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障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行について

平成6年10月1日
労働省発職第216号
各都道府県知事あて労働事務次官



 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)については、第一二九回通常国会において平成六年六月一四日に成立し、同年六月二二日、平成六年法律第三八号として公布され、本年一〇月一日から施行されることとなった。
 ついては、その法改正の趣旨及び主たる内容は、左記のとおりであるので、これを十分理解の上、その施行に万全を期されたく、命により通達する。
 なお、改正の内容について、関係機関、事業主、労働組合その他の関係団体に対する周知方についても、十分配慮されたい。



第一 改正の趣旨
 障害者の雇用状況をみると、国連・障害者の一〇年を終え、ノーマライゼーションの理念が社会に浸透しつつあり、障害者の自立意識の高まりと相まって、雇用される障害者数は全体として増加しているものの、なお障害者の実雇用率は一・四一%と法定雇用率の一・六%を依然として下回っている状況にある。さらに、重度身体障害者、精神薄弱者及び精神障害回復者等を中心として、就職を希望しながら雇用に就くことができない障害者が多数存在しており、これら障害者に対する対策の充実強化が求められている。
 このため、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三五年法律第一二三号。以下「法」という。)について、職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者に対し市町村レベルできめ細かな職業リハビリテーションを実施する公益法人を障害者雇用支援センターとして指定するとともに、障害者の処遇の改善を図るために必要となる施設又は設備の設置又は整備に対する助成金制度の新設や通勤及び住宅面での助成金制度の充実等を行うための改正を行うことにより、職業リハビリテーションの充実及び障害者をとりまく職業生活環境の整備に向けた施策の充実、強化を図ることとしたものである。

第二 改正の概要
一 障害者雇用支援センターに関する規定の新設(法第二章第四節関係)
(一) 都道府県知事は、職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者(以下「支援対象障害者」という。)の職業の安定を図ることを目的として設立された公益法人であって、(二)のイからトまでに掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、市町村の区域(労働省令で定める基準に従い、必要と認められる場合には、都道府県知事が指定する二以上の市町村の区域)に一を限り、当該業務を行う者として指定することができることとしたこと。

(二) (一)の指定を受けた者(以下「障害者雇用支援センター」という。)は、次に掲げる業務を行うこととしたこと。
イ 支援対象障害者に対して、その障害の種類及び程度に応じ、必要な職業準備訓練を行うこと。
ロ イの職業準備訓練を受けた後職業に就いた支援対象障害者に対して、必要な助言その他の援助を行うこと。
ハ イの職業準備訓練を受けた支援対象障害者を雇用し、又は雇用しようとする事業主に対して、当該支援対象障害者の雇用に必要な障害者の雇用管理に関する事項についての助言その他の援助を行うこと。
ニ 支援対象障害者の通勤への同行その他の支援対象障害者が職業に就くことに伴い必要となる介助等の支援を行う者(以下「障害者雇用支援者」という。)に関する情報を収集し、整理すること。
ホ 事業主、支援対象障害者その他の関係者に対して、ニにより収集し、及び整理した障害者雇用支援者に関する情報を提供し、並びに職業リハビリテーションに係る情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
ヘ 障害者雇用支援者に対して、ニの支援を適切に行うために必要な知識及び技能を習得させるための研修を行うこと。
ト その他支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務を行うこと。

(三) 障害者雇用支援センターは、地域障害者職業センターの行う支援対象障害者に対する職業評価に基づき、(二)のイからハまでに掲げる業務を行うこととしたこと。

(四) その他障害者雇用支援センターに関し、事業計画書及び収支予算書の提出、業務に関する監督命令、指定の取消し等について必要な規定を設けることとしたこと。

二 助成金の支給業務の拡充(法第一八条関係)
(一) 障害者処遇改善施設設置等助成金制度の創設
 障害者である労働者を雇用する事業主に対して、障害者である労働者の処遇の改善又は雇用の継続を図るために行う配置転換又は職種転換に伴い必要となる施設又は設備の設置又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給することとしたこと。

(二) 障害者福祉施設設置等助成金制度の創設
 障害者である労働者を雇用する事業主又は当該事業主の加入している事業主の団体に対して、障害者である労働者の福祉の増進を図るための施設の設置又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給することとしたこと。

(三) 重度障害者特別雇用管理助成金制度の拡充
 重度身体障害者その他の労働省令で定める障害者である労働者の通勤を容易にすることその他のこれらの障害者である労働者の障害の種類又は程度に応じた適正な雇用管理のための措置に要する費用に充てるための助成金の支給対象に、障害者を雇用する事業主の加入している事業主の団体を加えることとしたこと。

(四) 障害者雇用支援センター助成金制度の創設
 障害者雇用支援センターに対して、障害者の雇用の促進又は継続に係る一の(二)のイからトまでに掲げる業務に要する費用に充てるための助成金を支給することとしたこと。

三 施行期日(改正法附則関係)
 改正法は、平成六年一〇月一日より施行することとしたこと。



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