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長崎県男女共同参画基本計画


目次

第1章 計画の趣旨
 1.計画策定の趣旨
 2.計画の性格と役割
 3.計画の時期

第2章 計画の基本的な考え方
 1.基本理念
 2.基本的視点
  (1)人権問題としての女性問題の解決  (2)社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点の定着
  (3)女性が力を発揮できる存在になること(エンパワーメント)の促進
  (4)パートナーシップによる男女共同参画社会の実現
 3.男女共同参画社会のすがた
    ・家庭では   ・学校では   ・職場では   ・地域社会では ・若者たちは
    ・働く男女は  ・結婚は    ・子育ては   ・高齢者は   ・介護は
 4.計画の体系

第3章 計画の内容
 基本目標T男女共同参画社会づくりに向けた意識の改革
  重点目標1 制度・慣行の見直しと意識改革に向けた啓発・普及の推進
  重点目標2 男女共同参画を推進する教育・学習の充実
  重点目標3 メディアにおける男女共同参画の促進
 基本目標U政策・方針決定過程への女性の参画促進
  重点目標4 政策・方針決定過程への女性の参画促進
  重点目標5 女性の人材の養成と情報の提供
 基本目標V職場・家庭・地域において男女が多様な生き方を選択できる社会の実現
  重点目標6 男女平等な雇用環境の整備
  重点目標7 農林水産業及び商工業等自営業における女性の自立支援
  重点目標8 女性の職業能力開発と多様な生き方支援
  重点目標9 育児・介護への社会的支援
  重点目標10 家庭生活・地域社会での男女共同参画の促進
 基本目標W女性の人権が擁護され、高齢者等が安心して暮らせる社会の実現
  重点目標11 女性に対するあらゆる暴力の根絶
  重点目標12 生涯を通じた女性の健康支援
  重点目標13 高齢者等への自立支援
 基本目標X男女共同参画による世界への貢献
  重点目標14 国際交流・協力の推進
  重点目標15 地球環境保全への寄与

第4章 計画の総合的な推進
 1.県における推進体制の整備・充実等
 2.市町村との協働
 3.事業者、民間団体等との協働
 4.県民の参画

第5章 計画の進捗を図るための主な指標


参考資料
 1.長崎県男女共同参画推進本部設置要綱
 2.長崎県男女共同参画審議会要綱等
 3.男女共同参画の推進に関する年表
 4.長崎県男女共同参画推進条例
 5.男女共同参画関連の主な法律

第1章 計画の趣旨

1.計画策定の趣旨
 男女の人権が尊重され、かつ少子高齢化の進展等我が国の社会経済情勢の急激な変化に対応し、豊かな活力ある社会を実現するため、平成11年6月に「男女共同参画社会基本法」が公布・施行されたのを受け、本県では、平成12年3月に「男女共同参画計画」を策定し、男女共同参画社会の実現に向けたさまざまな施策に取り組んでまいりました。
 このような中、平成14年4月の「長崎県男女共同参画推進条例」の施行を契機として、尚一層、施策の推進を図るため、これまでの取組みの成果と課題を検証し、本条例の目的と基本理念等を踏まえた新たな基本計画をここに策定します。

2.計画の性格と役割
1 長崎県男女共同参画推進条例に基づく基本計画であり、本県の長期総合計画に沿った個別計画として、21世紀初頭の男女共同参画社会の実現を目指した総合的、計画的施策展開の方針を示すとともに、事業者や団体、県民自らが考え行動するための指針となるものです。
2 各種計画との整合性を図りつつ、男女共同参画社会の実現に向けた本県の基本的取組みとその具体的施策を示し、特に重点的に取り組む施策については、可能なかぎり数値目標を設定しています。
3 市町村に対しては、この計画の趣旨に沿った行動計画を策定し、地域の実績に応じた活動や事業の取組みを期待するものです。

3.計画の時期
 この計画の期間は、平成14年度から平成21年度までの8年間とします。
 なお、この計画は、社会経済情勢の変化や計画の進捗状況等に応じて必要な見直しを行うことにしています。

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第2章 計画の基本的な考え方

1.基本理念
 男女が心豊かに幸せに生きるためには、性別にとらわれず一人ひとりの価値観に基づいた多様な生き方が尊重され、男女がともにやさしく支え合う社会を創ることが基本となります。 日本国憲法は、すべての国民の基本的人権を保障し、男女平等をうたっています。また、男女共同参画社会基本法では、「男女の人権の尊重」「社会における制度又は慣行についての配慮」「政策等の立案及び決定への共同参画」「家庭生活における活動と他の活動の両立」「国際的協調」の5つを基本理念に掲げています。
 これらの理念を基本におき、女性も男性も一人ひとりの人権が尊重され、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思により社会のあらゆる分野に共に参画する機会が確保され、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担う「男女共同参画社会」の実現をめざします。

2.基本的視点
(1)人権問題としての女性問題の解決
 男女共同参画社会は、男女が個人として尊重され、性別にとらわれず生きることができる社会です。
 女性問題とは、女性だからということで生き方が制約されたり、不利益を被るという、人権に関わる問題であり、根本的解決が急がれます。
 また、今日、男性は仕事中心で、家庭、地域へのかかわりが少ない生活になりがちです。女性だけでなく、男性問題の解決も求められています。
(2)社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点の定着
 男女のあり方は、今日、社会的、文化的に形成された性別、すなわちジェンダーに左右されることが多いのが実情です。
 ジェンダーは、人の意識、行動、社会の制度・慣行の中に深く存在しています。
 固定的な性別役割分担が行き渡っている社会では、人は成長の過程で、性別によって異なる意識や行動様式を身につけ、その結果性別役割が再生産されることになります。性別役割分担は固定的なものではないとの認識のもとに、家庭・学校・職場・地域などあらゆる領域において、一人ひとりがジェンダーに敏感な視点に立ち、自分自身の生活や社会の様々な場面を見直していくことが必要です。
(3)女性が力を発揮できる存在になること(エンパワーメント)の促進
 男女が平等に参画する社会の実現に当たっては、まず、女性問題の解決が必要であり、そのためには、一人ひとりの女性が自らの意識と能力を高め、主体的に考え、行動し、政治的、経済的、社会的及び文化的に力を発揮できる存在となること(エンパワーメント)が必要です。
(4)パートナーシップによる男女共同参画社会の実現
 男女共同参画社会を実現するためには、家庭はもとより社会のあらゆる分野で男女が対等なパートナーとして力を合わせていかなければなりません。
 また、行政だけでなくNGO・NPOを含めた県民すべてが、主体的に取り組む必要があります。多様な課題を解決するには、男女の、また、県と市町村、さらには行政とNGO・NPOなどとのパートナーシップが基本です。

