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感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
平成10年10月2日 法律第114号
最終改正:平成11年12月22日 法律第160号


 前文
 第一章 総則(第一条―第八条)
 第二章 基本指針等(第九条―第十一条)
 第三章 感染症に関する情報の収集及び公表(第十二条―第十六条)
 第四章 健康診断、就業制限及び入院(第十七条―第二十六条)
 第五章 消毒その他の措置(第二十七条―第三十六条)
 第六章 医療(第三十七条―第四十四条)
 第七章 新感染症(第四十五条―第五十三条)
 第八章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置(第五十四条―第五十六条)
 第九章 費用負担(第五十七条―第六十三条)
 第十章 雑則(第六十四条―第六十六条)
 第十一章 罰則(第六十七条―第六十九条)
 附則

 人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。
 医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。
 一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。
 このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。
 ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。


第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。

(基本理念)
第二条  感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条  国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及、感染症に関する情報の収集、整理、分析及び提供、感染症に関する研究の推進、感染症の病原体等の検査能力の向上並びに感染症の予防に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。この場合において、国及び地方公共団体は、感染症の患者等の人権の保護に配慮しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、感染症の予防に関する施策が総合的かつ迅速に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
3 国は、感染症に関する情報の収集及び研究並びに感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進、感染症の病原体等の検査の実施等を図るための体制を整備し、国際的な連携を確保するよう努めるとともに、地方公共団体に対し前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。

(国民の責務)
第四条  国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。

(医師等の責務)
第五条  医師その他の医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、その予防に寄与するよう努めるとともに、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
2 病院、診療所、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者は、当該施設において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(定義)
第六条  この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、指定感染症及び新感染症をいう。
2 この法律において「一類感染症」とは、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病及びラッサ熱をいう。
3 この法律において「二類感染症」とは、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス及びパラチフスをいう。
4 この法律において「三類感染症」とは、腸管出血性大腸菌感染症をいう。
5 この法律において「四類感染症」とは、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症その他の既に知られている感染性の疾病であって、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
6 この法律において「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症及び三類感染症を除く。)であって、第三章から第六章までの規定の全部又は一部を準用しなければ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。
7 この法律において「新感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。
8 この法律において「疑似症患者」とは、感染症の疑似症を呈している者をいう。
9 この法律において「無症状病原体保有者」とは、感染症の病原体を保有している者であって当該感染症の症状を呈していないものをいう。
10 この法律において「感染症指定医療機関」とは、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関をいう。
11 この法律において「特定感染症指定医療機関」とは、新感染症の所見がある者又は一類感染症若しくは二類感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院をいう。
12 この法律において「第一種感染症指定医療機関」とは、一類感染症又は二類感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。
13 この法律において「第二種感染症指定医療機関」とは、二類感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。

(指定感染症に対するこの法律の準用)
第七条  指定感染症については、一年以内の政令で定める期間に限り、政令で定めるところにより次条、第三章から第六章まで及び第八章から第十章までの規定の全部又は一部を準用する。
2 前項の政令で定められた期間は、当該政令で定められた疾病について同項の政令により準用することとされた規定を当該期間の経過後なお準用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。
3 厚生労働大臣は、前二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

(疑似症患者及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第八条  一類感染症の疑似症患者又は二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者については、それぞれ一類感染症の患者又は二類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
2 一類感染症の無症状病原体保有者については、一類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。

第二章 基本指針等

(基本指針)
第九条  厚生労働大臣は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 感染症の予防の推進の基本的な方向
二 感染症の発生の予防のための施策に関する事項
三 感染症のまん延の防止のための施策に関する事項
四 感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
五 感染症に関する調査及び研究に関する事項
六 感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項
七 感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項
八 感染症の予防に関する人材の養成に関する事項
九 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の配慮に関する事項
十 緊急時における国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡体制に関する事項
十一 その他感染症の予防の推進に関する重要事項
3 厚生労働大臣は、少なくとも五年ごとに基本指針に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
4 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
5 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(予防計画)
第十条  都道府県は、基本指針に即して、感染症の予防のための施策の実施に関する計画(以下この条において「予防計画」という。)を定めなければならない。
2 予防計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 地域の実情に即した感染症の発生の予防及びまん延の防止のための施策に関する事項
二 地域における感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
三 緊急時における国との連携及び地方公共団体相互間の連絡体制の確保に関する事項
四 感染症に関する研究の推進、人材の養成、知識の普及その他地域の実情に即した感染症の予防のための施策に関する重要事項
3 都道府県は、基本指針が変更された場合には、予防計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
4 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、市町村及び診療に関する学識経験者の団体の意見を聴かなければならない。
5 都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出するとともに、公表しなければならない。

(特定感染症予防指針)
第十一条  厚生労働大臣は、感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて、当該感染症に係る原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携その他当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針(次項において「特定感染症予防指針」という。)を作成し、公表するものとする。
2 厚生労働大臣は、特定感染症予防指針を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

第三章 感染症に関する情報の収集及び公表

(医師の届出)
第十二条  医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 四類感染症のうち、後天性免疫不全症候群、梅毒、マラリアその他厚生労働省令で定めるものの患者(後天性免疫不全症候群、梅毒その他厚生労働省令で定める感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
4 前三項の規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。

