主眼に教育の充実に努めます。

(4) 医療関係者
 医師や看護師をはじめとする医療関係者は、生命の尊重と個人の尊厳の保持という市民の基本的人権に関わる使命に従事しています。
 また、良質な医療の提供を行うためには、医療を受ける者との間に強固な信頼関係を築くことが必要であり、患者の自己決定権を尊重し、患者の立場に立ったインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の徹底を図ることが大切です。
 このようなことから、医療機関等に対し人権意識の一層の向上を図るよう、人権教育・啓発の充実を要請します。

(5) 福祉保健関係者
 高齢者、子ども、障害者等に接する機会が多い社会福祉関係者及び保健関係者等に対して、対象者の人格の尊重、個人の秘密保持、公平な処遇の確保、人権尊重の教育及び啓発を充実するよう関係機関に要請します。


第5章 計画の推進
1 人権教育・啓発の効果的な推進のために
(1) 人材の育成
 人々が科学的、合理的な生活態度を身に付け、差別の実態を正しく認識し、同和問題をはじめとする人権問題の解決に当たるよう、あらゆる機会に、あらゆる年齢層に対して、その発達段階に応じた人権教育・啓発を推進していきます。
 そのためには、市民の身近なところでの人権問題に関する指導者や地域社会に密着した指導者が必要です。
 また、専門的知識に加え、系統的な人権に関する研修を企画することができる指導者も必要です。
 今後とも、地域における人権問題に関する指導者の育成に取り組みます。

(2) 効果的な内容及び手法の検討
 人権教育・啓発を効果的に推進するため、次のような視点で啓発事業及び教材・啓発資料の整備などに努めます。
@ 市民に受け入れやすく、分かりやすい内容
 人権問題を市民一人ひとりが自らの問題としてとらえることが必要であり、そのためには、日常生活の中において人権とのかかわりが自覚できるよう、身近な問題を取り上げたり、表現や内容をわかりやすくする。
A 一面的な内容でなく多様な価値観に基づく内容
 差別の悲惨さ、厳しさだけでなく、差別を受けた人々の生き方や育まれた伝統や文化を紹介することで、総合的に学べる内容にする。
 また、様々な価値観や文化の違いを認め、共生するすばらしさを学べる内容にする。
B 自らが考え体験できる手法
 従来の講演型や視聴覚を取り入れたものに加え、意見の交換や様々な体験を通して学びあうことができる参加型の手法を取り入れる。
 また、教材・啓発資料に市民の作品や意見を取り入れることにより、親しみがわくものにする。

(3) 国、県及び関係団体との連携
 人権教育・啓発を効果的に推進していくためには、国及び県との連携を図るとともに企業や民間団体等との連携が必要です。
 そのためには、人権啓発活動ネットワーク協議会や公共職業安定所など関係機関との情報交換を緊密にし、それぞれの役割に応じた人権教育・啓発の協力並びに支援体制を強化します。

(4) メディアを活用した情報の提供
 人権に関する情報を積極的に市民に伝えていくことは、人権教育・啓発を進めるうえで、大変重要なことです。
 特に、情報を効果的に伝達するには、啓発の内容が市民にわかり易く、より身近に感じとることができるよう情報発信する必要があります。
 その提供方法として、
@ 講座や講演会の告知、人権に関する記事の掲載等、広報紙をはじめ市の広報媒体を利用した啓発に積極的に取り組みます。
A 報道機関を通じた広報を効果的に活用します。

(5) 相談体制の充実
 人権擁護推進審議会の答申(「人権救済制度の在り方について」)の中で、「相談」は適切な助言を通じて、人権侵害の発生や拡大を防止し、本格的な救済手続きへの導入や他の救済制度への紹介が可能となるなど、人権救済制度における「相談」の重要性が述べられています。
 本市においては、市政相談や法律相談等のほか、女性、子ども、高齢者など分野ごとに、それぞれの所管において対応しています。しかし、人権に関する相談は、相談者の状況により多種多様であり、また複雑なケースも多く、対応する職員の人権感覚の研さんと専門的知識や資質の向上が必要です。
 また、事案に応じた適切な部署・機関に取次ぎを行うことも必要であり、他の部門の情報の共有化や関係機関との連携協力が必要です。

図11 効果的な啓発活動(省略)


2 推進体制
 本市は、人権教育・啓発の総合的かつ計画的な進展を図るため、長崎市人権教育及び啓発推進本部のもと、全庁体制での取組により、人権教育・啓発に係る施策を市政のあらゆる分野で推進するとともに、その状況の把握に努め、本市基本計画の実現を目指します。

3 計画の周知
 この基本計画の推進に当たっては、関係団体をはじめ市民の理解と協力が不可欠であり、計画の周知徹底に努めます。

4 計画の見直し
 推進本部は、この計画の目標達成への努力の過程において、社会状況の変化及び進捗状況に応じ、計画の見直しなどを行うものとします。





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