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犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律
公布:昭和55年5月1日 法律第36号
改正:平成13年7月 法律第30号


[目的]
第1条 この法律は、人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残つた者に対し犯罪被害者等給付金を支給し、及び当該犯罪行為の発生後速やかにこれらの者を援助するための措置を講ずることにより、犯罪被害等の早期の軽減に資することを目的とする。

[定義]
第2条 この法律において「犯罪被害」とは、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文、第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。以下「犯罪行為」という。)による死亡、重傷病又は障害をいい、犯罪行為の時又はその直後における心身の被害であつてその後の死亡、重傷病又は障害の原因となり得るものを含む。
2 この法律において「犯罪被害等」とは、犯罪被害及び犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族が受けた心身の被害をいう。
3 この法律において、「重傷病」とは、負傷若しくは疾病が治り、又はその症状が固定する前における当該負傷又は疾病に係る身体の被害であつて、当該負傷又は疾病の療養の期間が1月以上であつたことその他政令で定める要件を満たすものをいう。
4 この法律において「障害」とは、負傷又は疾病が治ったとき(その症状が固定したときを含む。)における身体上の障害で政令で定める程度のものをいう。
5 この法律において「犯罪被害者等給付金」とは、第4条に規定する遺族給付金、重傷病給付金又は障害給付金をいう。

[犯罪被害者等給付金の支給]
第3条 国は、犯罪被害を受けた者(以下「被害者」という。)があるときは、この法律の定めるところにより、被害者又は遺族(これらの者のうち、当該犯罪被害の原因となつた犯罪行為が行われた時において、日本国籍を有せず、かつ、日本国内に住所を有しない者を除く。)に対し、犯罪被害者等給付金を支給する。

[犯罪被害者等給付金の種類等]
第4条 犯罪被害者等給付金は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して、一時金として支給する。
(1) 遺族給付金 犯罪行為により死亡した者の第1順位遺族(次条第3項及び第4項の規定による第1順位の遺族をいう。)
(2) 重傷病給付金 犯罪行為により重傷病を負つた者
(3) 障害給付金犯罪行為により障害が残つた者

[遺族の範囲及び順位]
第5条 遺族給付金の支給を受けることができる遺族は、被害者の死亡の時において、次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
(2) 被害者の収入によつて生計を維持していた被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
(3) 前号に該当しない被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
2 被害者の死亡の当時胎児であつた子が出生した場合においては、前項の規定の適用については、その子は、その母が被害者の死亡の当時被害者の収入によつて生計を維持していたときにあっては同項第2号の子と、その他のときにあつては同項第3号の子とみなす。
3 遺族給付金の支給を受けるべき遺族の順位は、第1項各号の順序とし、同項第2号及び、第3号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。
4 被害者を故意に死亡させ、又は被害者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族給付金の支給を受けることができる先順位若しくは同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族給付金の支給を受けることができる遺族としない。遺族給付金の支給を 受けることができる先順位又は同順位の遺族を故意に死亡させた者も、同様とする。

[犯罪被害者等給付金を支給しないことができる場合]
第6条 次に掲げる場合には、国家公安委員会規則で定めるところにより、犯罪被害者等給付金の全部又は一部を支給しないことができる。
(1) 被害者と加害者との間に親族関係(事実上の婚姻関係を含む。)があるとき。
(2) 被害者が犯罪行為を誘発したとき、その他当該犯罪被害につき、被害者にも、その責めに帰すべき行為があつたとき。
(3) 前二号に掲げる場合のほか、被害者又はその遺族と加害者との関係その他の事情から判断して、犯罪被害者等給付金を支給し、又は第9条の規定による額を支給することが社会通念上適切でないと認められるとき。

[他の法令による給付等との関係]
第7条 遺族給付金(第9条第2項に規定する被害者負担額に係る部分を除く。)及び障害給付金は、それぞれ死亡及び障害を原因として、被害者又は遺族に対し、労働者災害補償保険法(昭和2年法律第50号)その他の法令による給付等で政令で定めるものが行われるべき場合には、その給付等に相当する金額として政令で定めるところにより算定した額の限度において、支給しない。
2 重傷病給付金及び遺族給付金(第9条第2項に規定する被害者負担額に係る部分に限る。)は、犯罪行為により生じた負傷又は疾病について、被害者に対し、同項に規定する法律以外の法令(条例を含む。)の規定により療養に関する給付(同項に規定する期間におけるものに限る。)が行われるべき場合には、その給付の限度において、支給しない。

[損害賠償との関係]
第8条 犯罪被害を原因として被害者又は遺族が損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、犯罪被害者等給付金を支給しない。
2 国は、犯罪被害者等給付金を支給したときは、その額の限度において、当該犯罪被害者等給付金の支給を受けた者が有する損害賠償請求権を取得する。

