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横浜グローバル・コミットメント2001(仮訳)

第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議

2001年12月17〜20日、日本政府、UNICEF(国連児童基金)、国際NGOであるECPATインターナショナル及び児童の権利条約NGOグループの共催により、横浜にて開催された。


I. フォローアップ

 我々、世界中の政府、政府間機関、非政府組織、民間部門及び市民社会の構成員それぞれの代表は、日本国の横浜において第二回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(2001年12月17〜20日)(「横浜会議」)に会した。1996年にスウェーデンのストックホルムにおいて開催された第一回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議から5年を経て、我々は、児童を性的搾取及び性的虐待から保護するという我々のコミットメントを強化するためのフォローアップの一環として、これまでの進展の見直しを行った。

 我々は、あらゆる形態の性的搾取からの保護という児童の利益と権利の保護及び促進を、我々が第一義的に考慮するべきものとして再確認し、第一回世界会議以降、多くの国で見られる以下の進展を歓迎する。

■ 児童がその権利を享受できる環境を作るために、児童の権利が一層重視され、児童の権利に関する条約の締約国によるより効果的な実施が求められていること。
■ 児童の権利を促進し保護するため、及び児童とその家族が当該児童の将来を保証できるようにするため、政府、地方当局、非政府部門及び国際社会が一層結集していること。
■ 児童が安全にかつ、尊厳を持って成長することができるよう確保するために、政策、法律、計画、機構、資金、児童の権利の普及等、多面的かつ分野を超えた取り組みが採用されていること。
■ 児童を性的搾取から保護するための国内的/国際的な課題、戦略又は行動計画及び域外的効果を有する規定を含む児童の性的搾取を犯罪として規定する新たな立法等、児童買春、児童ポルノ及び性的目的による児童のトラフィッキング(密輸)に対処する行動が強化されていること。
■ 啓発キャンペーン、児童の教育機会の改善、貧困と闘うための家族及び児童を対象とした社会的支援策、犯罪行為や児童の性的搾取への需要に対処する行動、児童を搾取している者の訴追を含む、児童の性的搾取という現象を予防し、対処するための政策、法律及びジェンダーに配慮した計画のより効果的な実施/施行が促進されていること。
■ 児童の権利の侵害を予防し、かつ効果的な救済手段を提供するため、電話相談サービス、避難所、司法及び行政手続などの児童に配慮した便益が提供されていること。
■ 被用者及び雇用者団体、旅行及び観光業界の構成員、インターネット・サービス・プロバイダ等の通信業界、その他の業界等の民間部門が、児童を性的搾取から保護するための企業政策や服務規程を採択し、実施する等により、児童の保護の強化に包括的、体系的かつ持続的に関与していること。
■ 児童及び若者が、特に若者のネットワークやフォーラムを通じて、また、若者が相談相手やカウンセラーとして関与することを通じて、彼ら自身の権利の保護と促進により広範に参画していること。
■ 以下のような新たな文書を通じて、児童を性的搾取から保護するための国際的および地域的な基準が策定されたこと。
・ 「人、特に女性と児童の密輸の防止・防あつ及び処罰にかかる国際連合国際組織犯罪条約補足議定書(仮称)」(2000年)
・ 「サイバー犯罪に関する条約(仮称)」(2001年)
 また、「国際刑事裁判所に関するローマ規程」(1998年)の関連条項に留意する。

■ 国際労働機関(ILO)の「最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する条約(ILO第182号)」(ILO第190号勧告により補完)が2000年11月19日に発効し、また、「児童売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書(仮称)」が2002年1月18日に発効すること。
■ 来たる国連子ども特別総会(その成果文書を含む)の準備過程において進展がみられたこと。
■ 地方及び中央政府、政府間機関、非政府組織、地域/小地域機関及び国際機関、地域社会並びにその他の主要な主体の間で幅広い協力が行われるようになり、また、国連とその他の監視機構、特に児童の権利委員会及び国連人権委員会の児童売買、児童買春及び児童ポルノに関する特別報告者との間でこの問題について緊密な連携が行われるようになっていること。