(獣医師の届出)
第十三条  獣医師は、エボラ出血熱、マールブルグ病その他の一類感染症、二類感染症又は三類感染症のうち政令で定める感染症ごとに当該感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるサルその他の動物について、当該動物が当該感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると診断したときは、直ちに、当該動物の所有者(所有者以外の者が管理する場合においては、その者。以下この条において同じ。)の氏名その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の政令で定める動物の所有者は、獣医師の診断を受けない場合において、当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると認めたときは、同項の規定による届出を行わなければならない。
3 前二項の規定による届出を受けた都道府県知事は、直ちに、当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
4 都道府県知事は、その管轄する区域外において飼育されていた動物について第一項又は第二項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、当該動物が飼育されていた場所を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
5 第一項及び前二項の規定は獣医師が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると検案した場合について、前三項の規定は所有者が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると認めた場合について準用する。

(感染症の発生の状況及び動向の把握)
第十四条  都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、四類感染症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所(以下この条において「指定届出機関」という。)を指定する。
2 指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が前項の厚生労働省令で定める四類感染症の患者(厚生労働省令で定める四類感染症の無症状病原体保有者を含む。以下この項において同じ。)を診断し、又は前項の厚生労働省令で定める四類感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者又は当該死亡した者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を当該指定届出機関の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
4 指定届出機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
5 都道府県知事は、指定届出機関の管理者が第二項の規定に違反したとき、又は指定届出機関が同項の規定による届出を担当するについて不適当であると認められるに至ったときは、その指定を取り消すことができる。

(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第十五条  都道府県知事は、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症若しくは四類感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者又は新感染症の所見がある者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 一類感染症、二類感染症、三類感染症若しくは四類感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者又は新感染症の所見がある者その他の関係者は、前項の規定による質問又は必要な調査に協力するよう努めなければならない。
3 第一項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の規定を実施するため特に必要があると認めるときは、厚生労働大臣に感染症に関する研究を行っている機関の職員の派遣その他同項の規定による質問又は必要な調査を実施するため必要な協力を求めることができる。
6 第三項の規定は、前項の規定により派遣された職員について準用する。
7 第三項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(情報の公表)
第十六条  厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の予防のための情報を積極的に公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

第四章 健康診断、就業制限及び入院

(健康診断)
第十七条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。
3 都道府県知事は、第一項に規定する健康診断の勧告をし、又は前項に規定する健康診断の措置を実施する場合には、同時に、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
4 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該健康診断の勧告又は措置の後相当の期間内に、同項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

(就業制限)
第十八条  都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合には、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
3 前項の規定の適用を受けている者又はその保護者は、都道府県知事に対し、同項の規定の適用を受けている者について、同項の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による確認の求めがあったときは、当該請求に係る第二項の規定の適用を受けている者について、同項の規定の適用に係る感染症の患者若しくは無症状病原体保有者でないかどうか、又は同項に規定する期間を経過しているかどうかの確認をしなければならない。

(入院)
第十九条  都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
3 前二項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。
4 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、第一項又は第二項の規定により入院している患者を、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
5 第一項又は第二項の規定に係る入院の期間と前項の規定に係る入院の期間とを合算した期間は、七十二時間を超えてはならない。

第二十条  都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者であって前条の規定により入院しているものに対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該入院に係る患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、十日以内の期間を定めて、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、十日以内の期間を定めて、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
3 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前二項の規定により入院している患者を、前二項の規定により入院したときから起算して十日以内の期間を定めて、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
4 都道府県知事は、前三項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る患者について入院を継続する必要があると認めるときは、十日以内の期間を定めて、入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は前項の規定による入院の期間を延長しようとするときは、あらかじめ、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。

(移送)
第二十一条  都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前二条の規定により入院する患者を、当該入院に係る病院又は診療所に移送しなければならない。

(退院)
第二十二条  都道府県知事は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、当該入院している患者を退院させなければならない。
2 病院又は診療所の管理者は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、都道府県知事に、その旨を通知しなければならない。
3 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該患者の退院を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

(書面による通知)
第二十三条  第十七条第三項及び第四項の規定は、都道府県知事が第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する入院の勧告、第十九条第二項及び第四項並びに第二十条第二項及び第三項に規定する入院の措置並びに同条第四項に規定する入院の期間の延長をする場合について準用する。

(感染症の診査に関する協議会)
第二十四条  都道府県知事の諮問に応じ、第二十条第一項の規定による勧告及び同条第四項の規定による入院の期間の延長に関する必要な事項を審議させるため、各保健所に感染症の診査に関する協議会(以下この条において「協議会」という。)を置く。
2 前項の規定にかかわらず、二以上の保健所を設置する都道府県において、特に必要があると認めるときは、二以上の保健所について一の協議会を置くことができる。
3 第一項に規定する協議会は、委員三人以上で組織する。
4 委員は、感染症指定医療機関の医師、感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者(感染症指定医療機関の医師を除く。)及び医療以外の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。ただし、その過半数は、医師のうちから任命しなければならない。
5 この法律に規定するもののほか、協議会に関し必要な事項は、条例で定める。

