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高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律
公布:平成12年5月17日法律第68号
施行:平成12年11月15日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日
目次
第一章 総則(第一条−第三条)
第二章 移動円滑化のために公共交通事業者等が講ずべき措置(第四条・第五条)
第三章 重点整備地区における移動円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進(第六条−第十四条)
第四章 指定法人(第十五条−第十九条)
第五章 雑則(第二十条−第二十四条)
第六章 罰則(第二十五条−第二十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等の構造及び設備を改善するための措置、旅客施設を中心とした一定の地区における道路、駅前広場、通路その他の施設の整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「高齢者、身体障害者等」とは、高齢者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの、身体障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。
2 この法律において「移動円滑化」とは、公共交通機関を利用する高齢者、身体障害者等の移動に係る身体の負担を軽減することにより、その移動の利便性及び安全性を向上することをいう。
3 この法律において「公共交通事業者等」とは、次に掲げる者をいう。
一 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者(旅客の運送を行うもの及び旅客の運送を行う鉄道事業者に鉄道施設を譲渡し、又は使用させるものに限る。)
二 軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道経営者(旅客の運送を行うものに限る。)
三 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による一般乗合旅客自動車運送事業者
四 自動車ターミナル法(昭和三十四年法律第百三十六号)によるバスターミナル事業を営む者
五 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)による一般旅客定期航路事業(日本の国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他の団体以外の者が営む同法による対外旅客定期航路事業を除く。以下同じ。)を営む者
六 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)による本邦航空運送事業者(旅客の運送を行うものに限る。)
七 前各号に掲げる者以外の者で次項第一号、第四号又は第五号の旅客施設を設置し、又は管理するもの
4 この法律において「旅客施設」とは、次に掲げる施設であって、公共交通機関を利用する旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
一 鉄道事業法による鉄道施設
二 軌道法による軌道施設
三 自動車ターミナル法によるバスターミナル
四 海上運送法による輸送施設(船舶を除き、同法による一般旅客定期航路事業の用に供するものに限る。)
五 航空旅客ターミナル施設
5 この法律において「特定旅客施設」とは、旅客施設のうち、利用者が相当数であること又は相当数であると見込まれることその他の政令で定める要件に該当するものをいう。
6 この法律において「車両等」とは、公共交通事業者等が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両、自動車、船舶及び航空機をいう。
7 この法律において「重点整備地区」とは、特定旅客施設を中心として設定される次に掲げる要件に該当する地区をいう。
一 特定旅客施設との間の移動が通常徒歩で行われ、かつ、高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他の施設の所在地を含む地区であること。
二 特定旅客施設、当該特定旅客施設と前号の施設との間の経路(以下「特定経路」という。)を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設(以下「一般交通用施設」という。及び当該特定旅客施設又は一般交通用施設と一体として利用される駐車場、公園その他の公共の用に供する施設(以下「公共用施設」という。)について移動円滑化のための事業が実施されることが特に必要であると認められる地区であること。
三 当該地区において移動円滑化のための事業を重点的かつ一体的に実施することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であること。
8 この法律において「特定事業」とは、公共交通特定事業、道路特定事業及び交通安全特定事業をいう。
9 この法律において「公共交通特定事業」とは、次に掲げる事業をいう。
一 特定旅客施設内においてエレベーター、エスカレーターその他の移動円滑化のために必要な設備を整備する事業
二 前号の事業に伴い特定旅客施設の構造を変更する事業
三 公共交通事業者等が特定旅客施設を利用する旅客の運送を行うために使用する自動車(以下「特定車両」という。)を床面の低いものとすることその他の特定車両に関する移動円滑化のために必要な事業
10 この法律において「道路管理者」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。
11 この法律において「道路特定事業」とは、次に掲げる道路法による道路の新設又は改築に関する事業(これと併せて実施する必要がある移動円滑化のための施設又は設備の整備に関する事業を含む。)をいう。
