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青少年を取り巻く環境の整備に関する指針
−情報化社会の進展に対応して−
平成13年10月19日 青少年育成推進会議申合せ
最近、青少年を取り巻く環境は、情報化社会の進展に伴い、大きく変容している。こうした中、青少年が日常生活において接する各種メディア等が提供する情報等には有用なものも多く、青少年に良好な影響を与えていることは言うまでもないが、他方、性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の人格形成に悪影響を及ぼしたり、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮を助長したりするおそれがあるため、社会において十分な配慮がなされることが必要である。今後、インターネットの急速な普及などに伴いより一層青少年がこのような情報等に触れる機会が増大する可能性が考えられ、適切な対応が求められている。
このため、青少年を取り巻く環境の整備という課題に、国、地方公共団体、関係業界団体等及び国民が一体となって取り組んでいくため、国が取り組む事項、国から地方公共団体へ要請する事項及び国から関係業界団体等へ要請する事項についての指針を取りまとめる。
なお、言論、出版その他一切の表現の自由を尊重することは、この指針を取りまとめるに当たっての前提である。
一 基本的方針
1 国の取組
各強調月間等を効果的に実施し、これらを通じて有害環境浄化の地域活動が一層強化されるよう、国民の意識啓発を行う。
また、青少年を取り巻く環境の整備に関する調査研究を実施し、性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の感情・行動に与える影響等についての研究結果の収集及び活用を図るとともに、各関係業界における自主規制の実効性を担保するため、第三者による調査等を支援する。
さらに、メディア・リテラシー向上のための教育の推進、法令に基づく取締りの促進及び関係業界団体等との意見交換の実施に努める。
2 地方公共団体への要請
青少年の保護育成に関する条例の効果的な運用、各法令に基づいた取締りの徹底及び住民等による各種環境浄化活動の推進を図るよう要請する。
3 関係業界団体等への要請
青少年が身近に接する情報等に関しては、各関係業界がそれぞれ社会に大きな影響を与えることを自覚し、青少年にとって有害な情報等について実効性ある自主規制を確実に行うことが必要であることを踏まえ、以下について要請する。
(1)情報等の発信・提供又は受信・享受の段階で読者・視聴者の属性による特定の情報等の制限が困難な分野については、青少年への影響に配慮した発信・提供に努めること。また、情報に格付けして発信・提供する方法又は受け取るべきでない情報を読者側・視聴者側で遮断する方法について検討すること。
(2)情報等の発信・提供又は受信・享受の段階で読者・視聴者の属性による特定の情報等の制限が比較的容易な分野については、情報等の発信者・提供者(販売者・貸与者を含む。)における自主規制による格付けに基づいた厳格な発信・提供・販売・貸与の徹底及び透明性を確保した苦情処理に努めること。
(3)青少年のメディア・リテラシー向上のための取組を推進すること。
また、各関係業界のみならず、その他の各企業の協力も重要であるとの観点から、各経済団体にも協力を要請する。
二 具体的な取組及び要請事項
1 国の取組
(1)国民の意識啓発の推進
7月の「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」及び「“社会を明るくする運動”強調月間」や11月の「全国青少年健全育成強調月間」を効果的に実施し、これらの機会を捉えて地域住民やボランティアによる書店、ビデオ販売店等の点検活動、有害図書等自動販売機・捨て看板撤去運動、電話ボックスのピンクビラ回収等の諸活動が一層強化されるよう、積極的に国民の意識啓発を行う。
(2)調査研究の実施等