(審査請求の特例)
第二十五条  第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、同条第二項又は第三項に規定する入院の措置について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求(再審査請求を含む。以下この条において同じ。)をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があったときは、当該審査請求があった日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)に基づき厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る入院している患者が同条第二項又は第三項の規定により入院した日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、行政不服審査法 に基づき都道府県知事に審査請求をし、かつ、当該入院している患者の入院の期間が三十日を超えたときは、都道府県知事は、直ちに、事件を厚生労働大臣に移送し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
5 前項の規定により事件が移送されたときは、はじめから、厚生労働大臣に審査請求があったものとみなして、第三項の規定を適用する。
6 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は第三項の裁決(入院の期間が三十日を超える患者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第八条 に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

(準用)
第二十六条  第十九条から第二十三条まで及び前条の規定は、二類感染症の患者について準用する。この場合において、第十九条第一項及び第二項並びに第二十条第一項及び第二項中「特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関」とあり、並びに第十九条第二項及び第二十条第二項中「特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関」とあるのは「感染症指定医療機関」と、第二十二条第一項及び第二項中「一類感染症の病原体を保有していないこと」とあるのは「二類感染症の病原体を保有していないこと又は当該感染症の症状が消失したこと」と、同条第四項中「一類感染症の病原体を保有しているかどうか」とあるのは「二類感染症の病原体を保有しているかどうか、又は当該感染症の症状が消失したかどうか」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

第五章 消毒その他の措置

(感染症の病原体に汚染された場所の消毒)
第二十七条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者に対し、消毒すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、市町村に消毒するよう指示することができる。

(ねずみ族、昆虫等の駆除)
第二十八条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域の管理をする者又はその代理をする者に対し、当該ねずみ族、昆虫等を駆除すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域を管轄する市町村に当該ねずみ族、昆虫等を駆除するよう指示することができる。

(物件に係る措置)
第二十九条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、その所持者に対し、当該物件の移動を制限し、若しくは禁止し、消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に廃棄その他当該感染症の発生を予防し、若しくはそのまん延を防止するために必要な措置をとらせることができる。

(死体の移動制限等)
第三十条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止することができる。
2 一類感染症、二類感染症又は三類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない。ただし、十分な消毒を行い、都道府県知事の許可を受けたときは、埋葬することができる。
3 一類感染症、二類感染症又は三類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。

(生活の用に供される水の使用制限等)
第三十一条  都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供される水について、その管理者に対し、期間を定めて、その使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずることができる。
2 市町村は、都道府県知事が前項の規定により生活の用に供される水の使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命じたときは、同項に規定する期間中、都道府県知事の指示に従い、当該生活の用に供される水の使用者に対し、生活の用に供される水を供給しなければならない。

(建物に係る措置)
第三十二条  都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する措置によっても一類感染症のまん延を防止できない場合であって、緊急の必要があると認められるときに限り、政令で定める基準に従い、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について封鎖その他当該感染症のまん延の防止のために必要な措置を講ずることができる。

(交通の制限又は遮断)
第三十三条  都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

(必要な最小限度の措置)
第三十四条  第二十七条から前条までの規定により実施される措置は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

(質問及び調査)
第三十五条  都道府県知事は、第二十七条から第三十三条までに規定する措置を実施するため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症若しくは三類感染症の患者がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所若しくはあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所に立ち入り、一類感染症、二類感染症若しくは三類感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 前三項の規定は、市町村長が第二十七条第二項、第二十八条第二項、第二十九条第二項又は第三十一条第二項に規定する措置を実施するため必要があると認める場合について準用する。
5 第二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(書面による通知)
第三十六条  都道府県知事は、第二十七条第一項、第二十八条第一項、第二十九条第一項若しくは第二項、第三十条第一項又は第三十一条第一項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、その名あて人又はその保護者に対し、当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該措置を実施した後相当の期間内に、当該措置を実施した旨及びその理由その他同項の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を当該措置の名あて人又はその保護者に交付しなければならない。
3 都道府県知事は、第三十二条又は第三十三条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、適当な場所に当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を掲示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定は、市町村長が当該職員に第二十七条第二項、第二十八条第二項又は第二十九条第二項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

第六章 医療

(入院患者の医療)
第三十七条  都道府県は、都道府県知事が第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十六条の規定により入院の勧告又は入院の措置を実施した場合において、当該入院に係る患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)又はその保護者から申請があったときは、当該患者が感染症指定医療機関において受ける次に掲げる医療に要する費用を負担する。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 医学的処置、手術及びその他の治療
四 病院への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
2 都道府県は、前項に規定する患者若しくはその配偶者又は民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項 に定める扶養義務者が前項の費用の全部又は一部を負担することができると認められるときは、同項の規定にかかわらず、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。
3 第一項の申請は、当該患者の居住地を管轄する保健所長を経由して都道府県知事に対してしなければならない。

