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「障害者に関する世界行動計画」についての国連総会決議
第56回国連総会2001年12月19日採択
国連総会決議56/115
「障害者に関する世界行動計画の実施:21世紀における万人のための社会に向けて」
国連総会は、
国連憲章の目的及び原則を想起し、また、関連人権文書(女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(注1)及び子どもの権利条約(注2)を含む。)に含まれる義務を再確認し、
また、障害者に関する世界行動計画を採択した1982年12月3日の国連総会決議37/52(注3)、障害者の機会均等化に関する基準規則を採択した1993年12月20日の国連総会決議48/96、1994年12月23日の国連総会決議49/153、1995年12月21日の国連総会決議50/144、1997年12月12日の国連総会決議52/82及び1999年12月17日の国連総会決議54/121を想起し、
さらに、障害者の機会均等化及び人権に関するあらゆる関連国連総会決議並びに経済社会理事会決議及びその機能委員会の関連決議を想起し、
国連ミレニアムサミットにおいて2000年9月8日に国家及び政府首脳により採択された国連ミレニアム宣言(注4)を想起し、また、障害者のあらゆる人権及び基本的自由を促進しかつ保護する必要を認め、
アクセスしやすい環境、情報及び通信技術、保健、教育及び社会サービス、雇用並びに持続可能な生活に対して特別の関心を払う、基準規則及び関連決議の関連規定を実施するための政府の活動(政府間機構及び非政府組織の関連活動を含む。)に感謝をもって留意し、
主要な国連会議及びサミット並びにそれぞれの継続的再検討の成果を再確認し、
障害者の権利及び福祉を促進し、ひいては、障害者の完全参加及び平等を確保することを目的とする、主要な国連会議及びサミットの成果の実施に関する国連事務総長の評価、並びに、障害を生じさせる条件を予防することを目的として国連システムによりとられた措置に感謝をもって留意し、
2001年8月31日から9月8日まで南アフリカのダーバンで開催された、人種主義、人種差別、外国人排斥及び関連のある不寛容に反対する世界会議が、障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する総合的かつ包括的な国際条約(特に、障害者に影響を及ぼす差別的慣行及び取扱に対応した規定を含む。)の作成を検討するよう国連総会に対して要請したことに留意し、
障害者の人権の促進及び保護に関する非政府組織の重要な役割を認め、また、これと関連して、障害者の権利条約を促進する際になされる当該組織の作業に留意し、
障害者により障害者のために障害者と共同して、持続可能な生活の機会を創出するために基準規則を促進する国内能力の向上を支援する際の、障害に関する国連自発的基金の貴重な作業に感謝をもって留意し、
また、障害者に関連した小地域、地域及び国際セミナー及び会議の重要な貢献に感謝をもって留意し、
万人のための社会を実現するために、平等を基礎として、障害者の権利並びに経済的、社会的、文化的及び政治的生活における障害者の完全かつ効果的な参加を促進するための効果的な政策及び戦略を採用しかつ実施する必要を認識し、
障害者に関連する国際会議(2002年に日本で開催される障害者インターナショナル第6回世界会議を含む。)を開催するという率先性を歓迎し、
障害問題に対する意識及び感度の改善並びに障害者の人権尊重が、これまで世界中の障害者の生活の質を改善するには十分でなかったことを憂慮し、
武力紛争の状況が障害者の人権にとって特に惨害たる結果をもたらし続けていることに強い憂慮を表明し、
障害に対する感度の高い主題、計画策定及び評価に関する時宜を得た信頼できるデータの重要性と、障害者の人口に関するデータを収集しかつ編纂するための実際的な統計手法を更に開発する必要性とを認め、
科学技術(特に情報及び通信技術)が、障害者のアクセシビリティ及び雇用を改善し、かつ、彼(女)らの完全かつ効果的な参加及び平等を促進するための新たな可能性を提供することを強調し、また、万人のための社会という普遍的目的を達成する一つの手段である情報及び通信技術を容易にする際の国連の率先性を歓迎し、
1. 障害者に関する世界行動計画(注3)の実施に関する国連事務総長報告書(注6)に感謝をもって留意する。
2. 社会のあらゆる部門において障害者の権利と障害者による障害者のための障害者と共同した更なる機会均等化とを向上するための、政府、関連国連機関及び機構(関連ブレトンウッズ体制を含む。)並びに非政府組織の多くの率先性及び活動を歓迎する。
3. 障害者の機会均等化に関する基準規則の実施を監視する際に社会開発委員会の障害特別報告者によりその第3期目の任務(2000年から2002年)においてなされた貴重な作業に感謝をもって留意し、また、当該特別報告者の作業を支援する際になされた国連人権高等弁務官の作業に感謝をもって留意する。
4. 障害者に関する関連国連決議及び合意ある国際基準(特に、基準規則)の実施を促進するために、また、より一層インクルーシヴな社会を促進するための戦略、政策及び計画を策定する際に、アクセシビリティ、保健、教育、社会サービス(訓練及びリハビリテーションを含む。)、セイフティーネット、雇用並びに持続可能な生活に焦点を合わせることにより障害者の機会均等化を更に進めるために、具体的な措置を継続してとるよう、政府、政府間機構、非政府組織及び民間部門に対して奨励する。
5. 既存のプラン及び率先性を完全に実施するための十分な資源の分配並びに障害問題の促進及び意識のための取り決めの創出又は強化を通じて、障害者のための国内プランの採用以上の前進をするためのあらゆる必要な措置をとるよう政府に対して要請し、またこれに関しては、国際協力を通じて国内的努力を支援する重要性を強調する。
6. 障害問題に対する意識及び感度を増大し、障害者差別と闘いかつそれを克服し、かつ、障害者の社会への完全かつ効果的な参加を更に進めるという観点から、障害者による障害者のための障害者と共同した実際的行動(公的な情報キャンペーンを含む。)を継続してとるよう、政府、政府間機構及び非政府組織に対して奨励する。
7. 障害者に関する世界行動計画の実施の実現に貢献している非政府組織に対する政府支援を継続するよう、政府に対して奨励する。
8. また、貧困根絶、教育促進及び雇用向上を目的とする戦略及びプランを形成する際には、そこに障害者を含めるよう、政府に対して奨励する。
9. 障害者の権利を促進する際に、障害者に関する経験、調査及び勧告を共有することにより、国連事務局社会政策開発部の障害計画と緊密に関連させて作業(実地レベルでの活動を含む。)を継続するよう、国連システムの関連機関及び機構(関連人権条約機構及び地域委員会を含む。)、政府間機構及び組織並びに非政府組織に対して奨励する。
10. 障害に関するグローバルな統計及び指標を継続的に開発する際に国連事務局統計部と協力するよう政府に対して奨励し、また、国内データ収集システム(適当なものとして、障害者に関するデータの編纂及び頒布並びにデータ収集及び障害統計手法の開発を含む。)のための国内能力を構築するために当該統計部の技術援助を利用するよう政府に対して要請する。
11. 障害者の社会統合並びに彼(女)らの人権の保護及び促進に特に強調を置き、障害を持つ少女及び女性、障害を持つ高齢者並びに発達及び精神障害を持つ人に特別の保護を提供するよう、政府、政府間機構及び非政府組織に対して奨励する。
12. 政策及び計画を発展する際には(基準規則の実施を含む。)、国連システムと協働して、障害児及びその家族の権利、必要及び福祉に特別の関心を払うよう、政府に対して奨励する。
13. 世界行動計画及び基準規則を完全に実施するための触媒的かつ革新的活動(障害特別報告者の作業を含む。)を支援する、障害に関する国連自発的基金の能力を強化するという観点から当該基金への支援を継続するよう、また、本決議に示された活動の優先事項に強調を置き国内能力を構築する活動を支援するよう、政府、政府間機構、関連非政府組織及び民間部門に対して奨励する。
14. 障害者のあらゆる人権を促進するため、障害者差別を撤廃するため、世界行動計画を更に実施するため、また、恩恵者と意志決定者の両方として障害者を技術協力活動に統合する努力をするため、国連システムの関連機関及び機構、地域的及び政府間機構及び組織並びに非政府組織の率先性を継続して支援するよう、国連事務総長に対して要請する。
15. 障害者のために国連のアクセシビリティを改善する際になされた努力について国連事務総長に感謝し、また、バリアフリー環境を提供するために策定されたプランを継続して実施するよう、国連事務総長に対して奨励する。
16. 世界行動計画についての2002年の第4回定期的再検討及び評価(当該再検討のために提案された枠組を含む。)のために国連事務総長がその報告書(注6)において提案した準備を歓迎し、また、当該再検討及び評価に基づく調査及び勧告についての報告書(本決議の実施に関する報告書を含む。)を社会開発委員会及び経済社会理事会を通じて第58回国連総会に提出するよう、国連事務総長に対して要請する。
(注1)Resolution 34/180, annex.
(注2)Resolution 44/25, annex.
(注3)A/37/351/Add.1 and Corr.1, annex, sect. VIII, recommendation I(IV).
(注4)See resolution 55/2
(注5)See A/56/169 and Corr.1, paras.25 and 26.