「第4回情報化社会と青少年に関する調査」、「青少年有害環境対策に関する調査」(以上内閣府)、「インターネット上の少年に有害なコンテンツ対策研究会」、「青少年問題調査研究会」(以上警察庁)、「青少年と放送に関する調査」(総務省)及び「青少年を取り巻く有害環境対策に関する調査研究」(文部科学省)を実施し(別添1参照)、それらの調査研究等の結果の活用を図るとともに、各種メディア等における性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の感情・行動に与える影響等についての研究結果の収集及び活用を図っていくこととする。
また、日本PTA全国協議会等の第三者の民間団体によるメディアのモニタリング調査等を支援し、その結果を踏まえた関係業界等との意見交換を促進する。
(3)メディア・リテラシー向上のための教育の推進
青少年が主体的に情報の取捨選択ができるようメディア・リテラシー教育を推進するため、学校において新しく導入される「総合的な学習の時間」等を活用するとともに、メディア・リテラシー教材の開発を支援する。
また、青少年を適切に指導できる人材を育成するため、大学の教員養成課程等において映像メディア等に関する指導方法を体系的に学習させる機会を設ける。
(4)法令に基づく取締りの促進
都道府県警察による、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づく取締りを促進する。
(5)関係業界団体等との意見交換の実施
各分野における取組状況を把握するなどのため、関係業界団体等との意見交換を随時実施することとする。
2 地方公共団体への要請
地方公共団体においては、46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例により、青少年に有害なものとして知事等が指定した図書等を青少年が観覧することやそれらを青少年へ販売、貸出、頒布すること等を禁止している。また、各都道府県警察は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づき法令違反の取締りを行うとともに、少年を取り巻く社会環境を浄化する必要のある297地区を「少年を守る環境浄化重点地区」に指定し、地域住民やボランティアと連携した各種環境浄化活動を推進している。
以上のような取組の現状を踏まえ、以下の事項について要請することとする。
(1)有害図書等の指定を受けていない作品について、住民からの意見を受け付けて、指定の参考にすること。
(2)販売店・レンタル店において、各地域の条例に基づき他のソフトとの区分陳列、店員が容易に監視できる位置への配置、青少年へ販売・貸付けしないことの徹底等を行うことを各店舗に要請するなど、その効果的な運用を図ること。
(3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づく法令違反の取締りについても引き続き徹底すること。
(4)住民等による各種環境浄化活動をより一層推進すること。
3 関係業界団体等への要請
(1)各種メディア等への要請
以下の1)〜7)の各種メディア等において、関係業界団体がそれぞれの取組の現状(別添2参照)も踏まえて必要な取組を行うよう要請することとする。
なお、以下の各種メディア等以外のメディア等において、同様の要請をすべき状況が認められる場合、関係業界団体に対して必要な取組を行うよう要請することとする。
1) テレビジョン放送
テレビジョン放送(有料放送を除く。)については、引き続き教養、教育、報道、娯楽等各般の青少年の健全育成に資する情報を幅広くかつ効果的に提供しつつ、青少年にとって最も接しやすいメディアの一つであるという特性に十分配慮して、各放送事業者において以下の取組を推進すること。
1)暴力・性に関する内容について、放送時間帯に一層配慮すること。
2)青少年への配慮が必要な暴力・性などの表現に関する情報提供に一層努めること。
また、視聴者と放送事業者を結ぶ第三者機関として活動している「放送と青少年に関する委員会」等の機関のより一層の取組を期待する。
2) インターネット
各種のメディア機器の急速な普及に伴い青少年が接しやすいメディアとなりつつあることに十分配慮して、「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会報告」(郵政省、平成12年12月)等に沿って、有害情報に関するラベリングやフィルタリングの普及促進等をより一層図っていくこと。