3.男女共同参画社会のすがた
 男女共同参画社会が実現された時、次のようになっているのが理想です。

家庭では
 男性も女性も共に、積極的に家事・育児・介護などに参画し、喜びも苦労も分かち合っています。
 一人ひとりが家族の一員として大切にされ、互いの協力により、豊かで充実した家庭生活を築いています。 
 女性も男性も、大人も子どもも家族の一員として、責任を持ち平等に尊重されています。
学校では
 互いの性と個性が尊重され、協力し合う子どもたちが育っています。
 男らしさや女らしさに捉われず、自分らしさが育っています。
 育児や介護、ボランティア活動など、体験重視の学習も進んでいます。
職場では
 募集・採用や昇進・配置、賃金などでの男女格差が解消され、個性、能力、意欲などが十分に発揮できています。
 方針決定の場に女性が対等に参画し、生き生きと活躍しています。
 家庭生活とバランスのとれた労働時間で、男性も女性も共にゆとりと充実感を持って働き続けています。
地域社会では
 地域に残る固定的な性別観に基づく古い慣習やしきたりが見直され、一人ひとりの考え方や行動が尊重されています。
 女性も男性も対等に企画や方針決定に関わり、大人も子どもも共に豊で住みよい地域づくりに貢献しています。
 だれもが地域社会の一員として、住みよさを実感し、連帯感も育まれています。
若者たちは
 互いの性や個性を大切にし、一人ひとりの生き方を尊重し合っています。
 自分の考えや行動に責任を持ち、人生を主体的に設計し、実現に取り組んでいます。
 家庭生活や地域活動にも積極的に関わり、幅広い価値観を形成し、豊かで広がりのある生活をしています。
働く男女は
 仕事と家庭・地域生活を両立させ、充実した生活を営んでいます。
 個性や能力を生かして、多様な働き方をしています。
 母性が大切にされ、ライフサイクルに応じた健康管理への配慮がされています。
結婚は
 古い家意識や世間体意識に捉われず、互いに尊敬し合えるパートナーを選びます。
 夫婦は共に支え合い、互いに仕事も家庭も大切にしています。
子育ては
 子育ては女性の役割といった固定観念が解消され、男性も対等に関わって、子育ての喜びと責任を共有しています。
 地域の人たちとの助け合い、また、多様な保育サービスを受けながら、ゆとりをもって子育てをしています。
 男らしく、女らしくに捉われず、子ども一人ひとりの意見をよく聞き、個性を大切にし、自立心を育んでいます。
高齢者は
 健康で生きがいを持って、自立した生活を送っています。
 豊富な知識や経験を活かし、積極的に社会参画しています。
 高齢者家庭や、一人暮らしになっても、社会の支援により安心して暮らしています。
介護は
 男性も女性も共に関わり、家族で協力し合っています。
 介護をする方も受ける方も、互いの人格を尊重しています。
 世間に気兼ねせず、地域の人たちの支援や多様な介護サービスを受けています。

4.計画の体系

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第3章 計画の内容

基本目標T 男女共同参画社会づくりに向けた意識の改革

重点目標1 制度・慣行の見直しと意識改革に向けた啓発・普及の推進
現状と課題
 「男は仕事・女は家庭」に代表される固定的な性別役割分担意識は、徐々に解消されているものの、職場・家庭・地域に依然として根強く残っています。こうした意識は、女性が主体的に生きるための多様な選択や能力発揮の障害となっています。
 また、私たちの周りの社会制度や慣行の中には、固定的な性別役割分担を前提とするものが数多く残されています。
 職場・家庭・地域等様々な場における制度や慣行についても、性別による偏りにつながるおそれのあるものについて、広くその見直しを呼びかける必要があります。
 真の男女平等を実現するためには、女性も男性も性別にとらわれることなく、それぞれの個性が尊重されることが必要です。このため、ジェンダーに敏感な意識の定着に向けて、積極的な広報・啓発を行う必要があります。
 また、施策の効果的な立案と推進を図るためには、男女共同参画にかかる県民意識や女性を取り巻く現状を客観的に把握することが必要です。このため定期的な意識調査や実態調査を行う必要があります。
1 男女共同参画の視点に立った制度・慣行の見直し
@職場・家庭・地域等における制度・慣行の見直し
 性別による偏りにつながるおそれのある制度・慣行について、ジェンダーに敏感な視点での見直しを呼びかける。
2 広報・啓発活動の充実・強化
Aあらゆる媒体を活用した広報・啓発の実施
 男女の固定的役割分担意識を是正するため、広報紙やテレビ・ラジオ番組などあらゆる広報媒体を有効に活用して、ジェンダーに敏感な視点に立った広報・啓発活動を展開する。
B多様な機会を活用した啓発活動の推進
 「男女共同参画週間」、「人権週間」や「農山漁村女性の日」など多様な機会をとらえ、あらゆる媒体を活用した啓発活動を促進する。
C法識字の強化
 女性の権利に関する条約や国内法上の女性の権利を広く県民に周知する。
D企業・団体等への啓発促進
 企業・団体等の研修に男女共同参画に関するテーマを取り入れ、社員等の意識啓発を行うよう理解と協力を求める。
E各種団体との連携による啓発の実施
 市町村、関係行政機関、女性団体など各種団体との連携のもとに、男女共同参画社会づくりへの啓発を実施する。
3 定期的な意識調査・実態調査の実施
F男女共同参画に関する情報の定期的な収集、整備・提供
 各種施策の成果や男女共同参画の現状等を客観的に把握することができる情報等の定期的な収集・整備及び提供に努める。