(注6)A/56/169 and Corr.1
II 現状
A 全般的状況
37. 今日の世界には、障害をもった人が数多くおり、しかもその数は増えつつある。5億人という推計数は、住民抽出調査の結果によって確認された数であり、経験ある研究者の所見によっても裏付けられている。大部分の国々で少なくとも10人に1人は身体、精神または感覚の損傷による障害を負っており、障害の存在によって、人口の少なくとも25%が不利益を被っている。
38. 専門家の調査によれば少なくとも3億5千万人の障害者が、その制約の克服を援助するために必要なサービスが利用できないような地域で生活しているという推計が、示されている。リハビリテーションの援助が利用できても、大部分の障害者は彼らの生活を不利にする物理的、文化的、社会的困難に晒されている。
40. 多くの要因が障害者の数の増加や、障害者の社会周辺への位置づけに対して責任を有している。それらの要因の中には、次のようなものがあげられる。
(a) 戦争と戦争の結果;その他の形態の暴力、破壊、貧困、飢餓、流行病、人口の大きな変化。
(b) 過重な負担を負い、貧窮した家庭の比率が高いこと;過密で、不健康な住居と生活条件
(c) 人口のうち、文盲の占める率が高いこと及び基礎的な社会サービス、あるいは保健や教育の施策に対する知識が乏しいこと。
(d) 障害とその原因、予防や治療についての正確な知識の欠如;これは障害に関する汚名、差別及び誤解を含む。
(e) プライマリー・ヘルス・ケア及びサービスのプログラムが不十分であること。
(f) 資源の欠乏、地理的な遠さ、物理的、社会的障壁など、利用可能なサービスを多くの人が活用することを不可能にするような制約。
(g) 援助を必要とする人々の大多数のニーズに適さない、高度に専門化したサービスへの資源の流出。
(h) 社会的援助、保健、教育、職業訓練や職業斡旋などに対する関連サービスのインフラストラクチャーの欠如または弱さ。
(i) 社会的、経済的開発において機会の均等化、障害の予防、リハビリテーションに関連した活動の優先順位が低いこと。
(j) 工業上、農業上及び輸送に関連した事故。
(k) 自然災害と地震。
(l) 物理的環境の汚染。
(m) 伝統的社会から現代社会への移行に伴うストレス及びその他の心理社会的問題。
(n) 医薬の無分別な使用、治療物質の誤用や麻薬、向精神剤の不法な使用。
(o) 災害時の負傷者に対する誤った処置により回避可能な障害がもたらされること。
(p) 都市化と人口の増加及びその他の間接的要因。
41. 障害と貧困の関係はすでに明らかに確立されている。損傷の危険は、貧困にあえぐ人々に大変大きく、また、逆も真である。損傷を有する子の出生あるいは、家族の中に障害者が生じることは、家族の限られた資源に過重の負担を強い、家族の意欲を疲弊させ、家族をますます貧困へと追いやることになる。このような要因が複合されて、社会の最貧困層に障害者の比率が高くなるという結果がもたらされる。こうした理由で、貧困層に生活する障害者を有する家族の絶対数が着実に増加している。こうした傾向のマイナスの影響は開発過程の重大な妨害となることである。
42. 既存の知識や技術は、多くの損傷や能力不全の発生を防止することができ、障害者が障害を克服または最少にするのを助けることができ、さらには、諸国民が障害者を日常の生活からしめ出している障壁を取り除くことを可能ならしめることができる。
1 開発途上国における障害
43. 開発途上国における障害問題には、特に光をあてる必要がある。全障害者の80%が開発途上国の隔離された農村地域に住んでいる。これらのある国では、障害者の数は人口の20%にのぼると推定され、その家族や親類を含めると、人口の50%が障害による不利な影響を受けていることになる。この問題は、ほとんどの場合、障害者はまた一般に極端に貧しい人々であるという事実により、さらに複雑になっている。このような人々は、医療その他の関連サービスの少ない、あるいは全く存在しない地域に住んでいることが多く、したがってそこでは障害は未然に発見されないし、また発見することは不可能である。医療的処置を受けている場合、たとえ実際にそれを受けたにしても、その損傷は元へは戻らないものとなるかもしれない。多くの国々で、障害を発見し、予防し、障害者のリハビリテーション及び補助的サービスのニーズに応じるための資源が不足している。訓練を受けた職員、最新かつ、より効果的なリハビリテーションの戦略とアプローチの研究、そして障害のための自助具と機器の製造と供給が十分ではない。
44. このような国々いおいては、障害の問題は、人口の爆発的増加によってさらに複雑なものとなり、障害者の数を容赦なく、相対的にも絶対的にも増加せしめているる。したがって、これらの国々に対し最優先事項として、障害者の増加を防止するための人口政策を推進し、また、現在の障害者のリハビリテーションを行い、サービスを提供するための援助を行うことが必要に迫られている。
2 特別のグループ
45. 欠陥や能力不全は、特に女性に深刻な結果をもたらす。女性が、たとえば、ヘルスケア、教育、職業訓練及び雇用についての機会を与えられないために、社会的、文化的、経済的に不利な立場におかれている国がたくさんある。加うるに、彼女らが身体的もしくは精神的に障害者であった場合には、能力不全を克服するチャンスは少なくなり、社会生活に参加することはいよいよ困難になる。家庭においては、障害者になった親の世話をする責任はしばしば女性に任せられ、そのことが彼女らの自由と他の活動に参加する可能性をかなり制限することになっている。
46. 多くの子どもにとって損傷の存在は、正常な発達の一部をなす経験からの排除または隔離につながる。このような状況は、子どものパーソナリティ及び自己像の発達する大事な時期に、家族や地域社会の誤った態度や行為によりさらに悪化させられる。
47. 大半の国々では、高齢者の数が増加しており、すでに国によっては、障害者の3分の2が高齢者でもある。高齢者の障害の原因となっている身体の状況(たとえば、神経痛、脳卒中、心臓病、聴力や視力の減退)は、若い障害者にはあまり見られないもので、異なった形の予防、治療、リハビリテーション及び支援サービスを必要とするであろう。
48. 犯罪学の一分野としての「被害者学」の出現に伴い、被害者に永続的もしくは一時的障害をもたらす真の損傷の程度が、ようやく一般に知られるようになってきたところである。
49. 出産時や通常の活動における事故ではなく、意図的に危害を加えられて、身体的または精神的に障害者にされた拷問の犠牲者も、障害者グループの一つである。
50. 今日、世界には人災の結果1千万人を超える難民、流民が存在する。彼らの多くは被った迫害、暴力及び危険の結果、身体的及び心理的障害を負っている。そのほとんどがサービスも施設もきわめて限られている第三世界にいる。難民であること自体一つの不利であり、その中の障害者は二重に不利を負っている。
51. 国外で就労する労働者は、環境の違い、移住した国の言語知識の欠如または不十分さ、偏見と差別、職業訓練の欠如または不足及び不適切な生活条件に起因する一連の不利を伴った困難な状況におかれることが少なくない。雇用されている国では、移民労働者という特殊な立場であるが故に当人及び家族は、しばしば損傷や能力不全につながる健康上の危険や労働災害の危険の増大にさらされている。障害者となった移民労働者の状況は、障害者のための特別なサービスや施設が非常に限られている祖国へ帰らなくてはならないということで、さらに一層劣悪となるといえよう。
B 予防
52. 母子監護に対する特別の配慮を伴った、プライマリー・ヘルス・ケアの手段を通じて、食糧及び健康サービスをより利用しやすくすることなどの損傷予防のための活動、たとえば衛生、教育、栄養の向上、遺伝面及び産前管理面についての親へのカウンセリング活動、疾病、及び感染に対する免疫及び抑制のための活動、事故防止のための活動、環境の質的改善のための活動等は着実に前進しつつある。世界のある地域においては、このような施策は身体的及び精神的損傷の発生に重要な影響を及ぼしている。
53. 世界の人口の大多数にとって、特に経済発展が初期段階の国々に住む人々にとって、これらの予防のための施策は、それを必要とする人々のほんの一部にしか効果的に行き届かない。ほとんどの開発途上国では、特に妊婦、乳児及び幼児に対する定期健康診断を通じ、損傷の早期発見及び予防を行うシステムがまだ確立されていない。
54. 1981年11月12日の障害の予防に関するニーズ・キャッスル宣言において科学者、医師及び保健の行政官並びに政治家からなる国際グループは、とりわけ次の障害予防の実際的方策への注意を呼びかけた:
”3 栄養不足、感染、放置から生じる損傷は、費用のかからないプライマリー・ヘルス・ケアの改善により予防できる…
4 …中高年齢期の障害の多くは先へ延ばしたり回避することができる。遺伝及び退行の条件を抑制するために有望な研究が行われている…
5 …能力不全は必ずしも不利をもたらすとは限らない。簡単な治療を施さないために能力不全を増す結果になることが多く、また、社会の態度や施設のあり方が、人々を不利な立場におき、彼らを能力不全にする機会を増大させているのである。一般の人々と専門家に対する一貫した教育が緊急に必要とされている。
6 避けることのできる障害は、すべての国々、つまり、先進工業国及び開発途上国において、経済的浪費と人間性の剥奪の主たる原因である。この喪失は速やかに減少させることができる。
大部分の障害を防止あるいは抑制できる技術は利用できるのであり、かつ、進歩している。必要とされていることは、社会が問題克服に関与することである。既存の国内的及び国際的なヘルスプログラムにおいては、知識と技術の普及を確保するよう転換されることが優先とされるべきである…
7 現在、大部分の障害を予防及び治療的にコントロールする技術はあるが、最近の生物医学の研究における目覚ましい進歩は、あらゆる介入を格段に効果的なものにしうる革命的な新しい手段を約束している。基礎と応用の両研究に対して、今後も援助がなされていくべきである。”