3) 家庭用ゲーム機ソフト
「B」区分(ユーザーに対する注意喚起が必要なもの)の指定を受けた作品名について、ソフト販売店に掲示する等の方法により積極的に幅広く公開し、消費者が当該作品を購入する際、事前に十分な注意喚起認識が得られるよう注意喚起表示を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。
4) ビデオソフト
ビデオソフト販売店・レンタル店において、成人指定(18歳未満への映示、販売、貸出禁止)若しくはR指定(15歳未満への映示、販売、貸出禁止)又は一般向制限付指定(中学生以下への映示、販売、貸出不可)の作品の販売又は貸出を行う際には、身分証明書、会員証等により購入又は借入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。
5) パーソナルコンピュータソフト
パーソナルコンピュータソフト販売店において、18歳未満者への販売禁止ソフト作品(18禁)又は一般ソフト作品制限付(R指定、販売対象者満15歳以上)の販売を行う際には、身分証明書等により購入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。
6) 出版物
書店等において、成人向け雑誌・コミック誌・コミック本の販売を行う際には身分証明書等により購入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。
7) 映画
映画館において、R−18(18歳未満入場禁止)、R−15(15歳未満入場禁止)又はPG−12(12歳未満は親又は保護者の同伴が望ましい)に指定された作品を上映する際には、身分証明書等により入場者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。
(2)メディア・リテラシー向上のための取組の要請
青少年と各種メディア等との健全な関係を築くためには、青少年のメディア・リテラシー向上が重要であるため、各関係業界団体において、以下のような青少年のメディア・リテラシー向上のための取組を推進するよう要請することとする。
1) メディア・リテラシー研究者や教育関係者、読者・視聴者の意見を反映させ、読者・視聴者のメディア・リテラシー向上に資する情報等の提供に取り組むこと。
2) 各関係業界においては、制作者と青少年やその保護者との意見交換の場を設ける等、交流機会の拡大を図り相互理解に努めること。その際にはインターネット等を活用し、できる限り多くの者が参加できる体制を整備すること。
(3)各経済団体への要請
各経済団体において、以下のような取組を推進するよう要請することとする。
○ 各企業が広告や協賛を行うに当たっては青少年の健全育成に関し特段の配慮をするよう呼びかけるとともに、関係業界団体の自主規制の状況のチェック等に取り組む民間団体との意見交換の促進を図ること。
(別添1)政府が実施する各調査研究の概要
第4回情報化社会と青少年に関する調査(内閣府)
全国の12歳〜29歳の青少年(6,000人)及び12〜17歳の青少年の親(1,700人)を対象に、以下の5点を目的として、個別面接聴取法による調査と専門家による調査結果の分析を行う。
青少年のメディア利用状況(傾向・特徴)の全般的な把握
特に「インターネット」と「携帯」に焦点を当てた利用状況の把握
メディア利用状況と家族・友人とのコミュニケーション実態、あるいは新しい人間関係発生との関連性の探求
メディア利用状況と社会的価値観との関連性の探求
メディア利用状況と生活実態との関連性の探求
青少年有害環境対策に関する調査(内閣府)
有害環境の浄化を推進し、青少年の健全育成に資するため、有害環境の実態について調査・把握・検討するとともに、青少年有害環境対策についての情報を収集・編集し、関係機関等に提供する。
インターネット上の少年に有害なコンテンツ対策研究会(警察庁)
近年のインターネットの著しい発展と利用者の範囲の拡大に伴い、少年によるこれらの利用機会が増加する状況となっている。一方で、インターネット上には違法・有害コンテンツが氾濫しており、少年非行や少年に対する犯罪被害への影響が憂慮される。
