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子どもと若者の最終アピール
子どもの商業的性的搾取に反対する第2回世界会議
横浜(日本)、2001年12月17〜20日

 子どもの商業的性的搾取(CSEC)に反対する第2回世界会議が終わりを迎えても、ものすごく大きな問題が、答えなければならないものとして世界全体に突きつけられています。わたしたちは、いつになったら手にすることができるのでしょうか?
 思いやりや分かちあいの気持ち、本当の愛、そして、あらゆる形態の虐待・差別・ 搾取からあらゆる社会と個人が守られることのうえに生活が成り立った世界を。子どもの商業的性的搾取が存在しない世界を。

 子ども・若者参加の大切さは、いくら強調してもしすぎることはありません。とく に、経験者の若者が、この身近な問題に関する本当の専門家であることに注意する必要があります。ですから、今回のように子ども・若者たちが参加したことは、自分たちのほうがこの問題のことをよく知っていると思っている人たちにとって、正しい方向に向かっていくための大きな一歩です。けれども、今日会議に参加している子ども・若者たちの声、そして会議に物理的に参加できなかった子ども・若者たちの声が全面的に考慮され、すべての行動アジェンダに盛りこまれる必要が、まだまだあります。

 たくさんのスピーカーのみなさんがおっしゃったように、直接・間接に影響を受けている人たちは、わたしたちが、いま座っているとても座り心地のいい椅子を立ってどのような行動を起こそうとしているのか、耳にし、目にし、信じることを待ち望んでいます。わたしたちは、ここからどこに行こうとしているのでしょうか?このことはもう、頭をひねって考えなければならない問題ではありません。わたしたちは、すべての人が、この世界をもっと住みやすいものにするために自分たちが手をたずさえて何をすればいいか、はっきりとした方向感覚を持って横浜から旅立っていくよう期待します。

 会議の閉会が宣言されるとき、この部屋を立ち去るとき、抱きあうとき、握手をかわすとき、荷物を詰めるとき、飛行機や車に乗ってそれぞれの目的地に向けて旅立つとき、到着したとき、政府やNGOやさまざまな機関に報告するとき、予算を決めるとき、活動の計画を立てるとき、その計画の実施・モニタリング・評価・改訂を行なうとき、世界の子ども・若者たちのために、どうか次のことを考えてください。

1 男女を問わずすべての年齢層を対象とした教育、ライフスキルの発達、子どもの権利条約とCSECに関する意識啓発とアドボカシーが、防止のためのあらゆる努力のなかでもっとも重要な要素のひとつにされるべきです。

2 資金集め、法改正、人的資源の開発という点で政府が子ども・若者たちの参加を支援することで、わたしたちは、いっそう効果的で、いっそう適切で、いっそう持続可能な解決策の発見に一歩近づくことができます。

3 CSECにおけるジェンダーの問題に対応する必要があります。なぜならば、コミュニティにおける男の子と女の子の育て方が男性支配の社会を生み出し、その男性支配の社会が、女の子・男の子両方の商業的性的搾取を許すことになっているからです。ここでいう女の子・男の子には、同性愛者、トランスジェンダー、トランスセクシュアルの子どもたちも含まれます。

4 政府とコミュニティは、汚職との真剣な闘いを始めなければなりません。汚職は、CSECをなくすためのわたしたちの闘いにとって障壁になっているばかりか、CSECが一貫して増えていくことの要因でもあるからです。

5CSECとの闘いのなかで部門を超えた協力をすることは、とても貴重です。政府機関、NGO、コミュニティ団体、子ども・若者団体が知識や資源やスキルを共有することで、わたしたちは手の届く範囲を伸ばし、力を倍増することができます。

6 CSECの原因は複合的であり、おたがいに作用しあいながらダイナミックな関係を保っています。とくに需要側の要因(子どもたちからセックスを買う人々)に関する総合的な調査研究の努力を行なうことで、いっそう実態にあった決定や行動が可能になります。

7 搾取された子ども・若者たちではなく、搾取をする人々のほうが処罰されるようにするために、努力が行なわれなければなりません。

8 国内法がもっと国際条約に一致するようにすること、あらゆるレベルの法執行機関が協力しあうこと、このような法律を厳しく執行・モニタリング・評価することが必要です。

9 メディアには、CSECを撲滅するうえでとても重要な役割があります。メディアに携わる人々は、CSECや関連の問題について一般の人々を啓発するような放送時間、掲載スペース、サイバースペースを確保するために、また若者たちが効果的に参加しやすくするために、努力するべきです。

10 CSECとの闘いでは、前向きな文化的・伝統的・宗教的価値観が活用されるべきです。一方、有害な慣行、子どもがCSECの被害を受けやすくするような慣行はなくさなければいけません。

11 わたしたちの文化は、CSECと闘うための創造的アイデアや効果的手段の宝庫です。CSECと闘うことを目的としたプログラムを作るときは、このような文化的・政治的・経済的多様性とともに、ひとりひとりの違いも考慮にいれるべきです。

12 商業的性的搾取を経験した人たちのために、その生活や将来に関連した、長期的で総合的な、利用しやすいサービスが必要です。このような人たちは、出口と癒しを必要としています。

13 国連・子どもの権利条約が、CSECとの闘いに関連したすべての法律、行動計画、サービスの指針として用いられなければなりません。わたしたちは、生存・発達・保護・参加に対する子どもたちの権利がきちんと守られなければ、CSECをなくすことは絶対にできないと考えます。

 このアピールは、ここに参加することができなかった人たちも含めて、世界のすべての子ども・若者たちを代表し、世界中の政府と諸機関に対して向けられたものです。わたしたちは、政府と諸機関が、CSECと闘うという決意を実行に移すための政治的意思を発揮してくれるよう期待します。

 わたしたちは、この成果を、ここに参加していない他の国々、NGO、若者・子どもたちと共有していくという決意を表明します。

 わたしたちは、世界中の子ども・若者たちとのネットワークを築いていくとともに、CSEC関連の活動の実施を世界中で促進するための基金を設けるための努力を行なうことを、約束します。

 以上の点を認めてくれるよう最後にアピールを行なうにあたり、わたしたちは、すべての関係者に対し、その基金に資金提供を行なうこと、CSECに対する世界規模の闘いに思いをはせる日を設ける可能性について検討することを、奨励します。

 ご清聴ありがとうございました。



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