 我々は、タイのバンコク、モロッコのラバト、バングラデシュのダッカ、ウルグアイのモンテビデオ、ハンガリーのブダペスト、並びに米国のフィラデルフィアで開催された地域準備会合(別添参照)、横浜会議に向けた様々な国内セミナー、若者が参加したものを含めた関連行事及び我々のフォローアップ行動の内容をより充実したものにするこれらの会合、セミナー及び行事での結論及び勧告を歓迎しつつ考慮する。また、我々は、これらの会合、セミナー及び行事に参加した各国政府が非政府組織、政府間機関及び若者等のすべての利害関係者と連携して、これらの結論や勧告を効果的に実施していくことを奨励する。

 我々は、地球規模で児童を保護するためにさらに多くのことがなされる必要があることを認識し、世界の様々な地域で必要な措置を採ることが遅れていることに懸念を表明する。

II. グローバル・コミットメント

我々は、以下のとおり合意した。

■ 児童の権利条約とその関連文書は重要であり、締約国による一層効果的な実施が必要であることを繰り返し訴える。また、児童は児童買春、児童ポルノ、性的目的のための児童のトラフィッキング(密輸)という形態の商業的性的搾取から保護される権利を有しているという我々の信念を強調する。
■ 関連する国際文書、特に最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する条約(ILO第182号)及び児童売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書(仮称)の早期批准を奨励する。
■ 非差別の原則に基づいて全ての人を尊重する文化を構築し、特に第一回世界会議以降に学んだ教訓を共有し、この点における協力を改善することにより児童の商業的性的搾取を根絶するという我々の約束を再確認する。
■ 第一回世界会議の宣言及び行動のための課題(「ストックホルム宣言および行動のための課題」)の確認、特に各国の課題、戦略または行動計画の策定、国内的監視機関の指定、ジェンダーの観点から分類した包括的なデータの収集、児童の権利に基づく法と法執行を含む対策の効果的な実施を改めて約束する。
■ 児童、特に女児の教育を受ける機会の改善、貧困対策、社会的支援策、国民の啓発、被害児童の心身の回復と社会復帰、被害児童を犯罪者としたり処罰したりすることなく、あらゆる形態の児童の商業的性的搾取を関連国際文書に従い犯罪と規定するための行動等の包括的な措置を通じ、貧困、不平等、差別、迫害、暴力、武力紛争、HIV/AIDS、家族の機能不全、需要を生む要因、犯罪、児童の権利の侵害等の児童を搾取の危険に晒す根本的な原因に特に対処することにより、児童の商業的性的搾取に対する我々の取り組みを強化する。
■ 今後の課題は、国家間、地域間、地域/小地域、二国間、国家及び地方それぞれのレベルで、児童の商業的性的搾取と闘う主要な主体の間で、特に地域社会、司法、入国管理及び警察当局相互の間で、また、若者自身を結びつけるイニシアチブを通じて、密接な連携を推進することであることを強調する。
■ 児童の商業的性的搾取と対抗するため、また、児童、児童の両親、法執行当局者、サービス・プロバイダ、その他の主要な主体を対象とした、児童の権利に関する教育・訓練計画等、児童を商業的性的搾取から保護するための教育及び情報提供を促進するため、資源の適切な配分を確保する。
■ 地球規模の行動を持続する本質的方法は、地域/小地域および国内の監視機構を基礎に作成された地域/小地域的な、および国内的な課題、戦略ないし行動計画を通じて、また、監視機能を持つ既存の国際的メカニズムの強化と見直しを通じて、その効果や勧告のフォローアップを改善し、必要な改革を確認することであるということを繰り返し訴える。
■ 児童を商業的性的搾取から保護するための新たなテクノロジーの可能性を認識する一方で、我々の間の情報の伝達や交換、ネットワーク化を通じ、新しい技術のネガティブな側面、特に、インターネット上の児童ポルノに取り組むために適切な措置をとる。
■ 家族の重要性を再確認し、啓発キャンペーン及び児童の商業的性的搾取に関して地域社会による調査/監視を行うことにより、児童、若者、家族の社会的保護を強化する。
■ 世界中で行われているあらゆる形態の児童の性的搾取および性的虐待を根絶するため、全てのレベルにおける協力を促進し、取組みを結集させることを約束する。
■ 児童の性的搾取が許されてはならないことを宣言し、そのために行動することを誓約する。



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