このため、学識者及び有識者による研究会を開催し、少年に悪影響があると考えられるインターネット上の違法・有害コンテンツの実態を明らかにするとともに、これらと少年を切り離す対策について研究を行う。
青少年問題調査研究会(警察庁)
青少年を取り巻く環境には、急速な情報化の進展に伴って、従来では予測もしなかったような事件等が発生しており、青少年の健全な育成に対する影響が憂慮される。
このため、中学生及び高校生を対象に「青少年と生活環境等に関する調査」を行い、青少年の生活や暮らし、考え方、興味関心、性に関することなどの実態を明らかにする。そして、当研究会が過去に行った「青少年とパソコン等に関する調査」及び「青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査」等の調査結果と比較するなどして、最近の青少年の生活環境全般に関して研究を行う。
青少年と放送に関する調査(総務省)
放送分野における青少年対応施策を検討するため、青少年のテレビ視聴の実態(接触時間、視聴形態等)、テレビとの接触状況と暴力性向の関係等について、アンケート調査を実施。(平成12年においては、首都圏の小学3、4年生1,292件とその保護者1,256件を対象に実施。)
青少年を取り巻く有害環境対策に関する調査研究(文部科学省)
青少年を取り巻く有害環境対策に資するため、アメリカ等におけるNPOによるテレビ番組のレイティング等の調査など、海外における先進的な取組の調査その他の調査を実施する。
(別添2)関係業界団体等における取組の現状
1 テレビジョン放送
(1)日本放送協会及び(社)日本民間放送連盟の取組
日本放送協会及び(社)日本民間放送連盟では、「青少年と放送に関する専門家会合取りまとめ」(郵政省、日本放送協会、(社)日本民間放送連盟、平成11年6月16日)等を受け、それぞれ、以下の1)〜6)の取組を行うことを決定し、実施している。
1) 青少年向けの放送番組の充実
<日本放送協会>
子どもたちが抱える悩みや問題に真正面から取組み、繊細な感性を持つ青少年に夢と感動を与え、心をゆたかにしていく番組を積極的に編成し、さらなる充実を図る。
放送番組の学校等での有効活用に資するため、教育テレビの深夜の放送時間を延長し、「学校放送番組を集中編成するゾーン」を新設する。
<(社)日本民間放送連盟>
青少年の知識や理解力を高め、情操を豊かにする番組を各放送事業者は少な くとも週3時間放送し、該当番組を発表する。
<日本放送協会及び(社)日本民間放送連盟>
青少年とテレビのかかわりを考える特集番組を、年2回(日本放送協会と民放が1本ずつ)制作し、本放送は制作局で、再放送は相手局で行う。(平成13年4月「21世紀のテレビはこうなって欲しい」(TBS制作)放送、11月(日本放送協会制作)、14年春(フジテレビ制作予定)放送予定)
2) メディア・リテラシーの向上
<日本放送協会>
メディアを学び、送り手と受け手の関係を理解するために役立つ番組や海外のメディア・リテラシー活動に関する番組を放送する。(12年度「しらべてまとめて伝えよう」(小学校中学年向け)新設、13年度「体験!メディアのABC」(小学校高学年向け)を新設)
学校向けビデオの貸出し、番組制作体験の場の提供等を実施する。
<(社)日本民間放送連盟>
視聴者側で教材として使える番組を(社)日本民間放送連盟で制作し、各局から放送するなど、視聴者がテレビをはじめとするメディアの持つ特性を把握し、内容を的確に理解する能力と自立した判断力を身につけるための取組に、放送事業者として協力する。平成13年度から東京大学大学院情報学環MELL projectとの共同プロジェクトとして、民放テレビ局が地元学校と協力して展開するメディア・リテラシー教育活動に着手した。13年度は長野、愛知の2地区でパイロット研究を実施し、次年度以降、継続・拡大する方針である。
3) 青少年と放送に関する調査等の推進
<日本放送協会>
テレビが子どもに与える影響等、子ども、青少年とメディアの関係について今後とも継続的に調査研究をする。(NHK放送文化研究所は、平成13年2月「デジタル情報社会における青少年とメディア」調査分析を報告、4月「教育現場にみるメディア利用の新展開」を報告。)