55. 損傷を予防するプログラム、あるいは損傷がより制約的な能力不全に進行しないようにするプログラムの方が、長期的にみて、後から障害者の面倒をみなければならなくなるよりは費用がかからないということへの認識が増しつつある。このことは、たとえば、多くの国々で依然として関心が薄い分野であるところの職業上の安全プログラムについてことさらに当てはまる。
C リハビリテーション
56. リハビリテーションのサービスは、しばしば専門化した施設を通して提供される。しかしながら、一般の公共施設の中で統合されたサービスを行うことを強調する傾向が強くなってきている。
57. リハビリテーションと呼ばれる活動の内容及び精神の双方に変革がもたらされた。伝統的慣行からリハビリテーションとは、施設環境において、しばしば医療主導の下で、障害者に与えられる療法とサービスとして考えられていた。それが専門的な医学的、社会的、教育的サービスを供給する一方、地域社会や家族も参加させて、障害者が普通の社会環境の中で、損傷による能力不全の結果を克服しようとする努力を助けるプログラムに徐々に取って代わられてきている。重度障害者でさえも、彼らを支える必要なサービスが与えられたならば、かなりの程度自立して生活ができるということが次第に認識されてきている。施設でのケアを必要とする人の数は、かつて予測されていたよりもはるかに少なく、彼らは本質的な意味で自立した生活を送ることも、かなりの程度可能なのである。
58. 多くの障害者が補助具を必要としている。一部の国では、これらの製品を生産するに必要とされる技術は十分に達しており、障害者の移動、コミュニケーション及び日常生活を助けるためのきわめて高度な機器が製造されている。しかしながら、これら製品のコストは高く、これらの機器を提供することのできる国はほんの一部である。
59. 多くの人々は、移動、コミュニケーション、そして日常生活を容易にする簡単な機器を必要としている。このような自助具は一部の国では生産されており、障害者が入手できる。しかし他の多くの国においてはそれがあまり有効でないため及びまたは、高価格のため入手できない。関係国にとってより容易に適合でき、大部分の障害者のニーズにもより適し、かつ、彼らにとってより有効である、より簡易で、それほど費用もかからない地方の生産方式による機器を設計することへの関心が高まっている。
D 機会の均等化
60. 障害をもつ人々が社会に参加する権利は、主に政治的及び社会的行動を通して獲得できる。
61. 多くの国々が、完全参加への障壁を除去、もしくは減らすための重要な処置を講じた。障害者に学校教育、就労の権利と機会及び地域社会の公共施設への機会を保障し、障害者にとっての文化的及び物理的障壁を除去し、障害者に対する差別を禁止する法律が制定されている場合が多い。施設から地域社会に根ざした生活へという動きがある。一部の先進国並びに開発途上国において、学校教育の重点はますます「開かれた教育」におかれるようになり、これらに対応して施設や特殊学級の減少がみられる。公共の輸送システムを障害者にも利用できるようにする方法並びに感覚の障害をもつ人々に対し、情報を利用できるようにする方法が考案されている。
このような施設に対するニーズへの認識は高まっている。多くの場合、障害者に対する大衆の態度や行動を変えるよう教育するための*一部大衆や(*訳が変なのか"や"が余分なのか?)教育や啓蒙キャンペーンが始められている。
62. 機会の均等化の過程に対する理解を深めるために、しばしば障害者が先駆的な働きをしてきた。こうした中で障害者は社会の主流への統合を主張してきたのである。
63. このような努力にもかかわらず、大部分の国々では障害者は均等の機会の獲得には未だ程遠く、また、障害者の社会への統合の程度も、未だ満足すべき状態から程遠い。
1 教育
64. 少なくとも、10%の子どもが障害をもっている。この子どもたちは、教育に対し障害をもたない子どもたちと同一の権利を有しており、彼らは積極的な関与と専門的なサービスを必要としている。しかしながら、開発途上国の障害児のほとんどは、専門的なサービスも義務教育も受けていない。
65. 障害者のための高い教育水準をもつ国々から、そのような設備が限られていたり、全く存在しない国々まで、大きな差異がある。
66. 障害者の潜在能力についての現在の知識は不足している。さらに、障害者のニーズに対処する法制がなく、また、教育スタッフと施設が不足していることも少なくない。大部分の国々において、これまで障害者は生涯教育の恩恵に浴していない。67. 特殊教育の分野において、教授法の著しい進歩と重要な革新的な発展がなされており、障害者の教育において、さらに多くのことが達成されうるであろう。しかしながら、進歩は主として小数の国々、あるいはほんの僅かな都会に限られている。
68. 前進とは、早期発見、評価と対応、種々の施設における特殊教育プログラム(多くの障害児は通常の学校教育に参加し得るのに対し、他の障害児はきわめて手厚いプログラムを必要とするが)に関するものである。
2 雇用
69. 障害をもつ多くの人々は雇用を拒否されたり、あるいは社会的に評価が低く、また、収入の少ない仕事しか与えられていない。現実はそうであるが、しかし、適切な能力評価、訓練、職業斡旋を受ければ、多くの障害者は広い範囲の仕事において平均的な作業基準どおりに遂行し得ることを証明することができる。失業及び経済的不況の場合には、一般に障害者は真っ先に解雇され、最後に雇用される。経済的不況の影響を受けた工業国の中には、就職希望の障害者の失業率が健常者の率の倍になるところもある。多くの国々で、障害者に職業を創出するため多様なプログラムが開発され対策が講じられてきた。この中には、保護的、生産的ワークショップ、保健エンクレーブ、指定職種、割当政策、障害者を訓練し、その結果彼らを雇う雇用主への助成、障害者による及び障害者のための生産協同組合、その他がある。一般企業もしくは特別の企業に雇用されている障害者の数は、就労可能な障害を有する労働者の数に比べていずれも著しく少ない。人間工学的原理を広く適用していくことは、職場、道具、機械や設備を比較的少ない経費で改善することにつながり、その結果障害者の雇用機会の拡大に資することになる。
70. 多くの障害者は、特に開発途上国においては、農村地域に居住している。家族の経済が農業またはその他の農村地域の職業を土台としており、かつ、伝統的な大家族が存在する場合は、大部分の障害者に何らかの有益な仕事を与えることは可能であろう。しかし、より多くの家族の農村地域から都市への移動が進み、農業がより機械化され、また商業化され、物々交換が金銭取引に取って代わられ、大家族制度が崩壊すると、障害者の就労状況はさらに厳しいものとなる。都市のスラムに住んでいる障害者の場合は、就労のための競争は厳しく、他に経済的利益をあげる仕事はたいへん少ない。スラム地域の障害者の多くが失業を強いられ、苦しんでおり、依存生活を余儀なくされている。そして、物ごいをせざるをえない人々もいる。
3 社会問題
71. 社会の基本単位、すなわち家庭、社交的グループ及び地域社会への完全参加は、人間の経験として欠くことのできないものである。このような参加への機会均等化の権利は、世界人権宣言に明らかにされており、障害をもつ人々を含めすべての人々に適用されるべきである。しかし現実には、障害者はしばしば彼らが所属する一部を社会文化システムの活動への完全参加の機会を拒まれている。このような権利の剥奪は、無知、無関心及び恐怖から発生した物理的及び社会的障壁によりもたらされる。
72. 態度及び行動が障害者を社会的文化的生活から排除している場合が多い。人々は障害をもつ人々との接触や個人的つきあいを避けたがる傾向がある。障害者に対する偏見や差別の度合い、あるいは通常の社会的交際から排除されている度合いが、多くの障害者に心理的及び社会的問題をもたらしている。
73. 障害者と接触を有する専門職及びその他福祉サービス担当者が、障害者が通常の社会的経験に参加する能力を持っていることを評価するに至らず、障害者と他の社会グループとの統合に貢献していない場合が非常に多い。
74. このような障壁のために、障害者が他の人々と密接かつ親密な関係を持つことが困難、あるいは不可能になっている。結婚及び親になることは、たとえそれを不可能にする機能的制約が何らなくても、障害者とみなされる人々にとっては大変難しい場合が多い。精神障害者にとり、異性との関係を含め、人間的及び社会的つながりが必要であることは、最近ますます認識されてきている。
75. 障害をもつ人の多くは、地域社会の通常の社会生活から締め出されているばかりでなく、実際は施設に閉じ込められている。過去のハンセン氏病患者のコロニーは一部廃止され、巨大な施設もかつてほど多くはなくなったが、いまだあまりにも多くの人々が正当の理由もなく施設に収容されている。
76. 多くの障害者が車いすには狭すぎる出入口、建物、バス、電車、飛行機への登れない階段、届かない電話や電気のスイッチ、利用できないトイレの設備などのために、社会への積極的な参加から締め出されている。彼らは同様に、たとえば、聴力障害者のニーズを無視した口頭でのコミュニケーションや、視力障害者のニーズを無視した文字による情報といった他の種の障壁によって締め出されかねない。そのような障壁は、無知と関心の低さの結果であり、大部分は、綿密な計画により、高くない経費で避けられ得るものであるにもかかわらず依然存在している。一部の国では、このような障壁を除去するための立法を行い、国民啓蒙のキャンペーンを始めたが、残された問題はなお深刻である。
77. 損傷の予防、障害者のリハビリテーション及び社会への統合のための既存のサービス、施設及び社会活動は、一般に不利な立場の人々の層に対する資源、収入及びサービスの割当に関する政府と社会の積極的意志と能力に密接に関連している。
E 障害と新国際経済秩序
78. 新国際経済秩序の枠組みにおいて予定している先進国から開発途上国への資源や技術の移転は、開発途上国の経済強化のためのその他の対策と同様、仮に実施に移されるならば、障害者を含むこれらの国々の人々に利益をもたらすであろう。開発途上国、特に農村部の経済状態の向上は、障害者に新しい雇用機会を創出し、予防、リハビリテーション及び機会均等のための施策を支えるために必要な資源を提供することになろう。適当な技術の移転は、もし適切に実施されるならば、身体的、精神的あるいは感覚的損傷のもたらす影響に対応した補装機器の大量生産にたずさわる産業の発展につながることになろう。
