HOME > 研究所の概要 > 設立趣旨書



設 立 趣 旨 書


1 趣旨 

長崎県を中心とした被差別部落の歴史、部落解放運動の歩み、同和教育の発展などに関わる史実を調査・研究し、その成果を広く県民のものとすることによって部落の完全解放に寄与することを目的に、大学・行政・教育の関係者、並びに部落解放の活動家および個々に調査研究を進めてきた人々の協力により、1979年11月に長崎県部落史研究所が設立されてから四半世紀が経過しました。

顧みれば、設立当初は部落史を調査研究するような研究者はまれで、調査機関も全国的に少なく、九州では福岡部落史研究会に次ぐもので、部落史を調査することが果たして部落の解放に役立つのだろうか、むしろ解放運動の足を引っ張るだけではないだろうかとの危惧の念を抱く関係者は少なくありませんでした。

しかしながら、年に二回の研究誌「ながさき部落解放研究」(現在の「もやい」)の発行を続けていく中で、全国的には勿論、県内でも部落史に関する新しい発見が多々あり、部落の多様な実態が大きく浮かび上がってきつつあります。

この様な経緯の中で、国連において「人権教育のための国連10年」が採択され、これを受けての「国内行動計画」の策定や「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の制定がなされ、各都道府県などの地方自治団体も一斉に人権問題に関する種々の啓発・教育に一層力を入れるようになりました。そしてまた、これまで部落史研究や同和教育に取り組んできた諸機関や諸団体が部落問題だけにとどまらず、行動の枠を広げて諸問題へも取り組むことができるようにと組織替えを行いつつあります。

こうした時代の要請を受けて、長崎県部落史研究所も、最近では部落問題とは直接的には関係ない種々の人権問題に関する資料や情報の収集および提供にも少しずつ手を広げながら、@人権講座や部落問題セミナー等の開催、A部落の歴史を実体験できるフィールドワークの実施、B人権に関する講演会や研究会等への講師の派遣、C人権意識に関する調査結果の集計および分析、あるいは人権啓発講座等の開催事業を受託するなど、長崎県内被差別部落史の調査・研究及び啓発に関わる県の委託事業である五ヶ年計画の許す範囲内で、最大限に幅広く人権啓発活動にも取り組んできました。

来年3月末で第五次五ヶ年計画が終了することを一つの契機として、長崎県部落史研究所の更なる発展を願い、これまでの単なる任意団体から脱皮し、「特定非営利活動促進法」に基づく法人としての社会的信頼を高めるとともに、部落問題を始め様々な人権問題の研究並びに人権啓発に関わる事業を推進する機関としての活動基盤を更に充実させるため、本法人を設立することにしました。

長崎県が目指す「ぬくもりと心の豊かさが実感できる社会」の実現に少しでも寄与できれば幸いです。


2 申請に至るまでの経過 

2003年4月から2004年3月までの1年をかけて、特定非営利活動法人長崎人権研究所の設立に向けての準備会を開催し、この法人の目的や事業に関して検討をしてきました。またその間、関係機関・団体ともいろいろな角度から、研究所のあり方について検討を重ねてきました。

そして、その後2004年4月、設立中心メンバー5名が法人の活動の骨子をまとめ、設立趣旨等の確認をし、同年6月6日、特定非営利活動法人長崎人権研究所設立総会を開催し、特定非営利活動法人として長崎県知事に設立の認証申請を行うこととしました。



 2004年6月6日

                         特定非営利活動法人長崎人権研究所
                             設立代表者 藤澤 秀雄






HOME > 研究所の概要 > 設立趣旨書