(感染症指定医療機関)
第三十八条  特定感染症指定医療機関の指定は、その開設者の同意を得て、当該病院の所在地を管轄する都道府県知事と協議した上、厚生労働大臣が行うものとする。
2 第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関の指定は、厚生労働大臣の定める基準に適合する病院について、その開設者の同意を得て、都道府県知事が行うものとする。
3 感染症指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、前条の規定により都道府県が費用を負担する感染症の患者及び新感染症の所見がある者の医療を担当しなければならない。
4 特定感染症指定医療機関は、前条第一項各号に掲げる医療のうち新感染症の所見がある者並びに一類感染症及び二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働大臣が行う指導に従わなければならない。
5 第一種感染症指定医療機関は、前条第一項各号に掲げる医療のうち一類感染症及び二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
6 第二種感染症指定医療機関は、前条第一項各号に掲げる医療のうち二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
7 感染症指定医療機関は、その指定を辞退しようとするときは、辞退の日の一年前までに、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣に、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関については都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
8 感染症指定医療機関が、第三項から第六項までの規定に違反したとき、その他前条に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至ったときは、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関については都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。

(他の法律による医療に関する給付との調整)
第三十九条  第三十七条第一項の規定により費用の負担を受ける感染症の患者(新感染症の所見がある者を除く。)が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)又は老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

(診療報酬の請求、審査及び支払)
第四十条  感染症指定医療機関は、診療報酬のうち、第三十七条第一項の規定により都道府県が負担する費用を、都道府県に請求するものとする。
2 都道府県は、前項の費用を当該感染症指定医療機関に支払わなければならない。
3 都道府県知事は、感染症指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、感染症指定医療機関が第一項の規定によって請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
4 感染症指定医療機関は、都道府県知事が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
5 都道府県知事は、第三項の規定により診療報酬の額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法 (昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法 に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
6 都道府県は、感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
7 第三項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。

(診療報酬の基準)
第四十一条  感染症指定医療機関が行う第三十七条第一項各号に掲げる医療に関する診療報酬は、健康保険の診療報酬の例によるものとする。
2 前項に規定する診療報酬の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。

(緊急時等の医療に係る特例)
第四十二条  都道府県は、第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十六条の規定により感染症指定医療機関以外の病院又は診療所に入院した患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)が、当該病院又は診療所から第三十七条第一項各号に掲げる医療を受けた場合においては、その医療に要した費用につき、当該患者又はその保護者の申請により、同項の規定によって負担する額の例により算定した額の療養費を支給することができる。これらの者が感染症指定医療機関から同項各号に掲げる医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により同項の申請をしないで行われたものであるときも、同様とする。
2 第三十七条第三項の規定は、前項の申請について準用する。
3 第一項の療養費は、当該患者が当該医療を受けた当時それが必要であったと認められる場合に限り、支給するものとする。

(報告の請求及び検査)
第四十三条  都道府県知事(特定感染症指定医療機関にあっては、厚生労働大臣又は都道府県知事とする。次項において同じ。)は、第三十七条第一項に規定する費用の負担を適正なものとするため必要があると認めるときは、感染症指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に感染症指定医療機関についてその管理者の同意を得て実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2 感染症指定医療機関が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、都道府県知事は、当該感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めるよう指示し、又は差し止めることができる。

(厚生労働省令への委任)
第四十四条  この法律に規定するもののほか、第三十七条第一項の申請の手続、第四十条の診療報酬の請求並びに支払及びその事務の委託の手続その他この章で規定する費用の負担に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七章 新感染症

(新感染症に係る健康診断)
第四十五条  都道府県知事は、新感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該新感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者に対し当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。
3 第十七条第三項及び第四項の規定は、都道府県知事が第一項に規定する健康診断の勧告又は前項に規定する健康診断の措置を実施する場合について準用する。

(新感染症の所見がある者の入院)
第四十六条  都道府県知事は、新感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、新感染症の所見がある者に対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該新感染症の所見がある者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該新感染症の所見がある者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、十日以内の期間を定めて、当該勧告に係る新感染症の所見がある者を特定感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
3 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前二項の規定により入院している新感染症の所見がある者を、前二項の規定により入院したときから起算して十日以内の期間を定めて、当該新感染症の所見がある者が入院している病院以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
4 都道府県知事は、前三項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る新感染症の所見がある者について入院を継続する必要があると認めるときは、十日以内の期間を定めて入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

(新感染症の所見がある者の移送)
第四十七条  都道府県知事は、前条の規定により入院する新感染症の所見がある者を当該入院に係る病院に移送しなければならない。

(新感染症の所見がある者の退院)
第四十八条  都道府県知事は、第四十六条の規定により入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないことが確認されたときは、当該入院している者を退院させなければならない。
2 病院の管理者は、都道府県知事に対し、第四十六条の規定により入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがない旨の意見を述べることができる。
3 第四十六条の規定により入院している者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該入院している者の退院を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないかどうかの確認をしなければならない。

(新感染症の所見がある者の入院に係る書面による通知)
第四十九条  第十七条第三項及び第四項の規定は、都道府県知事が第四十六条第一項に規定する入院の勧告、同条第二項及び第三項に規定する入院の措置並びに同条第四項に規定する入院の期間の延長をする場合について準用する。

