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日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協議における教育関係事項の実施について(通知)

文初高第69号
平成3年1月30日
各都道府県教育委員会教育長あて文部省初等中等教育局長通知


 「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」(昭和41年1月17日発効)に基づく日本国に居住する大韓民国国民(以下「在日韓国人という」という。)の法的地位及び待遇に関する協議において、このたび、別紙のとおり「覚書」に署名がなされました。
 このうち、教育関係事項(「覚書」記3関係)としては、現在地方自治体の判断により学校の課外で行われている韓国語や韓国文化等の学習が今後も支障なく行われるよう日本国政府として配慮すること(記3(1))及び保護者に対し就学案内を発給することについて全国的な指導を行うこととすること(記3(2))があります。
 ついては、下記事項に御留意の上、日韓両国民の相互理解と友好親善の促進の見地に配慮しつつ、よろしくお取り計らい願います。
 なお、貴管下の関係機関及び学校に対してもよろしく御指導ください。


1 学校の課外における韓国語等の学習の取り扱い
 「日本国威居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定における教育関係事項の実施について」(昭和40年12月28日付け文初財464号)の記4は、学校教育法第1条に規定する学校(以下「学校」という。)の正規の教育課程に関するものであり、学校に在籍する在日韓国人に対し、課外において、韓国語や韓国文化等の学習の機会を提供することを制約するものではないこと。

2 就学案内
 市町村の教育委員会においては、公立の義務教育諸学校への入学を希望する在日韓国人がその機会を逸することのないよう、学校教育法施行令第5条第1項の就学予定者に相当する年齢の在日韓国人の保護者に対し、入学に関する事項を記載した案内を発給すること。
 なお、平成3年度の入学についても、この趣旨に沿って適切に配慮すること。

3 在日韓国人以外の外国人の取り扱い
 在日韓国人以外の日本国に居住する日本国籍を有しない者についても、上記1及び2の内容に準じた取り扱いとすること

別紙
(1991年日韓外相覚書 教育関連部分のみ)

3 教育問題については、次の方向で対処する。
(1) 日本社会において韓国語等の民族の伝統及び文化を保持したいとの在日韓国人社会の希望を理解し、現在、地方自治体の判断により学校の課外で行われている韓国語や韓国文化等の学習が今後も支障なく行われるよう日本国政府として配慮する。
(2) 日本人と同様の教育機会を確保するため、保護者に対し就学案内を発給することについて、全国的な指導を行うこととする。

4 公立学校の教員への採用については、その途をひらき、日本人と同じ一般の教員採用試験を認めるよう各都道府県を指導する。この場合において、公務員任用に関する国籍による合理的な差異を踏まえた日本国政府の法的見解を前提としつつ、身分の安定や待遇についても配慮する。





資料(朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて)

文菅第210号
昭和40年12月28日
各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて文部事務次官通知

朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて

 わが国に在住する朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについては、従来から格別のご配慮をわずらわしてきたところでありますが、これについては、下記により取り扱うべきものと考えますので、その趣旨を御了知の上、事務処理に遺漏のないように願います。

一、朝鮮人のみを収容する公立小学校分校の取り扱いについて
 わが国に在住する朝鮮人子弟の教育上の取り扱いについては、従来もわが国の公立の小学校または中学校において教育を受けることを希望する場合には、その入学を認め、今後も別途「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定における教育関係事項の実施について(昭和四十年十二月二十八日文初財第四六四号文部事務次官通達)」によりその入学を認めることとなったが、このことは、朝鮮人子弟にわが国の公立学校において特別な教育を行うこと認める趣旨でないことはいうまでもないところである。
 しかるに、朝鮮人のみを収容する、大部分の公立の小学校分校の実体は、教職員の任命・構成、教育課程の編成・実施、学校管理等において法令の規定に違反し、極めて不正常な状態にあると認められるので、次によって、適切な措置を講ずること。
(1)これらの朝鮮人のみを収容する公立の小学校分校については、法令に違反する状態の是正その他学校教育の正常化されると認められない場合には、これらの分校の存続について検討すること。
(2)これらの公立の小学校分校における学校教育の実態が改善され、正常化されると認められない場合には、これらの分校の存続について検討すること。
(3)なお朝鮮人のみを収容する公立の小学校または中学校およびこれらの学校の分校または特別の学級は、今後設置すべきではないこと。

