HOME > 人権に関する資料 > 通達(知)・指針等
育児・介護休業法(事業主が講ずべき措置に関する指針)
(1) 事業主が講ずべき措置に関する指針
育児休業及び介護休業は、子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続を促進するための制度であり、法律上の保障のみならず、様々な側面からその実効性の確保を図ることにより我が国社会に定着させる必要がある。
また、育児休業及び介護休業以外の就業しつつ子の養育又は家族の介護を行うことを容易にするための措置は、育児又は家族の介護をしながら職場において自らの能力を継続して発揮することを望む労働者にとって、そのニーズに対応した選択を可能とする意味で育児休業及び介護休業と同様に重要な意味を果たすものである。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」という。)においては、このような認識の下に、1歳に満たない子を養育する労働者について、育児休業の権利を実効あらしめるために事業主が講ずるように努めなければならない措置及び就業しつつ子を養育することを容易にするために事業主が講じなければならない措置が、また、1歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、事業主が講ずるように努めなければならない措置が、それぞれ定められている。さらに法第2条第三号の要介護状態(以下「要介護状態」という。)にある同条第四号の対象家族(以下「対象家族」という。)を介護する労働者について、介護休業の権利を実効あらしめるために事業主が講ずるように努めなければならない措置及び就業しつつ要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするために事業主が講じなければならない措置が、また、家族を介護する労働者について、事業主が講ずるように努めなければならない措置が、それぞれ定められている。労働大臣又はその委任を受けた都道府県女性少年室長は、それらの措置が適切かつ有効に実施されるよう事業主に対して必要な助言、指導又は勧告を行うものである。
この指針は、以上の原則の下に、事業主がそれぞれの措置を講ずるに当たっての重要事項を定めるものである。
第1 法第17条第1項の規定により育児休業及び介護休業に関する事項を定め、周知するに当たっての事項
1 法第17条第1項各号に掲げる事項に関する定めは、労働者が法に基づく育児休業又は介護休業の権利を行使したことを理由として当該労働者を不利益に取り扱うものであってはならないものであること。
2 就業規則において大綱又は要旨を規定するとともに、具体的な委任規定を設け、当該規定に基づき育児休業及び介護休業中の待遇、育児休業及び介護休業後の賃金、配置その他の労働条件その他必要な事項に関する規則を一括して定め、周知することが望ましいものであることに配慮すること。
第2 法第17条第2項の規定により育児休業申出又は介護休業申出をした労働者に対しその取扱いを明示するに当たっての当該事項取扱いは、当該労働者が法に基づく育児休業又は介護休業の権利を行使したことを理由として当該労働者を不利益に取り扱うものであってはならないものであること。
第3 法第18条の規定により育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理に関して必要な措置を講ずるに当たっての事項
1 育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。
2 育児休業又は介護休業をする労働者以外の労働者についての配置その他の雇用管理は、1の点を前提にして行われる必要があることに配慮すること。
第4 法第18条の規定により育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して必要な措置を講ずるに当たっての事項
1 当該措置の適用を受けるかどうかは、育児休業又は介護休業をする労働者の選択に任せられるべきものであること。
2 育児休業及び介護休業が比較的長期にわたる休業になり得ること、並びに育児休業又は介護休業後における円滑な就業のために必要となる措置が、個々の労働者の職種、職務上の地位 、職業意識等の状況に応じ様々であることにかんがみ、当該労働者の状況に的確に対応し、かつ、計画的に措置が講じられることが望ましいものであることに配慮すること。
第5 法第19条第1項の規定により労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置及び同条第2項の規定により労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を講ずるに当たっての事項
1 労働者が当該措置の適用を受けることを申し出たこと又は当該措置の適用を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないものであること。
2 当該措置は、労働者が希望する期間を超えてその意に反して適用されるものであってはならないものであること。
3 短時間勤務の制度は、労働者が就業しつつその子を養育すること又はその要介護状態にある対象家族を介護することを実質的に容易にする内容のものであることが望ましいものであることに配慮すること。
4 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律(平成9年法律第92号)第4条の規定により労働基準法(昭和22年法律第49号)が改正されたことを踏まえ事業主が時間外労働に関する制度を見直す場合においては、労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置の1つである所定労働時間を超えて労働させない制度を設ける必要性について検討するよう留意すること。
第6 法第20条第1項の規定により育児休業の制度又は法第19条第1項に定める措置に準じて、必要な措置を講ずるに当たっての事項
1 当該措置の適用を受けるかどうかは、労働者の選択に任せられるべきものであること。
2 1歳から小学校の就学の始期に達するまでの子のうち年齢の低い子を養育する労働者の方が一般的に当該子を養育するために当該措置の適用を受ける必要性が高いと考えられることに留意しつつ、労働者の子の養育をめぐる環境、労働者の勤務の状況等を総合的に勘案して、育児休業の制度又は法第19条第1項に定める措置に準じた措置のうち、より必要性の高い措置がより早期に講じられることが望ましいものであることに配慮すること。
第7 法第20条第2項の規定により、介護休業の制度又は法第19条第2項に定める措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるに当たっての事項
1 当該措置の適用を受けるかどうかは、労働者の選択に任せられるべきものであること。
2 次の事項に留意しつつ、企業の雇用管理等に伴う負担との調和を勘案し、必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮すること。
(1) 当該労働者が介護する家族の発症からその症状が安定期になるまでの期間又は介護に係るサービスを利用することができるまでの期間が3月を超える場合があること。
(2) 当該労働者がした介護休業に係る対象家族又は当該労働者に関して事業主が講じた法第19条第2項に定める措置に係る対象家族についても、介護を要する状態でなくなった後再び当該労働者による介護を必要とする状態となる場合があること。
(3) 対象家族以外の家族についても、他に近親の家族がいない場合等当該労働者が介護をする必要性が高い場合があること。
(4) 要介護状態にない家族を介護する労働者であっても、その家族の介護のため就業が困難となる場合があること。
(5) 当該労働者が家族を介護する必要性の程度が変化することに対応し、制度の弾力的な利用が可能となることが望まれる場合があること。
(附則 略)
HOME > 人権に関する資料 > 通達(知)・指針等
|