(新感染症に係る消毒その他の措置)
第五十条  都道府県知事は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症を一類感染症とみなして、第二十七条から第三十三条まで及び第三十五条第一項に規定する措置の全部又は一部を実施し、又は当該職員に実施させることができる。
2 第三十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により都道府県知事が当該職員に同条第一項に規定する措置を実施させる場合について準用する。
3 第三十六条第一項及び第二項の規定は、第一項の規定により都道府県知事が第二十七条第一項、第二十八条第一項、第二十九条第一項若しくは第二項、第三十条第一項又は第三十一条第一項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合について準用する。
4 第三十六条第三項の規定は、第一項の規定により都道府県知事が第三十二条又は第三十三条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合について準用する。
5 市町村長は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症を一類感染症とみなして、第三十五条第四項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させることができる。
6 第三十五条第四項において準用する同条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により当該職員に同条第四項において準用する同条第一項に規定する措置を実施させる場合について準用する。
7 第三十六条第四項において準用する同条第一項及び第二項の規定は、第一項の規定により実施される第二十七条第二項、第二十八条第二項又は第二十九条第二項の規定による都道府県知事の指示に従い、市町村長が当該職員に第二十七条第二項、第二十八条第二項又は第二十九条第二項に規定する措置を実施させる場合について準用する。
8 第一項又は第五項の規定により実施される措置は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

(厚生労働大臣の技術的指導及び助言)
第五十一条  都道府県知事は、第四十五条第一項、第四十六条第一項、第三項若しくは第四項、第四十七条若しくは第四十八条第一項若しくは第四項に規定する措置又は前条第一項の規定により第二十七条から第三十三条まで若しくは第三十五条第一項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させようとする場合には、あらかじめ、当該措置の内容及び当該措置を実施する時期その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に通報し、厚生労働大臣と密接な連携を図った上で当該措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による通報を受けたときは、第四十五条から第四十八条まで及び前条第一項に規定する措置を適正なものとするため、当該都道府県知事に対して技術的な指導及び助言をしなければならない。
3 厚生労働大臣は、前項の規定により都道府県知事に対して技術的な指導及び助言をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
4 前三項の規定は、市町村長が前条第五項の規定により第三十五条第四項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させる場合について準用する。

(新感染症に係る経過の報告)
第五十二条  都道府県知事は、第四十五条から第四十八条まで又は第五十条第一項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させた場合は、その内容及びその後の経過を逐次厚生労働大臣に報告しなければならない。
2 前項の規定は、市町村長が、第五十条第五項に規定する措置を当該職員に実施させた場合について準用する。

(新感染症の政令による指定)
第五十三条  国は、新感染症に係る情報の収集及び分析により、当該新感染症の固有の病状及びまん延の防止のために講ずべき措置を示すことができるようになったときは、速やかに、政令で定めるところにより、新感染症及び新感染症の所見がある者を一年以内の政令で定める期間に限り、それぞれ、一類感染症及び一類感染症の患者とみなして第三章から前章まで及び次章から第十章までの規定の全部又は一部を適用する措置を講じなければならない。
2 前項の政令で定められた期間は、当該政令で定められた新感染症について同項の政令により適用することとされた規定を当該期間の経過後なお適用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。当該延長に係る政令で定める期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
3 厚生労働大臣は、前二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

第八章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置

(輸入禁止)
第五十四条  何人も、第十三条第一項の政令で定める動物のうち政令で定めるもの(以下「指定動物」という。)であって次に掲げるものを輸入してはならない。ただし、第一号の厚生労働省令、農林水産省令で定める地域から輸入しなければならない特別の理由がある場合において、厚生労働大臣及び農林水産大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
一 第十三条第一項に規定する感染症の発生の状況その他の事情を考慮して指定動物ごとに厚生労働省令、農林水産省令で定める地域から発送されたもの
二 前号の厚生労働省令、農林水産省令で定める地域を経由したもの

(輸入検疫)
第五十五条  指定動物を輸入しようとする者(以下「輸入者」という。)は、輸出国における検査の結果、第十三条第一項の政令で定める感染症のうち指定動物ごとに政令で定めるものにかかっていない旨又はかかっている疑いがない旨その他厚生労働省令、農林水産省令で定める事項を記載した輸出国の政府機関により発行された証明書又はその写しを添付しなければならない。
2 指定動物は、農林水産省令で定める港又は飛行場以外の場所で輸入してはならない。
3 輸入者は、農林水産省令で定めるところにより、当該指定動物の種類及び数量、輸入の時期及び場所その他農林水産省令で定める事項を動物検疫所に届け出なければならない。この場合において、動物検疫所長は、次項の検査を円滑に実施するため特に必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該届出に係る輸入の時期又は場所を変更すべきことを指示することができる。
4 輸入者は、動物検疫所又は第二項の規定により定められた港若しくは飛行場内の家畜防疫官が指定した場所において、指定動物について、第一項の政令で定める感染症にかかっているかどうか、又はその疑いがあるかどうかについての家畜防疫官による検査を受けなければならない。ただし、特別の理由があるときは、農林水産大臣の指定するその他の場所で検査を行うことができる。
5 家畜防疫官は、前項の検査を実施するため必要があると認めるときは、当該検査を受ける者に対し、必要な指示をすることができる。
6 前各項に規定するもののほか、指定動物の検疫に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