二、朝鮮人のみを収容する私立の教育施設(以下「朝鮮人学校」という。)の取り扱いについては、次によって措置すること。
(1) 朝鮮人学校については、学校教育法第一条に規定する学校の目的にかんがみ、これを学校教育法第一条の学校として認可すべきではないこと。
(2)朝鮮人としての民族性または国民性を涵養することを目的とする朝鮮人学校は、わが国の社会にとって、各種学校の地位を与える積極的意義を有するものとは認められないので、これを各種学校として認可すべきでないこと。
 なお、このことは、当該施設の教育がわが国の社会に有害なものでない限り、それが事実上行われることを禁止する趣旨でない。
(3)すでに学校教育法第一条の学校又は各種学校として認可されている朝鮮人学校の取り扱いについては検討を要する問題もあるが、さしあたり、報告、届出等の義務の励行等法令を遵守したて適正な運営がなされるよう留意するとともに実体の把握につとめること。
 なお朝鮮人を含めて一般にわが国に在住する外国人をもっぱら収容する教育施設の取り扱いについては、国際親善等の見地から、新しい制度を検討し、外国人学校の統一的扱いをはりたいと考える。

★この通達について「2000年6月1日福島瑞穂参議院議員の質問主意書に対し、昭和40年12月28日文管振第210号事務次官通達「朝鮮人のみを収容する教育施設の取扱いについて」は地方分権一括法の施行によって現在は効力を失っているとの回答が出されている」。しかし、同通達に盛り込まれている「朝鮮人としての民族性または国民性を涵養することを目的とする朝鮮人学校は、わが国の社会にとって、各種学校の地位を与える積極的意義を有するものとは認められない」という立場については、回答はなされず、その内容は現在尚、文科省行政の中に生き続けていると判断される。(2003年4月、大島議員質問主意書への答弁)





資料(在日朝鮮人子弟の教育に関する文部次官通達)

文初財第464号
昭和40年12月28日
各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて文部事務次官通達

日本国に居住する大韓民国国民の法的地位および待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定における教育関係事項の実施について

 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位および待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「協定」という。)は、昭和四十年十二月十八日条約第二十八号をもって公布され、昭和四十一年一月十七日から効力を発生します。
 この協定における教育関係事項としては、協定第四条に、協定第一条の規定に従い日本国で永住することを許可されている大韓民国国民(以下、「永住を許可された者」という。)に対する日本国における教育に関する事項について、日本国政府は妥当な考慮を払うものとすることが規定されており、妥当な考慮の内容としては、合意議事録の同条に関する部分において、日本国政府は、永住を許可された者が日本国の公の小学校または中学校へ入学を希望する場合には、その入学が認められるよう必要と認める措置を執り、および日本国の中学校を卒業した場合には、日本国の上級学校への入学資格を認めることが明らかにされています。
 ついては、下記事項に御留意の上、日韓両国民の相互理解と親和の促進の見地も配慮して、事務処理に遺漏のないようにお取り計らい願います。
 なお、貴菅下の関係機関および学校に対してよろしく御指導ください。


一、協定の実施に伴う事項
(1)  公立の小学校および中学校関係
ア.公立の小学校または中学校への入学の取り扱い
 学校教育法第二十三号に規定する学齢児童または同法第三十九条第二項に規定する学齢生徒の年齢に相当する永住を許可された者の保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)が、当該永住を許可されたものをその住所の存する市(特別区を含む。以下同じ。)の設置する小学校または中学校に入学させることを希望する場合には、市町村の教育委員会は、その入学を認めること。
 この場合において、小学校または中学校への入学は、それぞれ第一学年への入学を原則とすることはもとよりであるが、やむを得ない特別の事情があるときは、第二学年以上の年齢相当の学年(学力が著しく劣っていると認められる者に係る場合等教育的配慮から年齢相当の以下の学年に入学させることが適当なときにはその学年)への入学を認めることができること。
 なお、上記の場合において、入学は学年の始からとするよう取り扱うものとすること。また、小学校を卒業した者でなければ中学校への入学は認められないこと。
イ.入学手続きの取り扱い
 永住を許可された者の保護者が、当該永住を許可された者を公立の小学校または中学校に入学させることを希望する場合には、市町村の教育委員会は、市町村の教育委員会に対して入学の申請をさせるものとし、保護者に対して入学期日を通知すること。市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校または中学校が二校以上ある場合においては、前記の通知において当該永住を許可された者の入学すべき学校を指定すること。また、市町村の教育委員会は、当該永住を許可された者の入学すべき学校の学校長に対し、当該永住を許可された者の氏名および入学期日を通知すること。
 なお、永住を許可された者の入学に当たっては、日本人子弟の場合における就学時の健康診断等について、日本人子弟と同じ取り扱いとすることが適当であること。
ウ.学校の指定の取り扱い
 永住を許可された者の入学すべき学校を指定する場合においては、日本人子弟と同様の取り扱いとすること。ただし、入学を希望する永住を許可された者の数およびその住所地ならびに小学校または中学校の施設等の実情に照して、通常の場合とことなる学校を指定してもさしつかえないこと。
(2) 高等学校への入学資格関係
 永住権を許可された者で中学校を卒業した者については、高等学校への入学資格をみとめること。