79. 第三次国連開発の十年のための国際開発戦略(総会決議35/56)には、開発の過程に障害者の参加を得るため特別の努力が払われるべきこと、並びに予防、リハビリテーション及び機会均等化のための効果的措置が不可欠であることが述べられている。この目標に向けての積極的行動を行うことは、開発のためにあらゆる人的資源を動員するとの、より広範な努力の一部となろう。国際的な経済秩序の変化は、不利な立場にある人々の完全参加を達成するための国内的な改革とあいたずさえて行われるべきものであろう。
F 経済社会開発の影響
80. 開発への努力が実り、より良い栄養、教育、住宅が実現し、衛生状態が改善され、適切なプライマリー・ヘルス・ケアがもたらされるにしたがって、損傷の予防並びに能力不全の治療への見通しも大いに改善される。この線に沿った発展は、同時に主として以下の分野の促進につながることになろう。
(a) 社会的秩序、公衆衛生、医学、教育、職業リハビリテーション等一般分野における人材の養成。
(b) 障害者用に必要とされる装置、機器の地元での生産能力の向上。
(c) 国及び地域社会レベルにおける社会事業、社会保障制度、協同組合及び相互扶助のためのプログラムの確立。
(d) 雇用機会の増大ばかりでなく、障害者のための適切な職業指導及び就業準備サービス。
81. 経済開発は、人口の規模や分布の変化、ライフ・スタイルの修正、社会構造や社会関係の変化をもたらすため、人間の問題に対応するために必要なサービスは十分な速度で改善されたり拡大されたりすることは通常ない。このような経済と社会との開発のアンバランスは、障害者の地域社会への統合をさらに困難にする。
III 障害者に関する世界行動計画実施のための提言
A 序
82. 障害者に関する世界行動計画の目的は、障害の予防、リハビリテーション、並びに障害者の社会生活と発展への「完全参加」と「平等」という目標の実現に向けて効果的な方策を推進することにある。世界行動計画の実施にあたっては、開発途上の国々、特に開発の最も遅れた国々の特殊な事情に然るべき配慮が払われねばならない。国民全体の生活条件の改善という任務が膨大であり、資源が一般に乏しいことがこのような国々における同計画の目的の達成を一層困難にしている。また同時に、世界行動計画の実施そのものが、すべての人的資源の動員並びに全国民の完全参加を通じて開発の過程へ寄与するものであることも認識されるべきである。国によってはすでに、この行動計画において勧告されているいくつかの活動に着手あるいは実施しているかも知れないが、より多くのことがなされる必要がある。このことは、一般の生活水準の高い国々についても同様にあてはまる。
83. 障害者の状況は、国のレベルでの総体的な発展と密接に関連していることから、開発途上国における問題の解決は、こうした国々の迅速な社会的経済的発展のための適切な国際条件がどの程度つくり出されるかに相当程度かかっている。したがって新国際経済秩序の確立は、世界行動計画の目的の実施と直接の関連がある。第三次国連開発の十年のための国際開発戦略において合意されているように、開発途上国への資源の流れが実質的により増加されることは特に重要なことである。
84. これらの目的の実現には、障害者の機会の均等化、効果的リハビリテーション・サービス及び予防施策に関連した政策と活動を組み合わせ調整していくための多部門にわたる総合的な世界的な戦略が必要である。
85. 世界行動計画の今後の開発及び実施にあたっては、障害者及びその団体が意見を求められるべきである。このため、地方、国内、地域及び国際レベルにおいて障害者団体の組織化を奨励するためのあらゆる努力が払われるべきである。彼らの体験に基づくユニークな知識は、障害者のためのプログラムやサービスを計画する上で貴重な貢献をすることができる。障害者は問題の討議を通じ、彼らの関係事を最も広範に代表する見解を提示する。障害者が公衆の態度に及ぼす影響により、障害者との協議は正当化されるものであり、また、変化への力として彼らは障害の諸問題を重大な優先事項とする上で重要な影響を有する。障害者自身は自らの利益のために立案された政策、プログラム及びサービスの有効性を決定すことに、実質的な影響力を持つべきである。この過程には精神障害者が含まれるよう特別の努力が払われるべきである。
B 国家レベルの行動
86. 世界行動計画は、すべての国々を対象に策定されている。しかし、同計画の実施期間及び優先事項として実施されるべき項目の選択については、それぞれの国の現状、資源的拘束、社会経済発展のレベル、文化的伝統、同計画にて企図されている活動を組織立て、実施する能力により、国ごとに異なる。
87. 各国政府は、本節に勧告されている施策の実施に対し、究極的責任を負っている。しかしながら、国により組織上の違いがあるため、地方当局及びその他の公的並びに民間部門の諸機関もまた、世界行動計画にもられている国家的諸措置の実施を要請されることがあろう。
88. 加盟各国は、早急に世界行動計画の目標達成のため、国家レベルの長期計画を立てなければならない。かかる計画は、その国の社会経済発展のための全般的政策における不可分の構成要素となるべきである。
89. 障害者にかかわる事柄は、それだけを分離したかたちではなく、適切な総合的枠組の中で取り扱われるべきである。特定の分野に責任を有し、または特定の分野における業務を行う各省庁あるいはその他の公的及び私的分野の機関は、その所掌に属する障害者に関する問題に対し、責任を負わねばならない。政府は各省庁、その他の政府諸機関並びに非政府団体による世界行動計画に関連した活動の調査及びフォローのための中核的組織(たとえば、国内協議会、委員会その他類似の機関)を設けるべきである。いかなる機構が設定されるにせよ、障害者団体を含めたすべての当事者を含めるべきである。同機関は、最高レベルの政策決定者と接触できるようにすべきである。
90. 世界行動計画を実施するため、各加盟国は、以下のことを行う必要がある。
(a) 各レベルにおける活動についての立案、組織化及び資金的措置。
(b) 法的措置による、目的達成のための施策に必要な法的基盤及び権限の創設。
(c) 完全参加への障壁の除去による機会の確保。
(d) 障害者に対する社会的、栄養学的、医学的、教育的及び職業的支援並びに技術的援助を与えることによるリハビリテーション・サービスの提供。
(e) 関連ある公立及び民間の組織の設立あるいは動員。
(f) 障害者団体の設立及び育成の支援。
(g) 障害をもつ人々及びその家族を含め、国民のあらゆる層に対する世界行動計画の諸問題に関する情報の提供と普及。
(h) 世界行動計画の鍵となる問題及びその実施に対する幅広い理解確保のための大衆の啓蒙の推進。
(i) 世界行動計画に関連した事項に関する研究の促進。
(j) 世界行動計画に関連した技術援助並びに技術協力の推進。
(k) 世界行動計画に関連する決定に際しての障害者並びに障害者団体の参加の促進。
1 決定経過への障害者の参加
91. 加盟各国は、障害者の諸組織に対する支援を増加させるとともに、障害者の利益と関心の主張をまとめ、調整することについて支援すべきである。
92. 加盟各国は、可能なあらゆる方法で障害者からなる、あるいは障害者を代表する組織の発展に積極的に努め、かつ、奨励しなければならない。障害者または場合により親族がそのメンバーシップや管理機関について、決定的な影響力を持っているような組織が多くの国に存在する。それらの組織の多くは、自己を主張し、自らの権利のために闘う手段を持ち合わせていない。
93. 加盟各国は、こうした障害者の組織との直接の接触を確立し、これらに対しそれらの組織がかかわりのあるすべての分野についての政府の政策及び決定に対し、影響を及ぼしうるような方途を設けなければならない。加盟各国は、この目的のため、障害者団体に対し、必要な財政的支援を行うべきである。
94. あらゆるレベルにおける団体もしくはその他の組織体は、それぞれの活動に障害者ができる限り完全に参加できるようにすべきである。
2 損傷、能力不全及び不利の予防
95. 大部分の障害を予防あるいはコントロールする技術は利用可能であり、また、進歩しつつあるが、必ずしも十分に活用されていない。加盟各国は、損傷並びに能力不全の予防のために適切な措置をとり、また、関連ある知識と技術の普及を確保するべきである。
96. 社会のすべてのレベルにおける統合された予防計画が必要である。この計画は、次の諸点を含むべきである。
(a) 国民のすべての層、とりわけ農村地域及び都市スラムにいきわたる、地域社会に根ざしたプライマリー・ヘルス・ケアの制度。
(b) 効果的な母子ヘルス・ケアとカウンセリング並びに家族計画と家庭生活についてのカウンセリング。
(c) ビタミン、その他の栄養に富んだ食物の生産と利用を含む、特に、母子に対する栄養面での教育と適切な食物を摂取するための支援。
(d) 世界保健機関による予防接種拡大計画の目標に沿った、伝染病に対する予防接種対策。
(e) 早期発見と早期治療のためのシステム。
(f) 家庭、職場、路上及びレジャー活動などにおける事故を防止するための安全規則と訓練計画。
(g) 職場上の障害または病気の発生及び悪化の防止のための仕事、施設及び職場環境への適応並びに職場における保健計画の整備。
(h) 特に、児童生徒と高齢者における薬物に関連した障害を防止するため、医薬、麻薬類、アルコール、タバコ及びその他の興奮剤や鎮静剤の無謀な使用を規制する方策。また、特に懸念されることは、妊婦がこれらの物質を無謀に摂取することによる胎児に対する影響である。
(i) 国民が損傷の原因となるものに対し、最大限の防禦となるような生活様式の獲得を支援しうる教育及び公衆衛生活動。
(j) 障害の予防プログラムに関連した一般の人々及び専門家のための継続教育並びに広報活動。
(k) 非常時の負傷者の処置に必要とされる医師、パラメディカル、その他の人々に対する適切な訓練。
(l) 障害の発生の削減を支援するため、農村生活改善指導員の訓練に組み入れられた予防対策。