[犯罪被害者等給付金の額]
第9条 遺族給付金の額は、政令で定めるところにより算定する給付基礎額に、遺族の生計維持の状況を勘案して政令で定める倍数を乗じて得た額とする。
2 重傷病給付金の額は、犯罪行為により生じた負傷又は疾病の療養についての被害者負担額(当該犯罪行為により負傷し、又は疾病にかかった日から起算して政令で定める期間を経過するまでの間における療養に要した費用の額として政令で定めるところにより算定した額から、健康保険法(大正11年法律第70号)その他の政令で定める法律の規定により当該被害者が受け、又は受けることができた当該期間における療養に関する給付の額を控除して得た額(当該被害者がこれらの法律の規定による療養に関する給付を受けることができない場合その他政令で定める場合にあつては、当該控除して得た額に相当するものとして政令で定める額)をいう。次項においても同じ。)とする。
3 被害者が犯罪行為により生じた負傷又は疾病について死亡前に療養を受けた場合における遺族給付金の額は、第1項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額に、当該療養についての被害者負担額を加えた額とする。
4 遺族給付金の支給を受けるべき遺族が二人以上あるときは、遺族給付金の額は、第1項及び前項の規定にかかわらず、これらの規定により算定した額をその人数で除して得た額とする。
5 障害給付金の額は、第1項に規定する給付基礎額に、障害の程度を基準として政令で定める倍数を乗じて得た額とする。

[裁定の申請]
第10条 犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に申請し、その裁定を受けなければならない。
2 前項の申請は、当該犯罪行為による死亡、重傷病又は障害の発生を知つた日から2年を経過したとき、又は当該死亡、重傷病又は障害が発生した日から7年を経過したときは、することができない。

[裁定等]
第11条 前条第1項の申請があつた場合には、公安委員会は、速やかに、犯罪被害者等 給付金を支給し、又は支給しない旨の裁定(支給する旨の裁定にあつては、その額の定 めを含む。以下同じ。)を行わなければならない。
2 犯罪被害者等給付金を支給する旨の裁定があつたときは、当該申請をした者は、当該 額の犯罪被害者等給付金の支給を受ける権利を取得する。
3 被害者について重傷病給付金又は障害給付金を支給する旨の裁定があつた後に当該被害者が当該犯罪行為により死亡したときは、国は、当該重傷病給付金又は障害給付金の額の限度において、当該被害者の死亡に係る遺族給付金を支給する責めを免れる。

[仮給付金の支給等]
第12条 公安委員会は、第10条第1項の申請があつた場合において、犯罪行為の加害者を知ることができず、又は被害者の障害の程度が明らかでない等当該犯罪被害に係る事実関係に関し、速やかに前条第1項の裁定をすることができない事情があるときは、当該申請をした者(次条第1項及び第3項において「申請者」という。)に対し、政令で定める額の範囲内において、仮給付金を支給する旨の決定をすることができる。
2 国は、前項の決定があつたときは、仮給付金を支給する。
3 仮給付金の支給を受けた者について犯罪被害者等給付金を支給する旨の裁定があつたときは、国は、仮給付金の額の限度において犯罪被害者等給付金を支給する責めを免れる。この場合において、当該裁定で定める額が仮給付金の額に満たないときは、その者は、その差額を返還しなければならない。
4 仮給付金の支給を受けた者について犯罪被害者等給付金を支給しない旨の裁定があつたときは、その者は、仮給付金に相当する金額を返還しなければならない。
5 仮給付金の支給を受けた被害者又は遺族について、犯罪被害者等給付金を支給し、又は支給しない旨の裁定がある前に当該被害者又は遺族が死亡したときは、国は、当該仮給付金の額の限度において、当該被害者の死亡に係る遺族給付金又は当該遺族が支給を受けようとしていた遺族給付金と同一の犯罪被害を支給原因とする遺族給付金を支給する責めを免れる。

[裁定のための調査等]
第13条 公安委員会は、裁定を行うため必要があると認めるときは、申請者その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は医師の診断を受けさせることができる。
2 公安委員会は、裁定を行うため必要があると認めるときは、犯罪捜査の権限のある機 関その他の公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
3 申請者が、正当な理由がなくて、第1項の規定による報告をせず、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を拒んだときは、公安委員会は、その申請を却下することができる。

[国家公安委員会規則への委任]
第14条 第10条から前条までに定めるもののほか、裁定の手続その他裁定に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

[不正利得の徴収]
第15条 偽りその他不正の手段により犯罪被害者等給付金(仮給付金を含む。以下この項、第19条及び第20条において同じ。)の支給を受けた者があるときは、国家公安委員会は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた犯罪被害者等給付金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