大学や専門調査機関等における、青少年へのメディアの影響調査等の実施について協力する。(「青少年委員会」が実施する<青少年へのメディアの影響調査>に協力。)
<(社)日本民間放送連盟>
大学等の研究機関に委託するなどして、中長期的調査研究を実施する。(「青少年委員会」が実施する<青少年へのメディアの影響調査>に協力。)
4) 第三者機関の活用
日本放送協会と(社)日本民間放送連盟は、放送事業者の自主的な機関として、放送番組向上協議会の中に、視聴者と放送事業者を結ぶ回路としての役割を果たすことを目指す「放送と青少年に関する委員会」を新設した。
5) 放送時間帯の配慮
<日本放送協会>
青少年が見やすい時間帯を意識し、積極的に青少年向けの良質な番組を編成する。
<(社)日本民間放送連盟>
民放連放送基準第18条「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分配慮する」の遵守を徹底する。
午後5時から9時にかけて放送する番組については、児童及び青少年、とりわけ児童の視聴に十分配慮する。なお、午後9時以降の児童及び青少年の視聴については、その保護者にも責任ある協力をお願いする。
6) 番組に関する情報提供の充実
<日本放送協会>
広報番組を活用して、番組内容に関する情報を事前に提供する。
新聞、週刊誌、テレビ専門誌等を積極的に活用するとともにインターネット等で、番組情報の提供を充実する。
<(社)日本民間放送連盟>
暴力・性などの表現について児童・青少年への配慮が不可欠と各放送事業者が判断した場合、以下の方法等による事前表示を行う。
テロップやスーパーインポーズによる文字表示の方法
番組宣伝枠を使用する方法
映画番組の事前解説枠で説明する方法
活字媒体、インターネット等を通じて番組の情報を提供する方法
平成13年10月から、午後9時から11時にかけての時間帯を中心に、外国製劇場用映画などで内容の一部カットが困難な作品については、とくに事前表示を行うこととした。 また、(社)日本民間放送連盟は、平成13年4月に、放送と青少年をめぐる諸問題についての取組をより強めるため、「放送と青少年問題特別委員会」(略称:青少年問題特別委員会)を設置した。同委員会においては、日本PTA全国協議会との交流の促進等を実施することとしている。
(2)「放送と青少年に関する委員会」の取組
視聴者の声と評価を番組に反映させるため、日本放送協会と(社)日本民間放送連盟が平成12年4月に共同で設置した自主的な第三者機関である「放送と青少年に関する委員会」は、視聴者からの番組に対する意見を受け付け、それらを会報及びホームページ上で公表するとともに、いくつかの番組について放送局の見解を求め、それらを公表している。
また、この他に以下のような取組を実施している。
2つの番組のコーナー企画を中心にバラエティー系番組の問題点の検討を行い、同年11月に委員会としての見解を公表し、これらについての視聴者からの意見も公表した。
平成13年7月、中学生、保護者、教師、番組制作者、それに「放送と青少年に関する委員会」委員が一堂に会し、テレビ番組のあり方について討論するフォーラム「青少年のための新テレビ論」を開催した。その内容は冊子にまとめて全国の放送局や関係団体に配布するとともに、NHKの「金曜フォーラム」や各放送局の検証番組等を通じて視聴者に伝えた。同委員会は、今後も青少年の意見交換の場を積極的に設けていく方針である。
青少年へのテレビメディアの影響を子どもたちの発達の中で捉えるために、小学5年生が中学2年生になるまでの4年間を縦断的に追う「青少年へのテレビメディアの影響調査」(平成12年度から15年度)を実施している。初年度調査は、平成13年2月に行い、その結果概要は同年7月に公表した。
(3)(社)衛星放送協会の取組
(社)衛星放送協会は、平成10年の発足時から倫理委員会を設置し、「青少年保護の問題」を最重要課題としている。制定されている「(社)衛星放送協会放送基準」には、CS放送の特色である各種ジャンルの専門放送について、さらに「特定放送基準・ガイドライン」を設けることになっており、青少年保護の立場から「成人向けエンターテイメント番組放送基準・ガイドライン」を策定している。