(m) 就労中の事故及びいろいろな程度の障害を予防するため、労働者に対し、とられる十分に系統だった職業訓練及び実際的な実習訓練。開発途上国では、しばしば時代遅れの技術が用いられているという事実に着目しなくてはならない。多くの場合、古い技術は先進工業国から開発途上国へ移転されている。開発途上国の状況に不適切な古い技術は、不十分な訓練と労働上の保護不完全さと相まって、就労中の事故数の増加と障害をもたらしている。
3 リハビリテーション
97. 加盟各国は、世界行動計画の目標達成に必要なリハビリテーション・サービスの整備を進展させ、また確保すべきである。
98. 加盟各国は、すべての人々に対し、損傷が能力不全化をもたらすのを防ぎ、あるいは軽減するために必要なヘルス・ケア及び関連サービス*の(*訳が変なのか"の"じゃなくて"を"なのか?)提供することを奨励される。
99. これには、障害者個々人が、その最も適した機能レベルの達成を可能にする上で必要な社会的、栄養面、保健上及び職業上のサービスが含まれる。人口分布、地理条件、発展段階などの要因に応じて、以下のチャンネルを通じたサービスの提供が可能である。
(a) 地域社会に根ざしたワーカー。
(b) 保健、教育、福祉及び職業サービスを提供する一般施設。
(c) 一般施設が必要なサービスを提供することができない場合には、その他の専門的サービス。
100. 加盟各国は、日常生活及び自立のため、自助具や機器を欠くことができないすべての人たちに対し、地域の状態に適したものを入手できるよう確保すべきである。リハビリテーションの期間中及び終了後も、補助具の提供を確保することが必要である。修理のためのアフターサービスと老朽化した自助具の取り替えもまた必要である。
101. そうした機器を必要とする障害者が、それらを入手し、使用方法を習得する現実的機会のみならず、資金を有することを確保することが必要である。自国では生産できず他国から輸入しなくてはならない自助具や機器については、その入手を困難にするような関税その他の輸入手続を取り除くべきである。使用される技術的、社会的及び経済的状況に適した自助具の地元での生産を支援することが重要である。補助具の開発と生産は、特定の国の総体的な技術の発展に伴ったものでなければならない。
102. 補助具の地元生産と開発を促進するため、加盟各国は、そうした地元における開発の支援に責任を有する国立センターの設立を検討すべきである。多くの場合、既存の特殊学校、技術研究所等はこのための基盤となることができよう。この点に関連し、地域協力が考慮されるべきである。
103. 加盟各国は、一般の社会サービス制度の中に、障害者とその家族の諸問題を扱う上で、必要なカウンセリング及びその他の援助を提供する能力を有する職員を配置することを奨励される。
104. 一般の社会サービス制度における資源が、これらのニーズに対応するのに不十分である場合には、一般的な制度の質的改善がなされるまでの間、特別なサービスの提供も可能である。
105. 加盟各国は、それぞれ利用できる資源の範囲内で、農村地域、都市スラム及び貧民街に生活する障害者に必要とされるサービスの提供と、十分な活用を確保するために必要とされる特別な方策をとることを奨励される。
106. 障害者は、その家庭及び地域社会から切り離されてはならない。サービスのシステムにおいては輸送及びコミュニケーションの問題、支援的な社会的、保健面及び教育上のサービスの必要性;原始的でしばしば危険を伴う生活条件の存在;そして、とりわけ一部の都市スラムにみられるように人々がサービスを求めあるいは受け入れる意向を抑制するような社会的障壁を考慮すべきである。加盟各国は、必要に応じて、すべての住民及び地域に対するこれらのサービスの公正な配分を確保すべきである。
107. 精神病者のための保健及び社会サービスは、特に多くの国々においてなおざりにされている。精神病者に対する精神病理学的ケアは、患者及びしばしば特別な負担を負う家族に対する、社会的支援とガイダンスにより補完されるべきである。このようなサービスが利用できる場合には、施設への入所期間を短縮し、再入所の確率を減らすことが可能である。精神薄弱者が、加えて精神病の問題にも苦しんでいる場合には、ヘルスケア担当職員が、精神薄弱に関連した別個のニーズを認識することを確保するための施策が必要である。
4 機会の均等化
a 法制
108. 加盟各国は、障害者が他の市民と均等な機会を付与されることを確保する責任をもつべきである。
109. 加盟各国は、障害に関するいかなる差別的慣習をも除外するための必要な方策をとるべきである。
110. 人権に関する国内法の起草にあたり、また、障害者問題を扱う国内委員会、あるいは類似の国内調整団体に関し、他の市民に保障された権利及び自由を障害者が行使する際に、不利に作用しうる諸条件につき、特別の注意が払われるべきである。
111. 加盟各国は、教育、労働、社会保障及び非人間的または屈辱的扱いから保護される権利など特定の権利につき注意を払い、障害者の視点からこれらの権利を検討するべきである。
b 物理的環境
112. 加盟各国は、本文書の8項に明記されているようなさまざまなタイプの障害者を含め、すべての人々が、物理的環境を利用できるものとするよう努めるべきである。
113. 加盟各国は、開発途上国の農村地域における計画を含め、人間居住の立案にあたっては、利用可能性という面を遵守する政策をとるべきである。
114. 加盟各国は、すべての新しい公共建築物及び施設、公共住宅及び公共輸送機関につき、障害者の利用を確保する政策を採るよう奨励される。さらに既存の公共建築物及び施設、住宅及び輸送機関についても可能な限り、とりわけ改修の機会をとらえて障害者の利用できるものにすることを奨励する措置がとられるべきである。
115. 加盟各国は、障害者が地域社会の中で、できる限り自活できるようにするための支援サービスの提供を奨励するべきである。そうする中で、現在一部の国々で行われているように、加盟各国は、障害者がこれらのサービスを、自らのために開発して管理する機会を確保するべきである。
c 所得保障と社会保障
116. すべての加盟国は、その法律及び規則の体系に、社会保障に関連した世界行動計画の一般的及び補足的目標を包括する規定を含めるべく努めるべきである。
117. 加盟各国は、障害者があらゆる形の所得、所得の維持及び社会保障を得る均等な機会を確保するべきである。その方法は、各国の経済制度と発達の程度に適応した形で行われるべきである。
118. 一般市民に対し社会保障、社会保険及びその他類似の制度が存在している場合には、これらの制度において障害者及びその家族に対して、適切な給付並びに予防、リハビリテーション及び機会の均等化のためのサービスの提供が確保されていることを明らかにするための検討を行うとともに、そのような制度の下での規則は、サービスの供給者あるいは受給者のいずれを対象としているものであっても、障害者を除外または差別するべきではない点を明らかにするための見直しがなされるべきである。定められた目的の達成のためには、社会的更生、労働安全及び健康保護に関する公的制度の創設と発展が重要な前提条件となる。
119. 障害者及びその家族が自己の権利及び給付にかかわる決定に対し、公平な審理を通じ、訴えうるよう、手軽に利用できる仕組みがつくられるべきである。
d 教育と訓練
120. 加盟各国は、障害者が他の人々と均等な教育の機会をもつ権利を認める施策をとるべきである。障害者の教育はできる限り一般の学校制度の中で行われるべきである。障害者の教育に対する責任は、教育当局におかれるべきであり、また、義務教育に関する法律は、最も障害の重い者も含め、あらゆる範囲の障害をもつ子どもを対象とするべきである。
121. 加盟各国は、入学年齢、進級に関するいかなる規則の障害者への適用に際しても、また、適当な場合には、試験手続につき、より柔軟性をもたせるよう考慮すべきである。
122. 障害児・者に対する教育サービスの開発にあたっては、基本的な基準が充足されなければならない。これらのサービスは、以下のようなものであるべきである。
(a) 個別化されていること──すなわち、関係機関・管理者、親たち及び障害児により相互に認められた客観的な評価によるニーズに基づくものであり、定期的に見直しが行われ、必要な場合には修正される明確に定められた教育課上の目標と短期的につながるものであること。
(b) 地元で利用できること──すなわち、特別な事情におかれている場合を除いては、児童・生徒の家または居住から合理的な距離内にあること。
(c) 包括的であること──すなわち、特別ニーズをもつすべての人に対して年齢や障害の程度にかかわりなく提供されること。学齢期のいかなる子どもも障害が重いことを理由に教育上の措置から排除されたり、あるいは他の子どもの享受しているものよりも明らかに劣る教育上のサービスを受けることのないようにすること。
(d) 選択の幅を提供すること──どのような地域社会においても、そこにおける特別なニーズに相応していること。
123. 障害児の一般教育制度への統合には、すべての関係者による計画化が必要である。
124. 何らかの理由により、一般の学校制度の施設が障害児にとって不適当である場合には、これらの子どもに対する教育は、適当な期間、特別な施設で行われるべきである。この特別な教育は、一般の学校制度における教育と同等の質のものであり、かつ、それと密接に関連したものであるべきである。
125. 教育のあらゆる段階において親の参加が非常に重要である。障害児の親には、障害児に対してできる限りの普通の家庭環境を提供できるようにするため必要な援助が与えられるべきである。障害児の親と協働することができるような要員の訓練がなされるべきである。
126. 加盟各国は、農村地域に特別の配慮を払いつつ、成人教育プログラムへの障害者の参加を図るべきである。
127. 通常の成人教育コースの施設が一部の障害者のニーズに応ずるには不十分な場合にはその通常のプログラムが改められるまでの間、特別コースあるいは訓練センターが必要となろう。加盟各国は障害者に大学レベルの教育を受ける可能性を与えるべきである。
e 雇用