(検査に基づく措置)
第五十六条  家畜防疫官が、前条第四項の検査において、第十三条第一項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっている疑いがある指定動物を発見した場合については、同条の規定は、適用しない。この場合において、動物検疫所長は、直ちに、当該指定動物の輸入者の氏名その他同項の厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に通知するものとする。
2 前項の規定による通知を受けた都道府県知事は、直ちに、当該通知の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 動物検疫所長は、第一項に規定する指定動物について、農林水産省令で定めるところにより、家畜防疫官に隔離、消毒、殺処分その他必要な措置をとらせることができる。

第九章 費用負担

(市町村の支弁すべき費用)
第五十七条  市町村は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第二十七条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
二 第二十八条第二項の規定により市町村が行うねずみ族、昆虫等の駆除(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
三 第二十九条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
四 第三十一条第二項の規定により市町村が行う生活の用に供される水の供給(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用

(都道府県の支弁すべき費用)
第五十八条  都道府県は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第十四条から第十六条までの規定により実施される事務に要する費用
二 第十七条又は第四十五条の規定による健康診断に要する費用
三 第十八条第四項、第二十二条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十八条第四項の規定による確認に要する費用
四 第二十一条(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による移送に要する費用
五 第二十九条第二項の規定による措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
六 第三十二条第二項の規定による建物に係る措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
七 第三十三条の規定による交通の制限又は遮断(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
八 第三十七条第一項の規定により負担する費用
九 第四十二条第一項の規定による療養費の支給に要する費用

(都道府県の負担)
第五十九条  都道府県は、第五十七条の費用に対して、政令で定めるところにより、その三分の二を負担する。

(都道府県の補助)
第六十条  都道府県は、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関の設置者に対し、政令で定めるところにより、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関の設置及び運営に要する費用の全部又は一部を補助することができる。

(国の負担)
第六十一条  国は、第五十五条の規定による輸入検疫に要する費用(輸入検疫中の指定動物の飼育管理費を除く。)を負担しなければならない。
2 国は、第五十八条第八号及び第九号の費用に対して、政令で定めるところにより、その四分の三を負担する。
3 国は、第五十八条第一号から第七号まで及び第五十九条の費用に対して、政令で定めるところにより、その二分の一を負担する。

(国の補助)
第六十二条  国は、第六十条の費用に対して、政令で定めるところにより、その二分の一以内を補助することができる。
2 国は、特定感染症指定医療機関の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内で、特定感染症指定医療機関の設置及び運営に要する費用の一部を補助することができる。

(費用の徴収)
第六十三条  市町村長は、第二十七条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症若しくは三類感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症に係る死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者から消毒に要した実費を徴収することができる。
2 市町村長は、第二十八条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症又は三類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等を駆除させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該ねずみ族、昆虫等が存在する区域の管理をする者又はその代理をする者からねずみ族、昆虫等の駆除に要した実費を徴収することができる。
3 市町村長は、第二十九条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症又は三類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該飲食物、衣類、寝具その他の物件の所持者から消毒に要した実費を徴収することができる。

第十章 雑則

(保健所を設置する市又は特別区)
第六十四条  保健所を設置する市又は特別区にあっては、第三章から前章までの規定(第十四条第一項及び第五項、第三十八条第一項、第二項及び第五項から第八項まで、第四十条第三項から第五項まで、第四十三条並びに第六十条を除く。)中「都道府県知事」とあるのは「市長」又は「区長」と、「都道府県」とあるのは「市」又は「区」とする。
2 特別区にあっては、第三十一条第二項及び第五十七条(第四号の規定に係る部分に限る。)中「市町村」とあるのは、「都」とする。

(再審査請求)
第六十五条  この法律に規定する事務のうち保健所を設置する市又は特別区の長が行う処分(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務に係るものに限る。)についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。

(事務の区分)
第六十五条の二  第三章、第四章(第二十四条を除く。)、第五章(第三十五条第四項において準用する同条第一項並びに第三十六条第四項において準用する同条第一項及び第二項(第五十条第七項において準用する場合を含む。)を除く。)、第七章(第五十条第五項及び第五十一条第四項において準用する同条第一項から第三項までを除く。)及び第八章の規定により都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務(第二十七条第二項及び第二十八条第二項に規定する措置、第二十九条第二項の消毒並びに第三十一条第二項に規定する措置を除く。)は、地方自治法第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

(権限の委任)
第六十五条の三  この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

(経過措置)
第六十六条  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第十一章 罰則

第六十七条  医師が、感染症の患者(疑似症患者及び無症状病原体保有者並びに新感染症の所見がある者を含む。次条において同じ。)であるかどうかに関する健康診断又は当該感染症の治療に際して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 第十二条から第十四条までの規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。以下同じ。)及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。以下同じ。)を含む。)による届出の受理、第十五条(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)の規定による質問若しくは調査、第十七条(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)若しくは第四十五条の規定による健康診断、第十九条、第二十条若しくは第二十六条において準用する第十九条若しくは第二十条の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)若しくは第四十六条の規定による入院又は第二十七条から第三十三条まで若しくは第三十五条の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)による措置(第五十条第一項又は第五項の規定により実施される場合を含む。)に関する事務に従事した公務員又は公務員であった者が、その職務の執行に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときも、前項と同様とする。
3 職務上前項の秘密を知り得た他の公務員又は公務員であった者が、正当な理由がなくその秘密を漏らしたときも、第一項と同様とする。

