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戸籍の届出における本人確認等の取扱いについて(通達)

法務省民一第748号
平成15年3月18日

 法 務 局 長  殿
 地方法務局長  殿

法務省民事局長

戸籍の届出における本人確認等の取扱いについて(通達)

 近年,当事者の知らない間に偽造の婚姻届等が提出され,戸籍に不実の記載がされるという事件が相次いで発生・発覚し,昨年12月18日,その事後的な原状回復策として「申出による戸籍再製の制度」を創設する戸籍法の一部を改正する法律(平成14年法律第174号)が施行されたところですが,本年2月5日,全国連合戸籍事務協議会会長から当職あてに,「市区町村における戸籍に係る虚偽の届出への対応策について」と題する緊急提言がされました。
 これを受け,今般,偽造の届書により戸籍への不実の記載がされるのを未然に防止するための緊急かつ暫定的な措置として,届書を持参した者に対する身分確認(以下「本人確認」という。)等に係る取扱いを下記のとおり定めましたので,貴管下支局長及び管内市区町村長に周知方取り計らい願います。

第1 対象とする届出の種類
1 創設的届出のうち,婚姻届,離婚届,養子縁組届及び養子離縁届を対象とするものとする。ただし,その他の創設的届出を本取扱いの対象に加えても差し支えない。
2 戸籍法(昭和22年法律第224号)第38条第2項の規定により,届書に裁判の謄本を添付するものとされている届出については,本取扱いの対象外として差し支えない。

第2 本人確認の対象者
 市役所,区役所又は町村役場に届書を持参した者(届出人及び届出人以外の者を含む。届出人以外の者を以下「使者」という。)を対象とするものとする。ただし,その者が使者であるときは,本人確認の対象外として差し支えない。

第3 本人確認の方法
1 運転免許証,旅券等官公署の発行に係る顔写真が貼付された証明書の提示を求めるものとする。ただし,市区町村長が本人確認を行うに足りると認めるその他の方法によっても差し支えない。
2 1の本文の場合において,届出人から証明書が提示されたときは,当該証明書に記載された住所及び氏名を届書に記載された住所及び氏名と対比し,それらが同一であることを確認するとともに,届出人が当該証明書に貼付された顔写真の人物と同一人であることの確認を行うものとする。1のただし書の場合にも,これに準じた取扱いをするものとする。
3 1の本文の場合において,使者から証明書が提示されたときは,使者が当該証明書に貼付された顔写真の人物と同一人であることを確認するものとする。1のただし書の場合にも,これに準じた取扱いをするものとする。
4 1から3までによる確認の結果,当該届書が偽造されたものである疑いがあると認められる場合には,その受否につき管轄法務局,地方法務局又はその支局の長(以下「管轄法務局長等」という。)に照会をするものとする。
5 4によって照会を受けた管轄法務局長等は,当該届出に係る関係者の事情聴取を行うなどして,当該届書が真正に作成されたものであるか否かについて十分調査を行った上,受理又は不受理の指示を行うものとする。
6 5による指示を受けた市区町村長は,その指示に従った処理をするものとする。不受理の指示を受けた場合において,犯罪の嫌疑があると思料するときは,告発に努めるものとする。

第4 執務時間外の届出に対する本人確認
1 執務時間外の届出についても,執務時間内の届出と同様の取扱いをするものとする。ただし,市区町村長が相当と認めるときは,執務時間外の全部又は一部の時間帯について,本人確認を行わないものとして差し支えない。
2 執務時間外の届出についての本人確認は,市区町村長の補助者(戸籍事務取扱準則制定標準(昭和42年4月13日付け法務省民事甲第615号当職通達)第5条に規定する補助者をいう。)以外の者で執務時間外に届書の受領を担当するものが行うものとして差し支えない。

第5 届出人に対する通知
1 当該届書に係る届出人のすべてについて本人確認ができたとき又は第3の4により管轄法務局長等に対し受否の照会をしたときを除き,届出の受理決定後,次の各号の区別に従い,当該各号に掲げる者に対し,届出を受理した旨の通知をするものとする。
(1)第2のただし書若しくは第4の1のただし書により,本人確認を行わない取扱いとしたとき,当該届書を持参した者が届出人であった場合において,当該届書に係る届出人のすべてについて本人確認ができなかったとき,当該届書を持参した者が使者であった場合において,当該使者について本人確認ができなかったとき,又は郵送により当該届書が提出されたとき
 当該届書に係る届出人のすべて
(2)当該届書を持参した者が届出人であった場合において,当該届書に係る届出人の一部について本人確認ができたとき
 本人確認ができなかった届出人のすべて(ただし,市区町村が相当と認めるときは,通知を省略して差し支えない。)
(3)当該届書を持参した者が使者であった場合において,当該使者について本人確認ができたとき
 当該届書に係る届出人のすべて(ただし,市区町村長が相当と認めるときは,通知を省略して差し支えない。)
2 1による通知の内容等は,次のとおりとするものとする。
(1)内容
 届出(受理)年月日,事件名,届出人及び届出事件本人の氏名並びに受理した旨等とするものとする。様式や文案は,市区町村長が適宜定めて差し支えない。
(2)宛先と宛名
ア 宛先は,届出人の住民基本台帳又は戸籍の附票上の住所とするものとする。届出日と同日以後に住所の変更がされている場合には,変更前の住所を宛先とするものとする。
イ 届出により氏が変更となる者についての宛名は,変更前の氏とするものとする。
(3)通知手段
 封書又は本人以外の者が内容を読みとることのできないような処理をした葉書によるものとする。
(4)返送された場合の処理
 宛先不明等により返送された通知は,再送することなく市区町村において保管するものとする。保存期間は,当該年度の翌年から1年以上の適宜の期間とするものとする。

第6 本人確認及び通知に関する事項の届書への記載
1 届書の欄外の適宜の箇所に,本人確認及び通知の有無等を記載するものとする。
2 他の市区町村長に送付する届書の謄本についても,1の内容を明らかにするものとする。

第7 確認台帳
1 市区町村長は,本人確認及び通知の経緯を明らかにするため,適宜の様式により確認台帳を作成し,本人確認及び通知の有無等(届書を持参した者が使者であるときは,掲示された証明書に記載された住所及び氏名を含む。)を記録するものとする。
2 確認台帳の保存期間は,当該年度の翌年から1年以上の適宜の期間とするものとする。

第8 実施時期
 本取扱いについては,各市区町村の実情を踏まえつつ,速やかな実施に努め,遅くとも平成15年度中にはすべての市区町村において実施することができるようにするものとする。

第9 その他
 本取扱いの実施に当たっては,窓口での混乱等を避けるため,その目的及び方法について,事前に各市区町村の広報紙等を通じて十分に周知するよう配意するものとする。




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