一 歩道、道路用エレベーター、通行経路の案内標識その他の移動円滑化のために必要な施設又は工作物の設置に関する事業
二 歩道の拡幅又は路面の構造の改善その他の移動円滑化のために必要な道路の構造の改良に関する事業
12 この法律において「交通安全特定事業」とは、次に掲げる事業をいう。
一 高齢者、身体障害者等による道路の横断の安全を確保するための機能を付加した信号機、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九条の歩行者用道路であることを表示する道路標識、横断歩道であることを表示する道路標示その他の移動円滑化のために必要な信号機、道路標識又は道路標示(以下「信号機等」という。)の同法第四条第一項の規定による設置に関する事業
二 違法駐車行為(道路交通法第五十一条の二第一項の違法駐車行為をいう。以下この号において同じ。)に係る自転車その他の車両の取締りの強化、違法駐車行為の防止についての広報活動及び啓発活動その他の移動円滑化のために必要な特定経路を構成する道路における違法駐車行為の防止のための事業
(基本方針)
第三条 主務大臣は、移動円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動円滑化の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 移動円滑化の意義及び目標に関する事項
二 移動円滑化のために公共交通事業者等が講ずべき措置に関する基本的な事項
三 第六条第一項の基本構想の指針となるべき次に掲げる事項
イ 重点整備地区における移動円滑化の意義に関する事項
ロ 重点整備地区の位置及び区域に関する基本的な事項
ハ 特定旅客施設、特定車両、特定経路を構成する一般交通用施設及び当該特定旅客施設又は一般交通用施設と一体として利用される公共用施設について移動円滑化のために実施すべき特定事業その他の事業に関する基本的な事項
ニ ハに規定する事業と併せて実施する土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業をいう。以下同じ。)、市街地再開発事業(都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)による市街地再開発事業をいう。以下同じ。)その他の市街地開発事業(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第七項に規定する市街地開発事業をいう。以下同じ。)に関し移動円滑化のために考慮すべき基本的な事項その他必要な事項
四 移動円滑化の促進のための施策に関する基本的な事項その他移動円滑化の促進に関する事項
3 主務大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。
4 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第二章 移動円滑化のために公共交通事業者等が講ずべき措置
(基準適合義務等)
第四条 公共交通事業者等は、旅客施設を新たに建設し、若しくは旅客施設について主務省令で定める大規模な改良を行うとき又は車両等を新たにその事業の用に供するときは、当該旅客施設又は車両等(以下「新設旅客施設等」という。)を、移動円滑化のために必要な構造及び設備に関する主務省令で定める基準(以下「移動円滑化基準」という。)に適合させなければならない。
2 公共交通事業者等は、新設旅客施設等を移動円滑化基準に適合するように維持しなければならない。
3 公共交通事業者等は、その事業の用に供する旅客施設及び車両等(新設旅客施設等を除く。)を移動円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4 公共交通事業者等は、高齢者、身体障害者等に対し、これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。
5 公共交通事業者等は、その職員に対し、移動円滑化を図るために必要な教育訓練を行うよう努めなければならない。
(基準適合性審査等)
第五条 主務大臣は、新設旅客施設等について鉄道事業法その他の法令の規定で政令で定めるものによる許可、認可その他の処分の申請があった場合には、当該処分に係る法令に定める基準のほか、移動円滑化基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
2 公共交通事業者等は、前項の申請又は鉄道事業法その他の法令の規定で政令で定めるものによる届出をしなければならない場合を除くほか、旅客施設の建設又は前条第一項の主務省令で定める大規模な改良を行おうとするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
3 主務大臣は、新設旅客施設等のうち車両等(第一項の規定により審査を行うものを除く。)若しくは前項の政令で定める規定若しくは同項の規定による届出に係る旅客施設について前条第一項の規定に違反している事実があり、又は新設旅客施設等について同条第二項の規定に違反している事実があると認める場合には、公共交通事業者等に対し、当該旅客施設又は車両等を移動円滑化基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨の命令をすることができる。ただし、鉄道事業法その他の法律の規定で政令で定めるものによる事業改善の命令がある場合にあっては、当該命令によるものとする。
第三章 重点整備地区における移動円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進
(移動円滑化基本構想)
第六条 市町村は、基本方針に基づき、単独で又は共同して、当該市町村の区域内の重点整備地区について、移動円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想(以下「基本構想」という。)を作成することができる。
2 基本構想には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 重点整備地区における移動円滑化に関する基本的な方針
二 重点整備地区の位置及び区域