重点目標2 男女共同参画を推進する教育・学習の充実
現状と課題
 人間の意識や価値観は、幼少期から家庭・学校・地域社会の中で形成されます。人権意識や男女平等観を育てるために、教育の果たす役割は非常に大きいものがあります。
 学校教育においては、人権尊重を基本とした、ジェンダーにとらわれない男女平等教育を進める必要があります。学校は比較的男女平等教育が進んでいると考えられますが、無意識のうちに、固定的な性別役割分担意識に基づいた教育になっていることがあります。幼稚園や保育所などの幼児教育の時期から、固定的な性別役割分担意識にとらわれない、ジェンダーに敏感な視点に立った教育を進める必要があります。
 家庭における親の教育態度は、子どもに大きな影響を及ぼします。「男の子だから…、女の子だから…」という教育態度を見直すとともに子どもがジェンダーにとらわれず個性を伸ばせるよう、親を対象とした家庭教育に関する学習の場を充実させる必要があります。
 また、親の意識や生活態度が子どもに大きな影響を与えます。日常の生活においても、男女平等を確立するよう意識啓発を進める必要があります。
 固定的な役割分担に関する問題は、自らの生き方や社会との関わり方を問うものになるだけに 主体的な学習活動が不可欠になっています。社会においても、男女平等について考える学習機会の拡大が必要です。
 とりわけ、女性のライフスタイルが大きく変化していることにより、学習需要も多様化・高度化しています。女性の生涯学習体制の整備が求められています。
1 幼児教育・学校教育における男女平等教育の推進
@初等中等教育における男女平等教育の推進
 学校教育全体を通じて、ジェンダーに敏感な視点を取り入れた教育を行う。
A教員等の研修の充実
 性別役割分担意識を解消するため、教員等の研修にジェンダーにとらわれない考え方を取り入れる。
B家庭科教育の充実
 家庭科の男女必修が完全実施されており、その教育内容の整備、充実に努める。
C進路指導の充実
 進路指導に当たっては、幅広く専攻や産業・職業に関する情報を提供するとともに、本人が主体的に選択できるよう指導する。
D高等教育機関における男女平等教育の推進
 女性学についての教育・研究を振興するとともに、教育・研究活動にジェンダーに敏感な視点が組み込まれるよう働き掛ける。
 また、女性学・ジェンダー研究の成果について、社会への還元を促進する。
2 家庭における男女平等教育の推進
E男女平等意識を育てる家庭教育の促進
 「男らしさ、女らしさ」といったジェンダーにとらわれることなく、子どもが伸び伸びと個性を発揮できるような家庭教育を促進する。
F家庭教育に関する学習・相談機会の充実
 男女の固定的な性別役割分担意識を解消し、男女平等意識を高める学級・講座を充実する。
3 社会教育の推進
G男女共同参画社会の形成をねらいとした学習機会の充実
 男女共同参画社会の形成をめざして、女性が多様な能力を開発・発揮し、社会のあらゆる分野へ参画していけるよう、学習機会の提供を図る。
H多様な学習機会の提供
 男女が性別にとらわれない自由な生き方を選択し、充実した人生を送るために、ジェンダーに敏感な視点が組み込まれた生涯学習の充実を図る。
I指導者の養成・確保
 学習活動を支援する指導者等の人材を養成・確保するとともに、団体を育成する。
4 生涯学習体制の推進
J生涯学習体制の充実
 生涯学習社会の構築を推進するための体制の整備充実を図る。
K生涯学習情報ネットワークの整備・充実
 市町村、生涯学習関係機関との連携により、学習機会・指導者等の情報提供体制を整備・充実する。


重点目標3 メディアにおける男女共同参画の促進
現状と課題
 活字・映像をはじめとするメディアは、これまでも人々の意識形成に様々な形で影響を与えてきました。情報通信の高度化が進む中、メディアの果たす役割はますます大きくなっています。
 表現の自由はもとより尊重されるべきですが、表現される側の人権も尊重されなければなりません。性の商品化や暴力表現が女性の人権を侵害している現状を認識し、メディアが自主的に女性の人権を尊重した表現を行うよう、その取組みを働き掛ける必要があります。
 また、メディア自身がオピニオンリーダーとしての役割を認識し、ジェンダーに敏感な視点で、多様な生き方をする男性像・女性像を積極的に取り上げるなど、メディアにおける男女共同参画社会づくりを進めるよう働き掛ける必要があります。
 性別に基づく固定観念にとらわれない、男女の多様なイメージを社会に浸透させるため、まず、県をはじめとする公的機関自らが男女共同参画の視点で、公的印刷物等が遵守すべきガイドライン(指針)の策定を検討する必要があります。
1 メディアの取組みの支援
@メディアへの働き掛け
 「性の商品化」や女性への暴力が無批判に取り扱われることや性別に基づく固定観念に偏った表現を、排除していくよう問題提起する。
 同時に、メディアがオピニオンリーダーとして、男女が平等な社会の形成に向けて積極的に取り組むよう、働き掛ける。
Aインターネットなど新たなメディアへの対応
 インターネットなど新たなメディアの特性に応じた対応が図られるよう検討する。
2 行政の作成する広報・刊行物などにおける性にとらわれない表現の促進
B県が作成する広報・刊行物の見直し
 行政の広報・刊行物などについて、固定的な性別役割表現や不平等な表現がないかどうかを点検するとともに、そのガイドライン(指針)を作成、周知する。
C県が実施する各種調査の見直し
 県が実施する各種調査の企画、結果の表し方等について性にとらわれない表現を促進するため点検し見直す。


基本目標U 政策・方針決定過程への女性の参画促進

重点目標4 政策・方針決定過程への女性の参画促進
現状と課題
 県における審議会等への女性委員の登用率は、目標と達成期限を定めたことにより一定の成果を上げており、平成14(2002)年3月現在18.6%と、前計画(2001長崎女性プラン)策定時の平成2(1990)年6月の6.9%に比べ3倍近くとなっていますが、さらに幅広く積極的に女性の登用を促進する必要があります。
 また、身近なところで女性の意見や考え方を反映するためには、市町村における審議会等への女性の登用を促進することも必要です。
 女性が職場において方針決定の場に参画していくためには、役職等への女性の登用を促進する必要があります。
 政策・方針決定過程への女性の参画を促進するため、女性自身の参画意欲を高めるとともに、状況を定期的に把握して、具体的方策を検討していく必要があります。
1 審議会等の委員への女性の参画促進
@県が設置する審議会等の委員への女性の参画促進
 県の審議会等の委員への女性の登用目標については、平成21(2009)年度末までに女性委員の割合を30%とし、積極的な登用に努める。
A市町村に対する、審議会等委員への女性の参画促進の働き掛け
 市町村が設置する審議会等の委員への女性の参画促進を働き掛けるとともに、必要な情報を提供するなど積極的な支援を行う。
2 役職等への女性の参画促進
B県職員における女性の登用促進
 女性職員の職域拡大を図りながら、積極的な登用に努める。
C市町村に対する、女性職員の登用の働き掛け
 市町村の女性職員の登用促進について働きかけるとともに、必要な情報を提供するなど積極的な支援を行う。
D企業や各種団体等に対する女性の参画促進の働き掛け
 女性を企業等を支える貴重な存在として位置付け、長期的な能力開発の視点に立った育成、登用促進を図る必要性を啓発する。
 また、各種団体等においても、方針決定の場へ女性の参画が進むよう働き掛ける。
3 社会的機運の醸成
E社会的機運の醸成
 政策・方針決定や政治の場へ女性が積極的に参画できるよう、社会的気運を盛り上げる。
4 政策・方針決定過程への参画に関する調査・研究の実施
F女性の参画状況の定期的な調査の実施
 様々な分野における、女性の参画状況について定期的に調査を行い、情報を提供する。