[時効]
第16条 犯罪被害者等給付金の支給を受ける権利は、2年間行わないときは、時効により消滅する。

[犯罪被害者等給付金の支給を受ける権利の保護]
第17条 犯罪被害者等給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

[公課の禁止]
第18条 租税その他の公課は、この法律により支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

[戸籍事項の無料証明]
第19条 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあつては、区長とする。)は、公安委員会又は犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者に対して、当該市(特別区を含む。)町村の条例に定めるところにより、被害者又はその遺族の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

[事務の区分]
第20条 第11条第1項、第12条第1項及び第13条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。

[地方自治法の特例]
第20条の2 前条に規定する事務についての地方自治法第245条の4第1項及び第3項、第245条の7第1項、第245条の9第1項並びに第255条の2の規定の適用については、同法第245条の4第1項中「各大臣(国家行政組織法第5条第1項に規定する各大臣をいう。以下本章、次章及び第14章において同じ。)又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関」とあるのは「国家公安委員会」と、同条第3項中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「都道府県公安委員会」と、「各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関」とあるのは「国家公安委員会」と、同法第245条の7第1項中「各大臣は、その所管する法律」とあるのは「国家公安委員会は、犯罪被害者等給付金支給法(昭和55年法律第36号)」と、同法第245条の9第1項中「各大臣は、その所管する法律」とあるのは「国家公安委員会は、犯罪被害者等給付金支給法」と、同法第255条の2第1号中「都道府県知事その他の都道府県の執行機関」とあるのは「都道府県公安委員会」と、「当該処分又は不作為に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣」とあるのは「国家公安委員会」とする。

[不服申立てと訴訟との関係]
第21条 第11条第1項の裁定の取消しを求める訴えは、当該裁定についての審査請求に対する国家公安委員会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。

[被害者等に対する援助]
第22条 警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は、犯罪被害等の早期の軽減に資するための措置として、被害者又はその遺族(以下「被害者等」という。)に対し、情報の提供、助言及び指導、警察職員の派遣その他の必要な援助を行うように努めなければならない。
2 国家公安委員会は、前項の規定に基づき警察本部長等がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るための指針を定めるものとする。
3 警察本部長等は、第1項の規定に基づく措置をとるに当たつては、関係する機関の活動との連携及び調和の確保に努めなければならない。

[犯罪被害者等早期援助団体]
第23条 公安委員会は、犯罪行為の発生後速やかに被害者等を援助することにより当該犯罪被害等の早期の軽減に資することを目的として設立された営利を目的としない法人であつて、当該都道府県の区域において次項に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、同項に規定する事業を行う者(以下「犯罪被害者等早期援助団体」という。)として指定することができる。
2 犯罪被害者等早期援助団体は、次に掲げる事業であつて犯罪被害等の早期の軽減に資するものを行うものとする。
(1) 被害者等に対する援助の必要性に関する広報活動及び啓発活動を行うこと。
(2) 犯罪被害等に関する相談に応ずること。
(3) 犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者が第10条第1項の規定に基づき行う裁定の申請を補助すること。
(4) 物品の供与又は貸与、役務の提供その他の方法により被害者等を援助すること。
3 被害者等を援助する者は、前項に規定する事業を行うに当たつては、第1項の指定を受けないで、公安委員会指定という文字を冠した名称を用いてはならない。
4 警察本部長等は、犯罪被害者等早期援助団体の求めに応じ、犯罪被害者等早期援助団体が第2項第2号又は第4号に規定する事業を適正に行うために必要な限度において、犯罪被害者等早期援助団体に対し、被害者等の同意を得て、当該被害者等の氏名及び住所その他当該犯罪被害の概要に関する情報を提供することができる。
5 公安委員会は、犯罪被害者等早期援助団体の財政の状況又はその事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、犯罪被害者等早期援助団体に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
6 公安委員会は、犯罪被害者等早期援助団体が前項の規定による命令に違反したときは、第1項の指定を取り消すことができる。
7 犯罪被害者等早期援助団体の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、第2項第2号から第4号までに掲げる業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は同項各号に掲げる事業の目的以外の目的のために利用してはならない。
8 犯罪被害者等早期援助団体は、第2項に規定する業務の遂行に当たつては、関係する機関及び団体の活動の円滑な遂行に配慮して、これらの活動との調和及び連携を図らなければならい。
9 第1項の指定の手続その他犯罪被害者等早期援助団体に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

[経過措置]
第24条 この法律の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

[政令への委任]
第25条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

[罰則]
第26条 第23条第7項の規定に違反した者は、20万円以下の過料に処する。

第27条 第23条第3項の規定に違反した者は、10万円以下の過料に処する。




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