128. 加盟各国は、都市及び農村の障害者が開かれた労働市場において、生産的、かつ収入をもたらす職業への均等な機会を得ることを確保するための政策及び支援のためのサービスの体制をとるべきである。農村における雇用及び適切な道具や措置の開発に特別な注意が払われるべきである。
129. 加盟各国は、さまざまな政策を通じ、障害者が開かれた労働市場へと統合されていくよう援助することができよう。たとえば、奨励的な割当計画、*特定または特定雇用(*訳が変なのか誤字なのか?…予想では"特別または特定雇用"かな)、小規模事業所や協同組合に対する融資または補助、障害のある労働者を雇用する企業に対する独占的契約または優先的製造権、税制上の特典、契約励行またはその他の技術的または財政的援助などである。加盟各国は、補助具の開発を支援し、障害者が働くために必要な補助や支援を利用しやすくすべきである。
130. しかしながら、政策と支援体制は、雇用の機会を制限したり、民間経済部門の活力を損なうもであってはならない。加盟各国は、それぞれの国内の状況に応じてさまざまな措置が講じられるような状態にあるべきである。
131. 中央及び地方のレベルで、障害者に対しより多く、かつ良好な雇用の機会を確保することを目的とした共同戦略及び共同行動を発展させるため、政府、使用者団体及び労働者団体間の相互の協力が図られるべきである。そのような協力は、採用方針、不利をもたらすようなけがや損傷を予防するための労働環境の改善措置及び職務中に損傷を受けた労働者のリハビリテーション措置、たとえば障害者の条件に応じて作業場や作業内容の調整などに関するものとなろう。
132. これらのサービスには、職業適正評価、職業指導、職業訓練(訓練のためのワークショップでの訓練を含む。)、職業紹介及びフォローアップが含まれるべきである。特殊なニーズを有することあるいは特に重い障害のために一般の競争市場における雇用需要に対処できかねる者に対しては生産ワークショップ、在宅就労、自営業及び一般企業内で保護的条件の下で雇用される重度障害者の小グループなどの形態が考えられよう。
133. 雇用主として行動する場合には、中央及び地方政府は、公共部門における障害者雇用を促進するべきである。法律や規則は障害者の雇用に対し、障壁となるような規定を掲げるべきではない。
f レクリエーション
134. 加盟各国は、障害者が他の市民と同様のレクリエーション活動の機会をもてるよう確保すべきである。これは、レストラン、映画館、劇場、図書館、行楽地、競技場、ホテル、海岸、その他のレクリエーションのための場所を使用することが含まれる。加盟各国はすべてのこの目的にとって支障となるものを取り除くための対策を講ずるべきである。観光当局、旅行代理店、ホテル、ボランティア団体及びその他レクリエーション活動または旅行の企画に関与するところは、そのサービスをすべての人に対して提供すべきであり、障害者を差別してはならない。このことは、たとえば一般の人々への通常の情報の中にも障害者が利用できるための情報をもりこむことが含まれる。
g 文化
135. 加盟各国は、障害者が自らのためばかりでなく、地域社会を豊かにするためにも自らの創造的、芸術的及び知的潜在能力を十分に活かす機会を享有できることを確保すべきである。このために、文化活動に対する機会が確保されるべきである。必要な場合には、精神または感覚の損傷をもつ人々のニーズに応えるため、特別な措置がとられるべきである。これらには聾者のためのコミュニケーション自助具、視力障害者のための点字図書やカセット、知的能力にあわせた読書用資料などが含まれよう。文化的活動の範囲にはダンス、音楽、文学、劇、造形美術などが含まれる。
h 宗教
136. 障害者がその地域社会で接しうる宗教活動から十分な恩恵を受ける機会を確保するための措置が講じられるべきである。このようにして、障害者のこれらの活動への完全な参加は可能となろう。
i スポーツ
137. 障害者にとってスポーツが重要であることがますます認識されてきている。したがって、加盟各国は、障害者のあらゆる形のスポーツ活動を、とりわけ適切な施設の提供及びこれらの活動の適当な組織化を通じ、奨励すべきである。
5 地域社会の行動
138. 加盟各国は、世界行動計画の諸目的の達成に向けてのプログラムの開発のために地域社会に対する情報、訓練及び財政援助の提供に高い優先順位をおくべきである。
139. 地方の地域社会間の協力並びに情報及び経験の交換を奨励及び促進するための措置が講じられるべきである。障害に関連した分野において国際的な技術援助もしくは技術協力からの恩恵を受けている国は、その恩恵や効果が最大のニーズをかかえる地域社会に届くよう確保するべきである。
140. 地方自治体、地方機関、及び地域社会団体たとえば市民グループ、労働組合、婦人団体、消費者団体、奉仕クラブ、宗教団体、政党、親の会などの積極的参加を得ることが重要である。各地域社会は、障害者団体が影響力を発揮できうる適当な機関を資源の動員及び行動への取り組みのための連絡調整にあたる中核として指定することができる。
6 職員の訓練
141. 障害者に対するサービスの開発と提供に責任を有する当局は、職員の問題、特に人員採用と訓練について注意を払うべきである。
142. 損傷の早期発見に取り組む地域社会に根ざしたワーカーの養成、初期的援助の提供及び適当な施設への付託、及びそのフォローアップは付託機関の医療チームとその他の職員の養成・訓練とともにきわめて重要である。これらは可能な限りプライマリー・ヘルス・ケア、学校、及び地域社会開発計画などのような関連サービスに統合されるべきである。加盟各国は、ある種の薬物の濫用により生ずる障害に重点をおいた医師に対する訓練を促進・強化するべきである。野放しに使用されると長い間には、個人及び公衆の健康に危険をもたらしうる特許売薬の販売は規制されるべきである。
143. *精神及び身体の障害に関連したサービスが数的に増大している現在はこうしたサービスを受けていない障害者にまでゆきわたるべきであるとするならば(*訳が変なのか、句読点を忘れたのか?)、各地域社会のさまざまなタイプの保健及び社会福祉のワーカーを通じ、これを提供することが必要である。彼らの活動の中にはすでに、予防及び障害者に対するサービスに関連するものがある。それらのサービスは、たとえば障害者やその家族が利用できる簡単なリハビリテーション措置や技術に関する、特別な指導及び教育を必要としよう。これらの指導は、その担当範囲に応じ地域社会または地区レベルのリハビリテーション専門家により行うことができよう。障害者のための地元計画の監督、並びにその地域で得られるリハビリテーション及びその他のサービスと接することにつき責任を有する各地方レベルの専門家に対しては、特別な訓練が必要となる。
144. 加盟各国は、地域社会のワーカーが専門的知識や技能に加え、障害者の社会的、栄養面、医療上、教育上、職業上のニーズに関する包括的な情報を得られるように確保すべきである。地域社会のワーカーは、適切な訓練と管理を受けていれば、障害者の必要とするほとんどのサービスを提供し、職員の不足を克服するため貴重な資産となりうる。彼らの訓練には避妊法や計画的出産についての適当な知識が含まれるべきである。ボランティアもまた非常に有効なサービスやその他の形の援助を提供できる。地域社会おける関連分野ですでに活動している教員、ソーシャルワーカー、保健サービスの補助要員、行政官、行政企画担当者、地域社会の指導者、聖職者、家族カウンセラーなどのその他のサービス提供者の知識、能力及び責任を拡大することに、さらに大きな力点がおかれなければならない。障害者に対するサービスにたずさわる人々は、ケア、治療、リハビリテーション及びそれに続く生活と就職の準備に関する決定に関し、障害者とその家族の完全参加を求め、励まし、援助することの意義と重要性を理解するよう、訓練されるべきである。
145. 特殊教育の教員の訓練は、ダイナミックな分野であり、可能な限り教育が実際に行われるべき国、あるいは少なくとも文化的背景及び発展の程度があまり異ならないところで行われるべきである。
146. 効果的な統合のための前提条件は、一般の教職員及び特殊教育の教員双方にとって適当な教員訓練プログラムを提供することである。統合された教育という概念は教育の訓練プログラムの中に反映されるべきである。
147. 多くの開発途上国では、特殊教育の教員自身が多角的な役割をになっているので、特殊教育の教員の訓練に際してはできる限り広い範囲をカバーすることが重要である。高いレベルの訓練は必ずしも必要でも望まれていることでもないこと、及び現に大半の職員は中程度あるいはそれ以下のレベルの訓練を経てきていることが留意されるべきである。
7 情報及び一般大衆の教育
148. 加盟各国は、一般市民を含めすべての関係者にいきわたるよう、障害者の権利、貢献及び満たされていないニーズについての総合的な広報プログラムを奨励すべきである。これに関しては態度を変化させることに特に重点がおかれるべきである。
149. ラジオ、テレビ、映画、写真、印刷物において障害及び障害者につき、慎重かつ正確な描写、並びに公平な表現及び報道を行うようニュースメディアを奨励するため、障害者の団体と協議の上ガイドラインが作成されるべきである。そのようなガイドラインの基本的要素は、障害者が自ら問題を大衆に提示し、またこれが如何に解決されうるかを提案できるようにすることであろう。ジャーナリストの訓練カリキュラムの中に、障害者の現実についての情報も含めることが奨励されるべきである。
150. 公共事業体は、障害者を含むすべての人々にいきわたる情報を適応させるよう配慮する責任がある。このことは、上述の情報についてのみならず、市民の権利と義務に関する情報についても適用する。
151. 広報活動のプログラムは、最も適切な情報が国民の中のすべての適当なグループに届くことが確保されるよう企画されねばならない。正規のメディア及びその他の通常の伝達手段に加え、次の点が配慮されるべきである。
(a) 障害者とその家族に対し、権利、利用できうる便宜とサービス及び制度の中での不実施と誤用を修正するためにとられる手続きにつき知らせるための特別な資料の準備。これらの資料は、視覚、聴覚またはその他のコミュニケーション上の制約のある人々が利用でき、かつ理解される形態のものであるべきである。