また、成人番組を放送する放送事業者は、自主的に番組審査会を開き、放送前に番組審査を実施している他、契約視聴者に年齢証明書の提出を求め、また、暗証番号による視聴年齢制限をするペアレンタルロックの設定など青少年の視聴防止策をとっている。
さらに、「青少年問題」についての意識向上、積極的な取組を目標に、協会加盟全社を対象に、平成10年以来3年連続して、毎年秋に、「青少年と放送」をテーマに、研究講演会を開催している。今年秋も同テーマで研究講演会を準備中である。
一方、「青少年向けの放送番組の充実」と「青少年の情操を豊かにし、健全な心身の発達に貢献する」趣旨で、平成12年8月の夏休み期間1ヶ月にわたって、青少年キャンペーン「青少年向けおすすめ番組」を選定し、19社21チャンネル37番組が参加して放送を実施した。つづいて平成13年は、第2回として、さらに親子のコミュニケーションを活性化させることへ進め、「家族みんなで見て欲しい番組」として実施、28社36チャンネル36番組、各種ジャンルの放送番組が参加し、好評を得た。
メディア・リテラシーについては、平成12年秋の第3回研究講演会で、菅谷明子氏によるレクチャーをいただくなど、加盟各社の積極的取組の推進を図っている。
(4)CS放送成人番組倫理委員会の取組
CS放送の中で成人番組を放送している15社(27チャンネル)の事業者によって構成される任意団体であるCS放送成人番組倫理委員会は、青少年保護の観点から、CS放送の中の成人番組が未成年者に見られることがないように、成人番組の視聴を申し込むにあたっては1)年齢証明書の提出、2)ペアレンタルロック(暗証番号による視聴年齢制限)の実施、3)番組内に注意文を付けて未成年者の視聴を防止するなどの条件を定めている。また、各番組にコピーガードを設定し、複製による青少年視聴を防止する対策をとっている。
また、番組の宣伝広告に関しても、青少年に過度に刺激的な文言が流れ悪影響を与えることがないよう、文言、描写などについて細かい取り決めを行うなど配慮している。その他、委員会独自の「番組審査に関するガイドライン」を設け、番組の倫理基準維持のため厳重な審査を行って、不適切な箇所の修正を行うなどの措置をとり、番組が社会に悪影響を与えることがないように、厳重な注意をはらっている。
このような目的のために、会員総会、理事会、番組倫理諮問委員会、番組審査会、運営会などを定期的に開催し、会員間の意志疎通を図り、必要な対策を講じるなどの活動を行っている。また、会員の意識の向上をはかるため、度々勉強会や公開審査会など勉強の場を設け、業界全体の意識のレベルアップに役立てている。
2 インターネット
インターネット上の情報については、(社)テレコムサービス協会が「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」を公表し、周知を図っている。一方、「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会報告」(郵政省、平成12年12月)において、サービス・プロバイダ等の自主的対応等の促進、ラベリングやフィルタリングの普及促進等を行うべきことが提言されており、(財)インターネット協会においては、有害情報に関するラベリングの普及、フィルタリングシステムの開発及び教育機関等への普及・啓発を進めているところである。また、(社)日本インターネットプロバイダー協会では、消費者が安心してインターネットを利用できるように「インターネットを楽しむために」というwebサイトを運営しているほか、ホワイトペーパーフィルタリングシステムを構築中である。
3 家庭用ゲーム機ソフト
家庭用ゲーム機ソフトについては、コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(CESA)が「コンピュータエンターテインメントソフトウェア倫理規定」を定め、反社会的な行為、暴力及び犯罪についての表現に関し、コンピュータエンターテインメントソフトウェア倫理委員会(CESA倫)が審査した上で「A」区分(ユーザーに対する注意喚起が必要ないもの)、「B」区分(ユーザーに対する注意喚起が必要なもの)及び「C」区分(発売を禁止するもの)への指定を行い、「B」区分の指定を受けた作品に関しては「注意喚起マーク」をパッケージの指定位置に記載するよう義務づけられている。平成11年12月以降、20作品が「B」区分の指定を受けている。