二、協定の実施に関する事項
(1) 授業料等の扱い関係
一に掲げる協定の実施に伴う事項のほか、公立の小学校または中学校に在籍する永住を許可された者については、日韓の友好関係の増進および教育上の配慮等の観点から、授業料等について次に掲げる取り扱いをすること。
ア.授業料は徴収しないものとすること。
イ.教科用図書の無償措置の対象とするものとすること。
ウ.就学援助措置(学用品またはその購入費、通学に要する交通費、修学旅行費、教科用図書またはその購入費、寄宿舎居住費、医療費、学校給食費および日本学校安全教会の共済掛金に係る援助措置)についても、日本人子弟の場合に準じ、同様の扱いとするものとすること。
(2) 盲学校、ろう学校および擁護学校関係
ア.小学部および中学部に係る扱い
 公立の盲学校、ろう学校および養護学校の小学部および中学部に係る永住を許可された者の教育上の扱いについては、一の(1)および二の(1)に掲げる公立の小学校および中学校に係る永住を許可された者の取り扱いに準じること。
イ.高等部に係る取り扱い
 盲学校、ろう学校および養護学校の高等部に係る永住を許可された者の入学資格の取り扱いについては一の(2)に掲げる高等学校に係る入学資格の取り扱いに順ずること。
 なお、盲学校、ろう学校および擁護学校の高等部に在籍する永住を許可された者に係る就学援助措置についても、日本人子弟の場合に準じ、同様の扱いとするものとすること。

三、永住を許可された者以外の朝鮮人の教育上の取り扱いに関する事項
 永住を許可された者以外の朝鮮人についても、わが国の公立の小学校または中学校において教育を受けることを希望する場合には、永住を許可されたものと同様に一および二に掲げる内容の取り扱いとすること。

四、教育課程に関する事項
 学校教育法第一条に規定する学校に在籍する永住を許可された者およびそれ以外の朝鮮人の教育については、日本人子弟と同様に取り扱うものとし、教育課程の編成・実施について特別の取り扱いをすべきでないこと。





資料
朝鮮人の義務教育諸学校への就学について

文初財74号
昭和28年2月11日
文部省初等中等局長通達

@ 朝鮮人子女の就学については従来日本の法令が適用されすべて日本人と同様に取り扱われてきた。しかるに平和条約の発効以降は在日朝鮮人は日本の国籍を有しないこととなり、法令の適用については一般の外国人と同様に扱われることとなった。

A しかし、朝鮮人については従来からの特別の事情もあるので、さし当り次の措置を取ることが適当と考える。
(ア)日韓友好の精神に基づき、なるべく便宜を供与することを旨とすること。
(イ)教育委員会は朝鮮人の保護者からその子女を義務教育学校に就学させたい旨の申し出があった場合には日本の法令を遵守することを条件として、就学させるべき学校の校長の意見を徴した上で、事情の許す限りなお従前通り入学を許可すること。
(ウ)従って学令簿に記載する必要はないし、就学履行の督促という問題もなく、なお外国人を好意的に公立の義務教育学校に入学させた場合には義務教育無償の原則は適用されない。

<出典:全国自治体在日外国人教育方針・指針集成 1995年 明石書店>




資料
朝鮮人私立各種学校の設置認可について

文管庶69号関連
昭和24年11月15日
文部省次官通達

 現存する朝鮮人学校を各種学校として設置認可申請をしてきた場合の取り扱いは、10.13文管庶69通達及びその措置細目に従い措置されたいが、なお左記の諸点に留意されたい。



1、旧朝連の財産及びそれと疑われる施設を利用する各種学校は、これを認めないこと。
2、いつでも必要と認める場合、監督庁の係員の実地調査を拒み、妨げ又は忌避しないこと。
3、旧朝連の主義主張、行動を宣伝、支持するような一切の傾向を払拭させること。
4、校長、教員の採用については団体等規制令に抵触しないこと。

 <出典:全国自治体在日外国人教育方針・指針集成 明石書店>





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