(b) 通常のコミュニケーション手段では伝達の難しい人々のための特別な資料の準備。それらの人々は、言語、文化、識字レベル、地理的懸隔、あるいはその他の要因により隔離されている。
(c) 僻地、または通常のコミュニケーション手段では効果の薄い状況においてコミュニティ・ワーカーが使用するための絵入り及び視聴覚材料並びにガイドラインの準備。
152. 加盟各国は、障害者、その家族及び専門家が施策とサービス、法律、施設、専門的知識及び補助機器等に関する現行の情報を利用できるよう確保すべきである。
153. 一般大衆教育に責任を有する当局は、障害の現実及びそのもたらす結果、予防、リハビリテーション並びに障害者の機会均等に関する系統的な情報の提供を確保すべきである。
154. 障害者及び障害者団体は、メディアを通じ自由に自らを表現し、彼らの見解や経験を一般大衆に伝達できるよう、広報に関し、平等の機会、雇用、適切な資源及び専門的訓練を与えられるようにすべきである。
C 国際的行動
1 全般
155. 世界行動計画は、総会による採択を経て、各国政府、国連システム内の機関及び組織、障害者によるまたは障害者を代表する団体を含めた政府間及び非政府組織との幅広い協議に基づく国際的長期計画となる。行動計画の目標に向けての進展は、各レベルにおける密接な協力が維持されることにより、迅速、効果的及び無駄なく行われ得る。
156. 国際経済社会局の社会開発人道問題センターが、今日まで、障害予防、リハビリテーション及び障害者の機会均等化のため、国連内において果たしてきた役割を考慮し、このセンターを世界行動計画の再検討と評価を含め実施の調整と監視の中心機関として指定すべきである。
157. 総会で設立された国際障害者年のための信託基金は、開発途上国及び障害者団体からの援助要請に応えること、並びに世界行動計画の実施を促進するために使用されるべきである。
158. 概して世界行動計画の目的の実施のため、開発途上国に向けての資源の流れを増加せしめる必要がある。したがって事務総長は資金調達のための新たな方法・手段を探求するとともに、資源の動員につき必要なフォローアップの措置をとるべきである。政府及び民間からの任意の寄付が奨励されるべきである。
159. 調達に関する運営委員会は、世界行動計画の国連システム内における組織にとっての意味合いを検討すべきであり、また技術協力についての総合的方法を含め政策と実施の連絡調整のため既存の機構を使用すべきである。
160. 国際的非政府組織は、世界行動計画の目標達成に向けての協力努力に加わるべきである。非政府組織及び国連システムとの間の既存の関係がこの目的のため、利用されるべきである。
161. すべての国際組織及び団体は、障害者により構成されもしくは障害者を代表する団体に対する協力及び援助を行うこと、並びに世界行動計画に関連する事項が論じられる場合にはそれらの団体が意見を発表する機会を有するよう確保することを要請される。
2 人権
162. 国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」を達成するため、国連システムは、そのすべての施設を全体的に障壁のないものとし、コミュニケーションを完全に感覚障害者が利用できるよう確保し国連システム全体での障害者の雇用を奨励するため、運営方針及び慣行を含む前向きな行動をとることを強く要請される。
163. 人権に関し、障害者の地位を考慮するに際しては、あらゆる人間の権利の保護を規定した国連の規約及びその他の文章並びに国連システムにおける他の国際機関のそれらの利用に優先がおかれるべきである。この原則は、国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」と一致するものである。
164. とりわけ、障害者に直接もしくは間接に影響をもたらすであろう国際規定、規約その他文書の準備及び運用に責任を有する国連のシステム内の組織及び機関は、そうした文書において障害者の状況を十分考慮に入れるよう確保すべきである。
165. 国際人権規約の加盟各国は、その報告書の中で、同規約の障害者の状況に対する適用につきしかるべき注意を払うべきである。経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約のもとで報告の検討を委託されている経済社会理事会の作業部会、並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約のもとで報告検討の任にあたる人権委員会は、締結国が提出する報告における上記の点につき、しかるべき注意を払うべきである。
166. 全人類に普遍的なものとして認められている人権及び自由を障害者が行使する能力を阻害するような特定の状況が存在するかもしれず、国連の人権委員会により、そのような状況に対する検討を加えるべきである。
167. 国内委員会あるいは障害問題を扱う類似の調整機関もまた、そのような状況に関心を払うべきである。
168. 拷問を含め、基本的人権の著しい侵害の事態は、精神的及び身体的障害の一因となりうる。人権委員会は、*就中(*"なかんずく"…『とりわけ、中でも、特に』という意味ですね)、そのような侵害に対し、適当な改善措置をとるよう検討するべきである。
169. 人権委員会は、障害者を含むすべての人々に対し国際的に認められている基本的人権の実施のため、国際的協力を獲得する方法を引き続き検討するべきである。
3 技術及び経済協力
a 地域間の援助
170. 開発途上国は、農業、農村及び産業開発、人口抑制など基本的ニーズに関する切迫した要求に直面しているため、障害者及び何百万人の不利な立場の人々の切迫したニーズに応ずるために適切な資源を動員することはますます困難となっている。したがって開発途上国の努力は、国際社会により上記82項及び83項に則して支援されるべきであり、また、開発途上国に対する資源の流れは第三次国連開発の十年のための国際開発戦略に述べられているように、十分に増加されるべきである。
171. 多くの技術協力及び援助供与に関する国際的な機関は、政府からの公式要請にのみ基づいて当該政府の国内的努力に対して協力を行うことができるのであるから、障害者に関する計画立案のすべての関係者によりこれらの各国際機関から求め得る支援の正確な性格を政府に知らせるための一層の努力が払われるべきである。
172. 開発途上国間の技術協力並びに障害の予防及び障害者のリハビリテーションのための技術援助に関する世界専門家シンポジウムにおいて作成された「ウィーン・アファーマテイブ・アクション・プラン」は、世界行動計画にもられた技術協力活動の実施のためのガイドラインとなろう。
173. 世界行動計画に関連する分野において権限、資源及び経験を有する国連システム内の諸機関は、要請を受けた政府と協力し、いろいろな分野で実施中もしくは計画中のプロジェクトにつき、障害者独自のニーズ及び障害の予防に応えうる要素を加えるための方途を開拓すべきである。
174. 資金的・技術的国際協力に関連した活動を行うすべての国際機関は、加盟各国からの障害予防、リハビリテーション及び機会均等に関する援助要請に対し、それぞれの本来の優先的順位に則して優先度を付けることを確保することが奨励される。このような方法は、予防、リハビリテーション及び機会均等に関連したサービスに対する資本的支出及び固定的支出の双方につき資源の配分の着実な増加を確保することになろう。このような方法は、開発途上国間技術協力も含め、多数国間もしくは二国間援助を行うすべての機関の経済・社会開発プログラムにおいて反映されるべきである。
175. 障害者のニーズに対してよりよいサービスを提供するため、各国政府との協力を行う場合、国連の諸団体並びに民間の二国間の機関は設定された目標の達成に向け、より効果的に貢献できるようその協力を緊密に調整すべきである。
176. 関連ある国連の機関のほとんどは、すでに障害者を対象としたプロジェクトの設定またはそのプロジェクトに障害者を対象とした要素を取り入れることを促進するとの個別の責任を有しているが、国際障害者年及び世界行動計画の要請に対する国連システムの対応を改善するため、下記のように国連機関の間におけるより明確な責任区分が確立されるべきである。
(a) 国連及び特に開発技術協力局は、専門機関並びにその他の政府間組織及び非政府団体とともに、世界行動計画の実施を支援するための技術的協力を行うべきであり、この関連で、国際経済社会局の社会開発人道問題センターは、世界行動計画の実施にあたって、技術協力プロジェクト及び活動に対する実質的支援を継続すべきである。
(b) 国連開発計画は、一般プログラム及び手続きの枠の中で特に障害者のニーズ及び障害の予防に対応した各国政府からの要請に対し、十分な配慮を行うため、フィールド・オフィス等の活用を継続すべきである。また、国連開発計画は、たとえば開発途上国間技術援助、世界的及び地域間プロジェクト及び科学技術暫定基金などの種々のプログラム及びサービスを活用することにより、障害予防、リハビリテーション及び機会の均等化の分野における技術協力を特に奨励すべきである。
(c) 国連児童基金の主たる協力は引き続き、母子保健サービス、保健教育、疾病対策及び栄養改善に関するより強力な支援を含む予防施策に向けられたものとなるであろう。すでに障害をもった人々に対しては、国連児童基金は、統合された教育のプロジェクトの開発及び安価な地元の資源を利用した地域社会レベルのリハビリテーション活動への援助を奨励している。
(d) 専門機関は、それぞれの権限及び所管分野の責任の枠の中において、各国政府からの要請に基づき、可能な場合は各機関の資源の利用を通じるばかりでなく、個々の国の計画作成*課程(*"過程"だと思うのだが?)並びに地域、地域間、及び世界プロジェクトの設定を通じて得られる機会を生かし、障害者のニーズに応じた援助をしていくことにより重点をおくべきである。この関連で専門機関の各々の責任分担は次の通りであるべきである;ILO──職業リハビリテーション並びに職業上の安全及び健康;UNESCO──障害児及び障害者の教育;WHO──障害の予防と医学的リハビリテーション;FAO──栄養の改善。
(e) 多数国金融機関は、借款業務に際して、世界行動計画の目的及び提案を真剣に考慮すべきである。