三 特定旅客施設、特定車両、特定経路を構成する一般交通用施設及び当該特定旅客施設又は一般交通用施設と一体として利用される公共用施設について移動円滑化のために実施すべき特定事業その他の事業に関する事項
四 前号に規定する事業と併せて実施する土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業に関し移動円滑化のために考慮すべき事項その他必要な事項
3 基本構想は、都市計画及び都市計画法第十八条の二の市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれ、かつ、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即したものでなければならない。
4 市町村は、基本構想を作成しようとするときは、これに定めようとする特定事業に関する事項について、関係する公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)と協議しなければならない。
5 市町村は、基本構想を作成するに当たり、あらかじめ、関係する公共交通事業者等、道路管理者及び公安委員会に対し、特定事業に関する事項について基本構想の案を作成し、当該市町村に提出するよう求めることができる。
6 前項の案の提出を受けた市町村は、基本構想を作成するに当たっては、当該案の内容が十分に反映されるよう努めるものとする。
7 前二項に規定するもののほか、関係する公共交通事業者等、道路管理者その他の一般交通用施設及び公共用施設の管理者並びに公安委員会は、市町村による基本構想の作成に協力するよう努めなければならない。
8 市町村は、基本構想を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣、都道府県並びに関係する公共交通事業者等、道路管理者その他の一般交通用施設及び公共用施設の管理者並びに公安委員会に、基本構想の写しを送付しなければならない。
9 主務大臣及び都道府県は、前項の規定により基本構想の写しの送付を受けたときは、市町村に対し、必要な助言をすることができる。
10 第四項から前項までの規定は、基本構想の変更について準用する。
(公共交通特定事業の実施)
第七条 前条第一項の規定により基本構想が作成されたときは、関係する公共交通事業者等は、単独で又は共同して、当該基本構想に即して公共交通特定事業を実施するための計画(以下「公共交通特定事業計画」という。)を作成し、これに基づき、当該公共交通特定事業を実施するものとする。
2 公共交通特定事業計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 公共交通特定事業の対象となる特定旅客施設又は特定車両
二 公共交通特定事業の内容
三 公共交通特定事業の実施予定期間並びにその実施に必要な資金の額及びその調達方法
3 公共交通事業者等は、公共交通特定事業計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係する市町村及び道路管理者の意見を聴かなければならない。
4 公共交通事業者等は、公共交通特定事業計画を定めたときは、遅滞なく、これを関係する市町村及び道路管理者に送付しなければならない。
5 前二項の規定は、公共交通特定事業計画の変更について準用する。
(公共交通特定事業計画の認定)
第八条 公共交通事業者等は、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対し、公共交通特定事業計画が重点整備地区における移動円滑化を適切かつ確実に推進するために適当なものである旨の認定を申請することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による認定の申請があった場合において、前条第二項第二号に掲げる事項が基本方針及び移動円滑化基準に照らして適切なものであり、かつ、同項第二号及び第三号に掲げる事項が当該公共交通特定事業を確実に遂行するために技術上及び資金上適切なものであると認めるときは、その認定をするものとする。
3 前項の認定を受けた者は、当該認定に係る公共交通特定事業計画を変更しようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならない。
4 第二項の規定は、前項の認定について準用する。
5 主務大臣は、第二項の認定を受けた者が当該認定に係る公共交通特定事業計画(第三項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの)に従って公共交通特定事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
(公共交通特定事業の実施に係る命令等)
第九条 市町村は、第七条第一項の規定による公共交通特定事業が実施されていないと認めるときは、公共交通事業者等に対し、その実施を要請することができる。
2 市町村は、前項の規定による要請を受けた公共交通事業者等が当該要請に応じないときは、その旨を主務大臣に通知することができる。
3 主務大臣は、前項の規定による通知があった場合において、公共交通事業者等が正当な理由がなくて第一項の公共交通特定事業を実施していないと認めるときは、当該公共交通事業者等に対し、当該公共交通特定事業を実施すべきことを勧告することができる。
4 主務大臣は、前項の規定による勧告を受けた公共交通事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置を講じない場合において、当該公共交通事業者等の事業について高齢者、身体障害者等の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、第五条第三項の規定により命令をすることができる場合を除くほか、当該公共交通事業者等に対し、移動円滑化のために必要な措置を講ずべき旨の命令をすることができる。ただし、鉄道事業法その他の法律の規定で政令で定めるものによる事業改善の命令がある場合にあっては、当該命令によるものとする。
(道路特定事業の実施)