重点目標5 女性の人材の養成と情報の提供
現状と課題
 女性のエンパワーメントを進めるためには、女性がその能力を開発し、発揮することができるよう、教育・研修機会の拡充と内容の充実に努める必要があります。
 また、地域社会づくりに実際に参加し、地域活動を体験していく中から女性自身の参画能力を向上させていくよう、自主的な学習を支援する必要があります。
 女性の人材に関する情報を収集し、適切に提供できる体制を充実する必要があります。
 各種審議会等をはじめとする政策・方針決定過程への女性の参画を進めるため、関係機関と連携、協力しながら、女性の人材発掘と養成を進める必要があります。
1 政策・方針決定過程へ参画できる人材の養成
@政策・方針決定過程へ参画できる人材の養成
 政策・方針決定過程への女性の積極的な参画を図るため、政策・方針決定過程に参画できる人材を養成する。
2 女性人材情報の充実
A女性人材情報の充実
 政策・方針決定過程への女性の積極的な参画を図るため、各分野で活躍する女性の人材発掘に努めることにより、人材情報を充実するとともに、各分野に対して積極的に人材情報を提供する。


基本目標V 職場・家庭・地域において男女が多様な生き方を選択できる社会の実現

重点目標6 男女平等な雇用環境の整備
現状と課題
 女性の職場進出が進む中で、本県の女性雇用労働者は年々増加し、雇用労働者の4割が女性となっています。
 男女雇用機会均等法の施行から15年以上が経過し、女性の働く環境は徐々に整備されてきています。しかしながら、採用の状況は厳しく、昇進の面で女性の登用が少ない状態は依然として続いており、職場における女性の不平等感は、今なお強いものがあります。募集、採用、配置、昇進などにおける実質的男女平等の実現に向けて、改正男女雇用機会均等法の円滑な施行を図る必要があります。
 また、雇用の場における男女の格差を是正するためには、企業が女性の活用を図るための積極的取組み(ポジティブ・アクション)を支援することも必要です。
 女性が働きながら安心して子どもを産むことができるよう、職場環境を整備するとともに、女性の妊娠中及び出産後の健康保持への一層の配慮も必要です。
 女性に対するセクシャル・ハラスメントは、解雇・昇進差別など直接的な不利益につながるだけでなく、女性の就業意欲の低下や能力発揮の妨げにもなります。企業等に対して、セクシャル・ハラスメントが人権問題であるという認識を深め、防止対策に取り組むよう、働き掛ける必要があります。
1 雇用の平等に向けた企業等に対する啓発
@男女雇用機会均等法の定着促進
 雇用機会や待遇において男女平等を確保するため、男女雇用機会均等法の一層の定着が図られるよう、企業への普及啓発を推進する。
A労働相談の実施
 労働の場における差別の解消や就業条件の整備に向けた相談体制の充実を図る。
B働く女性の妊娠・出産にかかわる保護
 女性が妊娠中及び出産後も安心して働ける環境を整備する。
2 雇用の平等を実現するポジティブ・アクションの推進
C企業におけるポジティブ・アクションの奨励
 事業主に対して、実際に平等を実現していくポジティブ・アクションの導入を提起するなど、雇用の場における男女平等のための啓発を行う。
3 セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進
D職場におけるセクシャル・ハラスメント防止対策の推進
 職場におけるセクシャル・ハラスメントの防止が盛り込まれた「改正男女雇用機会均等法及び指針」の周知を図るとともに、啓発を行う。


重点目標7 農林水産業及び商工業等自営業における女性の自立支援
現状と課題
 農林水産業や商工業の自営業に従事する女性は、生産や経営の実質的な担い手として重要な役割を果たしています。しかしながら、地域に残る固定的な性別役割分担意識や慣習などから、経営や事業運営の方針決定等は男性中心に行われることが多く、女性の果たす役割が正しく認識・評価されていないのが現状です。
 農林水産業や商工業の自営業者は家族経営が多く、生産や経営が生活と密接不可分であることから、労働時間や休日等が不明確となりがちです。このため、適切な労働時間や定期的な休日の確保など就業条件の整備を図ることにより、だれもが充実感を持って働ける環境づくりを進めることが必要です。
 このため、家族員相互のルールとしての家族経営協定等について、その普及と充実に努める必要があります。
 さらに、生産組織や組合の委員・役員として、方針決定の過程へ参画する女性は依然として少ないため、女性自身の参画意識を高めるとともに、男性を含めた地域の意識改革や女性の能力の向上等を図りながら、方針決定の過程への女性の参画を進めていくことが必要です。
 現在、農山漁村の女性が主体的に取り組んでいる、産品の生産や販売などの起業活動について、経営や運営を積極的に展開させるためには、広域的なネットワークづくりや都市部の女性との交流が役立ちます。
1 女性の労働に対する適正評価と方針決定過程への参画促進
@女性の労働に対する適正評価の促進
 農林水産業、商工業等の自営業に携わる女性が、その貢献に見合う評価を受け、男性と対等なパートナーとして参画していくことのできる社会をめざして女性の労働に対する適正な評価を行う。
A方針決定過程への参画促進
 地域における男女の固定的役割分担意識や慣習の是正を図るとともに、農業委員や関係審議会委員、農業士、農協・漁協や商工会等の役員など、あらゆる方針決定過程への女性の参画を促進する。
2 女性の経済的地位と能力の向上
B女性の経済的地位の向上
 農林水産業、商工業等の自営業に従事する女性の自立を促進するためには、経済的な自立が必要である。このため、経営体における家族員相互のルールとしての家族経営協定等について、その普及と充実に努める。
C技術・経営管理能力の向上及び労働条件の整備
 生産活動の中心的役割を果たしている女性に対し経営能力や技術向上を図るための研修の機会を拡充する。
 また、安全で快適な就業ができるよう、労働時間の適正化、休日の取得など労働条件の整備について啓発と指導を行う。
3 地域間交流における男女共同参画の促進
D地域間交流の促進
 都市と農山漁村との交流、地域の文化の伝承と創造、農産物加工・直売などの起業活動など農山漁村の地域活性化に女性が大きく貢献している。これからの活動を促進していくためには女性だけでなく、男性もともに積極的に参画していくことが大切である。
 そのために、男女が快適に働き、自由時間を持ち、広域的なナットワークづくりや地域間交流で広い視野を養えるような環境づくりを行う。