b 地域及び二国間援助
177. 国連地域経済委員会及びその他の地域機関は、障害予防、障害者のリハビリテーション及び機会の均等の分野における地域協力あるいは小地域における協力を奨励すべきである。また、各地域委員会は、地域内の進歩の監視、ニーズの確認、情報の収集と分析、行動に結びついた調査の主催、助言サービスの提供及び技術協力活動の実施を行うべきである。また、研究・開発、広報用資料の準備及び人材の訓練を、これら機関の活動計画に含め、また当座の措置として、世界行動計画の目標に関連した開発途上国の技術協力の分野における活動を促進すべきである。この項の前段で言及した活動の展開に際しての重要な資源として、障害者の組織の発展を促進すべきである。
178. 加盟各国は、地域の機関及び委員会と協力し、障害者団体及び適当な国際的団体と協議の上、障害者の利益をはかるための地域的(もしくは小地域的)な研究所または事務所の設立について奨励されるべきである。その他の機能は、前述の活動を促進することであるべきである。そのような施設の機能は、直接的サービスを供給することではなく、障害者を組織的に発展させるため、たとえば地域社会に根ざしたリハビリテーション、調整、情報、訓練及び助言に関する革新的な概念を推進することであることを理解することが肝要である。
179. 援助国は、加盟各国からの予防、リハビリテーション及び機会均等化の分野における国内もしくは地域施策に関連した援助要請に対応する方法を二国間及び他国間技術援助計画の中で見出すよう努めるべきである。こうした施策は地域内及び地域間の協力体制を拡大するため、適当な機関及びまたは団体に対する援助を含むべきである。技術協力機関は、現業職も含むすべてのレベル及び職務に積極的に障害者を採用するべきである。
4 情報及び一般大衆の教育
180. 国連は、世界行動計画の目標に対する一般の関心を高める活動を引き続き行うべきである。この目的のため、実体的活動を行う部局は、広報局にそれらの活動を与え、ニュース発表、特集、ニュースレター、小冊子、ラジオ、テレビのインタビュー及びその他の適当な形で広報できるようにすべきである。
181. 世界行動計画に関連するプロジェクト及びプログラムにかかわりをもつすべての機関はその活動の中で継続的に大衆に対する広報活動を行うべきである。これらの機関の専門的分野で調査活動を必要とする場合、調査はそれらの機関により実施されるべきである。
182. 従来のメディアによっては情報が正確に伝達され得ない人々やそうしたメディアに不慣れな人々に対し、世界行動計画の原則及び目的を含めた情報を伝えるため、国連は、関係専門機関と協力し、種々のメディアを動員した革新的方法を開発すべきである。
183. 国際機関は、世界行動計画の目的に関するカリキュラムの提案並びに教材、及び関連情報の提供により、公的及び地域社会による大衆啓蒙プログラムの作成を援助すべきである。
D 調査研究
184. さまざまな文化の中における障害者の立場に関して得られる情報は限られていること─このことが社会の人々の態度や行動のパターンを決定しているのであるが─*(*"を"が抜けているように思うが?)考慮するならば障害の社会・文化面に*集点(*焦点のことか?)をあてた研究を行う必要がある。このことにより、異なる文化の中における非障害者と障害者の関係につきよりわかりやすく理解することができるであろう。そのような研究の結果、人間環境の現実に合った方法を提示することが可能になろう。さらにまた、内包される問題を分析し、それに対応したプログラムの企画ができるよう障害者の教育に関連した社会的な指標を開発するための努力が払われるべきである。
185. 加盟各国は、損傷及び能力不全の原因、形態及び発生、障害者の経済的社会的状況、並びにこれらの問題に対処するための既存の資源の利用可能性及び実行性についての研究プログラムを開発すべきである。
186. 障害者及びその家族の生活に影響を与えている社会、経済及び参加の問題並びにこれらの問題に関する社会の対応の仕方についての調査は特に重要である。調査データは、各国の統計事務所及び国勢調査事務局を通じて得ることができようが、障害問題に関する情報収集を目的とした世帯調査計画は、一般的な人口調査に比べ有効な結果をよりもたらすであろうことが留意されるべきである。
187. また、障害者のためよりよい自助具や機器を開発するための研究を奨励する必要がある。開発途上国の技術的及び経済的状況に適した解決策を見いだすため、格別の努力が向けられるべきである。
188. 国連及びその専門機関は、世界行動計画において勧告されているすべての形態の行動に対する革新的アプローチに重点をおく一方で障害並びに現在のニーズ及び優先事項を明確にするための関連的研究課題に関する国際的な研究調査の動向をフォローすべきである。
189. 国連は、世界行動計画で扱われている問題に関する認識を高めることを意図した研究プロジェクトを奨励・援助すべきである。国連は各国の研究成果を熟知し、また現在承認待ちとなっている研究提案にも通じていることが必要である。国連はまた、調査研究の成果に十分に注目し、その対応及び普及を強化する必要がある。文献検索システムの恒久的連携が大いに推奨される。
190. 国連地域経済委員会及びその他の地域機関は、世界行動計画に含まれている提案を各国政府が実施することを援助するための調査研究活動を、それぞれの行動計画に包含すべきである。障害に対する調査研究費用の効果を最大に高める鍵は、調査研究の成果に関する情報を普及し、また共有することにある。国際的政府機関及び非政府機関は、共同研究及び情報交換のための地域レベルの機関及び地方の機関の間の協力機構の確立に積極的な役割を果たすべきである。
191. 医学、心理学及び社会学レベルの調査研究は、身体的、精神的及び社会的障害の減少を約束する。調査研究による進展が大いに期待される分野の明確化を含むプログラムの開発が必要である。多くの問題は、万国共通の関心事であるため先進工業国及び開発途上国との間の相違が、有益な共同研究の展開を阻害するべきではない。
192. 下記の分野における研究は、開発途上国及び先進国の双方にとり価値のあるものである。
(a) 障害の原因となる事象の抑制に関する臨床研究。医学的、心理的、社会的側面からの個人の機能の評価、情報面を含めたリハビリテーションプログラムの評価。
(b) 障害の実態、障害者の機能的制約、障害者の生活状況、及び障害者の直面している問題についての研究。
(c) 種々のリハビリテーションやケアの施策の損益、最も効率の良いプログラムの作成方法、及び代替方策の探求についての研究を含めた保健・社会サービスに関する研究。障害者のコミュニティ・ケアに関する研究は特に開発途上国には適したものであろうし、実験と実施とその評価及び総合的実験プログラムは、すべての国にとり価値のあるものであろう。収穫の多い二次分析にとり有益と思われる多くの情報が利用できる。
193. 保健科学及び社会科学研究機関は、障害者に関する調査研究の実施並びに情報の収集を行うよう奨励されるべきである。応用研究活動は、サービス供給の新しい技術の開発、種々の言語及び文化グループに適した情報資料の作成、各地域に関連した状況の下における人材の訓練に特に貴重である。
E モニタリング
194. 障害者に関連する状況の評価を定期的に実施すべきこと、及び発展状況を測定するための基準線を設定すべきことは不可欠である。世界行動計画を評価する最も重要な基準は、国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」により示されている。モニタリングと評価は、一定の間隔をおいて国内レベルばかりでなく、地域レベル及び国際レベルにおいても行われるべきである。評価指標は、加盟各国並びに関係国連機関及びその他の団体との協議に基づき国連国際経済社会局により選定されるべきである。
195. 国連システムは、世界行動計画の履行においてもたらされた進歩について、厳格かつ定期的な評価を行うべきであり、この目的のため、加盟国との協議により適当な評価指標を選定すべきである。この点については、社会開発委員会が重要な役目を果たすべきである。国連は専門機関とともに評価結果を基礎としたすべてのレベルのプログラムの改善を確保するため、情報の収集と普及を目的とした適切な継続的システムを開発すべきである。この関係で社会開発人道問題センターが、重要な役割を果たすべきである。
196. 地域経済委員会は、国際的レベルで実施される世界全体の評価に役立つような監視及び評価機能を果たすことを要請される。その他の地域機関及び政府間機関もこのプロセスに参加するよう奨励されるべきである。
197. 各国レベルにおいては、障害者関係プログラムの評価が定期的に行われるべきである。
198. 国連統計部は、国連事務局その他の部局、専門機関及び地域委員会とともに、開発途上国と協力し、いろいろな障害に関し、全数列挙または代表的サンプルのいずれか適当な方法に基づくデータの収集についての現実的かつ実際的なシステムを発展させること、並びに特に、障害者の状態を改善すべく国際障害年後における行動計画に着手するにあたって不可欠の手段及び判断の枠組として利用されるかかる統計収集のための世帯調査を、どのように使うかについての技術的なマニュアル・文章を作成することを強く要請される。
199. この後半の業務の遂行にあたり、国連統計部の支援を得て、国連社会開発人道問題センターは中心的役割を果たすべきである。
200. 国連事務総長は、国連及び専門機関がより多くの障害者の雇用を行い、施設及び情報を障害者にとりより利用しやすいものにするための努力につき定期的に報告すべきである。
201. 定期的な評価の結果及び世界の経済的、社会的状況の発展に基づき、世界行動計画を定期的に改定していく必要もあろう。こうした改定は5年毎に行われるべきであり、第1回目は第42回国連総会における事務総長報告に基づき1987年に行うことになる。この再検討は、第三次国連開発の十年のための国際開発戦略の検討と評価を行う際にインプットされるべきである。
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