第十条 第六条第一項の規定により基本構想が作成されたときは、関係する道路管理者は、単独で又は共同して、当該基本構想に即して道路特定事業を実施するための計画(以下「道路特定事業計画」という。)を作成し、これに基づき、当該道路特定事業を実施するものとする。
2 前項の規定による道路特定事業は、当該道路が、重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する主務省令で定める基準に適合するよう実施されなければならない。
3 道路特定事業計画においては、基本構想において定められた道路特定事業について定めるほか、当該重点整備地区内の道路において実施するその他の道路特定事業について定めることができる。
4 道路特定事業計画においては、実施しようとする道路特定事業について次に掲げる事項を定めるものとする。
一 道路特定事業を実施する道路の区間
二 前号の道路の区間ごとに実施すべき道路特定事業の内容及び実施予定期間
三 その他道路特定事業の実施に際し配慮すべき重要事項
5 道路管理者は、道路特定事業計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係する市町村、公共交通事業者等及び公安委員会の意見を聴かなければならない。
6 道路管理者は、道路特定事業計画において、道路法第二十条第一項に規定する他の工作物について実施し、又は同法第二十三条第一項の規定に基づき実施する道路特定事業について定めるときは、あらかじめ、当該道路特定事業を実施する工作物又は施設の管理者と協議しなければならない。この場合において、当該道路特定事業の費用の負担を当該工作物又は施設の管理者に求めるときは、当該道路特定事業計画に当該道路特定事業の実施に要する費用の概算及び道路管理者と当該工作物又は施設の管理者との分担割合を定めるものとする。
7 道路管理者は、道路特定事業計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係する市町村、公共交通事業者等及び公安委員会並びに前項に規定する工作物又は施設の管理者に送付しなければならない。
8 前三項の規定は、道路特定事業計画の変更について準用する。
(交通安全特定事業の実施)
第十一条 第六条第一項の規定により基本構想が作成されたときは、関係する公安委員会は、単独で又は共同して、当該基本構想に即して交通安全特定事業を実施するための計画(以下「交通安全特定事業計画」という。)を作成し、これに基づき、当該交通安全特定事業を実施するものとする。
2 前項の規定による交通安全特定事業(第二条第十二項第一号に掲げる事業に限る。)は、当該信号機等が、重点整備地区における移動円滑化のために必要な信号機等に関する主務省令で定める基準に適合するよう実施されなければならない。
3 交通安全特定事業計画においては、実施しようとする交通安全特定事業について次に掲げる事項を定めるものとする。
一 交通安全特定事業を実施する道路の区間
二 前号の道路の区間ごとに実施すべき交通安全特定事業の内容及び実施予定期間
三 その他交通安全特定事業の実施に際し配慮すべき重要事項
4 公安委員会は、交通安全特定事業計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係する市町村及び道路管理者の意見を聴かなければならない。
5 公安委員会は、交通安全特定事業計画を定めたときは 遅滞なく、これを公表するとともに、関係する市町村及び道路管理者に送付しなければならない。
6 前二項の規定は、交通安全特定事業計画の変更について準用する。
(一般交通用施設又は公共用施設の整備等)
第十二条 国及び地方公共団体は、基本構想において定められた一般交通用施設又は公共用施設の整備、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業の施行その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 基本構想において定められた一般交通用施設又は公共用施設の管理者(国又は地方公共団体を除く。)は、当該基本構想の達成に資するため、その管理する施設について移動円滑化のための事業の実施に努めなければならない。
(土地区画整理事業の換地計画において定める保留地の特例)
第十三条 基本構想において定められた土地区画整理事業であって土地区画整理法第三条第三項又は第三条の二から第三条の四までの規定により施行するものの換地計画(基本構想において定められた重点整備地区の区域内の宅地について定められたものに限る。)においては、特定旅客施設、一般交通用施設又は公共用施設で国、地方公共団体、公共交通事業者等その他政令で定める者が設置するもの(同法第二条第五項に規定する公共施設を除き、基本構想において第六条第二項第四号に掲げる事項として土地区画整理事業の実施に関しその整備を考慮すべきものと定められたものに限る。)の用に供するため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる。この場合においては、当該保留地の地積について、当該土地区画整理事業を施行する土地の区域内の宅地について所有権、地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有するすべての者の同意を得なければならない。
2 土地区画整理法第百四条第十一項及び第百八条第一項の規定は、前項の規定により換地計画において定められた保留地について準用する。この場合において、同法第百八条第一項中「第三条第三項若しくは第四項」とあるのは「第三条第三項」と、「第百四条第十一項」とあるのは「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律第十三条第二項において準用する第百四条第十一項」と読み替えるものとする。
3 施行者は、第一項の規定により換地計画において定められた保留地を処分したときは、土地区画整理法第百三条第四項の規定による公告があった日における従前の宅地について所有権、地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者に対して、政令で定める基準に従い、当該保留地の対価に相当する金額を交付しなければならない。同法第百九条第二項の規定は、この場合について準用する。