重点目標8 女性の職業能力開発と多様な生き方支援
現状と課題
 産業構造の転換や技術革新が進む中で、女性があらゆる分野に進出し、その能力を発揮するためには、常に新しい知識や技術の習得が求められています。女性は営業などへの配置が少なく、職域に偏りがみられるため、実質の職業経験において不利な状況に置かれています。
 女性自身の職業意識を高めるとともに、幅広い仕事を経験し、能力を発揮できるよう支援する必要があります。
 出産期に離職して、子育てを終えた段階で再就職を希望する女性が多くいます。職業生活を中断した女性が、それぞれの適正にあった職に就くためには、相談指導や適切な再就職情報の提供など、再就職のための支援施策の充実を図る必要があります。
 また、多くの女性が家族的責任と両立できる働き方を望んでおり、パートタイム労働や派遣労働、在宅勤務等多様な就業形態を選択する女性も多くなっています。パートタイム労働や派遣労働などは、不安定な労働条件のもとに置かれていることもあり、その改善が課題となっています。
 新しく事業に取り組もうとする女性も増えています。しかし、女性は起業に当たってのノウハウの習得や資金確保などにおいて不利な状況に置かれており、起業を志す女性を支援していく必要があります。
1 職業意識の育成
@女性の職業意識の育成
 学校教育の中で、生涯を通じて職業を持つことの意識を育てるとともに、職業についての情報を提供する。
2 職業能力開発の推進
A公共部門における職業能力開発の推進
 高等技術専門校による職業能力開発を推進する。
B民間部門における職業能力開発の促進
 事業主等が行う職業訓練を推進するため、訓練費用の助成や情報提供の充実に努める。
C個人の自主的な職業能力開発の推進
 女性労働者の自主的な能力開発の推進と費用面の援助を行う。
3 再就職希望者に対する援助の充実
D再就職希望者に対する支援
 公共職業安定所等と連携し、きめ細かな職業相談や情報提供の充実を図る。
4 多様な働き方を可能とする就業条件の整備
Eパートタイム労働者の労働条件の向上
 パートタイム労働者の雇用の安定や適正な労働条件等が確保されるよう、パートタイム労働法の周知や労使等に対する啓発指導などを推進する。
F派遣労働者の労働条件の向上
 派遣労働者の雇用の安定と就業条件の整備について、啓発・指導などを推進する。
G新たな就業形態における就業条件の向上
 在宅勤務など新たに普及しつつある多様な働き方について、実態を把握し、就業条件の向上に努める。
5 起業家をめざす女性への支援
H女性起業家への支援
 自ら事業を起こす女性起業家に対し、経営管理や法制度等の基礎的な知識を習得するための講座の開催や情報提供等による支援体制を整備する。


重点目標9 育児・介護への社会的支援
現状と課題
 「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」(ILO第156号条約)は、労働者が性別にかかわらず、職業上の責任と育児や介護といった家族的責任が両立できることを目的としています。家族規模の縮小や高齢化の急速な進展の中で、家族の育児・介護の負担は、今後ますます増大すると考えられています。
 職場においては、育児・介護休業法が法制化されるなど法的整備はなされましたが、依然として取得しにくい状況がみられます。法の趣旨を浸透させ、男女共に、育児・介護休業を取得しやすい環境をつくる必要があります。
 男女が共に職業上の責任と育児や介護といった家族的責任を両立させ、安心して子どもを産み、育て、高齢者が健やかに暮らせる社会を築くためには、働きながら育児や介護ができる条件整備が必要です。
 子どもを健やかに育てるためには、多様なニーズに対応した保育サービス等を充実するとともに、子育て家庭の孤立化や子育てについての不安の解消を図るための相談・支援体制の充実に努める必要があります。
 高齢者の介護問題は、家庭や地域で深刻な問題となっています。介護の負担が要介護者の家族、とりわけ女性に集中することのないよう、社会全体で支える必要があります。介護保険制度の導入に伴い、今後適切な運営を確保していくとともに、居宅サービスをはじめとした高齢者へのサービスの一層の充実を図る必要があります。
1 仕事と家庭の両立支援
@育児・介護休業を取得しやすい環境の整備
 事業主に対して義務化されている介護休業制度の早期導入や育児休業制度の定着を図る。
 また、育児、介護等の理由で退職した者を再雇用制度により雇用した事業主に対し給付金を支給するなど、制度の普及促進を図る。
 さらに、育児休業、介護休業取得者の代替要員の確保に努めるとともに、取得者の職場復帰がしやすい環境づくりを推進する。
A育児・介護を行う労働者の継続就労の支援
 育児・介護を行う労働者に対し、相談・情報提供、仕事と両立のための支援事業の実施など、働き続けやすい環境づくりを推進する。
2 子育て支援対策の充実
B子育てを支援する環境づくり
 市町村において、子育て支援を総合的に推進するプランの策定を促進する。
C多様な保育サービス等の充実
 低年齢児保育、延長保育、一時保育、夜間保育、病児保育などの多様な保育サービスとあわせて、放課後、就労等で保護者が留守をする家庭の小学校低学年児童を対象とした、放課後児童クラブの充実を図るとともに、県内どこにいても必要なサービスが受けられるよう体制を整備する。
D子育てに関する相談支援体制の整備
 子育ての不安などを解消するための相談体制の整備や子育てについての情報を気軽に交換できる場を確保する。
3 介護のための社会的支援の充実
E介護保険制度適切な運営の確保
 平成12年(2000)年4月から施行された介護保険制度の適切な運営を確保するため、市町村運営体制の確立や介護保険事業計画の策定、推進を支援する。
F居宅サービスの充実
 訪問介護(ホームヘルプサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などの居宅サービスの充実を促進する。
G施設サービスの拡充
 在宅での生活が困難になった場合、適切なサービスが受けられるよう施設整備を進める。
H保健福祉の分野における人材の養成・確保対策の促進
 看護師、訪問介護員(ホームヘルパー)、介護福祉士など介護にかかわる人材の養成・確保、資質の向上に努める。