第六十八条  感染症の患者であるとの人の秘密を業務上知り得た者が、正当な理由がなくその秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第六十九条  次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項又は同条第四項において準用する同条第一項の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)による届出(新感染症に係るものを除く。)をしなかった医師
二 第十三条第一項又は同条第五項において準用する同条第一項の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)による届出をしなかった獣医師
三 第十八条第一項(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)の規定による通知を受けた者であって第十八条第二項(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)の規定に違反した者
四 第二十七条第一項、第二十八条第一項、第二十九条第一項、第三十条第一項、第三十一条第一項、第三十二条第一項又は第三十三条の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)による都道府県知事(保健所を設置する市及び特別区の長を含む。)の命令(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に従わなかった者
五 第三十条第二項(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)又は第五十条第一項の規定により実施される第三十条第二項の規定に違反した者
六 第三十五条第一項(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)若しくは第五十条第一項若しくは第五項の規定により実施される第三十五条第一項の規定による当該職員の質問に対して虚偽の答弁をし、又は同項(第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)若しくは第五十条第一項若しくは第五項の規定により実施される第三十五条第一項の規定による当該職員の調査を拒み、妨げ若しくは忌避した者
七 第五十四条又は第五十五条第一項、第二項若しくは第四項の規定(これらの規定が第七条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合を含む。)に違反して指定動物を輸入した者

附則抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十一年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第十三条の規定 公布の日
二 第八章の規定、第六十一条第一項及び第六十九条第七号の規定並びに附則第三十四条の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

(検討)
第二条  この法律の規定については、この法律の施行後五年を目途として、感染症の流行の状況、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展、感染症に関する知識の普及の状況その他この法律の施行の状況等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。
2 第六条に規定する感染症の範囲及びその類型については、少なくとも五年ごとに、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。

(伝染病予防法等の廃止)
第三条  次に掲げる法律は、廃止する。
一 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号)
二 性病予防法(昭和二十三年法律第百六十七号)
三 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(平成元年法律第二号)

(伝染病予防法の廃止に伴う経過措置)
第四条  この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に行われた医師の診断又は検案に係る前条の規定による廃止前の伝染病予防法(以下「旧伝染病予防法」という。)第三条及び第三条ノ二の規定による届出については、なお従前の例による。

第五条  施行日前に行われた旧伝染病予防法第十二条第一項の規定による許可は、第三十条第二項の規定による許可とみなす。

第六条  施行日前に行われた措置に係る旧伝染病予防法第二十一条に規定する費用についての市町村の支弁、都道府県の支出及び国庫の負担並びに旧伝染病予防法第二十二条及び第二十二条ノ二に規定する費用についての都道府県又は保健所を設置する市の支弁及び国庫の負担については、なお従前の例による。

第七条  施行日前に行われた措置に係る旧伝染病予防法第二十六条又は第二十七条の規定に基づく費用の追徴については、なお従前の例による。

(感染症指定医療機関の指定の特例)
第八条  都道府県知事は、当該地域において感染症指定医療機関が不足し、感染症のまん延の防止に著しい支障が生ずると認められる場合には、第三十八条第二項の規定にかかわらず、この法律の施行の際現に存する旧伝染病予防法第十七条に規定する伝染病院又は隔離病舎であって適当と認めるものを一回を限り第二種感染症指定医療機関に指定することができる。
2 前項の規定による指定は、施行日から五年を経過したときは、その効力を失うものとする。
3 市町村は、感染症指定医療機関が充足するまでの間、第一項の規定による都道府県知事の措置に協力しなければならない。

(性病予防法の廃止に伴う経過措置)
第九条  施行日前に行われた医師の診断に係る附則第三条の規定による廃止前の性病予防法(次条において「旧性病予防法」という。)第六条第一項の規定による届出については、なお従前の例による。

第十条  施行日前に行われた措置に係る旧性病予防法第十七条各号に掲げる費用についての都道府県、保健所を設置する市又は特別区の支弁及び国庫の負担並びに旧性病予防法第十八条に規定する費用についての市町村の支弁及び国庫の負担については、なお従前の例による。

(後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の廃止に伴う経過措置)
第十一条  施行日前に行われた医師の診断に係る附則第三条の規定による廃止前の後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(次条において「旧後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」という。)第五条の規定による報告については、なお従前の例による。

第十二条  施行日前に行われた旧後天性免疫不全症候群の予防に関する法律第十一条第一項の規定により適用するものとされた旧伝染病予防法第二十二条及び第二十二条ノ二に規定する措置に要する費用についての都道府県又は保健所を設置する市の支弁及び国庫の負担については、なお従前の例による。

(施行のために必要な準備)
第十三条  厚生大臣は、第九条に規定する基本指針又は第十一条に規定する特定感染症予防指針を定めようとするときは、施行日前においても公衆衛生審議会の意見を聴くこと及び関係行政機関の長との協議をすることができる。

(罰則に関する経過措置)
第十四条  施行日前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則(平成一一年七月一六日法律第八七号)抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日