4 ビデオソフト
ビデオソフトについては、日本ビデオ倫理協会が「映像ソフト倫理規程」及び「法規範、社会規範及び性表現に関する作品の審査基準」に基づき審査した上で一般指定(特に規制なし)、R指定(15歳未満への映示、販売、貸出禁止)及び成人指定(18歳未満への映示、販売、貸出禁止)への指定を行い、審査作品には協会が発行する倫理シールにレイティング結果を明示してビデオ本体とパッケージに貼付することを義務付けるとともに、成人指定作品の自動販売機による販売や写真集などに一体的に綴じ込んでの販売を禁止し、会員の違反行為に対しては会員資格停止等の処分を課している。また、一般向けのオリジナルビデオや劇場未公開映画のビデオについては、映倫管理委員会、日本ビデオ倫理協会、社団法人日本映像ソフト協会及び社団法人映画産業団体連合会で構成する映像倫理協議会が「映像倫理協議会審査規程」に基づき審査した上で一般向、一般向制限付(R)指定(中学生以下への映示、販売、貸出不可)及び成人指定への指定を行っている。
5 パーソナルコンピュータソフト
パーソナルコンピュータソフトについては、コンピュータソフトウェア倫理機構が「コンピュータソフトウェア倫理機構・倫理規程」に基づき審査した上で18歳未満者への販売禁止ソフト作品(18禁)、一般ソフト作品制限付(R指定、販売対象者満15歳以上)及び一般ソフト作品(全ての年齢層が販売対象)への指定を行っている。同機構は、平成4年の設立当初から「過激な暴力・過度な性描写・基本的人権」に留意した審査体制をとっており、倫理規定に罰則規定を置くとともに、倫理規定違反作品の回収などの処分の際には、内部組織の全国流通懇談会(パソコンソフト流通会社10社で構成)が即時対応する体制になっている。
また、販売環境の是正を目的として、「販売店懇談会」を開催(東京、名古屋、大阪、福岡)するとともに、「区分販売店協力優良販売店表彰制度」を実施しており、4年間で317店を優良店として表彰している。組織率の向上にも力を入れており、現在の加盟会社は275社で、組織率96%を達成している。(平成13年8月現在)
6 出版物
出版物については、(社)日本書籍出版協会が「出版倫理綱領」に、(社)日本雑誌協会が「出版倫理綱領」及び「雑誌編集綱領」に、(社)日本出版取次協会が「出版物取次倫理綱領」に、日本書店商業組合連合会が「出版販売倫理綱領」に基づいてそれぞれ自主規制に努めているほか、露骨な性描写を内容とした少年少女向けコミック誌、単行本等の出版物について、これら4団体が加入している出版倫理協議会が「出版倫理協議会の自主規制についての申し合わせ」に基づいた販売店における区分けを可能とするための帯紙措置及び「成人向け雑誌に関する自主規制についての申し合わせ」に基づいた成年向け雑誌マークの表示、成人コーナーの設置、対面販売などの対策を講じている。また、平成13年9月から、出版倫理協議会に設置した「出版ゾーニング委員会」が、運営要領に従って、青少年に不適当である等の条件に該当すると判断される雑誌類に識別マークを表示するよう要請するなど、区分陳列による販売を促進するための活動を行っている。
また、成人娯楽雑誌を刊行する31出版社が結成した出版倫理懇話会は、定例会において、会員社が自社の刊行物について定期的に行う、その編集内容等が青少年への配慮、公序良俗にもとるかどうかについてのチェックに関して検討を行っている。同懇話会は、編集倫理委員会を2ヶ月に1回開催して会員誌を閲覧し、必要に応じて当該会員社に改善を求める等の勧告を行っている。さらに、出版界全体の問題に関しては、出版倫理協議会と随時協議を行い、同懇話会及び会員社の意見や要望を伝え、場合によっては行政等への働きかけを要請することとしている。
7 映画
映画については、映倫管理委員会の審査部門が「映画倫理規程」及び「審査基準」に基づき審査した上で、R−18(18歳未満入場禁止)、R−15(15歳未満入場禁止)、PG−12(12歳未満は親又は保護者の同伴が望ましい)への指定を行っている。
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