重点目標10 家庭生活・地域社会での男女共同参画の促進
現状と課題
 女性が男性と共に職場へ参画していくためには、家事・育児・介護といった家族責任を男女が共に担わなければなりません。しかしながら、現実には、男性の家事時間は極めて短く、家事・育児・介護や地域における活動等は、女性が主に担っている状況にあります。これまでの「男は仕事、女は家庭」から「男は仕事、女は仕事と家庭」という新たな課題も生まれています。女性に偏っている家事・育児・介護に、男性も携わることができるライフスタイルへの転換や意識改革が必要です。
 また、地域においては、ボランティアや環境問題の取組みなど、生活に密着した課題を解決し、地域をより活性化していくための活動が必要です。しかしながら、自治会などの地域活動をはじめボランティア活動の主体となっているのは女性であって、多くの男性は地域社会とのつながりが希薄であり、ボランティア活動などへの参加は少ない状況にあります。
 家庭や地域における男女共同参画を進めるためには、男性がこれまでの仕事中心の生活を見直し、家事・育児・介護等へ積極的に参加できるよう支援するとともに、労働時間の短縮のための啓発活動など、家庭・地域生活と職業生活の両立を図るための施策を推進する必要があります。
 女性が主に担っている育児や介護、地域ボランティア等の社会活動、農林水産業・商工業等自営業の家族従業などの無償労働について認識を深め、その経済的、社会的貢献と役割が適正に評価されるよう啓発を進めるとともに、男性と女性がともに無償労働と有償労働を分かち合うバランスのとれた社会へ向けての条件整備が必要です。
1 家庭生活における男女共同参画の促進
@家庭生活における男女共同参画の促進
 家庭生活における男女共同参画を促進するためには、特に男性の参画が必要である。
 このため、家庭教育などへの男性の参画を啓発するとともに、学習機会を提供する。
2 地域社会における男女共同参画の促進
A地域社会における男女共同参画の促進
 地域活動に男女が共同して参画することが重要であり、男性の参画を促進するための啓発を行う。
B環境保全活動への参加促進
 環境保全活動への参加を促進するための啓発を行うとともに、情報提供や交流の場の提供に努める。
C消費生活活動への参加促進
 男女が自立する消費者として、消費活動を展開できるよう啓発活動を実施し、また、情報提供、相談及びリーダー養成を充実する。
D文化活動への参画促進
 文化活動への男女の参画をより一層促進するための啓発を行うとともに、伝承文化に触れる機会の提供に努め、伝承文化の継承活動への男女の参画の促進を図る。
E教育活動への参画促進
 学校教育との連携や地域における学校外活動への男女の参画を促進するための啓発を行うとともに、男性の参画を呼び掛ける。
3 ボランティア活動への参画促進のための環境整備
Fボラティア活動への参画促進
 地域社会で生じる様々な問題を解決し、地域社会の発展を促進していくためには、ボランティア活動は重要な意義を持っている。
 いつでも、だれでも関心に応じてボランティア活動に参画できるような環境整備が重要であるため、ボランティア活動に関する情報や場の提供、ボランティアの知識・技術の習得、ボランティア休暇制度等の導入の促進を図る。
4 労働時間の短縮等就業条件の整備
G労働時間の短縮の促進
 男女が家庭生活や地域活動へ参画できる時間的ゆとりを確保するため、労働時間の短縮を推進する。
5 無償労働に対する評価の促進
H無償労働に対する評価の定着促進
 育児・介護、地域ボランティアなどの無償労働に対する評価の定着を促進するとともに、家庭生活における男女の共同責任の重要性についての認識を高める。


基本目標W 女性の人権が擁護され、高齢者等が安心して暮らせる社会の実現

重点目標11 女性に対するあらゆる暴力の根絶
現状と課題
 女性に対する暴力とは、女性に対して肉体的・性的・心理的な障害や苦しみをもたらす行為、あるいはそうなるおそれのある行為等であり、具体的には、性犯罪、売買春、家庭内暴力、セクシャル・ハラスメントを含む極めて広い概念です。それが公的生活で起こるか私的生活で起こるかは問いません。
 女性に対する暴力は、被害女性がその被害を公的機関に相談したり、届けることについて抵抗感を持つことが多いため、潜在化する傾向にあります。また、被害を受けた女性は、自らが被害者であるにもかかわらず、周りからの言動等によって二重に被害を受けることもあります。
 女性に対する暴力を防ぐためには、女性の人権が尊重され、女性への暴力を許さない社会意識の醸成と、女性が安心して生活できる環境づくりが大切です。女性に対する暴力を誘引する有害環境の浄化や女性の人権を尊重する啓発・広報を推進する必要があります。
 近年、配偶者等に対する暴力、特に、親しい間柄にある男性からの女性に対する暴力(ドメスティック・バイオレンス)等については、大きな社会問題となっています。
 そのため、平成13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定され、実効性のある取組みが求められています。また、平成12年5月には「ストーカー行為等の規制等に関する法律」も制定されました。
 今後は、被害女性のための相談窓口の整備など、女性がその被害を届けやすい環境を整備するとともに、専門の相談職員によるカウンセリング体制を強化し、被害の状況によっては、一時保護や社会復帰の支援体制を充実強化する必要があります。
1 女性に対する暴力を防ぐ環境づくりの推進
@意識啓発の推進
 性犯罪・売買春・家庭内暴力等あらゆる暴力に対して、被害者の立場、プライバシーに配慮し、厳正に対処するとともに、女性の人権に関する意識啓発を推進する。
A有害環境の浄化対策の推進
 わいせつビデオや売買春のチラシ、ビラなど、女性に対する暴力を誘引する有害環境の浄化対策を推進する。
B関係機関の連携強化
 配偶者暴力相談支援センター・警察・福祉事務所・民間団体等の関係機関と連携を図り、予防から救済までの方策を総合的に検討する。
2 被害の実態把握
C女性に対する暴力についての実態把握
 女性に対する様々な形態の暴力について、各種相談機関における相談実績を分析し、実態把握に努める。
 また、夫や恋人からの暴力については、これまで家庭内の私的な出来事として扱われ、その実態が把握されていないため、実態把握に努める。
3 被害者の救済と援助
D相談・保護体制の充実
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、婦人相談所に配偶者暴力相談支援センターの機能を持たせ、被害女性のための相談や一時保護の強化を図る。
 また、長期の保護・指導が必要な場合は、婦人保護施設において、被害者の自立支援に努める。
Eカウンセラーの充実
 性犯罪被害者の心のケアを図るために、カウンセリングの専門知識を有するカウンセラーの養成と配置に努める。


重点目標12 生涯を通じた女性の健康支援
現状と課題
 平成6(1994)年カイロで開催された国際人口・開発会議において、リプロダクティブ・ヘルス/ライツが提唱され、翌年の第4回世界女性会議に引き継がれました。
 リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、性と生殖にかかわるあらゆる事柄についての健康(身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であること)と権利をいい、健康が保障され、いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に生まれ育つことなどが含まれています。
 このリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点に立ち、すべての女性の生涯を通じた健康を支援する必要があります。安心して妊娠・出産の時期を過ごすために周産期医療対策や総合的な母子保健対策を推進するとともに、思春期・更年期等ライフサイクルを通じて男性と異なる健康上の問題に対処するため、情報提供や相談体制の充実を図る必要があります。
 また、疾病の早期発見・治療をはじめ、自らの健康は自ら管理する意識づくりや栄養・運動・休養に関する知識の普及啓発、食生活の改善、スポーツの推進等による健康づくりなどの総合的な対策を進める必要があります。
 HIV(エイズ)やアルコール依存症、薬物乱用についても、女性の健康に大きな影響をもたらします。防止対策や正しい知識の普及啓発などの施策の推進が必要です。
1 性と生殖に関する健康と権利の推進
@性と生殖に関する健康と権利の定着
 母性保護と女性の人権尊重の視点から、性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の重要性を認識できるよう、教育・啓発を行う。
A性に関する教育・啓発・相談の推進
 性に関する正しい理解を深め、男女平等及び人権尊重に基づいた教育・啓発・相談を行う。
2 妊娠・出産に関わる保健医療対策の充実
B周産期医療の充実
 女性が安心して妊娠・出産の時期を過ごせるよう、周産期医療の整備充実を図る。
C母子保健医療の充実
 母と子の健康を守るため、健康診査、保健指導・相談、医療援護等の医療サービスの提供が受けられるよう母子保健医療の充実を図る。
3 生涯を通じた健康支援
D女性の健康教育と相談・指導の充実
 女性が思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期等それぞれのライフサイクルに応じて自ら健康管理が行えるよう、健康教育や健康相談を充実する。
E成人期、高齢期の健康づくりの推進
 長い人生を、寝たきりにならず健康に過ごすため、健康診査、健康指導を行うとともに、健康的な食生活習慣の確立や適切な運動習慣の普及等を推進する。
 また、老後における健康保持のため、健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練及び訪問指導といった保険事業の充実と推進を図る。
Fスポーツ活動の推進
 だれでもが健康・体力を保持・増進するため、自分の適正に応じて、いつでも、どこでも、気軽にスポーツ活動が行えるよう環境づくりを図る。
G女性の健康に大きな影響をもたらす問題についての対策の推進
 HIV(エイズ)について正しい知識や認識の普及を図るとともに、患者・感染者に対して正しい理解に基づいて行動がとれるよう、積極的な啓発活動を行う。
 また、社会全体に悪影響を与える薬物乱用について、薬物の影響に関する正しい知識の普及と防止対策の強化を図る。


