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地域保健における児童虐待防止対策の取組の推進について

平成14年6月19日
健発第0619001号、雇児発第0619001号
都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて
厚生労働省健康局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知


 近年、児童や家庭を取り巻く環境の変化等に伴い、児童相談所への虐待相談件数が急増するなど、児童虐待に関する問題が深刻化している。児童虐待は、児童の心身の成長、人格の形成に重大な影響を与えることなどから、その防止が喫緊の課題となっており、平成12年11月には、児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)が施行され、児童虐待の早期発見、早期対応及び児童虐待を受けた児童の適切な保護等の施策が推進されている。保健所、市町村保健センター等は、同法第4条第1項及び第2項に規定される関係機関として、児童相談所等と連携し、児童虐待の早期発見等にあたることとされているほか、医師、保健師は、同法第5条により児童虐待の早期発見に努めることとされている。
 さらに、最近では、児童虐待防止対策を総合的に推進する上で、保健、医療、福祉等の各分野を通じてハイリスク家庭を把握しつつ適切な援助を行う一次的な予防活動が重要な課題として認識されるに至っており、親の育児不安の軽減等の取組を強力に推進することが求められている。
 地域保健施策においては、従来より、母子保健における健康診査、保健指導等を通じ、児童虐待の早期発見と適切な援助に取り組むとともに、核家族化等の進行による子育て家庭の孤立化、子育てに関する心理的負担感、不安感の増加等への対応を課題として、地域の妊産婦や親子の支援を推進してきているところである。
 児童虐待を含めた親と子の心の健康の問題への取組の強化は、21世紀の母子保健の主要課題の一つと位置付けられるところであり、今後、下記の点に留意いただくとともに、管内の市町村並びに関係機関及び関係団体等にもその周知を図り、児童虐待防止対策の一層の推進をお願いする。
 なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言である。


1 児童虐待の発生予防に向けた積極的な取組
 妊産婦や親子について、健康診査や保健指導等母子保健活動全般を通じて、また、地域の医療機関及び医療関係団体との連携を通じて、親や児童の健康問題、家族の状況に係る問題等に関連した虐待発生のハイリスク要因を見逃さないよう努めるとともに、こうした要因がある場合については、保健師の家庭訪問等による積極的な支援を実施し、児童虐待を発生から予防する取組を保健所、市町村が適切な連携の下に組織的に推進されたいこと。
 児童虐待の防止に関する地域の関係機関・団体等のネットワーク会議等において保健所、市町村が積極的な役割を果たすとともに、母子保健の地域組織活動の育成・支援においても、児童虐待の発生予防の観点を強化されたいこと。

2 児童相談所との連携・協力
 保健所、市町村の保健師等が児童虐待が行われている疑いがある家庭を発見した場合については、児童虐待への対応の中核的機関である児童相談所へ通告を行った上で、当該事例への早期対応、被虐待児童や親への援助等において、児童相談所等関係機関との連携・協力を保健所、市町村として組織的に推進されたいこと。

3 研修等の強化
 別途送付する「子ども虐待予防のための保健師活動マニュアル」(平成13年度厚生科学研究)等も活用し、関係機関・団体等の職員等の研修等を計画的、体系的に推進されたいこと。




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