(従前の例による事務等に関する経過措置)
第六十九条  国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第三十二条第一項、第七十八条第一項並びに第八十七条第一項及び第十三項の規定によりなお従前の例によることとされた事項に係る都道府県知事の事務、権限又は職権(以下この条において「事務等」という。)については、この法律による改正後の国民年金法、厚生年金保険法及び船員保険法又はこれらの法律に基づく命令の規定により当該事務等に相当する事務又は権限を行うこととされた厚生大臣若しくは社会保険庁長官又はこれらの者から委任を受けた地方社会保険事務局長若しくはその地方社会保険事務局長から委任を受けた社会保険事務所長の事務又は権限とする。

(新地方自治法第百五十六条第四項の適用の特例)
第七十条  第百六十六条の規定による改正後の厚生省設置法第十四条の地方社会保険事務局及び社会保険事務所であって、この法律の施行の際旧地方自治法附則第八条の事務を処理するための都道府県の機関(社会保険関係事務を取り扱うものに限る。)の位置と同一の位置に設けられるもの(地方社会保険事務局にあっては、都道府県庁の置かれている市(特別区を含む。)に設けられるものに限る。)については、新地方自治法第百五十六条第四項の規定は、適用しない。

(社会保険関係地方事務官に関する経過措置)
第七十一条  この法律の施行の際現に旧地方自治法附則第八条に規定する職員(厚生大臣又はその委任を受けた者により任命された者に限る。附則第百五十八条において「社会保険関係地方事務官」という。)である者は、別に辞令が発せられない限り、相当の地方社会保険事務局又は社会保険事務所の職員となるものとする。

(地方社会保険医療協議会に関する経過措置)
第七十二条  第百六十九条の規定による改正前の社会保険医療協議会法の規定による地方社会保険医療協議会並びにその会長、委員及び専門委員は、相当の地方社会保険事務局の地方社会保険医療協議会並びにその会長、委員及び専門委員となり、同一性をもって存続するものとする。

(準備行為)
第七十三条  第二百条の規定による改正後の国民年金法第九十二条の三第一項第二号の規定による指定及び同条第二項の規定による公示は、第二百条の規定の施行前においても行うことができる。

(厚生大臣に対する再審査請求に係る経過措置)
第七十四条  施行日前にされた行政庁の処分に係る第百四十九条から第百五十一条まで、第百五十七条、第百五十八条、第百六十五条、第百六十八条、第百七十条、第百七十二条、第百七十三条、第百七十五条、第百七十六条、第百八十三条、第百八十八条、第百九十五条、第二百一条、第二百八条、第二百十四条、第二百十九条から第二百二十一条まで、第二百二十九条又は第二百三十八条の規定による改正前の児童福祉法第五十九条の四第二項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十二条の四、食品衛生法第二十九条の四、旅館業法第九条の三、公衆浴場法第七条の三、医療法第七十一条の三、身体障害者福祉法第四十三条の二第二項、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五十一条の十二第二項、クリーニング業法第十四条の二第二項、狂犬病予防法第二十五条の二、社会福祉事業法第八十三条の二第二項、結核予防法第六十九条、と畜場法第二十条、歯科技工士法第二十七条の二、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律第二十条の八の二、知的障害者福祉法第三十条第二項、老人福祉法第三十四条第二項、母子保健法第二十六条第二項、柔道整復師法第二十三条、建築物における衛生的環境の確保に関する法律第十四条第二項、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二十四条、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第四十一条第三項又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六十五条の規定に基づく再審査請求については、なお従前の例による。

(厚生大臣又は都道府県知事その他の地方公共団体の機関がした事業の停止命令その他の処分に関する経過措置)
第七十五条  この法律による改正前の児童福祉法第四十六条第四項若しくは第五十九条第一項若しくは第三項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第八条第一項(同法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、食品衛生法第二十二条、医療法第五条第二項若しくは第二十五条第一項、毒物及び劇物取締法第十七条第一項(同法第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)、厚生年金保険法第百条第一項、水道法第三十九条第一項、国民年金法第百六 条第一項、薬事法第六十九条第一項若しくは第七十二条又は柔道整復師法第十八条第一項の規定により厚生大臣又は都道府県知事その他の地方公共団体の機関がした事業の停止命令その他の処分は、それぞれ、この法律による改正後の児童福祉法第四十六条第四項若しくは第五十九条第一項若しくは第三項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第八条第一項(同法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、食品衛生法第二十二条若しくは第二十三条、医療法第五条第二項若しくは第二十五条第一項、毒物及び劇物取締法第十七条第一項若しくは第二項(同法第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)、厚生年金保険法第百条第一項、水道法第三十九条第一項若しくは第二項、国民年金法第百六条第一項、薬事法第六十九条第一項若しくは第二項若しくは第七十二条第二項又は柔道整復師法第十八条第一項の規定により厚生大臣又は地方公共団体がした事業の停止命令その他の処分とみなす。

(国等の事務)
第百五十九条  この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。

(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。

(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条  施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(手数料に関する経過措置)
第百六十二条  施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第百六十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2 附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。

(検討)
第二百五十条  新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。

第二百五十一条  政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第二百五十二条  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附則(平成一一年一二月二二日法律第一六〇号)抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。



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