重点目標13 高齢者等への自立支援
現状と課題
 豊かな高齢期を実現するためには、高齢者が社会の構成員として尊重されるとともに、自立して生活ができる社会システムの確立が求められています。
 このため、年金や住宅などの生活基盤の確保や生活環境の整備を図るとともに、社会参画や生涯学習などの機会を充実し、生きがいが持てる条件を整備することが必要です。
 また、地域社会の中で、高齢者自らの選択によるライフスタイルで生活することができるよう、保険・医療・福祉の連携とサービスの充実に努めることが必要です。
 障害のある人なども、地域で安心して生活することが望まれます。
 そのためには、積極的な社会参加や自立支援のための政策の充実を図る必要があります。
 さらに、離婚の増加等によりひとり親家庭が増えています。こうした家庭にあっては、経済的にも、子どもの養育、家族の健康面などにおいても不安定な立場に置かれがちです。ひとり親家庭の人たちが安心して暮らすことができるよう相談機能を強化するとともに、自立を支援する必要があります。
1 高齢者等の生活安定と自立の促進
@保健福祉の推進
 本格的な高齢社会に向けて、高齢者が健康で、経済的にも自立し、社会の一員として地域の中で安心して生活できるような環境を整備する。
A消費生活の安定
 消費生活に関する啓発や相談体制を充実する。
B年金権の確保
 経済的基盤の充実を図るため、国民年金制度について周知徹底する。
C就労への準備
 生活の安定を図るため、就労の場の充実と職業能力開発の機会の拡大に努める。
D居宅サービスの充実
 安心して住み慣れた家庭で暮らすことができ、介護者に大きな負担がかかることのないよう、居宅サービスの充実を図る。
E生きがい対策の充実
 今までに培ってきた知識と経験を活かして、希望に沿った生活に取組み、生きがいをもって生活することができるよう、多様な生きがい対策の充実を図る。
F社会参加活動の促進
 豊かな経験を活かして、地域における高齢者の社会参加活動を促進する。
G高齢者の特性に配慮した住まいづくり
 高齢者の自立と社会参加を促進するため、高齢者の特性に配慮したバリアフリー化住宅の整備やまちづくりを推進する。
H相談援助体制の充実
 高齢者に対する相談援助体制の充実を図る。
I障害のある人への配慮
 障害のある人の自立と社会参加を促進するため、建築物、道路等における物理的障壁の除去や障害に対する心の障壁を解消するための啓発など、各種施策を総合的に推進する。
2 ひとり親家庭の生活安定と自立の促進
J自立援助の促進
 家庭環境等に配慮したきめ細かい就業援助対策など自立援助のための各種の援護対策を充実する。
K相談援助体制の充実
 ひとり親家庭に対する相談援助体制の充実を図る。


基本目標X 男女共同参画による世界への貢献

重点目標14 国際交流・協力の推進
現状と課題
 県では、平成8(1996)年2月に策定した、「ながさきグローバルプラン21」に基づいて、県民の国際意識の高揚を図るとともに、中華人民共和国福建省・上海市との友好提携や、日韓海峡沿岸県市道知事交流会議に基づく日韓共同事業などの交流事業を進めてきました。
 国際化を進めていくには、これまでの行政主導による国際交流に加え、県民や地域の自主的な活動が主体となる民間主導による展開が必要となっています。今後は、県民意識の変革を図るとともに、(財)長崎県国際交流協会を中心に、県内のNGO・NPOの活動と一体となり、国際交流・協力の各種事業を進めていく必要があります。
 国際化は、海外の交流に限らず、身近なところからも始まっています。県内在住の外国人との交流や相互理解を深めるとともに、地域において国際交流を推進するリーダーやボランティアの育成とネットワークづくりを推進する必要があります。
 また、県内には、韓国・朝鮮人、中国人をはじめとする多くの定住外国人が暮らしています。こうした人たちが社会の一員として尊重される社会を築いていく必要があります。
 そのためには、県内在住の外国人が安心して生活できるよう、相談、情報提供機能を充実させることが必要です。
 また、県民一人ひとりに、異文化理解を進めるための情報提供に努めることにより、国際化についての理解の浸透を図る必要があります。
1 国際交流の推進
@平和への取組み
 長崎県は被爆県として一日も早い核兵器の廃絶による世界平和の実現を内外に強く訴え、平和発信に努める。
A様々な分野での交流
 外国や異なる民族、文化、生活習慣などへの理解を含め、国際社会にふさわしい人材の育成に努めるとともに、様々な分野での国際交流を推進する。
B県内の外国人との交流促進
 県内には、韓国・朝鮮人、中国人をはじめとする多くの定住外国人が暮らしている。こうした人たちが地域社会の一員として尊重される社会づくりを推進する。
 また、長崎県を訪れる外国人が安心して暮らしたり活動できるよう、幅広い情報を提供するとともに、相互理解を図る交流の場の提供に努める。
2 国際協力の推進
C国際社会への貢献
 国際社会の諸問題の解決に向けた取組みに積極的に参画するよう、国際貢献の気運を高めるとともに、NGO・NPOなど県民の自発的な諸活動とも協力し合って、国際協力に努める。
3 交流と協力のための支援
D情報機能の充実
 国際交流の基礎となる語学、国際情報、日本の歴史・文化への理解や長崎県民の戦争・被爆体験、平和のための活動について総合的に学び得る機会や場を確保・充実する。


