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らい予防法の廃止に関する法律の施行について
平成8年3月31日
健医発第426号
各都道府県知事あて厚生省保健医療局長通知

 らい予防法の廃止に関する法律(平成8年法律第28号。以下「法」という。)及び関係政省令の施行については、平成8年3月31日厚生省発健医第110号厚生事務次官通知により通知したところであるが、その細部に関しては、左記の事項に留意の上、適切に対応されたい。
 なお、参考までに、本件に関する各国立ハンセン病療養所所長あて通知の写しを添付する。


第1 国立ハンセン病療養所における入所者等に対する措置に関する事項
 法第二条は、国立ハンセン病療養所(以下「国立療養所」という。)において、その入所者に対して必要な療養を行うことを規定しているが、これは、国立療養所以外での医療の提供を妨げる趣旨ではなく、国の責任において、入所者に対する医療を提供するべきことを明確にする趣旨を明らかにしたものであり、国立療養所で提供できない医療について、外部の医療機関との委託により実施する委託治療の実施を含む趣旨であること。
 なお、委託治療の実施に当たっては、地域の各医療機関の理解と協力が不可欠であることから、貴職におかれては、管下地域医療機関の協力について特段の御配慮をお願いする。

第2 親族の援護に関する事項
1 援護の対象
 援護の対象に該当するか否かを認定するに当たっては、入所者の入所期間が長期にわたっていること等にかんがみ、これを柔軟に行うこと。特に、廃止前のらい予防法(昭和28年法律第214号。以下「旧法」という。)に基づく援護を受けている者については、原則として該当するものとして取り扱うこと。
2 援護の要否及び程度
(1) 援護の要否及び程度は、原則として世帯を単位として定め、これにより難いときのみ、個人を単位として定めることとしたこと。なお、この場合において、世帯とは、生計を一にしていれば足り、必ずしも居住地を同一にしていることを要しないこと。
(2) 援護の要否及び程度は、生活保護法(昭和25年法律第144号)による保護の基準(一般基準及び特別基準の全てを含む。)の例により決定すること。
3 援護の実施及び方法
(1) 援護は、要援護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとしたこと。なお、本制度による援護は、生活保護法に基づく保護とは異なり、職権による開始は行わないことに留意されたい。
(2) 援護は、生活援助として行われる衣料、寝具の支給及び移送等について現物給付を適当とする場合を除き、原則として金銭給付によること。また、援護金品は、前記のような一時的給付並びに生業援助、出産援助及び葬祭援助等により一時的金銭給付を行う場合を除き、原則として1か月分に相当する金額を前渡しすること。
(3) 援護金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付することとしたこと。したがって、援護金品を、入所者等に交付することは認められないこと。

第3 新規患者の取扱いに関する事項
 ハンセン病は、特別に取り扱われるべき疾病ではなく、原則として外来診療によって対応されるべきであること。

第4 その他
1 国立以外のハンセン病療養所の取扱いに関する事項
 国立以外のハンセン病療養所(以下「私立療養所」という。)については、旧法の規律する法律関係の外にあった施設であることから、今回の法においても法的な位置づけはなされていないところであるが、私立療養所の入所者に対しては、従来どおり、国立療養所の入所者に準じた取扱いを行うこととしている。
2 ハンセン病療養所入所者に対する一般の医療機関における診療について
 かつて、国立療養所及び私立療養所の入所者が一般の医療機関において受診を希望した場合において、これらの者が国民健康保険の被保険者の適用除外であるとの理由により診療拒否が行われたという事例が見受けられたところであるが、これらの者が国立療養所及び私立療養所以外の医療機関において保険外の診療を受けることは差し支えないので、留意されたいこと。

第5 関係通知の廃止
 昭和27年8月11日医発第364号厚生省医務・公衆衛生局長連名通知「菊池医療刑務支所釈放者の収容取扱基準その他について」、昭和28年9月17日衛発第728号厚生省医務・公衆衛生局長連名通知「らい予防法の施行について」、昭和29年8月7日衛発第568号厚生省公衆衛生局長通知「らい予防法の一部を改正する法律の施行について」及び昭和33年9月25日衛発第883号公衆衛生局長通知「らい予防事業の実施について」は、平成8年3月31日をもって廃止する。




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