HOME > 人権に関する資料 > 通達(知)・指針等
「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を守るために当面講ずべき措置
平成14年10月21日 青少年育成推進会議申合せ
近年のインターネットや携帯電話等の著しい普及と利用者の拡大に伴い、青少年が利用する機会が増加する状況にあるが、インターネット上には、年少者の健全育成に障害を及ぼす可能性のあるコンテンツが数多く存在し、中でも「出会い系サイト」については、この利用を通じて、年少者が被害を受ける事例が増加する傾向にある。
平成13年中に「出会い系サイト」に関係した事件で888件検挙されたが、本年に入り、上半期だけで793件が検挙され、昨年同期の約2.6倍と急増しており、このうち、児童買春事犯は400件で、昨年同期の約3倍になっている。また、本年上半期における被害者の大半が未成年者で、このうち女子高校生が335人(48.4%)、女子中学生が173人(25.0%)を占めており、極めて憂慮すべき状況にある。
各種メディア等が提供する情報等に係る環境の整備については、「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針 −情報化社会の進展に対応して− 」(平成13年10月19日青少年育成推進会議申合せ)等に基づき、諸施策を推進しているところであるが、「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害を受ける年少者が急増していることにかんがみ、関係省庁の緊密な連携の下に、当面、下記の施策を推進することとする。
記
1 広報啓発活動等の推進
(1) 年少者(18歳未満の者をいう。以下同じ。)に対して、教育の場や各種イベント等を通じて、興味本位に「出会い系サイト」を利用し、児童買春等の被害に遭うことを防止する観点から、その被害実態や自ら注意する事項について啓発を行う。また、年少者が情報社会の中で必要な情報を選択し、性の問題も含め、望ましい行動をとることができるようにするため、情報活用能力の育成など、教育の充実を図る。
(2) 年少者の保護者に対して、「出会い系サイト」に係る年少者の被害実態や年少者に関して配慮すべき事項について情報提供を行い、家庭において年少者に対する適切な指導監督が行えるようにする。また、「出会い系サイト」上の有害情報等インターネット上の有害情報に子どもを接触させたくないとの保護者等のニーズに応えるため、各家庭におけるフィルタリングシステムの普及促進に努める。
(3) 児童買春等の加害者となる可能性のある大人等広く一般国民に対して、各種メディアや関係機関・団体等の機関誌、パンフレット等の広報媒体や各種会合の場を効果的に活用し、「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を保護するために必要な事項等について、積極的な広報啓発活動を行う。
【主要推進省庁: 警察庁、文部科学省、内閣府等】
2 事業者等に対する協力要請
インターネットや携帯電話に関係する事業者等に対して、「出会い系サイト」に係る児童買春等の犯罪から年少者を保護するために自主的な措置を講じるよう要請する。
(1) 「出会い系サイト」の運用者に対しては、サイト上の見やすい場所に、児童買春等の相手方を探す目的でサイトを利用することはできない旨の表示をするとともに、これに違反して児童買春等の相手方を探す目的でサイトの利用が行われたことを発見したときには、記述の削除等の適切な措置を講じるよう要請する。
(2) プロバイダーに対しては、その提供するサービスを利用して「出会い系サイト」を運用する者に対して、サイト上の見やすい場所に、児童買春等の相手方を探す目的でサイトを利用することはできない旨の表示をさせるよう要請する。また、「出会い系サイト」の運用者が、明らかに児童買春等の相手方を探す目的でのサイトへの書き込みに対してプロバイダー等からの警告後もなお記述の削除等の措置を講じない場合等、利用規約等に定める禁止行為に抵触すると認められるときは、これに基づき当該記述の削除等の適切な措置を講じるよう要請する。
(3) インターネット関係団体に対しては、「出会い系サイト」の格付け(有害の度合いの判定)の実施、フィルタリングサービスの提供等、各団体の目的や事業に応じ、「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害防止のために講じることができる措置について検討するとともに、可能な範囲内でこれを実施するよう要請する。
(4) 移動電気通信事業者や携帯電話販売業者に対しては、携帯電話のパンフレット、請求書同封物及び取扱説明書等に注意を喚起する文言を記載するなど、「出会い系サイト」に係る児童買春等の犯罪から年少者を守るため、広報啓発活動に対する積極的な協力を要請する。
【主要推進省庁: 警察庁、総務省、経済産業省等】
3 取締りの強化等
(1) 児童買春事犯等に対する捜査体制を強化し、職員に対する教養の徹底等諸対策を積極的に推進して、厳格な取締りと適正な処分の実現に努める。
(2) 警察によるサイバーパトロールを強化するとともに、ボランティア等に対して、「出会い系サイト」上の有害情報等インターネット上の有害情報に対する監視についての協力要請を行う。
(3) 被害者の早期発見・保護の徹底を図るとともに、心身に有害な被害を受けた年少者に対しては、少年補導職員、少年相談専門職員等によるカウンセリングなどの支援活動を行うとともに、児童相談所など関係機関との連携に努める。
【主要推進省庁: 警察庁、法務省、厚生労働省等】
4 法規制の検討
児童買春等の相手方を探す手段として「出会い系サイト」が用いられている実態にかんがみ、「出会い系サイト」に係る児童買春につながる行為等に対する法規制の検討を行い、早期に結論を得る。
【主要推進省庁: 警察庁、法務省、厚生労働省等】
HOME > 人権に関する資料 > 通達(知)・指針等
|