重点目標15 地球環境保全への寄与
現状と課題
 近年、地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨など地球環境問題が国際的に大きな課題となっており、その原因の一端が私たちの日常生活にもあることから、家庭や地域における環境保全活動や生活様式の見直しなどの取組みが求められています。
 長崎県地球環境保全行動計画に添って省エネルギー型生活様式への転換や省資源・ゴミの減量化等、地球にやさしいライフスタイルを率先して実践していくことが期待されており、県民、事業者、行政が、地球市民の一員であるとの認識に立って、自主的に環境保全活動に取り組む必要があります。
1 環境保全活動の推進
@地球環境保全への取組み
 地球における資源回収や緑化の取組み等、環境保全について、地球環境保全の視点から、その実践に、積極的に取り組むことを推進する。
 また、近隣諸国との技術交流により、広域的かつ多様な環境保全対策技術等に関する共同事業の推進を図る。
2 環境にやさしいライフスタイルへの啓発促進
A環境にやさしいライフスタイルの啓発促進
 地球環境保全を推進するためには、県民一人ひとりの日常生活から環境への負荷を低減する必要があるため、環境にやさしいライフスタイルの実践に向けた具体的な行動について、普及啓発を推進する。


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第4章 計画の総合的な推進
 この計画を推進するにあたっては、県の推進体制の強化や適切な進行管理を行うとともに、市町村や関係機関との連携を強化し、県民の理解と協力を得て、総合的かつ効果的に取り組む必要があります。

1.県における推進体制の整備・充実等
 男女共同参画の促進は、広範多岐にわたるため、関係課との連携を保ち、施策の実効性の確保に留意し、効率的な推進を図る必要があります。

1 男女共同参画推進本部の設置・運営
 男女共同参加社会の実現を目指し、関連する施策を総合的に推進するため、知事を本部長とした「男女共同参画推進本部」の設置・運営により、庁内関係各部局との一層の連携を図ります。
2 男女共同参画審議会の設置・運営
 男女共同参画の推進に関する重要事項を調査・審議する機関として各分野の有識者で構成した「男女共同参画審議会」を設置し、また、審議会に苦情処理の専門部会を設置する等、その機能を最大限に発揮するよう努めます。
3 男女共同参画推進員の設置
 男女共同参画に関する知識を有し、地域の指導者となりうる人材を男女共同参画推進員として配置し、地域における男女共同参画の啓発活動の強化に努めます。
4 男女共同参画に関する調査・研究等と情報の収集・提供
 庁内関係各課との連携を図りながら、男女共同参画の現状の問題点把握や調査・研究を行い、男女共同参画施策の企画立案に努めるとともに、国際的な動向や、国、地方公共団体及び民間団体等における情報の収集・提供に努めます。
5 男女共同参画に関する苦情相談等への対応
 県の男女共同参画の推進に係わる施策についての苦情や、セクシャル・ハラスメント、女性への暴力などの人権侵害等に関する相談等について、局、支庁に窓口を置き、関係機関と連携し適切な対応に努めます。
6 職員研修等の充実
 県職員をはじめ市町村職員、団体職員等へ男女共同参画社会の実現に向けた理解と関心を深める研修の充実を図ります。
7 計画の進行管理
 計画を実効性のあるものにするため、毎年度具体的な事業実施状況を取りまとめて、進捗状況を把握し、成果等の検討と評価を行い、その結果を公表するなど進行管理を行います。 

2.市町村との協働
 市町村の推進体制等の整備が促進されるよう、男女共同参画推進員を介しての啓発、人材養成への支援や、研修会の開催、情報の提供等を行い、市町村と協働で男女共同参画の推進に努めます。

目標とする市町村の推進体制
 男女共同参画施策を担当する専管課(室)の設置、もしくは、専任職員の配置を促進するとともに、これら担当窓口について住民への周知を図る。
 教育・労働・福祉など各部門にまたがる男女共同参画施策を効率的に進めるための行政内部の関係課で構成する推進組織の設置。
 男女共同参画施策に住民代表や有識者の意見を反映させるための諮問機関の設置。
 男女共同参画施策を総合的に展開し、事業を着実に推進するための男女共同参画計画の策定。
 男女共同参画社会の実現をめざす条例の制定。

3.事業者、民間団体等との協働
 男女共同参画社会の実現を図るため、行政機関はもとより職業生活及び地域生活に大きな影響力を持つ事業者、NPO等の民間団体と協働し、男女共同参画社会づくりに向けた活動やネットワークづくりを促進します。

4.県民の参画
 県民一人ひとりが、男女共同参画社会の意義を理解し、その実現に向けて、職場、学校、地域など、社会のあらゆる分野を通じて積極的に参画されることを期待します。

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第5章 計画の進捗を図るための主な指標

基本目標 項目 現状値(H13) 目標値 年度 所管課
T 男女共同参画社会づくりに向けた意識の改革 「男は仕事、女は家庭」に同感しない県民の割合 38.9% 48% 21 男女共同参画室
社会慣習の中での男女の不平等感の割合 74.3% 50% 21
男女平等教育校内研修の実施校の割合(職員研修) 15年度調査開始 計画的に増加させる 21 学校教育課
U 政策・方針決定過程への男女共同参画の促進 審議会委員への女性の登用 18.6% 30% 21 男女共同参画室
女性人材データーベースへの登録者数 212 600 21
女性の農協正組合員比率 9.9% 25% 22 農業経営課
女性の漁協正組合員比率 5.8% 10% 22 漁政課
V 職場・家庭・地域において男女が多様な生き方を選択できる社会の実現 30歳〜34歳の女性の労働力率 62.07% (61.01%) 22 雇用労政課
労働者一人当たりの実労働時間 160h/月 150h/月 22
雇用者の育児や介護を支援するための制度の充実を図る事業所数 357 1,200 22
ファミリーサポートセンター数 1 5 22
延長保育を行う許可保育所数 243 計画的に増加させる(210) 16 児童家庭課
多機能保育所の整備件数(一時預かり、乳児保育) 63 70 16
乳幼児健康支援一時預かり事業実施か所数 9 16 16
地域子育て支援センター数 40 計画的に増加させる(40) 16
放課後児童クラブ数 138 160 16
ホームヘルパー数 2,281 5,016 22 長寿介護政策課
家庭教育関連講座の男性参加率(男性参加者/全参加者数) 45% 50%以上 17 生涯学習課
家族経営協定締結戸数 720 1,700 22 農業技術課
W 女性の人権が擁護され、高齢者等が安心して暮らせる社会の実現 被害者支援ネットワーク団体数 369 1,000 22 県警本部
シルバー人材センター会員数 5,946 15,000 22 雇用労政課
バリアフリー型住宅の比率 10.7% 20% 22 住宅課
X 男女共同参画による世界への貢献 国際交流員数(CIR) 13 25 22 国際課
エコショップの認定数 423 1,000 21 環境政策課
子供エコクラブ参加者数 1,175 2,000 21
計画の総合的な推進 男女共同参画計画策定市町村数 5 40 21 男女共同参画室
NPO法人取得団体数 46 100 22 県民生活課

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