4 土地区画整理法第八十五条第五項の規定は、この条の規定による処分及び決定について準用する。
5 第一項に規定する土地区画整理事業に関する土地区画整理法第百二十三条、第百二十六条、第百二十七条の二及び第百二十九条の規定の適用については、同項から第三項までの規定は、同法の規定とみなす。
(地方債の特例等)
第十四条 地方公共団体が、第八条第二項又は第三項の規定により認定を受けた公共交通特定事業計画に基づく公共交通特定事業に関する助成を行おうとする場合においては、当該助成に要する経費であって地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものは、同条第五号に規定する経費とみなす。
2 地方公共団体が、基本構想を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政事情が許す限り、特別の配慮をするものとする。
第四章 指定法人
(指定)
第十五条 主務大臣は、旅客施設及び車両等に係る移動円滑化を促進することを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、同条に規定する事業を行う者として指定することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 指定法人は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
4 主務大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(事業)
第十六条 指定法人は、次に掲げる事業を行うものとする。
一 公共交通事業者等による移動円滑化のための事業の実施に関する情報を収集し、整理し、及び提供すること。
二 公共交通事業者等に対して、移動円滑化のための事業の実施に関し必要な助言、指導、資金の支給その他の援助を行うこと。
三 公共交通事業者等による移動円滑化のための事業に関する調査及び研究を行うこと。
四 前三号に掲げるもののほか、公共交通事業者等による移動円滑化のための事業を促進するために必要な業務を行うこと。
(公共交通事業者等の指定法人に対する通知)
第十七条 公共交通事業者等は、指定法人の求めがあった場合には、主務省令で定めるところにより、移動円滑化のための事業の実施状況を当該指定法人に通知しなければならない。
(改善命令)
第十八条 主務大臣は、指定法人の第十六条に規定する事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、指定法人に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(指定の取消し等)
第十九条 主務大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
2 主務大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第五章 雑則
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第二十条 国は、移動円滑化を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、移動円滑化に関する研究開発の推進及びその成果の普及に努めなければならない。
3 国は、広報活動等を通じて、移動円滑化の促進に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。
4 地方公共団体は、国の施策に準じて、移動円滑化を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
5 国民は、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した円滑な移動を確保するために協力するよう努めなければならない。
(運輸施設整備事業団の業務の特例)
第二十一条 運輸施設整備事業団(以下「事業団」という。)は、運輸施設整備事業団法(平成九年法律第八十三号。以下「事業団法」という。)第二十条第一項から第三項までに規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。
一 移動円滑化のための事業であって主務省令で定めるものを実施する公共交通事業者等に対し、当該事業に要する費用に充てる資金の一部について、予算で定める国の補助金の交付を受け、これを財源として、補助金を交付すること。
二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 前項の規定により事業団の業務が行われる場合には、事業団法第十三条第三号中「若しくは同条」とあるのは「、同条」と、同号中「その他の者」とあるのは「その他の者若しくは高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(以下「高齢者等移動円滑化法」という。)第二条第三項に規定する公共交通事業者等」と、事業団法第二十八条第一号中「並びに同条第二項の業務」とあるのは「、同条第二項の業務並びに高齢者等移動円滑化法第二十一条第一項の業務」と、事業団法第三十六条第二項中「第二十条第二項第一号から第四号まで」とあるのは「第二十条第二項第一号から第四号まで及び高齢者等移動円滑化法第二十一条第一項第一号」と、事業団法第三十八条第二項及び第三十九条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は高齢者等移動円滑化法」と、事業団法第四十五条第三号中「第二十条第一項から第三項まで」とあるのは「第二十条第一項から第三項まで又は高齢者等移動円滑化法第二十一条第一項」とする。
3 主務大臣は、第一項第一号の主務省令を定めようとするときは、あらかじめ、財務大臣と協議しなければならない。
(報告及び立入検査)
第二十二条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、主務省令で定めるところにより、公共交通事業者等に対し、移動円滑化のための事業に関し報告をさせ、又はその職員に、公共交通事業者等の事務所その他の事業場若しくは車両等に立ち入り、旅客施設、車両等若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定法人に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、指定法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(主務大臣等)
第二十三条 第三条第一項、第三項及び第四項における主務大臣は、同条第二項第二号に掲げる事項については国土交通大臣とし、その他の事項については国土交通大臣、国家公安委員会及び総務大臣とする。
2 第五条、第八条第一項から第三項まで及び第五項、第九条第二項から第四項まで、第十五条、第十八条、第十九条、第二十一条第三項並びに前条第一項及び第二項における主務大臣は国土交通大臣とし、第六条第八項及び第九項(これらの規定を同条第十項において準用する場合を含む。)における主務大臣は国土交通大臣、国家公安委員会及び総務大臣とする。
3 この法律における主務省令は、国土交通省令とする。ただし、第十一条第二項における主務省令は、国家公安委員会規則とする。
4 この法律による権限は、国土交通省令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。
(経過措置)
第二十四条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に対する経過措置を含む。)を定めることができる。
第六章 罰則
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第五条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第五条第三項又は第九条第四項の規定による命令に違反した者
三 第二十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第二十六条 第二十二条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたときは、その違反行為をした指定法人の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十五条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
第二十八条 第十七条の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をした者は、二十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四条第一項から第三項まで、第五条第一項及び第三項、第二十五条第二号(第五条第三項に係る部分に限る。)並びに第二十七条の規定中車両等(自動車を除く。)に係る部分は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に建設又は第四条第一項の主務省令で定める大規模な改良の工事中の旅客施設については、同項の規定は、適用しない。
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律の一部改正)
第四条 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律(平成十二年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。
第四十四条の改正規定の次に次のように加える。
附則第十条第二項中「第二十条第一項第四号から第十号まで」を「第二十条第一項第四号から第十六号まで」に改める。
附則第十条中外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造契約の防止に関する法律(平成八年法律第七十一号)附則第二条の改正規定の次に次のように加える。
附則に次の一条を加える。
(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律の一部改正)
第三条 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成十二年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第二十一条第一項及び第二項中「第二十条第一項から第三項まで」を「第二十条第一項から第四項まで」に改める。
附則第十二条の次に次の一条を加える。
(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律の一部改正)
第十二条の二 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成十二年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第二十一条第二項中「第二十条第二項第一号から第四号まで」とあるのは「」を「及び第二十条第二項第一号から第四号まで」とあるのは「並びに」に改める。
[第五条 中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)の一部改正]
[第六条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部改正]
[第七条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部改正]
[第八条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部改正]
附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日
二 第三章(第三条を除く。)及び次条の規定 平成十二年七月一日
以上
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